Fate/IronAvenger   作:デイガボルバー

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いやー、しかしMCUのフェーズ4以降の発表にはワクワクしっぱなしですね!
個人的には、本物マンダリンが登場するらしいシャン・チーと、ジェーンが再登場するソー:ラブ・アンド・サンダーが楽しみです!



Episode4:クリエイターズ

日本ではじめての夜は、予想だにしない暖かな厚意に触れる事が出来た。

シロウは優しい少年だ。

他者の喜びを、そのまま自分の喜びとして受け取って感じられる少年。

彼とサクラが二人で作った鍋料理は、心に染み入る美味しさだった。

身体トレーニングについてよく訊かれたので、自分が識りうるかぎり効率的な鍛練法をいくつか教えてあげた。

“あの頃の僕”には効果がなかっただろうが、彼はまだ成長期に見える。

これからいくらでも強くなれるだろう。

 

タイガは、とても親しみやすい女性だった。

パワフルで、なんというか…はじめて出会うタイプの女性だ。

体質の都合で酔うことの出来ない僕を相手に、よくあれだけ楽しく酒を呑むことができるものだと感心した。

朗らかで、陽光が射す様に人の内側を朗らかにする性格は、得難い長所だと思った。

 

サクラは、大人しい子という印象だったが…

それは無理のないことだったのかもしれない。

事情が事情だ。

僕の立場(クラス)は、“大聖杯”の内部で厳重に秘匿されている。

そうなれば、唐突に現れた僕は正体不明のサーヴァントでしかない。

戦争が始まる一月も前に突然生活圏で遭遇してしまえば、警戒してしまって然るべしだ。

 

「…悪いことをしてしまったな。」

 

呟いた言葉が、屋敷の闇に消える。

 

彼らは本当に優しい人たちで、今日の宿が決まっていない僕を引き止め、屋敷に泊めると言ってくれた。

タイガに付き合い随分酒を呑んでしまったので、酔って見えないとしても、心配してくれたらしい。

落ち着いて考える時間も欲しかったし、お言葉に甘える事にしたのだった。

 

ブレット・ヘンドリック。

広告アートやコミックブックアートに携わるデザイナー。

海外進出を考えているアメリカ企業の、日本支社での広告デザインを担当するため来日した…という、設定。

そんな、確実さもない僕みたいな怪しい外国人を、出会ったその日に家に泊めるなんて。

底無しの善人だ。

危うくすらある。

だが、それでも尊い感性だと僕は思う。

 

サクラとタイガは帰宅したので、この家に居るのは僕とシロウの二人だけだった。

宛がわれた寝室の扉…ショウジを開き、夜空を見上げる。

 

「……。」

 

…今現在、召喚済みのサーヴァントの数は四騎。

狂戦士(バーサーカー)は、この街には居ない。

魔術師(キャスター)は、恐らく新都と呼ばれるビル街に居る。

動きがない事を考えると、拠点を作成し戦争の準備をしているのだろうと思われる。

騎乗兵(ライダー)は、此処からさほど遠くない場所に居る。

こちらもあまり動きがない。

暗殺者(アサシン)の召喚も確認できるが…気配遮断スキルが働いているらしく、居場所は把握できない。

 

単純に考えれば、バーサーカー以外の何れかがサクラのサーヴァントなのだろうが…。

…僕の目的、やるべき事を考えれば、気にする必要はないのかもしれない。

だが、僕は知ってしまったのだ。

戦意ではなく、恐怖に揺らいだ彼女の瞳を、見てしまった。

 

まずい事態になっているのを見ると…無視できないんだ。

立場も何もなげうって、動いてしまうかもしれない。

無視、できたら良いのに…。

 

 

 

 

『ウソだろ?』

 

 

 

 

…心の中で、彼が笑った。

かけがえのない、仲間(かぞく)

戦友の声。

 

 

「フ…そうだな。」

 

 

瞬く星を見つめながら、思わず微笑んでしまった。

 

…僕には、目的がある。

この世界に喚ばれた理由、果たすべき事が。

だが、戦うのは使命を与えられたからだけじゃない。

僕は、護るべき個人の自由…そのためにこそ戦うんだ。

今日、このエミヤ邸で触れ合った人たちの、優しさに誓おう。

 

 

 

 

 

 

 

“僕らの世界からのイレギュラー”を、必ず打ち倒して見せることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………

 

 

 

 

 

 

2004年 1月中旬

冬木市・新都

ガリアスタ所有高層ビルディング

 

 

 

 

 

 

 

あれから、十数日が経過した。

結論から言えば、ボクの代償魔術は最良の形で功を奏したわけだ。

大成功だ。

当然と言える。

何せ、“半永久的に膨大な電力を生み出す機関”など…あまりにも、ボクが有する“いくつか”の魔術と相性が良すぎるアイテムだったからだ。

 

