仮面ライダーW / IとSを繋ぐ者   作:あんじ

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推理パート苦手マンなので多分ガバ理論になると思います


Jとの出会い/繋がる答え

「オラァ!」

 

敵、ドーパントの攻撃を躱して腹部に体重を乗せたパンチを打ち込む。見るからに外殻に覆われて硬そうな頭や背中、腕部などは攻撃力も防御力も高いと思われる。しかし何も無い腹部は最も柔らかい部分に違いない。多分ガイアメモリの元となったのは甲殻類か昆虫系なのだろう。

右ストレート、左フック、ショートアッパーを使い分けて大きくないがダメージを与えていく。

何だかこのパワードスーツらしき物を纏ってから腕の傷の痛みは引いて、どんなに走っても身体は軽いし、予想以上にパンチに力が篭っている。

 

「グゥ!貴様、その力、その姿……本物の仮面ライダーなのか?」

「あ?うるせぇ、そろそろ黙りやがれ!」

 

しかし焦りは増していく。地味なダメージを与えているが中々に倒れてくれない。早くもう一箇所ドーパントが暴れていると思われる場所にも行かないといけないというのに。

決め手に欠けて焦りが見え始めたのか、倒しきれない俺を見て何か思った所があったのか。いつの間にか移動して屋根に居たシュラウドは、それを汲み取ったのかメモリの新たな使い方を教えてくれる。

 

「メモリを1度抜いて腰の右側にあるコネクタに挿しなさい!一撃必殺、つまりは奥の手よ」

 

すぐさま言われた通りに腰のガジェットからジョーカーメモリを抜いて、側面にあったコネクタにメモリをもう1度差し込む。

するとみるみるうちに足にパワーが溜まっていく事が分かる。

 

JOKER(ジョーカー)マキシマムドライブ!』

「ライダーキック!」

 

助走を付けてドロップキックの様にドーパントへ目掛けて蹴りかかる。ドーパントもボクシングのガードのポーズでキックを受け止めるが、次第に押されて後退して行く。そして全身のパワーを足裏一点に集め、力を込める。

一瞬の均衡、そしてガードは崩れてライダーキックでドーパントは倒れる。ドーパントは元の人の姿に戻ると、足元に奴の身体から排出されたガイアメモリが飛んできて、真っ二つに破損した。

目の前の怪物(ドーパント)を倒せて安堵していると、また遠くから爆発音が鳴り響く。

いつの間にか消えていたシュラウドの事を忘れて、足は爆心地へと向かっていく。

 

「急がねぇと!」

 

まだ身体は軽く、炎上している部分へと赴く。爆発音の中心地に着いて分かったが、その爆発音は飲食店のガスボンベが連鎖的に爆破していたものだった。そしてその炎の中に、異形はいた。

怪物(バケモノ)と互角にやり合う、むしろ善戦するように立ち回っているのは異形(おりむら)だ。手には黒や灰色をしたまるで鉄製のような硬さを持つ竹刀で戦っていた。そしてなんの因果か相手は手が剣になっていた。

しかしドーパントの剣が当たれば織斑と言えど致命傷となる。それはダメだ。俺の目の前で、この街で起きて良い光景では無い。

 

「っと、悪いなレディ、そいつの相手は俺だ。変わってもらうぜ」

「何者だ貴様!」

 

走って向かってきた仮面ライダー(オレ)に気付いたが、切りかかる織斑の相手をしなければならずに避けるのが遅れ、俺の拳がクリーンヒットする。立て続けに次は足を高く蹴り上げて頭に回し蹴りを入れる。先の戦闘で慣れてきたのか思うように身体が動くようになってきた。昆虫擬きと違い身体の至る所が尖り、棘や刀のようなのが出ているが、その分可動できる範囲が少ないのか決まった所にしか攻撃は飛んでこない。

俺が掻っ攫う様にドーパントと戦い始めると、織斑はコイツを追撃せずに肩で息をして竹刀を鞘にしまっていた。少なくとも負担ではあったのだろう。何処から出てきたのか篠ノ之も出てきて彼女の心配をしていた。

 

「よそ見するんじゃねぇよ!」

「おっと、んな物騒なもん振り回すなよ。危ないだろ」

 

そう軽口を叩きながら軽打を決めていく。ハイキックや脆そうな接合部を狙って的確にダメージを入れていく。織斑との戦いでかなり消耗したのか既に弱っていた。

 

「コイツで決まりだ!」

JOKER(ジョーカー)マキシマムドライブ』

「ライダーパンチ!」

 

今度はキックではなくパンチ。拳にエネルギーが溜まっていくのをヒシヒシと感じる。体重と軽いステップのエネルギー、そして拳に溜まったエネルギーを全て乗せて顔面をぶん殴る。

吹っ飛んだドーパントは人間の姿に戻り、メモリは放たれて空中で分解してしまう。ドーパントとなってしまった人間は放っておけば警察の方がメモリと共に回収してくれるだろう。

