仮面ライダーW×戦姫絶唱シンフォギア 風が歌になって   作:クロ562

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前回のナスカメモリの設定、思ったよりも受け入れられたみたいで嬉しかったです。感想ありがとうございます!


Wを超えて/向こう側の世界

─風都市内、とある公園

「ここです、ここ!」

俺とフィリップはノイズドーパントを無事倒した後、立花響によって風都の中でも人の寄らない小さな公園に連れていかれた。そこでは、巨大な空間の裂け目が開かれていた。

「おいおい、この前見た時にはこんなもんなかったぞ…?」

「彼女たちの聖遺物に反応をして空間が歪曲しているのか…?興味深い。ゾクゾクするねぇ」

「しかしよぉ、ギャラルホルンのゲートを通るには聖遺物を纏ってないといけないんだぜ?こいつら持ってないじゃねーか。どうすんだよ」

「あっ」

「デース!」

「今あって言ったか!あって言ったよな!?このバカ!考え無しか!それにお前も、少しは気づけ!このバカコンビ!」

「あっはは…どうしよっか?」

「困ったデース…」

「おいおい、どーすんだよ…」

…これは、いきなり前途多難だな。

 

─風都市内、風都タワー前

時間は少し前に遡る。

「だったら私たちの世界に来ますか?」

ノイズドーパントを倒したものの、得られた情報の少なさにやきもきする俺たちに、立花響はそんなことを言ってきた。

「行けるのか…俺たちが?」

「はい!行き来は出来ますよ!じゃないと私たちも帰れないですし!」

『確かに、彼女たちが移動できるのなら、ボクたちが移動することも不可能ではないはず…』

「たしかになぁ……っとそうだ。おい立花!メモリ返せメモリ!」

「あ!そっか!ギアに吸収されちゃってるんだ!うわー、どうやって返せばー!?」

「嘘だろおい…」

「おいバカ。とりあえずギアを解除してみたらどうだ?」

「そうデスよ!案外コロッと落ちるかもしれないデス!」

メモリの排出方法がわからずに慌てる立花響に、既にシンフォギアを解除したらしい2人がそう提案し、立花響が解除すると、なるほど確かにヒートメモリはアクセサリとは別に立花響の手に出現した。

「良かったぁー!もし中に混ざっちゃったらまーた未来に助けてもらうとこだったよー」

「お前、あの時みてーなことが起きてたって自覚してたのにそんな軽かったのかよ…」

「今の聞いたら未来さんもさすがに怒るんじゃないデスかね…」

「まーまー!はい!左さんどーぞ!」

なんだかよくわからないことを3人で喋ると、俺たちにヒートメモリを返してきた。

「おう、じゃあ本題だ。お前たちの世界に案内してもらうとすっか」

「りょーかいです!」

こうして俺たちは変身をとき、フィリップは予め場所を聞き、そこで落ち合うこととなった。

 

「うわー!どうしよう!これまでってみーんな装者だったからうっかりしてたー!」

「そんなこったろうと思ったぜ…まぁ、ここまで聞こうとしなかったアタシも悪いんだけどな」

「私も気づかなかったデース…」

「おいおい…こりゃどーすんだ?俺たちは行けねぇってことかよ?ここまで来てそりゃねぇぞ?」

「うーん…聖遺物を身にまとっていれば行けるんですけど…どーすればー!?」

立花響が頭を抱えて唸る。聖遺物か…こっちにゃそんな都合のいいもの…なんて…?

