仮面ライダーW / IとSを繋ぐ者   作:あんじ

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Jとの出会い/始まりの終わり

自分でも驚く程に驚異的な回復力で腕の骨は結合し、既にギブス無しでも動かせるくらいにはなっている。

あの事件から1週間とちょっと過ぎた頃、俺は依頼の主である高橋直樹の母・高橋雅子(まさこ)の元へ来ていた。内容はもちろん事件の解決へ少し手をかけたからである。確信を得るにはまだだが、この訪問が終わる頃には推測は事実となっているだろう。

 

「それで、探偵さん。事件の解の為に聞きたい事とは?」

「えぇ、それはですね──」

DOMINATE(ドミネイト)!』

 

唐突に音声が鳴ると彼女の額の真ん中にコネクターが浮かび上がってきた。あまりに突然の事に驚き彼女は少しばかり放心すると慌てて額を隠し始めた。

 

「こ、これは!」

「息子を守るため、ですよね。dominate(ドミネイト)、意味は支配する。となると推測ですが、能力は同じドーパントにしか効果が無いのが簡易的な命令ができる。といった所ですか?」

「……なぜ分かったのでしょうか?」

「先日、俺の使いだと言って尋ねてきた子がいませんでしか?彼女に息子の生死が分からない事を伝えるように頼みました。メモリを使うならばこのタイミングだろうと踏んでね。しかし、用心深い貴女なら俺が尋ねてくる可能性のあるこの家にこれ(ガイアメモリ)は置かない。ならば何処かに隠してあると思い、遠くから追跡させたんですよ。後は警察に周囲を捜索してもらえば良い」

 

すると扉の奥に控えていたくたびれたスーツを着た警官と若手の警官の2人組が入ってくる。既に外にも数人の警察官が待機しているのは目視出来た。

 

「高橋雅子さんですね、貴女には逮捕状が出ています。署までご同行願えますか?」

 

若手の警官が罪状を読み上げて手錠をかける。そして喚いたり反抗することも無く外に連行されて行き、数人の警察官に囲まれてパトカーに乗せられてこの場を去っていった。

それを見届けるとくたびれたスーツを着た警官がこちらに向かってきた。

 

「よお、翔太郎。今回もお手柄だったな」

(じん)さん、ありがとうございました。確証なんて無いって言ったのに着いてきてくれて」

「いやなに、お前さんの功績を考えれば外れる事はないだろうってな。何せ用心深いから九分九厘確定するまで手を出そうとしねぇじゃねぇか」

 

彼は仁野幹久(じんのみきひさ)、親父曰く元々この街の交番の巡査だったらしいがドーパント関連の事件によく遭遇したらしく昇進、今は本署の方で警部補として日々事務方をこなしている。時たまドーパント関連の事件があれば出張ってくる様な窓際部署だが、彼自身はそれが楽で良いらしい。暇があれば菓子と昆布茶を啜っている姿がよく目撃されている。

 

「それで、直樹さんの方は見つかったんですね?」

「ったく、察しが良いな。けど大丈夫なのか?」

「ドーパント関連の事件は言質だと弱い、だから物的証拠が必要となる。でも警察ではそれを出すための囮捜査は出来ない」

「中坊の癖に全く親父さんに似たもんだよ。外に警察を配備させておく。ヤバくなったら全力で逃げろ」

 

仁さんにお礼を伝えて俺は高橋邸から出た。向かうのは沿岸部にあるコンテナ群及びその倉庫。一角は古くなり使われなくなっていて、そこで目撃情報が多発している。仁さんもここには昔から悪い奴らの巣窟だったと言っていた。

俺はタクシーを拾って目的の倉庫へと真実を突き止めに前へ進んでいった。

 

 

▼▼▼

 

 

倉庫に着いたがまだ警察車両はどこにも見当たらなかった。しかしこの状況はある意味で好都合であり、躊躇うことなく倉庫の扉を開けて中へと入っていく。

中は特に何かがあるというわけでもなく、簡易テーブルとパイプ椅子や小さな冷蔵庫とベッドなど本当に最小限の家具家電があり、そこに彼はいた。

 

「何者だ?」

「探偵さ、この街の平和の為に動くな」

「チッ、厨二病のガキかよ。ここは遊び場じゃねぇんだよ、帰りな!」

「高橋直樹、君の母は捕まったよ。ガイアメモリを使って悪事をしたとしてね」

 