ひとつは当然、原始呪術。

 

そしてもうひとつは…『原始電池(バグダッド・バッテリー)』。

 

中東郊外・ホイヤットラプヤ遺跡にて発掘された、世界最古の電池とされる壺。

その流れを汲む、中東のとある魔術師一族が発展させてきた“科学ならざる電力機器”だ。

その一族を、没落寸前で我が祖父が“歴史と技術”ごと買い取ったのである。

有する機能は、“雷に自らの魔力を付加する”コト。

つまり、なんということはない。

原始電池にリアクターを組み込むだけで、問題など一発で解決なのであった。

 

原始電池は、今までは強力な戦闘特化の魔術礼装として扱ってきた代物だ。

溜め込んだ雷を操り、電速の攻撃を繰り出したり。

配下の一族三十人ほどで、天候に働きかけて余所の魔術師の拠点を落雷攻撃したりしたものだ。

…本当は、あの作戦が想定通りに進行してさえいれば、触媒として『菩提樹の葉』が手に入り、最強のセイバーを引くことが出来ていたかもしれないのだが…。

 

いや、言うまい。

あんな“怪物”の考えなど、推し量れるものではないし…思い出したくも無い。

それにお陰様で、こうして間違いなく人間以上の代償素材を入手するに至ったのだから。

 

原始電池を通して“神秘を励起”させた電気エネルギーは、その内在魔力において人間を大きく上回る。

当然である。

何せ、電気…つまり雷とは、元来“天の神業(みわざ)”に他ならないのだ。

ギリシャのゼウス、ローマのユーピテル、北欧のソー、インドのインドラ、中国の九天応元雷声普化天尊(きゅうてんおうげんらいせいふかてんそん)…天雷の象徴たる神など、枚挙に暇がない。

我が原始呪術・原始電池に紐付くアラビア神話に於いて言うならば、クザイ神が該当する。

天にかかる虹は彼の神の弓、稲妻は矢、雹は投げ槍であるとされる。

アラビア半島(ジャジーラ・アルアラブ)にイスラームの教えが根付くより以前に土着していた、多神教の一柱である。

つまり我が魔術に於いて、魔力を帯びた雷を扱うコトは、生け贄を捧げるコトと同等に相性が良いのだ。

 

…なんだか、我が友人(ライバル)の講義のような理屈をこねてしまったが。

つまりは、リアクターを組み込んだ原始電池から発せられる、無限の電気魔力…それを代償魔術でもって純粋な魔力結晶に変換する!

今ここに、我が家の魔術は一つの究極に至ったという話である!

はははは、なんだこれは!

祖父の夢見た理想のエネルギーそのものではないか!

 

キャスターの言った通りである。

奴が作った成果物を変換し、ボクが潤沢なエネルギーを生み出す!

ボクがやったのだ!

…いや、認めねばならない。

トニー・スターク。

奴の存在は、間違いなくボクのチカラと相性が良い。

ならば、主従としての連携を、もっと密にするコトも視野に入れねばならないかもだ。

 

これは、ボクの魔術(プライド)を賭けた戦いだ。

ボクはこの戦いで名を上げ、ガリアスタの存在を磐石なものにする。

それが、祖父が魔術に込めた想いを成就させるコトに繋がる。

しかし、同時にこれは(スターク)の戦いでもあるのだ。

…そういえば、ボクは奴が聖杯戦争にかける“願い”を知らない。

主従として並び立つならば、何を欲するのかを知っておく必要がある。

そう、思い始めていた。

 

 

 

 

 

「おい!

聞いてるのか、マスター?」

 

 

 

 

不意に、声が張り上げられる。

 

「…ああ、悪い。

少し考え事をしていた。」

 

「そうか?

なんだか恍惚な感じで“これ”を見つめてたから、持ち前のナルシズムが発揮されてたのかと思ったよ。

ホラ、自分の造り出した作品に対する満足で、トリップしちゃってたのかと。」

 

「…やかましい。

まあ、作り上げたものに対する自信に、多少高揚していたのは認めるがね。」

 

アーク・リアクター搭載型原始電池…

名称を仮に『M.P.S.(ミスティック・パワー・ソース)リアクター』と称したソレを接続した代償魔力炉は、想像以上の結果を(もたら)した。

以前の素材を使用した状態では、子供六人程を使用した上で、ソフトボール程度の大きさの魔力結晶しか精製できなかったのだ。

しかし、目の前の成果物はどうだ。

M.P.S.リアクター一基を通常稼働しただけで、まさしくティーンエイジャー一人分ほどの大きさの魔力結晶が精製できてしまったではないか。

 

「正直、震えるね。

この技術は、今後の表社会も魔術社会も、大きく変えるぞ。」

 

「かもな。

だが、これで認めてもらえるな、マスター?

