――と、俺はほぼ全てをお義父さんに話しました。
勿論、過去の俺のアレは抜いてですが。
それと、クズに怒りが向かうように多少話しを盛ったり・・・赤豚の事について(以外略)しましたが、まぁそれは語り手によって多少物語は変化してしまう物ですからな。仕方ない、仕方ない。
話し終えた後、お義父さんは世界に、全てに失望したのか(と言うか、させた)ハァ・・・っと、一度ため息をついて俺に話しかけてきました。やりましたな、これでお義父さんの中の俺への好感度が多少上がった事でしょう!!
「・・・この世界がクズでどうしようも無いことは嫌でも理解した。本当なら今すぐにでもクズとビッチ・・・」
多少の間を置いてお義父さんは会話を再開しました。
「・・・はたった今、目の前に居る奴が殺した件について」
「俺が殺処分してやりましたからな!心配は要らないですぞ!」
「いや心配しかねぇよ!?そもそもあいつ物語のキー的な存在だったんだろ・・・?殺して大丈夫だったのか?」
確かに赤豚は色々と重要な存在だったはずですが...今回はクズとの和解ルートを目指している訳では無いので、きっと大丈夫でしょう。きっと・・・
「後悔するなら殺すなよ・・・あれか、つい手がでてしまったって奴か・・・?DV夫みたいな」
「赤豚の夫なんてごめんですぞ・・・」
「まぁ、それは俺も同意だが。」
閑話休題ですぞ。
こんな感じで雑談や猥談を繰り返しながら、俺達はこの・・・牢獄と言うよりかは迷宮のように長い通路や別れ道を探索しました。
途中道を壊して脱出しようと測りましたが、通路が崩落してはいけないとお義父さんに止められてしまいました。
しぶしぶ通路を歩いていると、行き止まりだと思っていた場所に七色に光る変な扉を見つけましたぞ。
妙なアーチ状に形が作られており、こう・・・混ざりかけの色をしたシャボン玉の膜のようなものが波打っています。
「なんか、別の場所に移動するオブジェみたいだな」
「そうですな、俺の世界のゲームでも似たようなような扉が有りましたぞ」
お義父さんはやっぱゲームはどの世界でも同じなのか、と納得したように頷いた後、扉の前で少し戸惑っておられました。この先に何が有るのか分からないので用心しておられるのでしょうか。
事実、俺の敵感知には妨害がかかったように雲って何も反応していないので、お義父さんの読みは正しいです。
まるで、ここの世界と向こうは違うみたいですな・・・
「心配なのでしたら、俺が先に言って確認してきましょうか?」
「...いや、片道切符の扉なのかもしれない。一緒に行った方が危険は少ないだろ」
確かにそうかも知れませんな、と言いお義父さんに手を差し伸べます。すると、違うそうじゃ無いと手を弾かれてしまいました・・・ですがこの元康、お義父さんの事を思い無理矢理にでも手を繋ぎます。
最初こそ抵抗していましたが、訳を説明するとしぶしぶ手を繋いで下さいました。女体化しても男らしい手・・・と言う訳では無く、小さな手でした・・・
「何じっとしてるんだか・・・入るぞ?」
「はーい、ですぞ!」
お義父さんの事にためらっていると、お義父さんが強引に繋いでいる手を引っ張ってきました。
まったく予想していなかった事なので扉に倒れる形がになり、俺の手を繋いでいたお義父さんも倒れこんでしまい――俺の顔に痛みが走る・・・事は無く、代わりにざらざらとした感触が。
「な――!?」
ムクリと立ち上がり、景色を眺めた時、俺達は絶句してしまいました・・・
俺の先に見えた物は、先程までの迷宮と違い・・・青い空、暑苦しい照りつける太陽、白い浜、そして海・・・。
迷宮内とは思えない光景が広がっていたのですぞ。
突っ込み役、記憶の中の尚文。