ダンジョンで混じり子が戦うのは間違っているだろうか?   作:にわかDRPGプレイヤー

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プロローグ

「……オレらはミノを何体片付けた?」

 

 狼人の青年、ベート・ローガは彼の後ろで雑談をしていた三人の女性に問いかける。

 

「どしたのベート?話に混ぜてもらえなくて不満とか?」

 

 問いに答えたのは女性……というにはやや発育に問題がある褐色の少女だった。

 

「さっさと数えろ」

 

 普段ならばこの程度の煽りにも反応するベートが冷静に返事を返したことで真面目な話だと理解した三人は各々が倒したミノタウロスの数を申告する。

 そこにベート自身が倒した数を加算すると――

 

「クソが、一匹逃がしてるじゃねぇか!」

 

 四人に別れてミノタウロスを追撃した彼らだったが、ほんの数分前に合流し、金髪の剣士アイズ・ヴァレンシュタインがミノタウロスを斬り伏せたことで全てのミノタウロスを撃破し、最後に残ったのがこれであったという勘違いをしていた。

 たまたま四人が合流し、かつそこで軽い事件があったからこその勘違いだろう。

 

 狼人であり五感が鋭いベートはアイズが派手にミノタウロスを斬ったことで撒き散らされた血液によって嗅覚が鈍くなっていたものの、遠くから臭うミノタウロスの体臭と僅かに臭う人間の血液の臭いを感じ取っていた。

 ただの勘違いかと思ったベートだったが、仮に勘違いでなかった場合の面倒を考えて問いかけてみればそれが勘違いでなかったことが確定する。

 

 自慢の脚に力を込めて弾丸のように飛び出すベートの後ろで三人――のうちの一人が置いていくなと叫ぶが、そんなことは知ったことじゃない。

 そもそもの話ミノタウロス如き何匹集まってもベートクラスの冒険者ならば余裕で撃破できる。

 それは先程まで手分けして複数体を追いかけていたことからも明らかだろう。

 ならばノータイムでトップスピードを出すことの出来るベートが自身より足の遅いものに速度を合わせる必要などなかった。

 

 普段のベートならばここまで急ぐことは無かっただろう。

 ともすれば四人の中で最後尾を走っていたかもしれない。

 だが、現にベートは最高速で移動している。その理由は、ミノタウロスと血液の匂いによって薄れてこそいるが、嗅ぎなれた匂い――つまりは知人の体臭があったからである。

 その人物のレベルは1。ミノタウロスはレベル2相当のモンスターであるため、彼がミノタウロスと戦っているのならば勝敗はおおよそ決まり切っているだろう。

 

 最高速で走るベートが曲がり角の壁を蹴りつけ、破壊することで速度をそのままに曲がると同時、曲がり角の先で一本の腕が回転をしながら宙を舞った。

 さらに濃くなった血液の臭いだが、ここまで接近すればミノタウロスの背中の向こう側でミノタウロスと対峙している――していた者の体臭だって嗅ぎ分けられる。

 

 腕を切り飛ばされた者を確定させたベートが震脚の要領で踏み込み、背中を見せるミノタウロスの後頭部を蹴りつけるために跳躍した瞬間、ミノタウロスの背中から鋭い刃の切っ先が飛び出し、ミノタウロスの体を灰へと変化させる。

 蹴りの対象が消滅したことで勢いの行き場を失ったベートは空中で体勢を整え着地すると、切り離された腕を回収して倒れ伏した持ち主へと駆け寄る。

 

「雑魚が。お前のステイタスなら逃げるくらいは出来たはずだろうが」

 

 罵倒の言葉が口から飛び出すが、それとは裏腹にベートの手は動き、力自慢のミノタウロスにやられたとは思えないほど綺麗な断面をしている腕に酒をぶちまけ、その後しっかり断面どうしを固定した後に酒とは別の瓶の中から液体をかける。

 

 エリクサーという死んでさえいなければどんな状態であっても命を長らえさせると評されるほどの効能を持った回復薬は正常に作用し、切断された腕を繋ぎ合わせた。

 

 ベートはミノタウロスを打倒し気絶した彼を担ぐと、彼の武器であったヒビだらけの刀と、ミノタウロスが所持していた刀を手に持って来た道を引き返した。

 

「ミノが相性の悪い刀を持ってたからの勝利か? いや、刀でもミノからしたら軽いだけの棒きれだがリーチの延長は間違いなく強化だ」

 

 来た道を引き返しながらベートは先程までの戦闘のことを考える。

 とはいえ、見たのはおよそ二、三秒。

 思考を深くする要素はほとんどない。

 だが、もしもミノタウロスが刀を逆に持っていたり、そもそも刀と似ているだけの棒切れを持っていたのならば腕は綺麗に切断されず、断面はぐしゃぐしゃになっていて腕を繋ぎ直すのは難しかったかもしれない。

 そもそもの話、骨まで粉々に折られつつも腕が切り離されることなく胴体ごと吹き飛ばされて追撃を受けていたかもしれない。

 

 そう考えるとやはりミノタウロスが刀を持っていたのは不幸中の幸いだったのだと結論づけた。

 

「あ、ベート」

 

 遅れてやってきた三人組を代表して胸の貧相な方の褐色少女がベートの名前を呼ぶ。

 

「おせぇぞ」

 

「そっちが早すぎるんじゃん! ってソレなに?」

 

 指さされたのはベートが雑に腰帯に挿した二振りの刀だ。

 

「こいつの得物と戦利品だ」

 

 顎で背負っている少年を指してベートは続ける。

 

「オレはコイツを連れてホームに戻る。おまえらはリヴェリアに直帰するように伝えろ」

 

 そのままベートは歩きだし、残された三人はベートに担がれていた少年について話し出す。

 

「今のって?」

 

「多分ウチの子ね。何回か見た事があるわ。名前までは知らないけど」

 

「ウィズ。ウィズ・イルミナル・ドリー」

 

 褐色姉妹は覚えていなかったが、アイズは彼に覚えがあった。

 というのも、早朝――深夜とすらさせる時間からホームの鍛錬場を使用しているのが彼だったからだ。

 彼の発する空気から一度も話しかけたことは無かったが、自身よりも早くから鍛錬をしている彼のことが気になって主神に名前を尋ねたことがあったのだ。

 

「ふーん。ウィズっていうんだ。彼が一人でミノタウロスを倒したならレベルアップしてるだろうし起きたら話しかけてみよっと」

 

◆◇◆

 

「レベルアップキター!」

 

 ロキファミリアのホーム、団員である少年の私室では気絶した部屋の主の少年が上半身を裸に剥かれ、背中を厭らしい手つきで撫で回されていた。

 完全に事案である。

 

「終わったんならさっさと服着せて出ろ。更新で生命力のドーピングさせて安定させるってのはそんなに触る必要があんのか?」

 

「趣味や。だってウィズたん更新の時だって一瞬しか肌見せてくれんし触らせてくれないんやで?こりゃあ一年分のお触り欲を発散するチャンスや!」

 

 そう叫ぶ糸目の女性――胡散臭い感じの少女の脳天に、ベートの手刀が叩き込まれ、ベットからつまみ出されたのはその直後だった。




察しがいい人は気づいたかもですが、主にwizardryとエルミナージュの設定が混ざります。
まあ知らんくても問題ないですが

続くかは未定、あと口調とか性格とかはやはりニワカなので間違ってたら教えてください
感想とか評価とか感想とかブクマとか感想とかしおりとか色々待ってます

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