Fate/IronAvenger   作:デイガボルバー

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とりあえず、一話だけ勢いまかせに投稿してみます。
よろしくお願いします。


開戦前
Episode1:英霊召喚


「ああ、僕なら君らエルメロイと同じ轍を踏んだりしないとも。

せいぜい指を咥えて、勝利者となった僕の帰還を待っているがいい。」

 

 

 

僕は友人に向けて、怒りも隠さずそう言った。

これから始まる、参戦するコトが魔術師としての誉れと名高い決闘儀式…聖杯戦争。

そこで聡明なるロード・エルメロイⅡ世を相手取り、魔術師として誇り高き決闘の末に勝利する。

その光景を夢見て心踊っていた僕を、彼はなんとも失望させてくれたものだった。

 

…まあいい。

いや、内心全然良くないしモヤモヤはしているのだが、それだからこそだ。

故にこそ、僕は此度の戦争を優雅に勝ち抜いて見せるさ。

それをもって証明としてくれる。

このアトラム・ガリアスタこそは名高き現代魔術科(ノーリッジ)のロード・エルメロイⅡ世と並ぶ、当代きっての優れた魔術師だということを、ね。

 

 

 

………………………

 

 

 

…西暦2004年、1月。

僕、アトラム・ガリアスタは日本の地方都市・冬木の地に降り立った。

首筋を隠すまで伸びた煌めくブロンドの髪と、艶やかな褐色の肌。

それらを戴く美しい相貌は、平たい顔のジャパニーズ諸君からすると、さぞかし眩しくその眼に映るコトだろう。

ははは、ホラ。

道行くご婦人がたが、僕に見惚れている。

解っているとも、僕は美しい。

だが、日本の女性も中々どうしてエキゾチックで悪くはない。

この長い滞在期間、何人か(ねや)を共にするのも吝かではないかもだ。

 

…しかし、なんというか。

冬季の日本は、寒い。

遠路はるばる意気揚々と臨んだ僕であるが、このカラッとしたうすら寒さに出鼻を挫かれそうになった。

 

我が家の有する大規模油田による石油資源は、僕のホームである中東地域から遠く離れたこの島国にも多大な恩恵を与えている。

故に、商談のためにあらゆる地域の言語を習得した僕は、当然日本語も巧みに操る…

 

が、それだからとはいえ、この国の土を踏んだコトなどは、これまでの人生で一度たりとも無かった。

というか、用事が無い。

同じ島国と言えど、魔術協会の中心たる時計塔とUKロックがあるイングランドに比べれば、申し訳ないが僕としては興味の対象にはなり得ない。

商談は我が国に居ながら行うコトが可能なモノだし、何より優れた魔術師である僕にとって、この国は特段魅力的なモノではなかったからだ。

 

 

「魔術師…魔術、か。

そうだとも。

僕は、魔術師だ。」

 

 

口の中で、誰にも聞こえない音で小さく呟く。

 

我が家が油田の他に確かに所有する技術的資産、《原始呪術》。

何かを損ない、それを元手に利益を得るコトを基本とする、中東地域にて古くから伝わってきた呪い。

あまりに単純で、それゆえに世界で最も歴史あるカタチの魔術体系…そのひとつである。

我が一族が百年程昔、富める貴族の嗜みとして、下々の魔術師から買い取った技術だ。

流石の慧眼と言える。

 

一族の中でもとりわけ祖父は、この星の抱えるエネルギー資源の未来を見据えていた。

今はザブザブと涌き出て恩恵を与えてくれる我が家の油田も、やがては枯渇するだろう。

それが私の代か、先の子孫の代のコトかは分からない。

しかし、いつかは必ず来る『飢え』の事態に備え、我らは新たなエネルギー資源を模索せねばならないのである。

そのための魔術だ。

そのために、西欧の時計塔などという黴臭い魔術社会にも干渉する。

我が一族の繁栄を、揺るぎ無いとこしえのモノにする為にも。

 

