遠坂家は、200年以上の歴史を持つ魔術師一族だ。
元々は日本に住まう“隠れキリシタン”の家系であったが、当時の当主であった遠坂永人が、ふらりと現れた“魔法使い“の存在に感銘を受け、勧誘されて弟子入り。
以降、魔法使いに伝授された“転換”性質の魔術を代々磨き続け、現代に至る。
故に、遠坂家は“魔術協会”と“聖堂教会”、両方と深い繋がりがあった。
だからこそ、中立的な立場と“魔法使いの弟子”という強力な背後関係を持つ遠坂家が、当時既に反目しあっていた二つの組織から冬木の地の管理を任されたのである。
『アインツベルン』と『マキリ』という、二つの先達大家と共に、儀式に参加するコトとなった。
全ては、聖杯戦争という“奇蹟を起こす大儀式”を成立させるため。
二百年の長きに渡る、遠坂家の道のりの始まりは、そこであった。
特級の霊地であり、聖杯戦争という強大な魔術儀式が敷かれた冬木という地を魔術的に管理するには、並大抵の精神力では勤まらない。
故に、『優雅たれ』。
常に余裕を持ち、確実なる研鑽に裏打ちされた実力でコトに当たる。
それこそが遠坂家の信条であり、理念であった。
遠坂家六代目当主…遠坂凛は、勿論それを胸に生きてきた。
亡き父の遺志を継ぎ、此度開かれる“五度めの聖杯戦争”を成功させるために。
万能の願望器などに、かける望みはない。
そこに定められた戦いがあるならば、当然に勝たねばならないからだ。
そう、ただ優雅たる生を謳歌する為に。
2004年 1月中旬 午後
冬木市 深山町 遠坂邸
(な、なんで貴女がココに来てるのよーッ!)
遠坂凛は、優雅たりえない狼狽ぶりで、心中にて叫んでいた。
今日は、午後からの来客に備えて準備をしていた。
時計塔から招待され、此度の聖杯戦争に参加する“中東魔術師の長”…アトラム・ガリアスタを招く為だ。
なんでも中東の石油採掘件…その大半を握る石油王であり、その魔術も、時計塔での地位も、聖杯戦争参加権すらも金で買い取ったという豪腕魔術師らしい。
歴史で言えば遠坂家の半分に足りるかどうかの歴史の浅い一族ではあるが、その存在感は既に時計塔でも無視できないレベルに達しているという。
そんな男が、戦争とはいえ魔術儀式に参画する故の礼儀を通すと来訪する。
本来であれば来日して直ぐ挨拶に来て然るべきであったのだろうが、ガリアスタは新都に高層ビルディング一棟建設し、まるまる自らの工房に仕立て上げてからやっと連絡を寄越してきた。
時計塔への影響力を傘に着た、強気なやり方だ。
“知り合いの神父”の話によると、キャスタークラスのサーヴァントが喚ばれた頃と、奴が冬木市に工房を設置した時期は重なる。
恐らく、今日の来訪にはサーヴァントを連れ立って現れる筈だ。
威を示すのと同時に、管理者への礼を通す目的の来訪であるならば、そうするのが正しい。
私は、未だサーヴァントを召喚していない。
自分の魔術に適した日取りを決め、最高のサーヴァントを引き当てるために、今はまだ待つ。
だから…今日は、アトラム・ガリアスタという魔術師を見極め、少しでも多くの情報を得る会合としなければならない。
そして、遠坂の主として優雅たるコトを、外様の魔術師に示す。
そう考え、気合いを入れて臨まんとしていたのだ。
だのに……
(いやぁ…さっき、お好み焼き屋さんで偶然会っちゃって。
そしたらなんか…成り行きで。)
なんで、いきなり想定外の奴が居るかなー!?
沙条綾香。
お父様が亡くなった後の私の生活を繋ぐため、後見人として財産管理をしていた“クソ神父”が売っ払っちゃった、元はウチの土地だった超級スゴい龍脈上の土地に住む魔術師。
コイツは、父親や姉がいろいろやった結果“聖杯戦争には参加しない”立場で冬木に住んでた筈なのに…!
