ダンジョンで混じり子が戦うのは間違っているだろうか?   作:にわかDRPGプレイヤー

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感想が貰えました。
嬉しい。経験上最初の感想はなかなかつかないのは分かってるんですがやっぱりないと寂しいですしね


第8話

 インファントドラゴンを倒したウィズは、早速栄養補給を行いながら十三層へと進出した。

 想定外の魔力消費があったものの、レベル1時点で魔力を最大まで鍛えていたウィズの総魔力量はかなりのものであり、第三位階の魔法とはいえ一発程度ならば大したものではなかった。

 そもそもカートリッジの弾数こそ減ったが、ウィズの精神力はこれっぽっちも減っていない。

 これは、精神力の時間経過で緩やかに回復するという特性から考えると勿体ないことではあるが、精神力を最大で保っているということは肉体のコンディションが最高であるということでもある。

 魔法という手札を入手したウィズだったが、その本質はインファイター。

 少しでも肉体のコンディションは高い方がいいため、これもデメリットと言うほどではない。

 

 閑話休題。

 

 十三層へやってきたウィズの最初の感想は上層のそれと殆ど変わらないというものであった。

 天井こそ高いが、霧などは存在しないため十階層より戦いやすいのではないかとすら思う。

 

 ウィズはギルドで観覧した十三層のマップを頭に思い浮かべつつ、実際に自分の目で確認して自分専用の脳内マップを作り上げていく。

 

 しばらく歩いていると、ウィズは曲がり角の先に第一村人をようやく発見した。

 白と黄色の毛並み、ゴブリンほどの体躯、額の角。可愛いという思いこそ湧かなかったが、間違いなくアルミラージだろう。

 それは三体で行動しており、レベルアップしたてのソロの冒険者の初陣としての難易度はやや高めに思われた。

 

 が、それはウィズには当てはまらない。過冒険者歴わずか一ヶ月の頃、武器防具なしという状況で七層のモンスターを相手取り一週間戦い抜いたウィズは()()()である。

 

 そもそも――

 

「<カティノ>」

 

 ――と、ウィズが呟くだけでアルミラージたちは意識を朦朧とさせる。

 オークには吸引させれば確定で効果を発揮していたそれだが、どうやらアルミラージにはそうでも無いようで、三体のうち一体は特に変わった様子を見せず、寧ろ仲間の二体の異変を感じとって周囲を警戒していた。

 

 曲がり角から飛び出したウィズは、まず初めに無防備となっているアルミラージの首を刎ねた。

 中層のモンスターとはいえ、流石にインファントドラゴンよりも硬いということは無く、ダンジョンの床に頭がひとつ転がる。

 カティノを無効化(レジスト)したアルミラージがウィズの姿を認め、そして仲間が倒されたことに気づいて声を上げる。

 その声によってもう一体のアルミラージは意識を覚醒させ、二対一の状況から戦闘が開始された。

 

 最初に動いたのはウィズであった。

 意識を保っていたアルミラージが叫ばずに攻撃を開始していたのならば順番は前後していただろうが、アルミラージが攻撃を放棄して仲間を起こしたと考えるならばアルミラージの行動も悪くはないものだっただろう。

 

 ウィズは、二対一の戦いを有利な状況にするために意識を覚醒させたばかりで隙の多いアルミラージの胴体を蹴りつけ、数メートル後退させる。

 これでわずかな時間だが一対一だ。

 

 蹴りによって片脚が上がり、隙が出来たウィズにもう一体のアルミラージが手斧で攻撃を行う。

 上から下へと振り下ろす攻撃だが、剣よりも重心が先端にあり、そして重いそれは高い威力を誇る。

 対して、ウィズは振り下ろされる斧の柄へと刀を振るった。

 斧は先端の重く、刃の付いた部分が一番強い。しかし、その分柄の方は威力はそこまで高くない。

 いかに武器による防御に優れない刀とはいえ、木で出来た部分、しかも攻撃用のものでは無い場所へと添えたのならば滑らせ、攻撃を無効化することは可能だ。

 

 意図せぬタイミングで斧の振り下ろしをとめられたことによって体勢を崩したアルミラージにもう蹴りを御見舞する。

 こういう時に尻尾が使えたのならばアルミラージの胴体を串刺しにすることも可能だったかもしれないが、ここは誰が見ているかもわからないダンジョンの中だ。

 ウィズは素直に四肢を使った攻撃を行った。

 

 吹き飛ぶアルミラージにそのまま追撃を行うために駆け寄り、大上段からの斬り下しへと体勢を移行したところでウィズは背中に鈍痛を感じた。

 