…父は、それを理解していなかった。

富に慢心しきっていた。

堕落していた。

祖父が残した、新たなエネルギー資源への糸口である原始呪術を、ただの財テク程度にしか見ていなかった。

 

そうではない…そうではないことを、証明しなければならない。

それだからこそ、僕はこの遠い島国にやってきたのだから。

 

 

 

…聖杯戦争。

 

あらゆるすべての願いを叶えるコトが出来るとされる、万能の願望機…《聖杯》を奪い合う、魔術師の闘争。

 

聖杯を欲する七人の魔術師・マスターと、彼らと契約した七騎の使い魔・サーヴァントがその覇権を競い合う。

使い魔といっても、そんじょそこらの下級な獣や霊体などではない。

英霊…偉業を成し遂げ、歴史に名を刻み世界に召し上がられた者達。

その写し身を、聖杯のバックアップを受けて召喚せしめる。

そして競い合い、殺し合い、末に残った一組にのみ、聖杯を手にして願いを成就する権利が与えられるのだ。

 

調べたところによると、これは二百年近くも昔から続く大儀式であるらしい。

あらゆる願いを叶える奇跡を実現させようというのだ。

生半なモノでは無いというコトだろう。

 

だがしかし、僕は正直この、なんでも願いを叶える杯とやらに興味はない。

そんな胡乱げなモノに願うまでもなく、大抵の願望は我が家の富をもってすれば叶ってしまうのだから。

僕が欲しいのは誉れだ。

この戦争に勝ち抜き、魔術師として偉業を成し遂げたという実績が欲しい。

それこそが、家名と富以外はたかが知れてると陰口を叩かれる、我が家の魔術を魔術社会に認めさせる最良最短の手段に他ならない。

それが成れば、原始呪術と“現代科学”を交え発展させた、僕の魔術の優良性を証明するコトが出来る。

 

…それこそが、尊敬する祖父が夢見た、新たなエネルギー資源への扉を開くカギとなるのだ。

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。 」

 

 

だから、やってやる。

 

 

「四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。」

 

 

証明してやるさ。

 

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する。」

 

 

 

ビルディングをひとつまるごと購入し、魔術工房も設置した。

召喚のための触媒も、入手した。

ギリシア神話に名を残す、偉大な魔術師…

“コルキスの魔女”を呼び出すに足る、旧い文献。

 

 

 

「――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。」

 

 

 

この戦争、僕のような富めるモノが喚ぶならば、恐らく“キャスター”こそが必勝の選択肢だ。

彼女は恐らく、最強の幻想種・竜を呼び出す宝具…『金毛羊皮』を持つ。

我が原始呪術によって無限の魔力を持つコルキスの魔女が、竜を喚ぶコトが出来れば、まさしく無敵だ。

そして、神代の魔女が持つ知恵で、我が呪術をさらなる高みへ…!

 

 

「誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。」

 

 

ふはは、完璧だ!

見ていろ、エルメロイめ!

僕の完璧なる栄光へのロードを!

はっは、景気付けにBGMとしてかけていたBlackSabbath(ブラックサバス)iron man(アイアンマン)も、心地よい重低音を上げているわ!

ッハー!

やっぱアガる曲だわー!

 

 

「汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

英霊召喚のための詠唱を唱えきった、その刹那。

眩く溢れる光と共に、バックグラウンドミュージックに映える様な重い金属音が、アトラム・ガリアスタ所有の魔術工房ビルディングの一室に響いた。

 

 

「……え?」

 

 

光が止んだ先…英霊召喚の為の魔術式が描かれた、大理石の床には、“ある物体”が佇んでいた。

左膝と右手を床に突き、顔を伏せるソレは、確かにヒトのカタチはしている。

英霊と言うくらいだ、ヒトのカタチは保っていて然るべしであろう。

だが…

 

「…誰だ、お前は。」

 

アトラムは動揺を必死に圧し殺し、目の前のソレに問い掛けた。

確かに、人のカタチをしてはいる。

しかしそれを、容易く偉業を成したヒトの英霊であるとは判断できなかった。

これが、狙い通りに召喚された、コルキスの魔女その人であるとも。

 

「…誰?

