人じゃなくても守りたい   作:石油爆発

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一応プロローグです。
ちっちゃいスバル可愛いよね。


本編
ミッドチルダ北部臨海第八空港


~地上本部、食堂にて~

 

三人称side

 

「……っはぁ~、」

 

いつも通りの平日。地上本部の食堂にて

[ヴァン・アスメラウス]は自分で運んだ夕食を目の前にして大きくため息をついた。

 

「いきなりため息か?テンション下がるなぁ。」

 

そう言ってヴァンの席の前に夕食を持って腰を下ろした

[ウォンテ・ミラン]は呆れた顔をした。

 

「ため息も出るって。こんな仕事ばっかしてたらよ。」

 

「働かねぇと食っていけねぇんだからしゃあねぇだろ。」

 

「………部隊間違えたかなぁ…。」

 

「上官殿に聞かれてたら首飛ぶぞ。」

 

「わぁってらい。」

 

彼らは時空管理局の局員、ヴァン、ウォンテ共に二等空尉である。彼らは本日の作業を終え食堂に来ているが、様子を見るにどうやら今の仕事に不満があるようだ。

 

「事件が発生して出向いて見れば上官は偉そうに下手な指示ばっか、民間人の救出どころかお偉いさんの護衛が優先。おまけに終わったら民間人のクレーム対応。」

 

「まぁ、楽しくは無いよな。」

 

「こんなことするために局員になった訳じゃないのになぁ。」

 

そう言ってヴァンは背もたれに体を預け、天井を仰ぐ。

 

「仕事っつうのはそんなもんだろ。今更変わろうとしても変われねぇよ。」

 

「もっと守れるものがあるはずなのに…。」

 

そしてまたため息をつくヴァン。

するといきなり地上本部のアラートが鳴り響く。

 

「「!?」」

 

そして状況と場所、出動する隊のアナウンスが流れる。

 

「……さて、お仕事ですか。」

 

「夕食は後かよ、はぁ。」

 

二人は座っていた席を立ち、指定された場所へ向かっていった。

 

 

~ミッドチルダ北部臨海第八空港~

 

ヴァンside

 

俺達は本部への報告を受け現場に急行した、

一等陸尉の上官率いる部隊は消火活動、及び民間人の救出を行っていた。

 

「……随分と酷い状況だな。」

 

「そんな事見ればわかる、今は救出が優先だ。行くぞ!」

 

ウォンテの合図と共にバリアジャケットを身に纏って救出を開始しようとした時、

 

「待て!お前達は中にいる大臣殿の救出に向かえ!」

 

すると俺達のモニターに情報が送られて来た。

俺はそれを見て疑問をぶつけた

 

「?大臣殿がいるフロアは既に陸上部隊が向かっています、俺達は中にまだ残っている民間人の救出へ向かいます。」

 

そしてその提案に対して返ってきた返答はあまりにも腹立たしい返答だった。

 

「民間人こそ後で良い!今は大臣殿を救ったという事の方が重要だ!地位の低い者が救うよりよっぽど受けが良い!民間人が災害で死ぬ事などごまんとある!上官命令だ!従え!」

 

「…………は?」

 

「お、おい、ヴァン!」

 

「ウォンテ、俺は俺のやり方で行く。大臣は任せておけばどうにでもなる。」

 

「っ!…わかった、なら俺もお前を手伝う。一人でも多くの命を救うぞ。」

 

少し小さめの声でお互いの意思を確認し合ったところで俺は上官を睨み付ける。

 

「大臣殿は既に救出の手が回っている!なら今はまだ手が回っていない人の所へ行くべきです!こんなところで受けなど気にしていられません!」

 

そう言って俺は空港へ向かって行った。

後ろで上官の止める声が聞こえたが振り切って中へ突入した。

 

「(誰か!中にまだ民間人が居ます!子供が二人と大人が一人!中にいる局員は情報をもとに救出へ向かって下さい!)」

 

「(念話か…。ウォンテ!俺は広場の子供の救出へ行く!)」

 

「(了解、俺は大人の方へ行く!くれぐれも死ぬなよ!)」

 

そして念話は切れる。俺は子供の元へ全力で向かって行った。

 

 

 

 

スバル・ナカジマside

 

 

熱い……。

私は…そうか、空港で…いきなり爆発が起きて……

 

意識が朦朧としていたがなんとか状況を飲み込み始めた。

 

私は、死んじゃうのかな?

もう、辺りは炎が……

助からないのかな?

 

 

………嫌だ。

怖い、怖い!怖い!

嫌だ!助けてよ!誰か!誰かぁ!

 

「……うっ!…グスッ……怖い…よぉ…!」

 

もうどうしようも出来なくて、泣いてしまった時、

私の位置から少し遠い壁が崩れ落ちた。

 

「…!」

 

それに連なるように壁や天井が私の回りで崩れて行く。

 

「…ッ!い、嫌だァ!誰か!誰か!助けてぇ!」

 

何度叫んだところで回りの騒音で掻き消されてしまう。

それでも、何度も叫んだ。誰かに届いてほしくて、助けてほしくて、何度も、何度も。

 

「っ!カハッ!ゲホッ!ゲホッ!」

 

壁や天井が崩れた時や火災の煙で喉がどんどん痛くなっていく。もう、叫べない。でも、まだ…!

 

「っ!誰か、助けt…えっ?」

 

希望を捨てずに、もう一度叫ぼうとしたところで私は自分の真上の天井が落ちてくるのが見えた。

 

『死んじゃう。』

 

私は目を瞑ってしゃがみ込んだ。

 

 

しかし、天井が降って来ない。

いや、落ちている、落ちているが、私に当たっていない

不思議に思って目を開き、見上げるとそこには一人の

男性が私を守ってくれていた。

 

 

 

ヴァンside

 

「よく生きててくれた!お前の声、ちゃんと聞こえたぜ!」

 

危なかった、もう少し遅かったらこの子に当たるところどった。

 

「急いでここからでないといけない!君!ちょっとこっちに来て!」

 

子供を抱き上げ、急いで出ようとしたとき、此方へ一人の女性が飛んで来た。局員だろうか。

 

「良かった、この子は無事みたいだね!」

 

おそらくこの人もこの子の救助に来た人だろう。

そうだ、もう一人子供がいるんだった!

急いでそっちにも行かないと!

 

『こちら地上部隊!情報の入っていた民間人の救出が確認されました!空港内にいる局員は直ちに撤退してください!』

 

救出の確認?という事はウォンテももう一人の子も無事ってことか!

 

「急いでその子と一緒に脱出しましょう!」

 

と、女性に言われたので、先に出口へ進んでいった女性の後ろを子を抱えてついていく。

 

 

 

その後、多くの局員の仕事により炎は無事鎮火。

火災の原因はガジェットと呼ばれるモノの仕業だと

わかった。これで一件落着、とはいかず、

上官の命令に背いた俺とウォンテは2週間の謹慎と、

1週間講義を受け、二等空尉から三等空尉へ降格された

 

 




StrikerSは専門用語が多いからムズィ…

指摘等ございましたら遠慮なくどうぞ

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