ダンジョンで混じり子が戦うのは間違っているだろうか?   作:にわかDRPGプレイヤー

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わー思ったより設定公開のバーゲンセールだぞー^p^


第6話

 部屋の主の意識がない時に入り込まれることに定評があるウィズの部屋では一つの影がウィズのズボンを下ろしていた。

 既に上半身を覆う服は臍上まで捲られており、ズボンが下ろされたらほとんど全裸である。

 

 ウィズは随分とズボンの腰の位置を高くしていたようで、影はズボンを随分と下げたが、その位置は腰より少し下程度までだった。

 

「これやろ?」

 

 ズボンを下げていた影――ロキがウィズの腰、正確には腰に巻かれているものを指さした。

 

「うん、背負ったらなんか硬くって。あと脚の方にも同じ感触があったからちょっと触ってみたら気づいたの」

 

「つい昨日にもベートが背負って帰ってきたやろ? そんときにも気づかれてたみたいやし、いいタイミングなのかもしれんなあ……と。もっかい言うけどこれはガチで内緒な? フィン、リヴェリア、ガレスと昨日知ったベートしか知らん話やからな」

 

 コクンと頷いたティオナにロキは続ける。

 

「さて、どこから話すべきやろ。ベートへの説明はリヴェリアがしたしなあ。長くなるけど最初っからでええか」

 

◆◇◆

 

 その日、ロキはフィンと二人でオラリオの外周近くにいた。

 ロキの思いつきで入場門、つまるところオラリオ内外を行き来するための検問がみえる所にいたのだ。

 オラリオへの入場は特別規制されているわけでもなく、過去冒険者として活動していたことがあるか、犯罪者の人相書きに似ているものが無いかと言った程度の簡単なものだ。

 そうしてロキは入場してきたウィズを見つけたのだった。

 

 オラリオの外から来る者は基本的に恩恵の刻まれていない一般人であり、そのようなものを狙うゴロツキ冒険者も存在する。

 街を案内してやるとか冒険者としての心得を説いてやるとか言って適当にやった後に案内代や講義代といって有り金を全部捲るのだ。

 ウィズのような年頃の少年は冒険者への憧れがあり、ゴロツキ――つまり力ある者への憧憬を持っていることが多い。

 それを狙った小狡いビジネスなのだが、それを知っていたのか、そもそも他人を信用していないのか、ウィズは複数回ゴロツキに話しかけられても基本的にそれらの話に取り合わなかった。

 

 それが気に食わなかったのがゴロツキをまとめる小悪党だった。

 ゴロツキを避けて移動するウィズの思考を逆手にとり、ゴロツキの配置でウィズを路地裏へと誘導したのちに襲撃をかけたのだ。

 ロキと共にウィズを尾行していたフィンは、正義感を発揮してウィズを助けるために飛び出そうとした。

 しかし、ロキの手によってそれはとめられ、フィンは経緯を見守ることになった。

 

 ゴロツキたちも殺しは拙いと理解していたのか得物に選んだのは鞘に納めたままの刀剣類であった。

 それでも鉄の塊であることには変わりなく、凶器に違いない。

 とくにステイタスを持つ冒険者とそれ以外との肉体スペックを考えれば死に至らしめるのに十分なものだろう。

 フィンが飛び出そうとしたのもこれが理由の一つである。

 

 ゴロツキがウィズに剣を振るう。ゴロツキ、つまり落ちこぼれだけあってその剣技は拙いものであったが、肉体スペックにものをいわせたそれはウィズの肉体を痛めつけるかと思われた。

 しかし、ウィズはその攻撃を滑るように回避し、そのまま冒険者の背後へ移動、ヤクザキックでもってバランスを崩させ転倒させる。

 ウィズはゴロツキが手放した剣を拾い、ステイタスに関係の無い純粋な技量を以て複数人居たゴロツキを打ちのめしたのだ。

 これはゴロツキのステイタスが低く、技量もない冒険者だったからこその結果だが、それをみたロキはやっぱりな、と笑みを深めた。

 

 ゴロツキに襲われたことで気がたっていたウィズは、物陰に隠れるロキとフィン――正確にはロキのみに気づき、出てくるように勧告する。

 フィンが人の良い笑みを浮かべながら悪気はなかったと説明すると納得してこそいなかったようだが拾った剣のを腰帯に挿したウィズは、二人になぜ隠れていたのかを聞いた。

 