その問いにはどういった意図が?

失礼、この場には他に該当者がいらっしゃらないようですし、貴方の身体からはどうやら、高純度の…アー、なんらかのミスティックなパワーを検知できます。

それ故に確信をもって問わせていただきますが、貴方は聖杯戦争にて私を召喚したマスターなのでは?」

 

ひれ伏したソレは顔であろう箇所を持ち上げ、男性の軽妙な口調で問い返した。

 

「…それは、そうだ。

しかし私は、古代ギリシアの旧い文献を触媒に召喚儀式を行ったのだ。

その結果として呼び出される存在としては…君は、どう見ても相応しくは無い。」

 

そうだ、相応しくない。

少なくとも、コルキスの魔女本人や、その縁の英霊にすら見えない。

 

「ははぁ、ナルホド。

ハッハ、それは確かにその通りでしょうね。

申し訳ない、随分と面食らったでしょう。

なにせ、見ての通り…」

 

言いながら、両手であろう箇所を左右に広げてソレは立ち上がる。

金属音と、何らかの駆動音を響かせながら。

 

 

 

 

 

I AM IRON MAN.(私はアイアンマンだ。)

 

 

 

 

 

目の前のソレは、機械人形(ロボット)だった。

シンプルで頭の悪い表現かもしれないが、そうとしか言いようがない。

赤と金色を基調とした、メタリックなボディ。

掌の丸い孔、胸部中央のハート型のスポット、そして眼に相当するであろう顔面部分の横穴二つがそれぞれ輝く。

顔面部には、目の他に鼻や口、耳といったパーツは見られない。

今現在、先進国で実用に向けて研究がなされている玩具のような二足歩行人形…

それらとは比べるべくもない精巧な機械人形が、眼前に在る、と感じられた。

否、しかし…

 

「…君が、英霊だと?

その姿はなんだ?

鉄の男とは…自動人形(オートマタ)だとでも言うつもりか?

それにしては、あまりにも…」

 

自動人形とは、魔術で動かす操り人形の使い魔である。

その可能性だって十分にある。

だが、人形の英霊などとは聞いたことがない。

しかも、こんなにメタリックで科学機械寄りな印象のものなど。

 

「オートマタ?

魔術とやらを使ったロボットか何かですか?

ウルトロンみたいなものかな…。

アー、違う違う。

ともかく私は人形ではありませんよ、ホラ。」

 

言うと、ソレを構成していた金属的なパーツの全てが消え去った。

否、胸の中央に輝くハート型の何かに、液体の如く流動的に吸収されていった、という表現こそが正しいのかもしれない。

友人であるロード・エルメロイⅡ世の義妹…

かのライネス・エルメロイ・アーチゾルテの操る魔術礼装にも似た動きだったが…?

 

「ね、言ったでしょう?

先ほどの姿も、正直シビれるぐらいクールでイケてると自負してはいますが、“アーマー”を脱いだ私も、中々どうしてホットだ。

妻には、生前よくそう言われたモノですよ。」

 

現れたのは、一人の中年男性だった。

自分ほどではないが、まあハンサムと言えないこともない、とアトラムは感じた。

口髭と顎髭をキチッと切り揃えた、白髪混じりの男。

我が父よりも、幾分若い程度だろうと思われる。

黒いスーツをカジュアルに着こなし、ワインレッドのインナーの上には、例のハート型のパーツが輝く。

その姿に、たしかに自動人形ではないにせよ、ますますアトラムの疑念は深まった。

 

「…君の奥方がどう仰ったかなどは、此方は知るよしも無いのだが。

だからとて、申し訳ないが、やはり君が英霊などとは思えん。

どう見ても、君は現代の人間ではないか。」

 

