仮面ライダーW×戦姫絶唱シンフォギア 風が歌になって   作:クロ562

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HOUKOKUSYO
風都を襲う脅威は去り、フィリップも戻ってきた。この街にはまだガイアメモリは蔓延るが、平和は戻ってきた。これは、そんな俺たちの前に表れた、新たな事件の報告書である。


開幕のG/始まりの笛の音

─???

 

──歌を、聞いた。

そこでは、見たことの無い少女が戦っていた。

「はぁぁあっ!」

少女は、そんな掛け声と共に、これまた見たことも無い怪物を殴っていく。

見たところ、彼女は不思議な鎧をまとってこそいたが、しかしどこにでもいそうなただの少女だった。

そんな彼女が、何故あんな怪物と戦っているのか、とても不思議に思っていた。

叫び声が聞こえて、ふと少女の後方を見やると、人々が避難のために走っていた。

彼女はそんな彼らを隠すように怪物たちに立ちはだかっている。

そうか、つまりは彼女はみんなを守る為に、必死になって、その拳を握って、立ち向かっているのか。

と、そこで何かがずぅっと聞こえていたことに、その時、今更ながらも気づいた。

それは歌だった。必死に戦う彼女の歌。拳を握りながらも、誰かと手を繋ごうと頑張る彼女の歌。

それは、これまでに聞いたどんな歌よりも優しく、生きることに溢れた歌だった──。

 

 

 

─風都、鳴海探偵事務所

 

「──郎くーん?─太郎くーん?」

声が聞こえる。

「─翔太郎くーん!起きなさーい!」

「いって!」

バチコン!と頭を何かで叩かれ目が覚めた。

顔を上げると、いつもの事務所の机が目に入り、視界の隅には書きかけの原稿が見えた。

どうやら報告書を打ち込んでいる途中で眠ってしまっていたらしい。

「何すんだよ亜樹子!」

俺は椅子に腰を落ち着けると、俺を文字通り叩き起こした女に向かって怒鳴る。

しかし怒鳴られた女、照井亜樹子─鳴海亜樹子って言った方が分かりやすいか─はその手に緑色のスリッパを構えながら、俺に詰め寄ってきた。

「翔太郎くん!お客様だよ!寝てる場合じゃないの!」

「客ぅ?依頼人のことかぁ?」

「そう。人探しだって!」

亜樹子の後ろを顔を逸らして見ると、確かに奥にある入口のところに女性が1人立っていた。

「おい亜樹子ぉ!何依頼人立たせてんだよ!すみませんね、さ、ソファに座ってください。今コーヒーでも淹れますよ」

マナーのなってない対応をしていた亜樹子を叱りつけ、依頼人の方を席につかせる。

「まーた翔太郎くんのハーフボイルドが始まったよ」なんて亜樹子の愚痴が聞こえた気がするが無視した。

 

「それで、依頼と言うのはなんだ?」

依頼人の向かいに座り、淹れたコーヒーを差し出しながら俺は本題に入った。

依頼人はしかしコーヒーには手もつけず、少し逡巡すると話を切り出した。

「実は…彼が、一週間行方不明なんです…」

話を纏めると、依頼人の名前は逢坂紀香さん。今回の探し人である高田満さんと交際をしていたらしい。

しかしその高田さんが一週間前から行方不明、連絡を取ろうとしても音沙汰のひとつもない、とのことだった。

「私…心配で…彼に何かがあったんじゃないかって…!」

逢坂さんは涙を隠すように手で顔を覆いながら、肩を震わせてそう言っていた。

「安心しな、逢坂さん。アンタの大事な人は俺が必ず見つけてやるよ」

俺は壁にかけてあった帽子を手に取り、頭に被り、逢坂さんに安心させるように宣言する。

「この街は、俺の庭だからな」

逢坂さんは安心からか涙を流しながら「ありがとうございます」と何度も言ってきた。

まだお礼を言う時でも、涙を流す時でもないぜ。

さぁ、捜索開始だ。

─そう意気込んで街に繰り出した時、俺には何故か、笛の音がどこからか聞こえた気がしたんだ。

 

これは、平和になったこの街で俺たちを襲った、それはとても奇っ怪な事件の記録だ。

 

 

─Squad of Nexus Guardians、通称S.O.N.G.本部

 

ビー!ビー!ビー!