 努めてそれを無視し、眼前のアルミラージを魔石ごと真っ二つにして灰とし、振り返ったウィズの目に映ったのは無手でこちらへ駆けるアルミラージだった。

 勢いの乗った貫手を半歩ずれ、半身になることで回避したウィズはお返しとばかりに左手を握りしめ、アルミラージの角を避けて顔面を殴りつけた。

 たたらを踏み後退したアルミラージに今度こそウィズは刀を用いた斬撃を加え、絶命させた。

 

「ここまで素早いと適正距離を保つのも大変だな」

 

 刀、もとい長物は接近時にこそ真価を発揮するが、それでも貫手を紙一重で回避した直後の密着状態では十分に腕を振るうことが出来ず、その威力を発揮しない。

 そのような距離さえも適正距離としてしまう技がない訳では無いが、ウィズはそれらを扱うことが出来なかった。

 そのための蹴りや拳だ。

 しかしそれらも刀から片手を離してしまったり足を地面から離してしまうという欠点があるため、武器を用いた近接戦闘技術としてはギリギリ落第であろう。

 

 それでもウィズの強靭な手足を用いた打撃は強烈であり、刀と出会うまでのウィズは四肢と尻尾を武器にした戦闘を行っていたという経歴があるために総合すればレベル2の冒険者としての純粋な戦闘ロジックの完成度という意味では中々のものだったりするのだが。

 

 と、ウィズはつい先程背中に鈍痛を感じたことを思い出す。

 既に痛みは引いており、体の動作にも支障はない。だが、これが頭に当たっていたのならば怪我を負っていただろう。

 既に何によってのものなのか、という答えは得ているが、念のためにと振り返って確認すればやはりアルミラージの持つ手斧が落ちていた。

 

 事前に得ていたアルミラージの情報に投擲の狙いは正確だが、意図して刃を突き刺すことは出来なさそう。と追記する。

 刃が刺さらなければただの質量武器、石や鉄塊と変わらない。

 ウィズはアルミラージに対する危険度を実戦経験を以て評価した。

 

◆◇◆

 

 ヘルハウンドが見つからないな、と十四層へ降りたウィズは独りごちた。

 十三層ではどこへ行ってもうさぎばかり。犬の姿はこれっぽっちも認められなかった。

 しかもうさぎもうさぎで三匹以上の群れとなっているのだから大変である。

 最初の戦闘のように背中に斧を投げられた回数は数しれず。ほとんどの斧は回避していたが、何度か命中した時に運悪く刃がクリーンヒットし、ウィズの胸当てを背中側で固定していた紐が切られてしまったこともあり、今のウィズは膝上まで裾のあるシャツにズボンと、膝部分のプロテクターのみというダンジョンにあるまじき軽装だ。

 

 なお、紐が切れて着用していてもカパカパと動いて邪魔になるだけとなった胸当てはそこら辺に投棄してきている。

 地上に持ち帰って直すために大事に持っていれば、それだけでも荷物となるし、そもそもの話、その胸当ては購入以来一度も活躍したことがなかったため、ウィズの体重を重くする拘束具としての意味しかなかったので正当な理由ができたら捨ててしまおうと考えていたものであったりもするのだ。

 

 ちなみに、刃が突き刺さったその投擲での損害は胸当てのみであり、その下の普段着兼インナーであるシャツ、及びその更に下にあるウィズの肌には切り傷などは全くない。

 せいぜいが打撲傷程度であったが、ウィズの持つ回復魔法、<ディオス>によって即座に回復されている。

 一般の冒険者が回復する場合はポーションを用いなければならないため、費用を考えて使用を見送る程度の怪我ではあったが、時間経過で回復可能なリソースである精神力を対価として使用出来る魔法を持つウィズならば気軽に回復できる。

 

 わずかな傷でも肉体のコンディションは低下する。

 回復をケチらないことは即ち生存、殲滅能力に直結するのだ。

 

 ウンウンと拘束具を投棄した理由を並べ、正当化していると、ウィズとしては珍しく床に転がっていた石を蹴飛ばしてしまう。

 

 その石が転がった先は、たくさんの犬が集まって眠っている部屋であった。

 その中心には一回り、いや二回り以上大きい犬が存在し、ウィズは今までヘルハウンドを見なかった理由を今更ながらに理解した。

 

 強化種による階層をまたいだ群れの形成。

 およそ三十体を超えるヘルハウンドの双眸がウィズを睨みつけた。




ちなみに、Wizardryのマスターレベルと呼ばれるひとつの基準であるレベル13ですが、これは原作開始時のアイズ(レベル5の上辺)あたりを想定しています。
なので、レベル2のウィズだとレベル4呪文までくらいかなと、勝手に思ってます。
超威力のラザリクなんからレベル5呪文なんでしばらくお預けですね……

あとディなんかの扱いをどうするかとかも困ったりしてます。
無いものとして登場させないか、気付け呪文(ドラクエでいうザオラル相当)にするか。
まあレベルアップまでかけたらの話なんですけど

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