イベントが終わってキューブと燃料が尽きました。辛い...
「興奮冷めやらぬ中だけど次の試合に行くにゃ!お次はロイヤル対連合!どんな試合を見せてくれるのかにゃ~?」
ユニオンVS重桜の試合は驚いたことに新しい力を手に入れた加賀の活躍によって重桜の勝利に終わった。お次はケントたちとバールたちだが、ロイヤルとヴィシアは仲が悪いので少し心配である。
「最初からロイヤルの連中と試合することになるのか.. まあいい。私情は流して戦ってやる。メイドの精鋭だかなんだか知らないが勝つまでだ。」
「主(メートル)と一緒にいる権利はガスコーニュたちが使わせてもらう。お覚悟を。」
「Wow! もう元気いっぱいって感じだね! ケント選手も張り切っちゃうよ~!」
「お仕事はサボりたいけど、この勝負には勝ちたいです! サフォークも頑張ります!」
サフォークが普段のほわほわした感じはどこへやら、珍しく張り切っている。最近相手をしてやれないことが増えたため色々あるのだろうか。俺ももう少しみんなのことを考えないとな。
「それじゃあ早速始めるにゃ!審判は今度はケルンにお願いするにゃ~。」
今度の審判はケルンか。審判台に座る彼女がこちらに頭を下げてきたので手をふって答えておく。
「それじゃあ指揮官、開始の合図をお願いするにゃ。」
「あいよ。それじゃあ...」
「用意はいいか? では二戦目、はじめ!」
「まずは私達からだ!行くぞガスコーニュ!スキル、パイレーツソウル!」
「了解。精密射撃プロトコル、発動。」
いきなり二人はスキルを使って攻めていくようだ。二人のスキルはどちらとも自身の攻撃時にそれを強化するもの。スパイクやサーブを打てばそれが普段よりも強力になる効果がある。
「わぁ、いきなりやってきたね!でもこっちも負けないよ!」
ケントがスキルによって強化されたサーブを打ち上げ、それをサフォークが相手に向かって打つ。
「火力には自身があるんです!それっ!」
「やらせない!」
サフォークが放ったスパイクをガスコーニュが受け止める。まだ最初ながらお互いが一歩も引かぬラリー対決になっていた。
「さっきとは違ってこっちはラリーが続くのね。どっちのスタミナが先に尽きるかで勝負が変わってきそうだわ。」
「どっちが勝つか、か...どうだろうか。」
正直な話をしてしまうと、この勝負なんとなくどちらが勝つかは分かっている。相手の方は知らないだろうが、文字通りの意味で彼女たちは色々と違うのだ。
「ここだっ!それっ!」
「うわっ!」
「一点目!連合チームが先制です!」
どうやら先に点を取ったのはバールたちのようだ。やはり戦艦対重巡だと素のパワーも違ってくるだろう。
「Hmmm、やっぱりあの二人は強いね!ボールを受け止める手がビリビリするよ。」
「パワーが違いますからね... でもまだ一点目!これからです!」
サフォークたちもまだまだやる気のようだ。これならいい勝負をしてくれる...はず。懸念事項はあるが...
「ふっ、ロイヤルの連中もこんなもんか。これなら楽に勝てそうだな。」
「油断は禁物です、お姉ちゃん。」
「その呼び方なんだかむず痒いんだよな...」
バールもまだまだお姉ちゃん呼びは慣れないようだ。ガスコーニュも心なしか顔が赤い。
「妹、いいわよね...」
「いい...」
ドイッチュラントも俺も妹がいるため、バールの初々しい反応にはなんだかほっこりする。そうそうこういうのがいいんだよ。
「だからそこ!俺達を見てニヤニヤすんじゃねえ!」
おっとバレた。ほらほらまだ試合は始まったばかりだぞ―?
「クソっ終わったら一回殴ってやる...」
「主(メートル)とその奥様に暴力を振るうことは推奨されない。」
「いや、今回はお前も怒って良いことだ。後で一緒に殴りに行こう。」
「怒る...その感情はまだ私にははっきりとはわからない...」
「それなら後で俺が教えてやる... ドイッチュラントはやめといて、指揮官だけ殴るなら良いだろ?」
姉妹が仲良く話している場面をホクホク顔でみながら、俺だけ殴られるかもしれないという事実に震える。戦艦のパンチは体が吹っ飛びそうになるのだが...