(どーゆー成り行きよ!
よりにもよって時計塔の成金と連れ立って、今日という日に現れるって…アンタ私に喧嘩売ってんの!?)
(いやいや、そんなつもり無いから!
ホント無いって!
私はあくまで“部外者”として、今回の戦争で中立的な立場から、二人に話がしたいだけ!)
(あー!?)
いつも通り、念話でキンキンやりあってしまう。
他者に感知される心配は無い、ハズのだが…。
「…いい加減、脳内でのヒソヒソ話は切り上げて貰えるかな?
トオサカの当主よ。」
流石に、睨み合いが長く続いてしまったからか、痺れを切らしてアトラム・ガリアスタが口を開いた。
玄関先で突っ立って客人を待たせてしまうなんて、優雅じゃない真似を私は…!
「…し、失礼しました、ミスタ・ガリアスタ。
改めまして、本日は良くぞお越しになって下さいましたわ。
では、どうぞお上がりになってください。
“従者”の方も、どうぞご一緒に。」
私はなんとか建て直し、彼らを屋敷に招き入れる。
人智を超えたチカラを持つサーヴァントを、客人として招き入れる。
この行為は、暗に“暴虐に出るような愚を冒すモノは、礼を失するモノ”であるというコトを示す行為でもあった。
「ありがとう。
では“キャスター”。
お言葉に甘えて同行しろ。」
それを、当然のように承知していたであろうガリアスタ。
やはり、
『畏まりました。
ガリアスタ様。』
…今、あっさりと自分のサーヴァントのクラスを明かした!?
まだ、厳密には戦争も開始前だというのに…!
思わず、目を見開いて術の主従に視線を送ってしまう。
「何、此度はセカンドオーナーである貴女への挨拶が、半月ほど遅れてしまったのでね。
その謝礼としてならば、この程度の情報は安いものさ。
気にしないでくれたまえ。」
肩を竦め、ガリアスタは笑う。
…なるほど、先手を打たれた。
これから聖杯戦争という“情報がモノをいう戦争”を戦う上では、サーヴァントのクラスは現状、かなり大きな手土産と言える。
まして、拠点に籠って戦う、虚弱で弱点の多いキャスタークラスの情報ともなれば尚更だ。
ガリアスタ陣営にとって、どれ程の重要度の情報なのかは判断がつかないが、それでも客観的に見れば十分に過ぎる。
このカードを切られては、“無礼を働いた客人”に対する態度で接するコトは出来なくなった。
侮れないわね、アトラム・ガリアスタ。
「邪魔すんでぇ~。」
何食わぬ顔で、二人に続こうとする綾香。
「ハイ、邪魔すんねやったら帰ってー!」
すかさず、
鋭い肘が綾香を襲う!
「あっぶない!何すんの…」
『あいよー。』
綾香が激怒するより早く、サーヴァントが踵を返して立ち去ろうと歩み出した。
「待て待て待て待て!」
咄嗟に止めにかかるガリアスタ。
『帰ってと仰られたので…。』
「素直に帰ってどうする!