その言葉と共に彼の表情は激変した。今まではイラついてはいたが、それは面倒や欲求に直結する事だっただろう。しかし今現在、彼の顔は憤怒に塗りたくられた鬼の形相だった。

 

「あのババァ!クソっ、だから手出しすんじゃねぇって言ったんだよ!クソが、クソが、クソが!……まぁ良いや、どうせ最後だ。お前をついに殺す」

「そう言うアンタはイキリ大学生だな。やれるもんならやってみな、変身!」

『JOKER!』

 

お互いに人を超えて変身、変形する。彼の手にあったメモリは『POWDER(パウダー)』と鳴って手首のコネクターに吸い込まれていった。俺もそれに応じるような形でメモリを鳴らしてドライバーに差し込む。メモリは幾つか渡されたが、まだどれが使えるかがよく分かっていない。その為JOKERともう1つだけ持ってきているが、一か八かになる可能性があるので、なるべくは使いたくはない。

赤い複眼と黒い軽鎧装を纏った俺は、真っ赤で二足歩行の人型ではあるものの完全に異なる異形をしている高橋と向かい合うと、正面からの殴り合いになった。

 

「オラッ、オラッ、オラァ!」

「中々のパンチだなぁ!けどよォ、そんなに殴って大丈夫かァ?」

 

その言葉に疑問を持ったが、ダメージを与えられているのならチャンスだと思いラッシュを決める。相手はそれに微動だにせず、全てを受け切った。

そして数秒後、俺の拳は爆竹の様な小爆発を繰り返していた。それを見て奴はニヤリと顔を歪めてこちらにジリジリと近づいてきた。

 

「今度はこっちの番だ」

 

そう言って鋭く重い一撃を何度も体に打ち込んできた。さっきの爆発でダメージを負った俺はガードが間に合わず何発か腹部や胸部に当たった。そしてまた、数秒の後身体に爆発が発生する。

それに対抗すべく俺も気合いを込めて何発も打ち込むが俺の拳は当たる前に爆発で防がれる。奴は奴自身の爆発には耐性があるのかダメージを負わず、一方的にダメージを受ける状態になっていた。

お互いに殴り合いになったが、勝負はそう長く続かなかった。何度かターン制の様に交互に殴り合ったが、奴の拳は上手くベルトを狙い一撃を入れてきた。膝を付かずにはいられたし幸いベルトは壊れなかったが、しかしメモリは端へと転がり変身が解けてしまっていた。

 

「糞ガキが……これで終わりだ」

 

ドーパントは、彼は殴り合いが始まる前に殺すと言っていた。そしてガイアメモリを刺した人間は例外なく欲望や願望と思考が直結しやすくなる。つまりは簡単に人を殺せるようになってしまうという訳だ。

迫るドーパントに対して俺はゆっくりと内ポケットからもう1つのメモリを取り出した。

8つのうちJOKERを除いて簡単に力を理解できるものは多くなかった。力の大きなものを使ってもそれを操れるかどうかはまた別の話だ。となると、どんなものか簡単に想像がつき、比較的安全に使えるものに絞る必要があった。最終的には2つまで絞ったが、3つ持つのは余らせるだけだと思い、最後は直感で選んできた。

時間は限られている。だから俺は博打的だが中でも最も可能性の高いものを選んでベルトへ差し込んだ。

 

METAL(メタル)!』

 

音声と共に再び軽鎧装を身にまとっていく。姿形はほぼ変わらず、軽鎧装の色が黒から灰色に変わっただけで外見に大きな変化は感じられない。またJOKERのようなパワーを感じらなかいが、走攻守の特に守が少し高い能力だというのが直感で理解できた。

 

「姿や色が変わった所で!」

 

ドーパントはその変化を気にせず、追い込んだと言わんばかりに殴ってくる。しかし数秒後の爆発で俺がダメージを受ける事は無くなっていた。

 

「なんだと!?」

「今度こそ殴らせてもらうぞ」

 

灰色の軽鎧装はJOKERの時よりも格段に固く、硬く、堅くなっており爆発での衝撃ダメージは無効となっていた。そしてこちらの拳も重く硬いため爆発で弾かれることも無く、ダメージが入るようになっていた。

有利になった俺は少し冷静になり、背中にあるものがついている事に気が付く。それは長く背丈と同じくらいの長さを持った棒が背中についていた。

 

「コイツの名前は……メタルシャフト、なんてな。そら、行くぜ!」

 