「おいフィリップ!」

「あぁ、翔太郎、。これのことだね?」

ふと思いつき、フィリップへ顔を向けるとフィリップも気がついたようで、手にナスカのメモリを持っていた。

「このナスカメモリは先程の戦いでノイズドーパントにダメージが通せたことから、先史文明期の遺産…所謂、君たちが言うところの聖遺物の条件を満たしていると見て良さそうだ」

「つまりナスカジョーカーなら入れるってことじゃねえか?」

「はっ!それだー!それですよ左さん!フィリップさん!」

「いや、立花響、それに翔太郎。行くのはボクとそこの銀髪の子だけが良いだろう」

「はぁ?どうしたんだよフィリップ、1番ちっこいやつを選ぶなんて、ロリコンにでも目覚めたか?」

「おい、どー言う意味だそこの帽子ヤロー」

「おっとすまねぇ」

「あ!そっか、紹介してなかった!えっとですね、銀髪のちっちゃくて可愛い子がクリスちゃんで、黄色い髪の可愛い子が切歌ちゃんです!」

「こらバカ!勝手に紹介とかすんじゃねぇ!……どーも、雪音クリスだ」

「暁切歌デース!よろしくデース!」

立花響が説明した銀髪と黄色い髪の少女─雪音クリスと暁切歌は、片方はやけくそ気味に、もう片方は立花響を思わせるような元気ハツラツ気味に、それぞれ自己紹介をしてくれた。

「おう、俺は左翔太郎。ハードボイルドな探偵だ。こいつはフィリップ、俺の相棒さ」

「よろしくね、立花響に暁切歌、それと、雪音クリスちゃん」

「なんでアタシだけちゃん付けなんだよ!アタシはこんなかで1番年上なんだからな!?」

「何!?」

「なんだって!?」

「そんなに意外かよ…てめぇら風穴開けてやろうか!」

「うおっと!悪かったよ!……で?フィリップ、なんだってお前と雪音だけとか言い出した?」

「理由としては至極簡単さ、さっき倒したノイズドーパントがまた現れるかもしれない。先程は変身者はいないかもと言ったが、万が一にも逃げ出した可能性も、そもそも複数体いる可能性もある。翔太郎なら情報から現場へ向かうのは容易いし、現状ノイズドーパントへ対抗できるのはナスカの力と立花響しかいない。そしてナスカはボクが並行世界へ渡るために使用する。となるとノイズドーパントと交戦できる戦力は足止めに照井竜と暁切歌、そしてダメージを与えるために立花響が必要、ということさ」

「なぁるほどな…しょうがねぇ、代わりに情報、しっかり掴んでこいよ、相棒」

「当然さ、君こそボクがいない間にこの街をよろしく、相棒」

「おう!」

そもそも、俺にはまだ人探しの依頼もある。今回の事件について、照井に話しておくついでにその辺も探っておかないとな。

「さて、じゃあ行こうか、クリスちゃん」

「だからちゃん付けすんじゃねー!しかもアタシだけなんか馴れ馴れしくねぇか!?……ったく」

怒鳴りながらも雪音クリスは胸のペンダントを構える。フィリップもまた、ダブルドライバーによく似た一人用の変身ツール、ロストドライバーを腰に構える。

『Killter Ichaival tron…』

【Nasca!】

「変身」

こうして、ギアを纏った雪音クリスと、ナスカメモリで変身できたフィリップ─仮面ライダーナスカってところか?それともあくまでもフィリップの単独変身をサイクロンと呼称して、ナスカフォームか?─は、無事、並行世界へのゲートをくぐり抜けることが出来た。

「さーて、俺たちは俺たちのやれることをやるか!事務所戻るぞ、立花、暁」

「はーい!」

「了解デース!」

……なんだか、頭の悪い返事が二つほど来て、ひょっとしてあの子が一番マシだからフィリップは選んだのか?と思ったのだった。

 

─S.O.N.G.本部、ギャラルホルン前

無事にゲートをくぐり、アタシたちの世界へと戻ることが出来た。ギアを解除しながら隣を見ると、さっきの水色ヤローもちゃんといて、こいつの仮説が正しかったことが証明された。