それよりも今は自分のことだ。マキシマムドライブというのは身体のエネルギーを消費するのだろう。身体はダルいし、腹が減った。それにこれは個人の感覚だが、そろそろこのパワードスーツも解けて変身前の姿に戻ってしまうだろう。

俺はそのまま携帯で織斑に場所の名前だけ送って、変身を解除してしまう。すると緊張の糸が解けたのか、蓄積したダメージが襲ったのかは分からないが意識が朦朧としてきて、ゴミの上でぶっ倒れてしまう。最後に見えた光景にはシュラウドが駆け寄ってくるのだけが見えた。

 

 

▼▼▼

 

 

目の前の光景は地獄だった。飲食店のガスボンベに火がついて燃えて爆発、そして別のボンベに引火という連鎖が起こっていた。

(おりむらちふゆ)は咄嗟に駆け出していた。クラスメイト(なるみ)には逃げろと言われたが、腕には自信があったし何より襲われている人は放っておけない。

 

「束、()()貸してもらって良いか?」

「えー、ちーちゃんアイツ(ドーパント)とやり合うの?束さん的には反対かなー」

「すまんな、私も力有る者だ。警察の助けが来るまでの間だけ頼む」

「ずるいなぁ、ちーちゃんに頼まれたら束さんは断れないゾ」

 

そう言うと束は魔法のようにどこからかカーボンナノチューブを使った日本刀と同じ硬度を持つ竹刀を取り出し、私に手渡す。

私が以前、打ち込みの練習をしていた時に「すぐに竹刀が折れて大変だ」という話をした。その際に壊れず、また私のクセ等を完全に熟知した最も使いやすい竹刀を作ってくれた。ただ、人から貰うという事に気が引けたのと、竹刀は竹刀であるから良いという私的な理由で受け取らなかった物だ。

目の前に佇む私が受け取るのを見て、構えてきた。

 

「それで俺と戦うのか?死んでも知らんぞ」

「構わん。出来るものならな」

 

言葉と共に駆け出す。踏み込みと同時に竹刀を振り下ろして全体重を込める。衝撃と風が巻き上がり、煽られた小さなロウソクのような火はかき消された。

 

「グゥッ!たかが子供の竹刀だぞ?それがこんなに重いだと!?」

「まだまだだ!」

 

相手に攻め手を譲らないようにただひたすらに距離を詰めて攻撃を仕掛ける。何せ相手はガスボンベを軽々と切り裂くような鋭さを持つ剣を手にしている。方や硬度のお陰で斬れていないだけの竹刀だ。1度でも切られればもう負けに等しい。

剣技は私の方が上、しかし怪物(ドーパント)の力は私より上。とてると最後は体力勝負。相手がどれだけ体力があるか分からない以上耐久戦は不利極まりない。ならば短期戦、すぐに決着をつけるべきだろう。

私は自分のもつ剣技全てをつぎ込んで相手の攻撃を封じて、切り返していく。見たところこの怪物は体の一部が剣になっているようで身体と剣先の接合部が存在している。その接合部は針山のように尖った剣と皮膚を繋ぐものなのか溶接が甘く脆い。大きいもので1発、小さいものでも2、3発当てれば折れてくれた。

そうやって一方的に攻撃をしていると何か誰かがこの路地の端に立っている事に気が付いた。見ればそれは全身が黒く、マントを付けた噂に聞く都市伝説の"仮面ライダー"の特徴とどこか一致していた。しかし都市伝説を信じて鵜呑みにするほど素直では無い。その為攻撃をやめずにむしろ最大威力を用意する。

 

「っと、悪いなレディ、そいつの相手は俺だ。変わってもらうぜ」

「何者だ貴様!」

 

振り下ろすタイミングを見計らって仮面ライダー(もど)きは重い一撃を決めた。お陰で少し当たるところがズレ、最大の威力は外れて堅い接合部の跡に辺りダメージを上手く与えられなかった。

どんなものでも武道をやっていると分かるが、ドーパントの様に少なからず悪意を持って拳や武器を振るう者は雰囲気で分かるようになる。街や人を襲うドーパントを「俺の獲物」と言い颯爽と現れた彼には悪意や邪心を感じられはしなかった。それを見届けると少し引いて呼吸を整える。

そのタイミングに合わせて何処かへ行っていた束も戻ってききた。

 

「ハァ、ハァ、ハァ……なぁ、今まで何処にいたんだ束?」

「いやー、ちーちゃんを思ってですね?ハーフボイルドを探しに行ってたと言いますか?」

「私の事を遠くで見ていた……の間違えでは無くてか?」

「ヒィ!?」

 

少しばかりイラッと来たのでわざとらしく指を鳴らしてみると青ざめてしまい、これ以上はやりにくくなってしまった。なので束から袋を奪い取り法に触れかねない竹刀を隠す。

見渡して先程の仮面ライダー擬きを目で追えば、それに気付いたのかこちらに気遣ったのか、本人では無いので分からないが立ち位置を器用に変えて戦場を裏路地へと移して行った。