メタルシャフトと名付けた棒はドーパントを鈍器の様に重く、剣のように速く振り抜きダメージを与えていく。そしてシャフトに付加される爆発は次の行動を加速させるようになり、一撃を当てる事に速さが上がりその分だけ威力も上がる。時間が経てば経つほど手数も威力もこちらが上回り、形勢は完全に俺が有利となっていった。

何度か高速のメタルシャフトで殴ると相手は次第に怯むようになり、行動が遅延していく。殴り合いをしていた俺なら気付かなかったが、冷静になった俺には隙が何度か見えるようになってきた。俺はその隙の連続を作り、決める為にメタルシャフトにベルトから取り出したメモリを差し込んだ。

 

『METALマキシマムドライブ』

「メタルストライク!」

 

鉄の棒の両端が鋭く伸びて、両方が穂先となった特殊な槍で突っ込んで行く。一撃を頭上から浴びせ一刀両断、そしてトドメを刺す様に反対の槍先でドーパントを貫いた。

この刃は鋭かったが、切ることに特化した日本刀のタイプではなく重さで押しつぶすように両断する青龍刀タイプだった。しかし先はかなり鋭敏に尖っていて針なんかよりも貫通力は高い。

貫かれたドーパントこと高橋直樹だったが、未だに倒れずに柱を杖代わりになんとか立っていた。

 

「まだだ、まだ終わってない!俺は()()()()()()()()()()()()()()!こんな奴にやられてたまるかぁ!」

 

そう雄叫びをあげるが、その声は虚しく倉庫に響き渡り、その叫びは断末魔の如く力尽きる。彼はその場で倒れ込むとメモリは排出されて、俺の足元へと転がってくる。

急いでメモリを外して人の姿に戻ると、タイミング良く警察車輌がやって来て何人かの警察官が開いている倉庫内に入ってきた。

 

「お疲れ様です、誰が犯人を?」

「俺が到着した時にはもう仮面ライダーが倒していました。メモリはここに」

「仮面ライダー……ですか。彼は一体何者何でしょうか?」

「分かりません。けど、少なくともドーパントを倒す限りは味方でしょう」

 

倒れて意識を失っている犯人に手錠をかけて警察は高橋直樹を連行していく。仮面ライダーは俺ですなんて事は言えないので彼らには申し訳ないが黙っているしかない。

警察が犯人を連れて引き上げる頃、騒ぎを聞きつけた野次馬が倉庫の付近を囲んでいた。俺もkeepoutが引かれ、護送車と共に移動するパトカーに乗せてもらい紛れて外に出る。いくら探偵とは言え中学生だ。そんな現場にいるのをあまりに人に見られるのは変な噂がたってよろしくない。

思えばこの事件は親子のすれ違いから始まったものだ。母は息子のメモリ使用を止めさせたくメモリを使い、息子は母がメモリを使っていたのを知り、自らも手を出して止められなくなっていた。多分だがドミネイトのメモリは息子にもコネクターが付いていたのではないかと思われる。

 

「さて、帰るか」

「ん?事件、解決したのか?」

「あぁ……お、織斑!?」

 

独り言に返事が返ってきて驚けばそこには織斑が立っていた。というかなぜ警察署の前に織斑がいるのかが分からない。

 

「なんでここに織斑が?」

「いやなに、鳴海が退院したと言うからな。事務所に行ってもいなかったからここに来ればいるかと思って来たんだ。見当違いだったが」

「なるほどな」

 

なんとも織斑らしい理由だ。彼女はクラスでもなるべく馴染める様に努力をしている。特に病気や怪我でクラスを離れている者には率先して見舞いに行っている。多分だが、彼女なりに篠ノ之束を思いクラスに少しでも馴染めるようにまずは自分からと行っているのだろう。

 

「そう言えば篠ノ之は?」

「束は途中まで一緒だったんだ。けど鳴海の所に行くと言ったら途端に帰ってしまったよ」

「めっちゃ嫌われてんなぁ」

 

その後織斑と話ながら彼女を送り、事務所まで帰ったのだが途中ずっと殺気を感じていたのは多分勘違いだろう。

振り返ればこの事件の始まりは何処か分からないが、それでもメモリ犯罪に手を出したのは悪でしかない。しかし諸悪の根源はこれを作り配布している者達だ。

だがこのメモリの出処が分からない。親父は何か掴んでいたみたいだが何かに残している訳でもない。これではいくら芽を摘んでもという話だ。

この謎が謎を呼ぶ事件はただの始まりでしかないのだが、それは今の俺には知る由もない。




適当書きですが許して下さい。次の話からはちゃんと書く予定です。

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