仮面ライダーW×戦姫絶唱シンフォギア 風が歌になって 作:クロ562
この話を書き終わったあと、XV2話を見てちょっと精神的にまいってます。
次回は遅くなります……すみません……
─風都市内、風麺
「うわー!美味しい!すっごい美味しいですよこれ!」
「デスデース!ナルトが大きいのも最高デース!」
「はっはっは、だろ?ここのラーメンはうめえんだよ!俺の奢りだ!食え食え!」
「はい!ありがとうございます!」
「太っ腹デース!」
さて、なんで俺たちが風麺で食事をしているのかといえば、その話は少し前にまで遡る……ことはなく、単にあの後立花響と暁切歌の両名が「お腹がすいた」と言うので、この街の名物料理である風麺へと連れてきた、という次第である。
「ふぅー、美味しかったぁー!ありがとうございます左さん!」
「ごちそうさまデス!」
「…………おう」
ちなみに、立花響の奴がラーメンを三杯も食べたので、俺の財布が予想より軽くなったのは、また別の話だ。
※
─風都市内
「左さん!なんか、あちこちに風車がありますねー」
「そう言えばさっきのノイズと戦う時も、でっかい風車があったデスよね」
腹ごなし兼探し人の捜索にて街を歩いていると、立花響と暁切歌は街のあちこちにある風車が気になったようだった。
「あぁ、この街はよく風が吹くから、風力発電をメインにしてるんだ」
俺が説明するや、爽やかな風が吹き、風車を回す。
「うわぁ…!なんて言うか、いい風ですね!」
「なんだか気持ちいいデス!」
「そう、この街はとてもいい風が吹くんだよ。だから、俺はこの街では誰にも泣いて欲しくないんだ」
「それが左さんの戦う理由、ですか?」
「あぁ、この街で困っている人がいれば、俺は必ず助けてやりてぇ。だから探偵をやってるのさ」
「私もです!」
「立花もか?」
「あーいえ、私はただの趣味なんですけど、もし周りで困っている人がいたら、助けてあげたい。人助けは私の本気の趣味なんです!」
いい笑顔でそう言い切る立花響。
「おっまえ…良い奴じゃねぇか!」
感極まって立花響の背中を数回叩くと、立花響は照れくさそうに笑っていた。
なんの見返りもなく人に手を差し伸べられるこいつは、どれだけ優しいのだろう。その上でこんなに真っ直ぐなんだ。きっと、これまで伸ばしてきた手の分だけ、助けられた誰かもこいつに手を伸ばしてくれてるのだろう。
※
「そういえば、ダブルってどうなってるんデスか?正直フィリップさんと左さんがひとつになってると言われてもピンと来ないデス」
歩いていると、暁切歌がそんなことを切り出した。
「うーん、そうだな…俺も詳しい理屈まではわかってねーんだが」と胸元からジョーカーメモリを取り出しながら話す。
「このガイアメモリには地球の記憶ってやつが込められていて、俺が使っているこのドライバーには、片方の意識をメモリごともう片方に転送する機能がある。それを読み込むことでフィリップの意識と俺の意識をひとつの体─つまりはダブルだな─に統合させて変質させている…んだと思うぜ」
「なんかあやふやな言い方デス」
「詳しい理屈はフィリップにしかわかんねーさ。俺としては街を守れればいいんだからな」
「そんなもんデスか」
「おう、そんなもんさ」
そう、力の理屈なんかよりそれをどう使うかが大事なんだ。
俺は、この力をこの街のために使いたい。結局はそれが全てだ。
「……っ、左さん、切歌ちゃん!」
と、立花響が俺たちを制した。
何かと思ったが、前を見てわかった。
「■□□□■□■■■!!!」
先程きっちり倒したハズのノイズドーパントが、俺たちの行く手を遮っていた。
※
「ななな、なんでまたノイズドーパントが出てきてるデース!?響さんたちが倒したはずデス!」
暁切歌が動揺するのも無理はない。だが、俺はもしかして、と言う予感があった為、そこまで驚いてはいなかった。立花響を見やると、どうやら彼女も同じだったようだ。
「1回目の時も、2回目の時も、確かに手応えはあった」
「だけど、実際にこうして現れてるってことは、多分」
「あぁ、こいつらは複数体存在してるってことだ…」
さて、どうしたものか。ロストドライバーはフィリップに託しちまっているし、また立花響にメモリを使ってもらうしか……って!
