仮面ライダーW×戦姫絶唱シンフォギア 風が歌になって 作:クロ562
なんとか1週間ほどで更新出来ました。
─市街地
「この翼が巻き起こす風、止められると思うてくれるな!」
私は手に持つ剣を眼前の敵へのかざし、高らかに叫ぶ。
ふとギアを見やると、なるほど月読のように私のギアもまた大きく変化していた。
まずスーツやギアの色。
暁のものとはまた違う、明るさと爽やかさを感じる翠へと。
肩や腕には風を模した装飾が増え、顔の前には月読と同じく赤いバイザーがついており、頭部の形状は特に大きく変化しているようだ。
「いざ参る!はぁー!」
掛け声とともにノイズへと突撃する。
ノイズドーパントの数は相も変わらずに無数に存在していたが、私が剣を振るう度、私を風が包み込み他のノイズドーパントの攻撃を防いでいた。
私は高らかに歌い、更に激しく舞う。
「♪〜はぁっ!」
私を包む風は私が剣を振るう度に大きくなり、更にその勢いを増していく。
それはやがて私を守るつむじではなく、ノイズドーパントを切り裂く為の嵐となる。
その風に乗って空中へ飛び上がり、剣に宿した風を収束させ、一撃の元に敵へ斬撃と変え飛ばす。
これはそう、蒼ノ一閃ならぬ─!
『翠ノ一閃』
「♪〜ふっ!はっ!たぁぁっ!」
翠ノ一閃によって大きく空いたスペースへすかさず着地し、斬撃を浴びせていく。
「あれが翼さんのメモリギア…!」
「流石は翼ね…まるで風だ」
「サイクロンメモリは疾風の記憶を持っている。これくらいの芸当は彼女の実力ならば朝飯前というものさ」
後ろからは少し回復したらしい月読たちの会話が聞こえてくる。
フィリップさんもどうやら無事のようで何よりだ。
「はぁぁあー!!!!」
私は周りに巻き起こっている風を剣へ纏わせ、それを斬撃と共に宙へ放つ。
イメージするは「千ノ落涙」つまりはこの剣、名付けるなれば─!
『千ノ落嵐』
地面へと舞い落ちる無数の風は、嵐となりてノイズドーパント達を切り刻む。
「♪〜せやぁあ!」
すかさず着地し、更にノイズドーパントを切り裂いてゆく。
舞えば舞うほどに風は吹き荒れ、私の体を軽くしてゆく。
「翼さん、私も戦います…!」
と、ダメージから復帰した月読が後ろから援護をしてくれる。
「月読!共にでゆくぞ!」
「はい!」
私は歌を一度中断する。
そして代わりにマイクユニットから流れるは、かつての強敵を相手にした時に共に歌ったユニゾン─!
「♪〜はっ!」
「♪〜えいっ!」
ユニゾンによって私の風は止まることなく更に巻き起こり、月読の鋸と、それを支えるアームはより縦横無尽に舞い踊る。
「これがユニゾン…相乗効果による出力の上昇。実に興味がそそる!」
「この威力は、かつてのイグナイトと同等…いや、それ以上!」
そう。マリアの言う通り、今の出力は以前にイグナイトで月読としたユニゾン以上に上がっている。これがガイアメモリと適合したメモリギアの力─!
いつしかノイズドーパントの数は片手で数え切れそうな程に減っていた。
なれば、ここで片をつける!
「決めるぞ!月読!」
「はい!コンビネーションで!」
掛け声と共に、月読のヨーヨーと私の剣の形を大きく変形し、ドッキングさせる。
更に私の剣を伝って全体に風を螺旋のように纏わせ、突っ切る!