「クリスくん、戻ってきたのかね?む、そいつは…!?」

アタシが帰還したことでギャラルホルン前までおっさん─風鳴弦十郎─がやってきた。そしてアタシの隣の水色ヤローを見ると、警戒心を顕に戦闘態勢をとる。

まぁ、アタシでも多分そうする。こいつ見るからに怪しいしな。

と、警戒されてることをわかったのか、水色ヤローは腰元のツールを縦に直し、メモリを抜いて人型に戻った。いや、まぁ元から人型ではあったけど…ややこしいな。

と、こいつは両手を上げて

「警戒させてすまない。ボクは向こうの世界で彼女たちと協力関係にあるものだ。少なくとも敵ではないよ」

と弁明した。

「それは本当か、クリスくん」

「あぁ、こいつらのおかげで向こうに出たよくわかんねーノイズを倒せた。こいつは味方だよ」

「よくわからないノイズだと?」

「それについてはボクから話をしたい。この中でノイズや、彼女たちのシンフォギアシステムについて1番詳しい人を呼んで欲しい」

ノイズやシンフォギアシステムに詳しい……ってなるとエルフナインだろうか。こんなやつの前にエルフナインを出すのはちょっと不安じゃねーか?

おっさんもその考えが頭によぎったようで、しばし苦い顔をしたが、しかし今は情報が欲しいってのはこっちも同じと

「…わかった。それに、ここでは話すには向いていない。司令室に来てもらおう」

と、言った。

「ありがたい。しかしこれがギャラルホルン…聖遺物か。それにこの部屋だけでもボクたちの世界からすれば未知の技術で溢れている。ゾクゾクするねぇ」

「アタシからすればアンタの変身した姿や技術の方が未知の技術だよ」

 

※S.O.N.G.本部、司令室

「なるほど、地球の記憶を収めたガイアメモリにその力を人体に宿すドーパント、その毒素を極限まで抑えたダブル…確かにボクたちの世界とは大きく技術体型が乖離しているようです、ぜひ解析したいのですが…」

「先史文明期に起きたバラルの呪詛、錬金術、人を殺す為に作られたノイズに、バビロニアの宝物庫…そしてノイズに対抗する為に聖遺物の欠片より作られたシンフォギアシステム…ボクたちの世界とは歴史からして異なっていると言ってもいい、ゾクゾクするねぇ…是非検索したい」

数刻後、そこにはお互いの情報を得て、様々な仮説や考察を交えて会話を続ける研究者と探偵の姿があった。

「フィリップさん!どうかガイアメモリを1つ、貸していただけませんか?必ずお返しします!」

「構わないとも。代わりにこちらにも1つ、シンフォギアシステムを調べさせてくれないかな?」

「わかりました!クリスさん!すみませんがイチイバルを貸していただけませんか?」

……なんか気づいたらアタシのイチイバルがあの探偵に貸されることになってた。

「はぁ!?まぁ、いいけどよ…壊すんじゃねぇぞ?」

「安心したまえ、少し解析するだけさ……あとは、そうだね、少し開けた場所なんかはないかな?」

「ありますけど…なぜですか?」

「ちょっとばかり検索をしたくてね」

「検索…ですか」

「あぁ、ひょっとするとこの世界でなら、地球の本棚の内容も変わっているんじゃないか、とね 」

「地球の本棚ですか?」

「まぁ、ボクのちょっとした特技みたいなものさ。じゃあ、ちょっと場所を借りるよ」

「は、はぁ…」

「これが並行世界……ゾクゾクするねぇ…」

…この瞬間、アタシの中で、こいつの呼び方が「検索バカ」に変わったのであった。




クリス「まったく、あの検索バカはアタシのことだけちゃん付けで呼ぶわ変な姿に変わるわ、しまいにゃアタシのギアを調べたいだとちょせぇことばかり言いやがる!エルフナインも意気投合してるし。…アタシのギア、無事に返ってくるのか?」

次回、仮面ライダーW
「うわー!美味しい!すっごい美味しいですよこれ!」
「お前…良い奴じゃねぇか!」
「なんでまたノイズドーパントが出てるデス!?」
「この街は、とてもいい風が吹くんだよ」
「『なんじゃこりゃぁぁあ!!!???』」
これで決まりだ。


※私事により次回更新は少し遅れます。申し訳ございません。

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