 しかし、ロキはその問には答えず、ウィズをファミリアに勧誘した。

 ウィズほど腕が経つならばオラリオにやってきた理由は即ち冒険者になるため、冒険者になるには神が必要で、その神に宛がないならば自分の眷属にならないか? と。

 ロキファミリアは2大派閥と呼ばれる大御所であり、冒険者としての活動に不自由させない。そう聞いたウィズは眷属の少ないファミリアを探して入るつもりではあったが、勧誘されたならば別にいいかとそれを了承し、そのままロキファミリアのホームへと案内され、恩恵を刻まれた。

 

 その夜、ちょうど同日に入団試験が行われていたということもあり、複数人の同期と共に入団したことが食事の際に食堂で紹介され、ウィズとその同期たちは暖かく歓迎された。

 

 その後、リヴェリアによるダンジョンについてのお勉強タイムなどを経てウィズはロキファミリアに入団したことを後悔し始めた。

 リヴェリアの勉強がキツかったから――ではない。

 正確にはキツかったからということも間違いではないのだが、そのキツさが単なる新人いびりではなく、新人の安全を思っての事だと理解したからだ。

 

 ウィズがオラリオに来る前に所属していたコミュニティでは、ウィズは迫害の対象だった。

 曰く、不幸の象徴。曰く、化け物。

 そんな環境で育ったウィズが自分がそういう存在だと思うようになるのは不思議なことではなく、そして唯一対等に接してくれていた少年がウィズを守って野盗の放った矢に倒れた時、ウィズの中で自分の存在がどういうものなのかが確定したのだった。

 ウィズは、自身に力がなければ周囲は不幸に轢き殺されると認識し、オラリオへと向かい、自身が力を得るためにどうしようもないロクデナシの神を利用して恩恵を授かり、力をつけようと考えていた。

 

 しかし、初対面の際にロキをみて主神がこれならばと、ロクデナシの集まりだと考えていたファミリアはアットホームで優しいコミュニティだった。

 そんなコミュニティを力無きウィズに襲いかかる不幸で汚してしまうのは本意ではない。しかし、改宗するには一年以上の時間が必要であるし、ロキの許可も必要である。

 ならば早急に力をつけるしかない。

 そう思いながらウィズはロキファミリアの積み重ねた新人育成のカリキュラムをこなしていった。

 

 入団から二週間。

 ウィズは同期三人と合計四人でパーティを組み、ファミリアの先達のアシスト無しで初めてダンジョンに潜った。

 結果は想定外に湧いてでたモンスターによってトラウマを負わされたひとりが冒険者を志すことをやめた。というものであった。

 それは、考え無しにダンジョンを進んだ暫定的なパーティリーダーであった少年の判断ミスや、先達としてアシストしてくれていた強者が居なくなったことでこちらに手を出してくるモンスターが増えたからということでもあるのだが、ウィズは自分のせいだと考えた。

 

 入団から一ヶ月。

 三人となったパーティは六階層に踏み入り、そしてウィズ以外の二人がウォーシャドウによって殺害された。

 今回はリヴェリアによる授業をしっかり覚えていなかったパーティメンバーが五階層が余裕だったしちょっとくらいなら良いだろう。と、刻まれたステイタスの力に酔ったための慢心、判断ミスによるものなのだが、歪んだ環境で育ったウィズはやはり自分のせいだと考えた。

 そしてウィズは不幸を叩き潰す力を渇望し、一週間の間ファミリアから姿を消した。

 

 行方不明となった眷属のうち、主神と眷属を繋ぐ恩恵によってウィズの生存を知るロキはフィン、リヴェリア、ガレスの三人にその事を伝え、三人は低階層で活動する団員たちにそれとなくウィズの目撃情報を募りはじめる。

 

 二日、三日間経っても見つからない。

 目撃情報すらないのは、と考えたフィンらによって低層を組まなく捜索され、ようやく見つかったのは七階層の未探索地域であった。

 手刀でもって強靭な甲殻を持つキラーアントを破壊し、背後から飛びかかるニードルラビットは腰から生えた強靭な()()で刺殺する。

 一週間もの間ダンジョンを宛もなくさまよっていたウィズの服は完全に用を成さないものへと変化しており、そしてそこから覗いたのは腰から生えた竜を思わせる細く、しなやかで、強靭な尻尾であった。

 

 ウィズは自身を発見したフィンに対し、ファミリアには帰らないと告げた。

 が、フィンもはいそうですか。と頷けるわけがなかった。

 ウィズを連れ帰ることはロキに頼まれたことだったし、なによりウィズの強さへの貪欲さとそれを得るために苦労を厭わない精神性、他者との触れ合いに積極的でないという欠点こそあったが人格的に問題もなく、将来的にファミリアの力となってくれる人材だと確信していたからだ。