「殴られても後でピンピンしてるアナタも大概よ。ほんとに人間なのかしら。」
「指揮官になるものは鍛えておかなければならぬ、とか言って学生時代に散々鍛えさせられたからな。それなりに耐久力はある。」
そういいながら自慢のカラダでポージングを取ってみる。ゴリゴリに筋肉がついているわけではなく、ある程度格闘などもできるようにしたしなやか目に筋肉だ。一応護身術の心得もある。
「けっこう良いカラダしてたのはそういう理由だったのね... 私は好みだけど。」
嫁さんにそう言われるのなら悪い気分ではない。気分良くポージングをしてみると、一部のKAN-SENから熱い視線が飛んでくるのを感じたため身の危険を感たためおとなしく実況席に戻る。
「やはり指揮官様のカラダは素晴らしいですわ...」
「実に食べごたえがありそうではないか...ふふ、滾るな...」
「お姉さんが管理してあげればもっと素敵な指揮官に...」
「ボウヤ...私のものにならないかしら...」
どこからか寒気を感じる... てかグローセさんソッチ側だっけ...?
「おらぁっ!」
「連合チームの得点!只今の得点はロイヤル7の連合18!18-7です!」
試合も進み、今現在はヴィシア側が優勢となっていた。18-7と、ロイヤルがかなり苦しい状況か。
「うう... ケント選手たち、ピンチ...」
「やっぱりふたりとも戦艦だけあってパワーが段違いです~...」
サフォークとケントも見えるが...
「...おい、お前たち本気でやってないだろ。」
「ほえ?」
どうやらジャン・バールは気づいたらしい。長いラリーが続いている試合だが、ある程度息が揚がっているヴィシア組に対しケントとサフォークの二人は息が全く上がっていない。
「どういうつもりだ?スキルも全く使わずに俺たちと勝負しているし、舐めているのか?」
「いやいやケント選手たちはそんなつもり無いって!」
「サフォークの状態も不自然です。なぜそれだけの実力がありながら改造前の状態なのですか?」
「あーっと、それはですねー...」
二人にとって痛いところをついてくる。だが流石にこのままというのも余計な誤解を生みかねない。
「おーい二人共!もうそろそろ良いんじゃないか?このまま隠し通すのも二人には失礼だぞ!」
「指揮官さん!でもさすがにあの状態になるのは...」
「ケント選手も、みんなの前であれをやるのはちょっと...」
少しバツの悪そうな顔をする二人。まあみんなに見られたくないってのはわかるが...
「あれってなんだあれって!お前達ずっと何かを隠しながら戦ってきたのか?それは俺たちに対する侮辱だぞ!」
「ガスコーニュにも計画艦としての誇りがある。二人には全力を出してほしい。」
「二人もこう言ってるんだ。久々に暴れたいだろ?やりすぎなければ問題ないって。」
ジャン・バールはプライドが高めの方だ。このまま勝ったとしても納得しないだろう。 それにしばらく二人にはずっとメイド業をしていてもらったんだ。たまには羽目を外してもらってもいいだろう。やりすぎなければ。
「うう~わかりました... みんなそう言うのであれば...」
「ケント選手も久々に暴れさせてもらうよ!」
どうやら二人共やってくれるようだ。これでバールたちも満足してくれればいいが...
「よろしいのですか、ご主人さま? あの二人が本気を出すとなると、我々メイド隊全員でも止められるか分かりませんが。」
「そうなったら俺が止めるさ... ベルファストたちは準備だけしておいてくれ。」
「かしこまりました。」
ベルファストがメイド隊たちに二人を止める準備を命じる。早速準備を始めるベルファストだが、キュラソー、カーリュー、シリアスが不思議そうな顔をして質問をしにきていた。
「ご主人さまもおっしゃってましたが... なぜそんなにあの二人を警戒するのです? ロイヤルメイド隊の仲間ですし、重巡洋艦二隻であれば我々だけで抑え込めるのでは?」
「三人とも来たばかりでまだ詳しいことは知らないのでしたね... 丁度いい機会です。あの二人がなぜ我々メイド隊の精鋭と言われるのか、何故ここまで警戒されるのかを見ておくと良いでしょう。ご主人さまの言葉の意味がわかるはずです。」
ベルファストの言葉にイマイチ容量を得ていない顔をしながらうなずきを返す三人。俺の隣ではドイッチュラントも腑に落ちなさそうに首を捻っていた。
「さっきも言ったけど、私はあの二人のことよく知らないのよ。そんなに強いの?」
まあドイッチュラントは二人が戦っているところ。強いて言うなら...
「ドイッチュラントも母港の中でも実力はトップレベルだろ? だけど本気を出したあの二人には勝てない。」
「アナタがそんなに言うほどなの...!?」
残念ながらマジだ。俺も準備しときますかね。
ケントとサフォークはどうなるのか...?
次回、ご期待です。