『風月ノ疾双』
私と月読の合体技は残った全てのノイズドーパントを巻き込み、撃破できたのであった。
※
─S.O.N.G.本部、発令室
「翼さん、これがメモリギアの機能を拡張した天羽々斬になります」
本部へ戻り、エルフナインへと天羽々斬を渡してから数刻後、そんな風に改修された天羽々斬を渡された。
「ありがとう。確かに受け取った」
「それに響さんにも、拡張されたガングニールです」
「ありがと!エルフナインちゃん!」
次いで立花へとガングニールを渡すエルフナイン。
そう、私たちがノイズドーパントを撃破した時、フィリップさんからの頼みで向こうへ渡ったクリスから話を聞き、立花とフィリップさんの相棒─左さんがこちらへと来ていた。
「いやー、しかし一々メモリを刺さなくてもあの状態になれるなんて、シンフォギアってやっぱり凄いね!」
「こっちとしても戦闘用のメモリを使わなくていいってのは助かるな。そんでフィリップ、お前の方はどうだ?」
「あぁ、こちらに来てからの知識と、いくつかの戦闘のおかげでボクのメモリは無事に調整が済んだ。後は君のメモリだけだ。貸したまえ」
「左さん、フィリップさんの調整とは?」
「あぁ、ギアに一度メモリの情報が読み込まれたら拡張してメモリ不要になったろ?つまりは俺達のメモリにも─つっても今んとこフィリップのだけだが─シンフォギアの情報があるんだよ。ま、この話をした時はフィリップの憶測でしかなかったがな」
「向こうの世界では情報が足りなかったからね、だからこうしてこちらの世界に来たと言うのもあった。そして事実シンフォギアシステムの拡張が可能だった為、こちらのメモリの機能の拡張もできると思い、こっそり調整を行っていたのさ。結果としてはヒート、ルナ、そして風鳴翼、君がサイクロンと適合したことで上手いことシンフォギアシステムの一部をトレースすることに成功したのさ」
フィリップさんは、ノイズドーパントとの戦いの中、そんなことまでやっていたのか…仕事量に関していえば、エルフナインをも超えるのではないか?
「まぁまだ翔太郎のメモリは適合されていないから、こちらが拡張できるかは不明だが…まぁとりあえずやってみよう」
「あぁ、早めに頼むぜ。とりあえずはトリガーからでいいか」
「ジョーカーではないのかい?まぁ構わない。任せたまえ」
左さんから青いメモリを受け取ると、フィリップさんは研究室へと向かっていった。
エルフナインも未知の技術に惹かれてか、後を着いていくようだ。
「しかし、今向こうにはノイズドーパントを撃退せしめる戦力はない。早くどちらかが戻った方が良いのではないか?」
そう。こちらに左さんと立花が来たということは、向こうには雪音と暁しかいない。2人ともメモリギアへの適合をしておらず、ノイズドーパントが出現した時に苦戦を強いられることになるだろう。
そう思って左さんへ問いかけると
「大丈夫だ。切歌の奴には多分ピッタリのメモリを預けておいたし、それに、風都の仮面ライダーは1人じゃないんだぜ?」
左さんは胸を張ってそう言ってきたので、こちらとしてはそうかと頷く他なかったのであった。
※
─風都市内、警察署前
「すみませんデース!」
アタシ達は別れ際にあの探偵ヤローに言われた通り、風都にある警察署の前に来ていた。
「お嬢さんたちどうしたんだい?」
後輩の元気な挨拶に警察が愛想良く要件を聞いてくる。
「えっとデスね、真っ赤なジャージの警察の人に会いたいのデス!」
と、後輩は探偵ヤローから聞いたままの特徴をそのまま伝えた。
「バカ!そんな抽象的な言い方で通じるか!」
「でもでも、翔太郎さんはそういえば分かるって言ってましたデス!」
「そんなもん信じるなよ!」
「真っ赤な服…あぁ、照井警視か。ちょっと待ってね、呼んでこよう」
「伝わるのかよ!?」
その照井警視ってヤツ、どんだけ知名度があるんだ!?
と、警察が奥の方へと行ってからしばらく待つと、本当に赤いジャケットを来た、見るからに警察には見えない男がやってきた。
「えっと、アナタがもう1人の仮面ライダーさんデスか?」
後輩の相変わらず元気な質問に対して男は冷徹に答えた。
「俺に質問をするな」
……やべぇ奴しかいねぇのかこの街は!!!
切歌「デデデデース!やっと出番かと思ったら質問拒否な真っ赤な人とか上手くやれる気がしないデース!それでも翔太郎さんの知り合いだしきっといい人のハズデース!」
次回、仮面ライダーW
「照井のやつ、うまくやってっかなぁ…」
「福井さんは偉いのデスか!?」
「照井だ」
「ホントにこいつで大丈夫なのかよ…」
「さぁ…振り切るぜ!」
これで決まりだ。