「しまったぁ!フィリップの野郎、ヒートメモリ持ってっちまってるじゃあねぇかよ!」
「はっ!!そうでした!」
「しまったデース!?」
なんて初歩的なミスをしちまったんだ、サイクロン、ヒート、ルナのメモリはアイツが持っていっちまっている。更にいえばノイズドーパントに単体で対抗できるナスカメモリもだ。
果たして立花響は俺のメモリでも上手く適応出来るだろうか…いや、直感だが怪しい。あの時ヒートを立花響が選んだのは惹かれあったからだ。トリガーメモリを取りに行かなかった以上、ジョーカーやメタルも怪しい。
「くっ…イチバチだが、こいつが並行世界ってやつでも繋げられるか勝負ってところか…!」
ダブルドライバーを取り出し、腰にまきつける。
「おいフィリップ!聞こえるか!フィリップ!」
ドライバーを通してフィリップに呼びかけるが返事はない…くそ、絶体絶命ってヤツか…と思った時、頭の中に声が響いてきた。
『えっ、なになに!?なんで左さんの声が頭の中に!?というか腰になんか巻きついた!?』
「この声…まさか!?」
後ろを振り返り、立花響の方を見ると、なんと彼女の腰にはダブルドライバーが巻き付けられていた。
「あ、あの…なんか巻きついたんですけど…って、あ、あれ!?」
困惑する立花響を、更に困惑させるかのように彼女の胸のペンダントが光り輝き、その姿を変えていく。
やがて光が収まると、そこにあったのは
「こ、これって……」
「「ガイアメモリぃ!?」」
彼女の手には、ペンダントが変化したオレンジのメモリが握られていた。
「な、ななななにこれー!?」
【Gungnir!】
「って、私の声ー!?」
慌てた彼女はそのまま勢いでメモリを起動させてしまい、何故か彼女の声でガイアウィスパーが流れた。
しかも、ガングニールって……まさか。
「おい立花!いや響ぃ!」
「はいぃ!?」
「そのメモリを右側に差し込め!」
「え、ええ!?」
「早くしろ!」
「はい!!」
立花響は俺に怒鳴られるままにメモリをドライバーへ差し込む。しかし、ドライバーへの転送は行われない…となると!
「おい響!今から多分そっちのベルトの左側にメモリが行く!押し込んで開け!いいな!あと切歌ぁ!俺の肉体頼んだ!」
「はい!ってえぇ!?」
「デース!!?」
困惑しっぱなしの2人を無視して、ジョーカーメモリを差し込む。すると俺の意識は薄くなっていき、転送が始まったのを感じた。
※
ベルトに黒いメモリを差し込んだと同時、左さんはいきなり地面に倒れた。
「切歌ちゃん!」
「デデース!?」
地面と激突する前に、間一髪切歌ちゃんが抱えてくれたので助かったけど、つまりはさっき言ってたのはそのまんまってことで……と考えてると私のベルトに黒いメモリが現れた。
「わっ、ほんとに来たよ……えっと、こうして、こう!」
左さんがやってたように黒いメモリを押し込み、思い切り展開する。
【Gungnir!Joker!】
ベルトから─正確にはベルトに刺さったメモリから音声がなったかと思うと、下から私を包むように風が吹き荒れた。
「わっ、わわわー!!!???」
「響さーん!?」
やがてすぐに風は収まると、私の姿は大きく変わっていた。
なんて言うか、ギアを纏ってる時に近いけど、装備やスーツ、果ては髪の毛までが左が黒、右がオレンジになっていた。
と、頭の中に声が聞こえてきた。
『なんとか成功したな…』
「えっ、その声、左さん!?えっ、でも体はあっちで、気絶してるし…まさか!?」
『あぁ、そのまさかだ。俺の意識がお前の肉体に宿ってダブルになってんだ。ガングニールジョーカーってとこか』
「え、ええー!?」
ホントに左さんと一緒になってるの!?なんて言うか、凄い感じたことの無い一体感だよー!?