 

 言っても聞かないウィズに対し、フィンは実力行使に出た。

 サクッとウィズを気絶させたあと、腰から生える尻尾を隠すように布を巻いてそのままホームへと連れ帰ったのだ。

 そしてフィンは、自身の個室に備え付けられたシャワーでもって気絶しているウィズの一週間分の汚れを落とすと服を着せてロキの部屋へと運び込む。

 程なくして帰還したリヴェリアとガレスを交え、四人でウィズをどう扱うかという話が行われた。

 経緯は省くが、恩恵が刻めるということはすなわち人間であるということであり、モンスターのような尻尾が生えていたとしても、だからといってファミリアを追放したり、殺害などは有り得ないという答えが出た。

 むしろそこまでは予定調和であり、仮に敵対派閥にこのことを知られた場合などの対応法などがおもな議題となったのだが。

 

 その後、ロキは目を覚ましたウィズから生い立ちを聞き出し、「強さを求めることは否定しないが必ず帰ってくること」と言い含めた。

 

 なお、直径3C、長さは2.5Mほどあるウィズの尻尾は普段は腰に巻かれて隠されている。

 不自然に膨らむ腰部分は腰部分にゆとりがあるズボンを履き、シャツも裾の長さあるものを着用することで隠していたのだった。

 しかし、尻尾を隠すのには確りとした意思が必要なようで、気絶したり眠っている間は張り付くように腰に巻かれているそれが緩み、背負われていたりするならば重力に従うようになる。

 

 ベートとティオナがウィズの尻尾に気づいたのはこのせいだった。

 

◆◇◆

 

「そういえば一年くらい前に新人がみんな居なくなった気がする。その生き残りだったんだね」

 

 ティオナは眠るウィズの頭を撫でながら呟いた。 

 ロキファミリアでは新人がドロップアウトしたり死亡するということは他所と比べれば少ないが、決してない訳では無い。

 そのようなことにあまり興味のなかったティオナは故にウィズのことを知らなかったのだ。

 

「ロキ話長くない? 最後の四人の会議のところだけでよかった気もするけど」

 

 ホームに帰ってきたのは二十二時過ぎ。今では完全に日付が変わっている。

 

「確かにそうかもしれん。でもな、ウチはティオナにウィズたんを任せたいと思うんや。それには知ってもらわんとあかん。いくらウィズたんに不幸などないと言い聞かせても安全地帯にいるウチからの言葉は届かん。フィンらは保護者枠やしフットワークも軽くない。でもティオナなら強くて不幸などないって言葉じゃなく行動で証明できるやろ? ずっと一緒にいろとは言わんけど、暇な時に構ってやって欲しいんや。ダメか?」

 

「ロキ。私ね、昼間にウィズが起きたってリヴェリアに聞いてここに来たの。ロキのところでレベルアップしたら戻ってくるって思ってね。ドアが開いたと同時に飛び出して話を聞こうとしたの。どうなったと思う?」

 

「捕まえたんやないか? いや、ダンジョンいっとったしそもそも帰ってこなかったとかか?」

 

「ううん。躱されてそのまま無視! ドアまで閉められて私が入ってきた時には窓から正門に歩く姿が見えてたよ。で、私は夜にも彼に絡んだ。つまり、言われるまでもなくこれからもよろしくしていくつもりってこと」

 

 ちょっと苦手意識持たれてる気もするけど。とティオナは肩を落としながら言った。




信じられるか? この話の主人公は今のところほとんど気絶してるんだぜ?

長々と書きましたが結局腰から竜みたいな尻尾が生えてる!ってのとウィズが他者との関わりを避ける理由を書いただけっていう……
しかもその理由も割とチープだしね!
でもでもまだまだ書いてない設定、なぜウィズが生まれ育ったところでそういう扱いをされていたのか、なぜそういう体なのか、ロキでもよめないスキルはなんなのかなどが残ってるので話は展開できますね!

あとリヴェリアがウィズの秘密を知っているってことでリヴェリアに矛盾が発生しました。

ウィズがミノ事件の翌日に起きた時彼女はハーフエルフ云々がナントカカントカでウィズのことが気になってるって感じの事書いたんですが、秘密知ってるならそうじゃないこと知ってるよね
気が向いたら修正しておきます。本当はフィンとロキしか知らない設定だったんですけど書いてるうちに知ってるってことになってましたわ……

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