用があるから来てるんだろうが!」
キレ味の良いツッコミ。
よその国の人とは思えないクオリティに舌を巻く。
「あと、ミス・トオサカ。
ミス・サジョウとも話があるので同席を願っているワケだから。
君にも益となる話の筈だ。
故に、彼女の参加も認めて欲しい…良いかね?」
…想定外だが、仕方ない。
彼女にはあくまで部外者を貫いて欲しかったのだが。
「ハァ…わかりました。
じゃ、皆上がって下さい。
今、お茶をいれますので。」
……………………………………………………
いれたての紅茶と、ショートブレッドクッキー。
ささやかな持て成しの席で、四者の会合は始まった。
挨拶もそこそこに、ガリアスタの魔術師はひとつの提案に纏わる話を展開する。
冬木の街を、聖杯戦争の被害から護るための協定。
それを、同じ時計塔所縁の魔術師である綾香からの提案があったとはいえ、外様の魔術師である彼が考慮するとは。
勿論、冬木のセカンドオーナー…管理者一族である私としては、それが成るに越したコトはない。
しかし大儀式にして、最上の使い魔である英霊のサーヴァントを用いる決闘儀式に於いてそれを考慮するというのは、魔術師としては甘きに過ぎる愚である、とも言えた。
…それでも、私は街を管理してきた遠坂の長としての誇りを持って勝利したい。
こういう部分が“心の贅肉”なのかもしれないが、これを削ぎ落として目的を達するコトが、“自分の選択”として正しいモノだとは思えなかった。
しかし…
「…その条件が、冬木に住む魔術師の情報…というのはね。」
そればかりは、管理者である私が許容するワケにはいかない。
それは、庇護下に在るモノ達を売るコトに他ならないからだ。
「ああ、勿論それについて
ただ、私とミス・サジョウの協力体制を把握し、街に被害が出る状況になれば互いを邪魔しない…そういう黙認の確約さえ取り付けてくれれば、それで良い。」
「…なるほど。
あくまで、この契約は貴方と綾香の間でのみ交わされる取り決めである。
それを私が知ってさえいれば問題ない、と言いたいのですね。」
確かに、私と綾香の希望は重なる。
故に、彼女の目的を損なうコトは無いだろう。
それに協力するモノが居たならば、その場に於いてはソレを害するコトもしない。
しかし…
「他陣営からしてみれば、私たちが協調している様にも捉えられかねませんね。」
「そう思いたい連中からは、そう思わせておいてやればよろしい。
実際、複数のマスター間で組むコト自体はルール違反ではないのだからね。
それに…状況次第では実際に手を結ぶという選択肢も吝かではない。
ミス・サジョウの目的と完全に合致した暁には、君とてそれは同じだろう?
ブラフなのか真実なのか、それを開示するのか秘匿するのか。
情報をコントロールするというのも、魔術戦では重要なコトだよ。」
そう言って笑い、ティーカップに口をつけるガリアスタ。
…やはり、中東の魔術社会を牛耳り、西欧魔術社会においても大きな影響力を持つ男というだけはある。
魔術の腕では負ける気は勿論無いが、戦火ゆらめく実際の闘争と、権謀術数乱れ舞う政略を戦い抜いてきた強者。
しかも、世界でも有数の億万長者。
それが、目の前の男なのだと痛感した。
彼を超えなければ、聖杯戦争で勝ち残ることは出来ないのだ。
「じゃあ、そーゆーコトでよろしく。」
綾香は、聖杯戦争参加者同士の睨み合いなどはドコ吹く風で、ぱくぱくとクッキーを食いまくっていた。
…こいつ、この前にお好み焼き九枚も食べたとか言ってなかったっけ?
この細い体のドコに、食べたモノとぶっとい肝っ玉が詰まってるのか、ヒラキにでもして拝んでやろうか。
『失礼、ちょっと良いかな?
トオサカの当主さん。』
唐突に、今まで黙っていたキャスターが口を開く。
…そう、このサーヴァントと宣う何者かにも疑問を感じていたのだ。
なにせ、
キャスターというだけあって、高位の魔術師であればそういう隠匿術も行使可能なのかもしれないけれど…。
それに、この男…口調や雰囲気が変わった?
「…なんだ。
発言するのか、キャスター?
この期に及んで、お前が何を語ると言うんだ。」
ジトっとした目で、キャスターを睨むガリアスタ。
先ほどまでの接し方と違う気がする。
『ああ、ちょっとしたコトだよ。
コレについては未だマスターにも話してなかったから、少々憚られるんだが…まあ、こちらの陣営の利益を損なう質問じゃない。
だから、どうか発言を許して欲しい。
構わないかな?』
軽妙な口調で、三者を順に見ながら確認するキャスター。
…なんかイラっと来る
「…まあ、ミスタ・ガリアスタが許可するなら、私は構わないけど。」
「…その話、私にも関係するの?」
クッキーをカリカリ食べ続ける綾香が問う。
なんか
『勿論、関係する。
むしろ、この街を護るために広く活動するであろうキミにこそ、この質問は投げ掛けたいんだよ。
どうかな、マスター?