S.O.N.G.本部内にけたたましい警告音が鳴り響く。

すぐさまオペレーターの藤尭と友里の2名が詳細を調べる。

「このアラーム反応は…間違いありません!」

藤尭が叫び、友里が画面にアラームの原因を映し出す。

その画面には『Gallarhorn』の文字が大きく表示された。

「ギャラルホルン…だとぉ!?」

S.O.N.G.司令である風鳴弦十郎はその結果に大仰に驚くと、すぐさま装者達への集合連絡をかけるのであった。

 

暫くして、急いで来たのだろう、息を切らしてS.O.N.G.の装者達─立花響、風鳴翼、雪音クリス、暁切歌、月読調、マリア・カデンツァヴナ・イヴ─が集合した。

「師匠!緊急事態ってなんですか!?」

息を切らしながらも、しかし元気に響が本題を切り出した。

それに対して弦十郎は苦い顔をして伝える。

「結論から言おう、ギャラルホルンがアラームを発した」

「ギャラルホルンが!?」

「ってことは、また別の世界と繋がってるってわけか?」

マリアが驚き、クリスが要約する。

ギャラルホルン、それはS.O.N.G.が保管している完全聖遺物であり、平行世界との行き来を可能とする力を有している。

これまでにも幾度かアラームは鳴り、その都度別の平行世界へと向かい問題の解決に当たっていた。

「そういう事だ」

「つまりは叔父様、再び我々の中から数名を選出し、平行世界へと問題の解決に当たれ、と言うことでよろしいのですね?」

翼が今回の召集の意図を纏め伝えると、弦十郎は「あぁ」と頷いた。

「また別の世界デスか!私が行きたいデース!」

「私も私も!師匠!行きたいです!」

「お前らなぁ…遠足じゃねぇんだぞ?」

我先にと手を上げる切歌と響。そしてそれを窘めるクリス。

「わかってるよクリスちゃーん」

「デース!」

「どーだか」

「ではクリスくんも一緒に行けばどうだろうか」

クリスが2人の反応に半ば呆れていると、弦十郎がそんなことを言い出した。

「はぁ!?アタシがぁ!?」

「うむ、それは良い考えだな。雪音が着いていれば立花達も安心だろう」

「そうね、こっちに出現が予測されるノイズは私たちに任せて、3人で行ってきなさい」

「クリス先輩、切ちゃんをよろしくお願いします」

クリスの反論を待つより早くその意見に賛同する翼、マリア、調の3人。

「おっ、おい!おめーら!何アタシにこのバカどものお守りを押し付けようとしてんだよ!」

「まーまーいいじゃんクリスちゃん!行こーよ!」

「デスよ!クリス先輩がいれば百人力デース!」

「おいバカ!離れろって!わぁーったよ!アタシも行けばいいんだろ!?」

「わーい!」

「デース!」

なおも不満を示すクリスの両端から響と切歌の両名が抱きつき、ついにクリスは諦めた。

「では、響くん、切歌くん、クリスくんの3名はギャラルホルンで問題解決に当たってくれ。翼、マリアくん、調くんは出現が予測されるノイズの対処に当たってくれ!」

『了解!』

弦十郎の指揮に応える6人。

「今度は一体どんな世界なんデスかね?」

「案外こことは全然違ったりしてな」

「大丈夫!」

切歌とクリスの会話に、断言するように響が告げる。

「どんな世界だろうと、私たちならへいき、へっちゃらだよ!」

 

 

─こうして、風と歌が混ざり合う事件が始まる。




響「ギャラルホルンのアラートが鳴ったから別世界へ出発だー!って何ここ!リディアンもないし月も欠けてない!それに翼さんもマリアさんもいない!?これまでともぜんっぜん違う世界みたいたけど、ここは風がなんかいいね!と言うわけで探検だー!」


次回、仮面ライダーW!
「ちっ、なんでこんな所にドーパントが!」
『これは…超高温?』
「こっちに来んな!逃げろ!」
『Balwisyall nescell gungnir tron…』
「これは…歌?」
これで決まりだ。

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