『安心しろ、俺は基本なにもしねぇよ。少女に戦わせるのは気が引けるが、緊急事態だ。腹括ってもらうぜ、響』
「左さん、そう言えばさっきから私たちのこと名前で…」
名前を知ってからこっち、ずっと苗字で呼んでたのに、私にベルトが巻きついた時から、名前で呼ぶようになっていた。
『さっきまでは協力者、だったが俺が守るって思ってたからな。だが、俺一人じゃどうしようもねぇ。お前たちにも戦ってもらうしかねぇ。なら、一人前の仲間として、敬意ははらうさ』
「左さん…!」
『行くぞ、響!』
「はい!」
私たちは一つ息をすると、ノイズドーパントへ向かって飛び出し
「たぁぁああ!!!!」
思い切り鉄拳をぶちかました。
「■■■□■!!??!」
ノイズドーパントは大きくよろめく。
『こいつ、さっきまでのヤツらとは違ってかなり弱いみてぇだな。一気に叩くぞ!』
「了解しました!行きます!」
右、右、左、右、左。
勢いよく連打をかましていく。
その度にノイズドーパントは大きくダメージを受けるみたいで、動きがみるみる遅くなっていった。
『よし、メモリブレイクだ。ジョーカーメモリをベルトの右側の黒いスロットに入れろ!』
「はい!」
左さんの指示に従い、メモリを黒いスロットへ入れ替える。
【Joker!maximum drive】
『技名は…決めたぜ、ジョーカーピアースだ。呼吸を合わせて行くぞ』
「えっ、あっ!はい!ジョーカーピアーズですね!」
いきなり技名を付け始めた左さんに少し戸惑うも、呼吸を合わせるための掛け声だとすぐにわかり、息を整える。
左腕のアーム部分がいつものように変形し、ドリルのように回転する。
呼吸を合わせて…
『今だ!』
「『ジョーカーピアース!』」
腕を振りかぶりながら突進し、思い切りノイズドーパントへドリルで殴り、突き抜けた。
「□□□■□……!!!」
直後、ノイズドーパントは思い切り爆発し、私たちは変身を解いた。
※
─風都市内、鳴海探偵事務所
「まさか、あんなことが起きるなんてな」
「びっくりでしたよー」
「1番びっくりだったのは多分、横から見てた私デース…」
「あはは、それもそうかもね」
ノイズドーパントを倒した俺たちは、事務所へと戻り休息をとっていた。
急場とはいえダブルに変身─しかもあんなイレギュラーな形状に、だ─したのだ。流石に休ませないと不安も出てくる。
「でも、あの後すぐにメモリからギアペンダントにもどっちゃったデスね」
「うん、あのベルトも消えちゃったし」
そう、あの後。変身を解除した直後に響のメモリはペンダントの形に戻り、腰のダブルドライバーもその姿を消した。
その後何度か装着し直したが、同じ現象は起こらなかったのだ。
「まさに奇跡のダブル、ってところか」
「その言い方かっこいいデスね!」
「お、切歌、お前もわかるか。このセンス!」
「はいデス!」
「お前は見どころあるぞ!」
「やったデス!探偵もカッコいいデスし、目指すのもありデス!」
とまぁ、考えても分からなかった俺たちは、そんな何気ない会話をしていた。
何か、大事なことを忘れている気もするのだが……。と、その時玄関から勢いよく亜樹子がやってきた。
「翔太郎くーん?女の子と仲良くするのはいいけど!人探し!少しは進んだの!?」
「ああーー!!!!やべぇ!忘れてたぁ!」
俺としたことが、なんて失態だよ…。
「なるほど、これがフィリップさんが言ってた」
「ハーフボイルド、デスね!」
響「いやー、左さんの声が頭の中から聞こえて、しかも切歌ちゃんにも聞こえてたみたいでダブルって凄いんだなーってなったよ!あとあと、風麺のラーメン、すっごい美味しかったなぁ。今度は未来と行きたいかも!」
次回、仮面ライダーW
「これが、雪音の言っていたノイズドーパントとやらか!面白い!」
「地球の記憶と先史文明期の力を混ぜることが出来れば!」
「理想的なギアシステムと、ダブルが完成するかもしれない…」
「アタシが守んなきゃいけねぇだろうが!!!」
これで決まりだ。