許可はもらえるだろうか?』
己がサーヴァントの問いに、むっつりと黙っていたガリアスタは、一旦息を吐いて重い口を開いた。
「…良いだろう。
後で、どういうつもりなのかは聞かせてもらうからな。」
『了解、感謝するよ。
まあ、質問したい内容は至ってシンプルだ。
この街に、不審な人物が侵入した形跡は無いかね?』
…よりにもよって、サーヴァントがそれを聞く?
どういう意図の質問よ。
「…そんなの。
これから魔術師同士の戦いが始まるのよ?
一般的に見て不審な輩が、わんさか集まるでしょうよ。」
『ああ、それはそうだな。
勿論そのとおり。
だから…“明確にこういう奴”が現れたら、僕に教えて欲しいって人物をリストアップしておいた。
…まあ、中には地球人類じゃないやつも、人間ですらないやつもいくらか居るが。』
そう言って、キャスターは懐から一つの箱を取り出した。
黒いプラスチックらしき素材と、銀色の金属で構成されている。
「…なにこれ?」
『この中に、この街に潜んでいるかもしれない“
出来れば、この会合の後にでもチェックして見て欲しい。
現れなければそれで良い。
だが、もしリストアップした悪党を見かけるコトがあったら、是非僕に知らせて欲しい。』
情報が込められている…つまり、これはそういった機能を持つ魔術礼装ということ?
あまり魔術的なアイテムには見えないけれど。
こんなの始めて見るし…。
「ふーん。
まあ、見るだけなら見ても良いけど。
で、これってどうやって中身を確認するの?」
私の発言に、周囲の空気が凍りついた気がした。
三者三様、思い思いの表情で私を見つめている。
…え、何。
私、そんな変なこと言った?
『どうやってって…手っ取り早くPCに繋げてくれれば良いさ。
普通のUSBメモリだからね、これ。
PDFファイルで纏めてあるから、2004年現在ならば、よほど旧式のハードでもない限り確認できると思うよ。』
…???
…ぴー、しー?
ゆー、えす、びー?
ぴーでー…えふ?
言ってる意味がわからない。
やはりこのキャスター、神代の魔術師だとでも言うの?
現代の魔術師では解読できない、特殊な魔術言語を唱えられてしまったのかしら。
「…あー。
キャスターさん。
遠坂さんは古いタイプの魔術師だから。
コンピューター関係の知識については、1930年あたりにお生まれになられた御老人とかよりも疎いんですよ。」
乾いた笑いを浮かべながら、綾香が呟いた。
…え?
じゃあなに、これって現代の機械道具なの?
こんなちっちゃいのに?
『…冗談だろう?
2004年だぞ。
AndroidやiPhoneが出回って、子供のPC離れが囁かれ始めた時代じゃない。
それに、すっかりハイスクールのカリキュラムに
WindowsもXPが登場して久しい頃でもある。
先進国である日本の…しかもうら若きティーンエイジャーが、USBメモリの存在すら知らないなんてコトが有り得るのか?
偉大な魔術師一族とやらは、生きた化石か何かなのか?』
なんだか、またワケのわからない単語を羅列してくるキャスター。
や、やめて!
聞いてるとアタマが痛くなる!
やっぱりキャスターの精神汚染攻撃なのでは!?
「うわっ、アタマを抱えて呻き出したぞ!
やめろキャスター!
コンピューター関係の単語はもう出すな!」
「と、遠坂さん!
大丈夫、怖くない!怖くないよ!
ほら、落ち着いて!
紅茶飲んでほらほら!」
……………………………………………………
2004年 1月中旬 夕方
冬木市 深山町 道路
「…追い出されちゃいましたね。」
「お前が、唐突に余計なコトを言うからだぞ。
キャスター。」
『…僕のせいなのか?
