世界創造者   作:エターナルロリコン

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第十二話 モンスターマスターの村 クレアル

 クリス達は森に入ってから時々出会うモンスターと戦闘をしながら出口を目指していた。

 

「はぁぁ!!」

 セームの回し蹴りが敵の腹部に直撃し、ぶっ飛んでいく。

 

「ナイス! よし、俺も!」

 クリスは目の前にいる残り一体を右足で蹴りモンスターがよろけた瞬間、

「一閃! 終爆!」

 

 クリスは敵に向かって走り出し敵に切り抜けで一撃与える。

 

 攻撃を受けたモンスターは、全身に小さな電が無数に走っているのが見える、これがスタン状態のエフェクトだ。

 

 その後ゆっくりと太刀を鞘に納刀する。

 

 ……パチンッドカンッ!

 

 鞘に納めたのと同時に切り抜けでスタンしていたモンスターが爆発した。

 

 クリスの自作スキル『属性付属』で爆破属性を付属して行う技である。

 つまりスキルの技ではなくクリス独自の技である。

 

 ……ダサいなこの技名……後で考え直すか。

 

「クリスさん、お疲れ様です」

 セームが自分で蹴り飛ばしたモンスターが落としたドロップアイテムを手に持ち、小走りでクリスに近づいてくる。

「お疲れ〜……お、セームが持ってるそれレアドロップアイテムじゃん」

 

 セームが持っているアイテムは”魔岩”と言って、結晶系のアイテムである。

 ”魔岩”は名前の通り魔力のこもった岩で、ゴーレム系やロック系モンスターからドロップ出来る。

 レア度は全10段階で、1が無2〜4がノーマル5〜7がレア8〜10が激レアとなっており、この”魔岩”はレア度5である。

 ”魔岩”は魔力を使う銃や魔法使いなどが使う杖の作成や強化に使用できる。

 

「え、そうなんですか? ……クリスさん、このアイテム要りますか?」

「えっ?」

 クリスはセームの問いかけに驚いた。

 なぜなら自分で採ったレアアイテムを渡そうとしてきたからだ。

「いいのか? レアアイテムだぞ?」

「はい……私に今必要なのはアイテムよりも力です……守りたいものを守れる力を……なので貰ってください」

 そう言ってクリスの手を取り

、手のひらにその魔岩を置いた。

 

「……セームがいいならありがたく貰っておくよ……ありがとう」

 セームは笑顔で「いえいえ」と首を振りながら答える。

 

 さて、あと少しで森から出られるな……といってもそろそろ疲れてきたな。

 

 それもそのはず、森に入ってから2人は休む暇もなくモンスターと戦いながら進んでいる。

 さっき2人が倒したモンスターですでに15体目だった。

 

 流石にセームも疲れてきてるだろ。

「セーム、この辺でちょっと休憩しようか」

 クリスがセームの方へ身体を向ける。

「分かりました!」

 笑顔で返すセーム。

 だが、顔色を見る限り疲れてはいない様子。

 

 さ、さすが武闘家に転職しただけはあるな、タフだ……むしろ男である俺よりタフなんじゃないか?

 

 そんなことを思いつつ、クリスは大剣を取り出し柄に呪符を巻き付け、それを両手で地面に突き刺した。

「結界!」

 テントで休む時に張った結界よりもやや小さいが、同じものを展開させる。

 その後、机と椅子も取り出す。

 

「セーム、お待たせ……椅子1つしかないから、セームが座っていいぞ」

 クリスはセームに気を遣い椅子を譲る。

「いえいえ、クリスさんが座ってください」

 両手を横に振り遠慮するセーム。

「遠慮するな……ほら」

「……すみません、ではお言葉に甘えて」

 セームがスカートを軽く抑えながら腰掛ける。

「さて、俺は……っと」

 クリスは辺りをキョロキョロと見渡す。

 

 お、いいの発見……アレでいいか

 

 クリスは結界の若干外側に落ちている平らな岩を見つけ、その岩を机の近くに運ぶ。

 

 この岩凄く冷たいな……もしかして。

 

 机の近くまで運んだクリスはその岩を持ったまま、

「すまんセーム、ちょっとこの岩軽く砕いてくれないか?」

「え? どうしてですか?」

 突然言い出したクリスに戸惑いの表情をするセーム。

「この岩……もしかしたら冷鉱石かもしれん」

「れいこうせき?」

 

 ”冷鉱石”とは氷が雨などで大きくなったもので、なぜ溶けないのかは未だ解明されていない。

 表面はまるで太陽に焼かれたかのように灰色に変色するため見た目では、タダの岩にしか見えない。

 そのため触ってみないことには分からない。

 

「分かりました、クリスさんそのまま持っててくださいね……叩き割るので」

 そう言って椅子から立ち上がり、腕を軽く鳴らす。

 クリスは落とさないように下から抱え込むように持ち替える。

 

「……はぁー、ふぅー」

 ゆっくりと深呼吸をしセームは構えた。

「よし、セームの好きなタイミングで構わんぞ」

 セームはゆっくりと右手を握りしめ、そして

「はぁぁぁ!!!!」

 クリスの持つ岩に目掛けてストレート。

 

 ガン!!!!

 

「痛っ!」

 冷鉱石があまりにも硬くセームは殴った右手を抑えた。

「大丈夫か!?」

 岩を落とし迷わずセームの右手を取ったクリスは、

「リカル!」

 セームの右手を両手で覆い、傷を治す。

「ありがとうございます」

「いや、ごめん……まさかそんなに硬いとは思ってなかった……」

 さて、どうやって砕こうか……

 

「あっ、クリスさん下!」

「え?」

 セームに言われ、下を見る。

 先ほどクリスが落とした岩は落ちた衝撃で少し欠けていた。

 その欠けた部分が青く光っている。

「キレイ……」

 セームがボソッと言う。

 

 クリスはその岩をゆっくりと持ち上げ、

「武器の強化や作成に使えそうだな……持っていくか」

 そう言い、体内に取り込んだ。

 

「すまんなセーム、あまり休憩出来なかったな……」

 セームは首を振り、

「いえ、もう行きますか?」

 クリスは「あぁ」と返す。

 

 椅子と机をしまい、結界を張るために地面に突き刺した大剣を抜く。

 抜いた瞬間結界が消える。

 

「もう少しで森も抜けられるだろう」

 セームは笑顔で「はい!」と答えた。

 

 

 

 それから30分程で森を抜けた。

 

 すると突然セームが走り出す。

「クリスさん! 早く早く〜!」

「待てよー! セーム!」

 

 セームを追ってクリスも走り出す、そしてセームが立ち止まった所に着くと、

「クリスさん、ここが私の生まれ育った村”クレアル”です!」

「ここが……クレアル」

 

 クレアルはこの世界唯一”モンスターマスター”が暮らしていると言われている村である。

 

 クリスが入口手前で立ち止まって辺りを見渡していると

「とりあえず、村長に挨拶しに行きましょう!」

 

 セームはクリスの手を取りまたもや走り出し、それに引っ張られるかのようにクリスは村へと入っていた。


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