仮面ライダーW×戦姫絶唱シンフォギア 風が歌になって   作:クロ562

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さんざ遅れてすみません!!!!
中々に難産になってしまいました…。

そして感想の方、いつもありがとうございます!返信が思いつかないので出来てませんが、いつも楽しく読ませていただいています!


加速するA/全てを振り切る弾丸

─風都市内

「メモリが反応しない…だと!?」

「デース!何回やってもだめデス!」

後輩はメモリをカチカチと押すが、しかしメモリはうんともすんとも鳴らなかった。

「なんで!なんで起動しないんデスか!」

「おい!何をしている!」

アタシ達がまごついていると、先に戦闘をしていた刑事が叫ぶ。

「っ…今メモリが使えねぇんなら、共闘で無理やり押し切るしかねぇ!行くぞ!」

「は、はいデス!」

そんなやり取りの後、アタシと後輩はノイズドーパントへと突っ込んで行った。

刑事を見やると、大振りな剣を構えているのが見える。それを見てアタシは刑事と後輩に作戦を提案した。

「おい!まずはアタシがブッパで隙を作る!そこをお前らで攻めろ!」

「了解デース!」

「いいだろう!」

アタシの提案に後輩と刑事が賛同する。

しかし、あの刑事が素直に賛同するのはちょっと意外だったかもな。俺に提案するな!くらい言ってきそうだと思ったのだが、案外マトモなやつなのかもしれない。

気を取り直して、アタシ達はノイズドーパントへと向き合い、構える。

「喰らいな!」

最初はアタシの弾丸の掃射でノイズドーパントを数歩後ずらせる。そこにタイミングを合わせて後輩と刑事が突っ込み、剣と鎌で切りかかる。

後輩がそういう連携に慣れてるってのもあるが、あの刑事も中々に行きの合わせ方が上手かった。探偵ヤロー達と共闘しているからだろうか。

しかしそんな連携攻撃も、ノイズドーパントへは致命傷とならず、反撃をしてきた。

当然2人は後ろへと飛び下がったが─しかし、これは中々に難戦となりそうだった。

 

※S.O.N.G.本部、休憩室

「ところで、左さんさっきフィリップさんに青いメモリ渡してましたよね?」

休憩室で響と話していると、響は突然そんなことを聞いてきた。

「あぁ、トリガー…銃のメモリを渡したな」

「あれってクリスちゃんに適合しそうだと私思ったんですけど、渡さなかったんですか?」

「あいつにはトリガーメモリより相応しいメモリがあるさ」

「相応しいメモリ?」

響は不思議そうな顔で聞いてくる。しかし俺にはある種の確信があったのだ。

きっとアイツなら、あのメモリこそ相応しいのだろうと。

「うーん?クリスちゃんに銃以外に相応しいメモリかー。どんなんなんだろー?」

むむむ…と首を傾げる響。

だがまぁ、アイツが戻ってきたらきっと納得するだろうぜ。

などと考えていた時、S.O.N.G.本部にアラームが鳴り響いた。

「すまない、ノイズドーパントの反応だ。装者、及び仮面ライダー諸君はただちに発令室に集合してくれ」

「っと、響、行く…ぞ?」

俺が急いで立ち上がって響の方を見ると、しかし彼女は既に走り去ったあとであった。

……早くね?

 

※風都市内

「くっ…」

「かったい!デース!」

「ちょっせぇ!」

戦闘開始から数分が経過したが、状況はと言えば、まるで好転していなかった。むしろ空転、空回りをしているような、砂を噛んでいるような噛み合わせの悪さを感じていた。

「くっそ…どうすりゃいいんだ…まるでダメージが通っちゃいねぇ!」

「これじゃこっちのスタミナ切れが先デース!」

「こうなればマキシマムで…!」

刑事はそう呟くと大振りの剣を持ち手の少し先の所で折り曲げ、そこにどこからか取り出した白いメモリを差し込む。

 

【Engine!maximum drive】

 

メモリの音声が鳴り、剣からエネルギーが迸るのを感じる。

「よしっ、お前もアレにあわせろ!援護はアタシがする!」

「了解!デース!」

後輩はアタシの呼び掛けに応じ、大きく飛び上がると鎌を構える。

「ちょっせぇ!」

それに対してカウンターを試みようとするノイズドーパントへ、銃撃をぶち込みバランスを崩す。

「はぁぁあ!!!」

そして刑事は掛け声と共に大きく剣を振り上げ、そして後輩も鎌を振り下ろす。

確かあれはジュリエット…正しくは呪りeッtぉだったか。

それとエンジンの力が合わさるあの技は名付けるなら─

 

『炎・呪りeッtぉ』

 

激しい衝撃が空気を揺らし、激しい土煙が巻き起こる。

果たして土煙が晴れた中から現れたのは─。

 