ただ収まりは悪いので、しばらく束のチョークスリーパーで固めてお話をしていると不意に携帯が鳴った。束以外は一括して同じ音となっているので誰かは分からないが私宛にメールが届いていた。件名なし、内容無しで位置情報だけ添付されたもので、差出人はどこかへ行ってしまったクラスメイトの鳴海翔太郎だった。

 

「はぁ!?ちーちゃんにメール送るとか有り得ないんですけど!」

「そう騒ぐな束。彼もそう意味なしに送ってくる相手じゃない。何かあったのだろう、行ってみよう」

「………………ちーちゃんがそこまで言うなら着いて行ってあげる。でも何もしないよ」

「ふっ、構わないさ」

 

束の手を借りて立ち上がり、位置情報の元へ向かう。ここから歩いて3分の路地裏、先程仮面ライダー擬きが戦っていた場所の近くだ。

路地裏の店と店の間等を隈無く探していくとそこに彼は居た。ただ、私の知っている彼とは様子が異なっていた。

 

「束、応急処置を頼む。私は救急と警察を呼んでくる」

「うーん、嫌かなぁ」

「なら絶交だな」

「えぇ!?ラ、ラジャー!」

 

私は束にその場を預けて救急に電話をしながら大通りへと出ていき警察を連れてくるのであった。結果、救急が来るまでの間、否、私が戻ってくるまでの数分の間で止血や消毒は済み鳴海への処置は完璧なものとなっていた……のだがそこに束の姿は無かった。

 

 

▼▼▼

 

 

微睡(まどろ)みの中から藻掻くように目を覚ました。目を開ければそこは知らない天井でと見慣れない顔が映った。どうやら機器や部屋の感じから病院だという事が分かる。

 

「シュラウド、あんたここで何してるんだ?」

「……起きたのね。何って貴方に返しに来たのよ」

 

何か分からず疑問符を浮かべているとベットの足元にあったアタッシュケースをベットに付属した机の上で開封した。

中には見た事のあるガジェットと、全く知らないガジェットの合計8個収められていた。見た事のある左右非対称のベルトと黒色のガイアメモリ、見た事が無いのが左右対称のベルトと緑、赤、黄、灰、青のガイアメモリだ。

 

「貴方が友人から見つかる前に回収したベルトとメモリを含めた2つのドライバーと6つのガイアメモリよ」

「これをどうしろと?」

「これは鳴海壮一郎から貴方への贈り物。どう使うかもあなた次第よ」

 

その一言を残してシュラウドは病室から出ていった。もちろんこのアタッシュケースがここにあり、見つかるとマズいのでシュラウドが事務所の金庫へ入れて置いてくれるらしい。何故金庫を開けられるのかは不明だが。

意識もはっきりしてきてやる事の無くなった俺は依頼の現状についてまとめる事にした。

少なくともあの戦いに高橋直樹は参加していなかった。そしてドーパントとなっていた人物はいずれも最近彼と親しくしていた荒くれ者達の顔と一致している。つまり彼か、または彼と手を結ぶ者が少し真実に迫った俺に対して邪魔をしてきたと言う事だろう。多分あの爆発や戦闘で物的証拠は残らず燃えたり破壊されてしまった事は容易に想像できる。

だが謎は近づく度に同じくらい遠ざかって行ってしまった。何故ガイアメモリを手にしたのか?協力しているのなら誰が?何処にいる?

 

「足りないものが多いな」

「服とかか?それなら持ってきたが」

「あぁ、ありがとう。………ん?」

 

顔を上げると部屋の入口には紙袋に服を入れた織斑が立っていた。その後ろには篠ノ之も一緒に来ている。

 

「目が覚めたんだな。怪我を見た時は驚いたぞ」

「ちょっとミスっただけなんだがね」

「束がいなければ私も危なかったし、君も危なかったんだぞ」

「俺が?なんでさ」

「束の応急処置が適切だったお陰で感染症も無く傷跡も残らないらしい」

 

驚いて入口に壁でもあるのか入ってこない篠ノ之を見ると死ぬほど不機嫌な顔をしていた。多分織斑に何か言われて不承不承ながらやってくれたのだろう。

織斑が救急車を呼んでくれて、入院が確定したらしく事務所へ赴いて大家から鍵を借りて衣服を持ってきてくれた。これも織斑が医者から聞いた事だが腕を抉られていたのに加えて何かの衝撃で腕の骨にヒビが入っていたらしい。傷が治り、骨が一定まで繋がったら退院との事で、1週間程は確定と言われた。

 

「私はこれを置きにきただけだから帰るぞ。母では無いからな、着替えは自分でやれるだろう?」

「問題無いよ。誰かに襲われるとか、守ってもらう訳でも無い……し……」

 

思考がストップをかけてきた。守る?子供を守るのは親として当然だ。なんで高橋直樹の母は彼の帰りが遅くなったのが悪い事だという大前提で話してきた?なんでおかしくなった時に助けなかった?何故だ?

ぐるぐると思考が回り、結論を導き出てきた。これはただの推論だが、1つ、1つだけ証拠が見つかれば答えとなる。

 

「なぁ、織斑ちょっと聞いてきてもらいたい事があるんだが──」


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