ダンジョンで混じり子が戦うのは間違っているだろうか?   作:にわかDRPGプレイヤー

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ラスダンっぽいところまで進んだので休憩がてらに
今回は進行と言うより帰路の会話を抜粋した感じになっています。

あとちょっと前までの書き方より下手になってる気がしますがそれは進めてたwizシナリオの語り口に影響されてたからですかね


第12話

「ねね、たくさん魔法を使ってたみたいだけどあれってなんなの?」

 

 帰路の途中、ティオナは先の戦闘について色々と尋ねてきた。

 ヘルハウンド強化種はレベル3クラスのモンスターでこそないが、それでもレベル2終盤クラスのそれである。

 それに加えてアルミラージ強化種と、両者の群れを相手に勝てた()()()()()()()()()()()()()()()()ウィズが気になるのは仕方の無いことである。

 

「自分の魔法には攻撃魔法が多いグループと回復魔法が多いグループがあるんですよ。その分魔法スロット一つで複数個使えるみたいです」

 

 帰路は急ぐものでは無い。

 ティオナがいる今、上層のモンスターは殆ど寄ってこないため、実質的には洞窟を散歩しているような気分である。

 そして、モンスターを全スルーしたとしても普通に歩いて帰るのならば一時間ほどの時間がかかるため、豊饒の女主人の時とは違い、完全な二人きりの今、それだけの時間を完全に無口で過ごすにはウィズの対人性能は些か低すぎた。

 

 そのため、ウィズは聞かれたことに対して曖昧に返事をするようになっていた。

 

「そうなんだ。もしグループに名前が無いなら魔法使いグループと僧侶グループって名前をつけたらどう?」

 

「僧侶? 自分はそのようなものとは縁がないと思いますが」

 

「英雄譚にあるんだよ。敵の大軍を殲滅して英雄と魔王の一騎打ちの舞台を整えて、魔王の弱体化までしてしまう魔法使いと、英雄の傷を癒して英雄を強くする魔法を使う僧侶が出てくるやつ」

 

 ティオナが言うには、神々が地上に降りてくるよりも前からある物語のようだ。

 登場人物は英雄、魔法使い、僧侶、そしてロクデナシの遊び人。

 英雄が打ち倒すのは二つの足で直立する巨大な竜だという。

 

 大昔でも竜、ドラゴンというのは英雄とはセットで対極なのだなとウィズは思いながらも、ティオナの語りを聞いている。

 こうして喋らせておけば自ら口を開く必要がなくなるため、ウィズは安心して聞きに徹することが出来た。

 

「それでね、今まで遊び呆けていた彼だけど魔法使いと僧侶が敵の手に落ちた時に英雄には内緒で二人から教わってた二つのグループの魔法を使って英雄と一緒に二人を助け出したの!」

 

 魔法の強さや使える数こそ二人には劣るものの、一人でふたつの魔法を使えるという便利さから遊び人――改め、賢者は魔王討伐にも貢献したという。

 

 このことからウィズは人を見る際に自分の視点以外で見るということを学んだ。

 所詮物語と笑うなかれ。英雄譚とは過去から受け継がれる教育の祖だ。

 一見遊び人にしか見えなくても裏で勤勉に学んでいるかもしれない。

 そういう教えを説くためのものなのだろう。

 もしくは、人生に失敗して先を見ることが出来なくなった者には遊び人でも魔王討伐に貢献出来た、つまり、失敗してしまったとはいえ真面目にやって来たあなたならばもっと簡単に逆転できる。

 そういう説得材料になる物語なのかもしれない。

 

 真実は千年以上前に置き去りにしてしまったため今の夜で知るものは居ないだろうが、ウィズはそうやって納得した。

 

 もし、この英雄譚の正体が遊び人の賢者タイムと掛けたシモネタ全開の官能小説から要素を抜き出したのものであったとしても、それを知らぬならそうでないのと同義なのだから。

 

◇◆◇

 

「いや、自分の魔法はそんなに便利じゃないですよ。攻撃魔法ならともかくモンスターを弱体化させるのは成功したり失敗したりですからね」

 

 だから魔法の成功を前提に組みたてた集団戦では上手く立ち回れないでしょう。と、ウィズは言った。

 

 先の戦闘を見たティオナが、ウィズがレベルアップして遠征に参加できるようになった時のことを夢想して呟いた、手札の多さから一軍入りもあるかもね。という言葉に対しての返答だった。

 

 ウィズの扱う敵を弱体化する魔法は、中層(同格)のモンスターどころか上層(格下)のモンスターにすら抵抗(レジスト)される可能性があるのだ。

 やや格上といったところだろう強化種たちには一切効果を発揮していなかったことから、今のウィズでは下層からの格上には基本的に効果がないと考えていた。

 

 そうなれば残るは一般的なそれと同等の近接戦闘能力がある速攻魔法使いというそこまで希少性もない平凡な冒険者の出来上がりだ。

 

 さらに付け加えるならば、ウィズは集団戦闘の経験値が圧倒的に不足している。

 遠征における集団戦闘は、通常の探索でのパーティでの戦闘を発展させたものだ。

 ロキファミリアでは安全性の確保とともに遠征に参加できるようになった時にある程度の下地が出来上がっているようにとパーティでの行動を推奨していたが、ウィズは最初の数週間でパーティが全滅してからは完全にソロ行動だ。