人類史に名を刻んだ『境界記録帯(ゴーストライナー)』の姿としては、あまりに歴史が若すぎる。

発明王として名高いトーマス・エジソンや、そのライバルであり電気を人の領域へ引き入れたニコラ・テスラかと一瞬考えたが、やはりあのアーマーとやらの存在とは結び付かない。

 

「現代…ン、なるほど、これが聖杯からの知識供給とやらか。

便利なもんだ。

フム、今は…なるほど、2004年。

ならば失礼、アー…貴方のコトは、なんとお呼びすれば?」

 

「…アトラム。

私の名は、アトラム・ガリアスタだ。」

 

「ありがとう、ミスタ・ガリアスタ。

貴方の疑問も尤もです。

確かに見ての通り、私はいわゆる過去の偉人達のように古ぼけて…違うな、時代遅れな…ゴホン、そうではなく。

時代がかっていない、洗練されている。

まあ、それも当然ですよ。

なにせ私は、今から19年後の2023年に死亡した人間ですからね。」

 

「なっ、なに!?」

 

今まで訝しげな表情で様子をうかがっていたアトラムも、流石に驚愕の声をあげる。

 

未来の人間?

バカな、そんなパターンもあり得るというのか?

否、だとしても先ほどのアーマーの説明にしては、19年ぽっちの半端な技術進歩ではどうにも…。

やはり、レディ・ライネスのモノと同じく、魔術礼装とでも?

…考えても、埒も明きはしない。

 

「…まだ、私の質問に答えていないぞ。

何者なんだ、お前は?」

 

眉を潜め問うアトラムを前に、彼は微笑んで跪いた。

 

「失礼、マスター・ガリアスタ。

私の名前はトニー・スターク。

此度は、キャスターのクラスで現界しました。

以後、宜しくお頼み申し上げます。」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

アトラムは一先ず、トニー・スタークこそが己が召喚したキャスターのサーヴァントであるという事実を認めねばならなかった。

パスは繋がり、アトラムの魔力はトニーに流れ込んでいる。

しかし、想定以上に魔力の消費量が多い。

アトラムは、かのコルキスの魔女を呼ぶと想定し、神代の魔術師を操るに足る心構えをしていた。

だが、その想定すら越える魔力を、未来人だと宣う中年は食らっていたのだ。

 

「フム、なるほど…残念ですな、マスター。

貴方が準備した触媒とやらは、どうやら偽物だった様です。」

 

なにやら酒脱なサングラスをかけ、召喚に使ったはずの触媒を眺めながら、トニーは言い放った。

 

「…なんだと?」

 

それは、聞き捨てがならない。

祖父譲りの審美眼と経験、金に明かして手にいれた豊富な魔術知識を持つアトラムとしては、己が偽物を掴まされて決闘に赴いたなど、容易く許容は出来なかった。

 

「今、この文献とやらのスキャンを行いました。

精巧に作られていますし、なにやらミスティックなエナジー…すなわち魔力とやらも確認できますが…。

しかし、パピルス紙としては劣化具合が些か不自然だ。

これは、なんらかの人的手段で経年劣化を装ったのでしょうな。」

 

その程度の細工が己に通用するとは、アトラムにはどうしても思えない。

 

「これだけならば騙し通すには弱いのでしょうが、コレを取り巻く魔力が、信憑性を偽装する役割を果たしていたのかもしれません。

普通に観察すれば、まず見抜くことは出来ないのでしょう。」

 

「…そんなものを看破する、お前の根拠はなんだ?」

 

文献もどきから目を離して自分の方を向くトニーを、睨み付けるようにアトラムは問う。

 

「私は、技術者のサーヴァントなのでね。

加えて、エネルギーの指向性や物質の組成、その他もろもろを調査する手法に、訳あって詳しい。

そういったものをスキャンするデバイスを持ち合わせているのは、私という英霊を形作る上では当然の要素なのですよ。」

 

そう言って、トニーはかけていたサングラスを外し、アトラムに差し出した。

 

「……?」

 