アレは。』
知恵熱を出して倒れてしまった遠坂さんを残して、私達は遠坂邸を後にした。
キャスターさんからのお願い情報については、私が後日遠坂さんに教えてあげるとしよう。
しかし…このキャスターさんというのも謎なヒトだ。
英霊だと宣うワリには、現代的知識が豊富すぎる気がする。
サーヴァントとして喚んだとき、現代知識が聖杯から付与されると聞いたコトがあるけど…その範疇を越えていないか?
…まあ、私は彼と戦うコトは無いのだし。
気にする必要も無いのだろうけど。
「…まあいい。
すべき話は一通り済ませた。
あとは、君から情報を聞き出すだけだ。
ミス・サジョウ。」
「そうですね…。
では、立ち話もなんですから喫茶店にでも入りましょう。
注文すれば、なんでも出してくれる面白い店があるのですよ。
麻婆丼でも、カレーでも、トムヤムクンでも、ソムヤムタイでも、ポッピア・ソッとか、カオ・オプ・サッパロットとか。」
『…まだ食う気なのか。
ホントにサーファー君並みだな。
というか、タイ料理の割合が半端じゃないんだが。』
取り敢えず、遠坂邸の在る丘を下りながら会話する。
目的地の喫茶『アーネンエルベ』は新都側に在るので、橋を渡って向かう必要があった。
「おや?」
遠目に、数人の人影を見つけて立ち止まる。
合わせて、二人も
「うん、どうしたんだい?」
「いえ、ちょっと…。」
私が視線に捉えた先には、少年少女を連れだって歩く女性が居た。
私の学校の先生である、藤村先生。
それと、確か“後藤くん”のクラスメイトであったハズの衛宮くん。
それから…ワカメの妹の桜さん、だったっけ。
買い物袋をたくさん抱え、つかれた表情だけども朗らかに歩み行く。
三人は、こちらに気付いてはいない。
車線の向かい側に居るし、車通りも多いからだろう。
『…二人は年齢が君と近いな。
スクールメイトかい?』
「…特別仲の良い子達じゃないですけどね。
それと、一人はウチの学校の英語教師です。」
つい、語気に感情が乗ってしまったコトを、私自身も感じていた。
『あれが、君が護りたい街の一部というワケか。』
何か、彼の言葉にも熱が籠められるのを感じる。
彼も、やはり一廉の英霊というコトなのだろう。
「そんな、大それた気持ちを持って臨んでいるワケでは無いですけどね。」
その言葉に、アトラムさんの目が細められた。
「…ならば、逃げ出そうとは考えなかったのかね?
確かに霊地は大事だ。
だが、命に勝るモノでは無いだろう。
聞けば、君の一族は長年この土地で生きてきたワケでもないという。
時計塔とも強いコネクションを持つ君が、命を懸けてまでこの街に固執する理由になるというのか?」
中東という一つの地域を支配する、誰よりもヒトにとっての土地という存在の大事さを理解する魔術師。
彼が、承知の上で敢えて問う。
程度はともあれ、これから協調するにあたっての相手を、見定めるための質問であると感じられた。
「…これは、遠坂さんにも訊かれて答えたコトでもあるんですけど。
たしかに、そもそも関わる必要なんてないのかも…なんて弱い考えを封殺できるほど、私は強くはないです。」
去り行く学友と先生の背中を眺める。
考えが吐き出される。
うん、言葉にすると、やはり覚悟が体に染み渡る。
私は、改めて二人の方を見据えて笑った。
「でも…『やれることをやらずに逃げた過去』…。
…そんな重荷を一生抱えて生きられるほどの強さも持ち合わせてないっぽいんですよね。
これが。」
閲覧ありがとうございました。
というわけで、あかいあくま登場回でした。
あらゆる意味で、トニーとは相性最悪ですね。
五次マスターでトニーと相性が良いマスターって、アトラムかイリヤ…あとは慎二くらいかなと思われます。
士朗でもいいけど、性能面でまったく噛み合わないからダメですね多分。