しかして、まるで無事なノイズドーパントだった。

「おいおい…確かに直撃したハズだぞ…」

「ちょっとインチキすぎるデスよ…」

アタシも後輩も、既に息を切らしている。全力どころか全力の二乗の力は使ったと言うのにも関わらずのノーダメージなのだ。悪態の一つもつきたくなるというものだ。

「くっ……まだだ、まだ終わらん!お前らは下がっていろ!」

疲労困憊にも達しようかというアタシ達の中で、しかし刑事は剣を支えに再び立ち上がる。

「おい!お前だって限界だろ!まだアタシは余裕があっから、お前と後輩が下がって体勢を立て直せ!」

アタシの言葉を聞いてもなお─いや、聞いてもないのかもしれないが─立ち上がろうとする刑事。

「なんだってそこまで意地になってんだよ! 」

「俺に…質問を…するなぁ!」

アタシのつい出てしまった質問を一蹴すると、刑事は立ち上がり、剣を構える。

しかし、すでに剣先は定まっておらず、足元もフラフラしていた。

それでも、刑事は、照井竜は、強い意志をもって立ち上がり、自らを鼓舞するように叫ぶ。

「市民は…この街は俺が守る!」

「……!」

そうか、この男は、この戦士は、この戦士も。

あの探偵達と同じく、「この街」が好きでたまらないのか。

その叫びを、慟哭を聞いて、アタシは─

 

「……、何をしている。下がれと言ったはずだぞ」

アタシは、照井竜の横に立ち並んだ。

「後輩、お前はもしもの時の切り札だ。そこで休憩してな」

「クリス先輩…」

「なぁに、今はアタシに先輩風吹かせてくれよ。アタシがやばい時は、お前に助けてもらうさ」

後輩にそう告げると、アタシはノイズドーパントへ向き直る。

「お前も下がっていろ。ヤツは俺が倒す」

「なぁに、アタシにも、アンタと同じく意地ってのがあるのさ。後輩の前で情けないカッコ、これ以上出来ねぇっていうな」

「…ふん」

照井竜はただ一つ息を吐くと、剣を構える。

その姿に先程までのブレはなく、芯が通っていた。

そう、アタシにだって意地がある。既にもう1人の後輩の前や、あのバカの前、なんなら今アタシの後ろにいる後輩の前で散々醜態を晒しちまった。

ならもう晒せねぇ。アタシにだって、先輩としての意地があんだよ!

 

と、その時だった。

照井竜のベルトから赤いメモリが独りでに抜けたのだ。

しかし、変身は解除されてなかった。

「何っ…!?」

驚く照井竜を尻目に、アタシの手に赤いメモリはすっぽりと収まった。

そうか。あの探偵ヤローは、だからアタシにトリガーのメモリを渡さなかったのか─!

アタシはメモリを構え、スイッチを押す。

 

【Accel!】

 

起動されたアクセルメモリはアタシの手を離れ、マイクユニットへと吸い込まれていく。

そして、アタシの頭上にピストン運動を繰り返すサークルが現れ、一気にアタシの体を通過するように下へと落ちる。

そして落ちきったサークルが消えるとそこには、アタシのギアの姿は大きく変わっていた。

全身の鎧はゴツくなり、足首にはタイヤのようなモノがくっついていた。

顔には青いバイザーがつき、頭部の形状も変わっているようだ。

そして何よりも、全身からとんでもないパワーが湧き上がるのを感じた。

 

なるほどな、こいつがアタシのメモリギアか。

今ならなんだって守れる気がしてくらぁ!

「さぁ、振り切らせてもらうぜ!」

アタシはノイズドーパントへ、いや、この世の全てに対してそう叫ぶと、ノイズドーパントへの距離を一気に詰めた。

これがアクセルメモリの力、加速の力。今のアタシが抜けねぇものはない!

「ちょっせぇ!」

そのままノイズドーパントへと銃を構えたまま大きくアッパーブローをしかける。攻撃があたる瞬間、銃の引き金を引くことで残弾数分の火力をぶつける。

やはりメモリギアならば有効打を与えれるようで、先程までの苦戦が嘘のようにノイズドーパントはダメージを受けた。

「それが左の言っていた力か」

今度はアタシの隣に照井竜が並ぶ。

「一気にカタをつけるぞ」

照井竜は、信号機のようなものがついたメモリを取り出しながらそうアタシに言ってきた。

「おうともさ!遅れんじゃねぇぞ!」

「そのつもりは毛頭ない。全て…振り切るぜ!」

照井竜はメモリを起動し、ベルトへ差し込む。

 

【Trial!】

 

すると照井竜の体が赤から黄色へ、そして黄色から青へと変わる。

「出し惜しみはしねぇ!全部のせをくれてやる!ちゃんと避けろよ?」

アタシは現在出せる全ての兵装を取り出し、最大火力を持って全てを高速で打ち出す。

MEGA DETH PARTYを元に、更に強化したこの技は言うなれば─!

 

『GIGA DETH PARTY』

 

「俺に質問をするなぁ!」

そして照井竜はメモリを抜き取り、宙へと投げると、アタシの弾丸の雨をすり抜けながらノイズドーパントへと近寄り、凄まじいまでの蹴りの連打を浴びせる。

蹴りの雨と弾丸の雨、2つの雨をこれでもかと喰らいきったノイズドーパントは。

「─9.8秒、それがお前の絶望までのタイムだ」

【Trial!maximum drive】

照井竜のその宣告と共に、木っ端微塵に爆発したのだった。




切歌「デデース!あたしだけなんでかずっとおいてけぼりデース!これは待遇なんちゃらを求めるデース!え?マリアもおいてけぼり?なら先にマリアデース!」

次回、仮面ライダーW
「なんだよこれは…」
「敵は強大、数は無数」
「常識で考えるならまず無理というべきだろうが…」
「無理難題をいつだって、打ち破る言葉はただ一つ!」

これで決まりだ。

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