変わらず訝しげな表情で、サングラスとトニーを交互に見るアトラム。

 

「かけてみてくれ…とは言いませんが、内側からレンズを覗き込んでみてください。」

 

「……。」

 

警戒しながら、サングラスを覗き込む。

 

「……!これは!」

 

驚愕した。

 

レンズの中には、まさしくサイエンスフィクションそのものとしか表現できないような光景が広がっている。

レンズ越しに映る映像のすべてを解析し、その細やかなデータが表示される。

特に、注視していたであろう触媒の文献については、こと細かに組成要素が記されていた。

更には視界に映る、サーヴァントであるトニー・スタークの身体と己の手では、映りかたが違う。

高度なエネルギー探知性能を秘める、小型にして超高性能な多機能デバイスだ。

魔術と同時に科学技術の最先端にも触れ、好んで使用する異端の魔術師たるアトラムには、それを瞬時に理解するコトが出来た。

 

 

「そのグラスや、先ほど私が纏っていたアーマー。

こういったモノを作成するスキルを持つ英霊(ヒーロー)こそが、私…トニー・スタークなのですよ。

ご理解いただけましたか?」

 

「……。」

 

アトラムは、気付けば顔に装着していたサングラスを外して、改めてトニーを見据える。

 

話通り、マスターになるとサーヴァントを視認するだけでステータスを確認することが出来るようだった。

しかし、己がサーヴァントの戦闘力は、見たところでは著しく低い。

攻撃値も、耐久値も、敏捷値も、魔力値すらも、最低値のE。

幸運値はBとまずまずだが…気になるのは、宝具のランクだ。

EX…規格外?

判別がつかないが、消費する魔力の多さを考慮にいれるならば…。

 

「…いいだろう。

たしかに、私の遥か想像を超える科学技術は目を見張るものがある。

トニー・スターク、我がキャスターのサーヴァントよ。

私は、お前を僕とし、この聖杯戦争を勝ち抜くことを誓おう。」

 

アトラムは、サングラスをトニーに返却する。

 

「光栄です、我がマスター。

必ずや、私が貴方に勝利をもたらしてご覧に入れましょう。」

 

サングラスを受け取り、トニーは微笑んだ。

その笑顔は、なんとも言えず胡散臭い。

 

表面では、確かにトニーを認めて見せた。

しかし…

 

『触媒について、偽物であったという確信は持てない。

目当てのサーヴァントは引けなかったが、まだ戦争開始までは余裕もずいぶんある。』

 

工房内を案内するため、アトラムはトニーに先んじて歩み出す。

目を細め、顔を向けずに後方を見やった。

 

『奴が使えんサーヴァントであったならば。

始末して、新たなサーヴァントを召喚する手筈を整えるコトも可能であるから、な。』

 

不穏な目論みを組み立てるアトラムをよそに、トニーは立ち止まる。

 

「失礼、マスター。

このBGMチョイスは貴方のものですか?」

 

トニーは、部屋上部のスピーカーを指差し尋ねる。

 

「…ああ、そうだが。

それが何だ?」

 

「いえ、素晴らしいセンスだと感激しましてね。

何を隠そう、私も大好きなんですよ。

BlackSabbath!

なるほど、私が貴方に召喚された理由がわかりましたよ。」

 

「……。」

 

まさか、この曲が触媒になったとでも言いたいのか。

あっけらかんと言い放ち笑うトニーを尻目に、うんざり気味に頭を振ったアトラムは、そのまま部屋を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただきまして、ありがとうございました。
ご覧の通り、主人公は石油王さんと社長の金持ちコンビです。
作中でソッコー退場した石油王さんなので、家の事情とか色々勝手に捏造してる部分もあったり…。
二次創作だからと、この世界ではそうなんだな、と笑い飛ばしていただけたら幸いです。

こういった事情なので、SNのキャスターさんは登場しません。
そのため、ほかにも何騎か原作とは違うサーヴァントが登場することになると思われます。
続けば…ですがw

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