 全ての冒険者よりも集団戦の経験値は不足しているのでないだろうか。

 

「そっかあ。カースじゃないと抵抗される確率も高いんだね」

 

「それに、自分の魔法は長くても一分前後で効果を失いますから」

 

 敵全員に弱体化を施すまで連続で魔法を使う、というのも最初に弱体化したモンスターの魔法効果が解けてしまって無理だという。

 ソロならば自分が使う魔法は分かるし、複数体の敵のうち一体だけでも弱体化に成功すればそのモンスターへ割く思考のリソースを削減できるが、集団戦闘ともなると敵の状態が理解できない仲間たちは弱体化に成功していても思考のリソースを割き続けなければならないため効果が薄い。

 そういう訳であった。

 

 ならば攻撃魔法の手札の数ならばとなれば、先程から何度かティオナの口から名前がとび出たレフィーヤという少女が圧倒的のようだ。

 レベル3ながら、レベル6であるリヴェリアと同じ魔法が使えるという。

 ウィズはその魔法を見たことは無いが、強力だということは何となくわかった。

 仮にウィズがレベルアップしたとしてもレフィーヤには敵わないだろう。と、ウィズは思った。

 

 ソロならばともかく、集団戦には向かないと自分を評価したウィズは、ステイタスが自身の経験と思いから発現するものならば、自分のそれはどのようなものなのかと考え――そしてすぐに考えるのをやめた。

 

◇◆◇

 

「ヘルハウンドに燃やされてから急に強くなった気がするけどあれってなんなの?」

 

 正確にはティオナが倒れてから、なのだが、全く関係ないためにウィズは指摘しなかった。

 

「精神力を肉体に回しただけですよ。それまでは強化種に意識されないようにと、消耗を少なくするために精神力による肉体強化をしてなかっただけです」

 

 さも当たり前のようにウィズは言うが、ティオナは精神力のみで肉体を強化する技法など知らなかった。

 魔法の効果による肉体強化をそのような表現としたのか、とティオナはウィズに聞いてみるが、ステイタスをブーストさせる魔法を持っているが、それとは別口だとウィズは言う。

 

 魔力のステイタスが全く成長していない自分だけが知らないのかとすらティオナは錯覚したが、不得手とはいえ魔法を使え、魔力ステイタスが成長している姉からもそのような話は聞いたことがないことを思い出した。

 ウィズを迫害していた地域の常識だったのだろうか。

 だが、世界中の技術が集まると言っても過言ではないオラリオにあってもそのようなことは聞いたことがなかった。

 ティオナは魔力が一切成長していないとはいえ、レベルアップの際に器が大きくなることによって最低限の魔力は得ているはずだ。

 その最大量はレベル2のウィズを上回っているだろうほどだ。

 だから、とダメ元で精神力による肉体強化について詳しく聞いてみた。

 

「いいですよ。秘匿技術って訳でもないですし」

 

 ウィズは十四層でのお礼のついでだと、考えながら自身の方法論をティオナに教える。

 

「体のどこかに精神力を貯めておくプールのような霊的な器官があります。そこから精神力を汲み上げて体に流すんです。持続的な強化なら循環、瞬間的なのならそれも必要ないですね」

 

 通常、汲み上げられた精神力はそのまま魔法へと変換される。それが魔法というものの性質である。

 それが習慣になっていればなっているほど精神力を汲み上げるのは難しくなってくるが、ティオナにはそのクセがなかったため、プールを探すのに時間がかかったとはいえそれを見つけてからはそこそこ早くコトが進んだ。

 

 それを動かすことが可能となった時、まずは指先へと精神力を送ったティオナだったが――

 

「痛っ!」

 

 ――その指先が爆ぜるように赤く染まり、強化は失敗に終わった。

 幸い、勢いよく血が吹き出しただけで傷自体はそこまでではないようだった。

 

 ウィズが焦って回復魔法を何度か唱えて完治させると、ティオナは失敗するとこうなるのかと驚いた。

 戦闘中に失敗したら傷つく体内での精神力の運用など正気ではないからだ。

 

「いえ、失敗しても強化が弱まったりそもそも強化されなかったりするくらいです。そもそもオンオフを脳内のスイッチで切り替える位の感覚なんのでよっぽどの事がないと失敗しませんし」

 

 物心つく時からこれを行っていたウィズだから失敗してもその程度なのか、そもそも運用が間違っているのか、種族による差なのか、ということは分からないが、どうやらティオナには無理なようだということが分かった。

 

 ちなみに、ウィズが精神力による肉体強化を実感しだしたのはダンジョンに入るようになってからである。

 オラリオで精神疲弊などの常識を知り、そして消費量を増やすことでモンスターとの戦闘を有利に運べるほどの強化を得ることが出来たからだ。

 それまでは、ステイタスを持たない人間が敵であったため、時間経過で回復する精神力と同量以下の精神力を消費し、極小の強化を永続的に得るだけで十分だったからだ。


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