子供を動力に使うのはナシだ。」

 

にこやかに確認するキャスター(スターク)

 

「…ああ。

しかし、折角“買い取った”素材が50体以上、無駄になってしまったな。

ソレ以上の利益を生むアイテムを手にした以上、気にするような出費でもないが。」

 

「…やはりあの子らは、君のホームグラウンドで買い付けてきた子供達だったか。」

 

キャスターは、それを確認すると苦々しげに呟く。

 

「ボクが拠点を置く国ならば、余所からの観光客を見かける程度には近代化していて治安もそれなりには良いがね。

だが、それでも一皮むけば世界の現実なんてそんなものさ。」

 

ボクは肩を竦めて、しかし特別な感慨もなく言う。

ソレに関して、キャスターの信条に合わせて悪びれるつもりも一切無い。

我が家は元々、簒奪者(さんだつしゃ)の家系だ。

武力をつけ、財力を掴み、権力をもぎ取り、魔力を買い取った。

その全ては、勝つべくして冷静で強欲な研鑽を積み上げてきた成果だ。

魔術を否した父ですら、その点に於いては豪烈だったと認めざるを得ない。

代々、先代を超えるべく豪なれと磨いできた一族。

故に、ボクも当然、最も一族で優れる為に生きる。

それこそが、一族の強さの証明にもなるからだ。

今回のソレも、その一環だったというだけだ。

余所者に倫理観とかいうモノを説かれたところで、そんなもの。

そちらの世界の感覚を、覚悟も無く押し付けるな…という話だ。

 

「…あの子達は、どうする?」

 

「どうも何も…用済みだからな。

余所に転売して、少しでも損失分を回収するか…。」

 

そこまで言うと、キャスターはあからさまに表情を曇らせた。

…こいつ。

子供絡みの事柄に対しては、妙に感情的になるな。

過去に何かあったか?

伝承に逸話が残る過去の英霊とかではないから、どうにも判別がつきづらいが、生前(ほんたい)の事情を持ち出しすぎじゃないのか?

複製品の使い魔の分際で。

半ば呆れたものだったが、それでもヒゲオヤジがショゲた顔を見ると、それをそのまま口に出す気にもなれず……

 

「…あるいは、ボクの一族で役立つ何かに育ててみる、とか。」

 

戯れに、適当に思い付いたアイディアを口に出してみた。

 

「…ほう?

そいつはまた…ユニークなアイディアだ。

君の口から、そういった言葉が出てくるとは夢にも思わなかったが…良いね、実に建設的だよ。

未来投資というのは、贅の尽くし方としては非常に有意義で痛快だ。」

 

また、あからさまに機嫌を良くする、我が使い魔のオヤジ。

言ってみただけだ、と前言を撤回するコトも出来た。

だが…どうにも、そういう気にはなれなかった。

自分の使い魔の機嫌を(おもんばか)っての発言では、断じて無い…と、思う。

もしかすると、かの『双貌塔』に於いてボクを苦しめてくれた友人(ライバル)の教え子…現代魔術科(エルメロイ教室)の子供達を思い出してしまったのかもしれない。

ああいうのを発掘して育てるというのは、どういう気分なのかな、と。

 

「…まあ、いずれにせよ戦争が始まる前には、この国からは出しておいた方が無難だな。

お前を召喚した時点で、戦略プランの大幅な見直しが必要になったんだ。

非戦闘員は、侍従達も含めて邪魔になる。

配下の精鋭をある程度残して、残りは本国に帰還させるとしようか…」

 

そこまで言った時、突如としてブザーが鳴った。

ビルディング敷地内に設置した防犯センサーに、何者かが引っ掛かった合図である。

 

『スターク様、ガリアスタ様。

敷地内に、許可の無い何者かの侵入を確認しました。

魔力反応と生体反応を感知、魔術師かと思われます。』

 

ブザーが鳴り止むと同時に、女性の音声がスピーカーより響く。

 

「ありがとう、F.R.I.D.A.Y.(フライデイ)

このタイミングで、魔術師の侵入者ってことは…マスター。」

 

F.R.I.D.A.Y.とは、キャスターの宝具の一部である。

超高性能の学習型人工知能。

あらゆる面でキャスターのサポートを行う、優秀な電子秘書といったところか。

しかし、セクシーで良い声だ。

このオヤジ、中々に良い趣味をしている。

 

「これは驚いたな。

まさか、開戦前にも関わらず魔術師(キャスター)陣営の“陣地”に飛び込んで来る勇者が存在するとは。」

 

 

自然、口角がつり上がってしまう。

ボクがキャスターを召喚して、半月。

このビルディングが我が工房であると、いかに時代遅れの魔術師連中でも流石に気付ける頃だとは想定していた。

しかし、まさか勇敢にも本陣に直接挑んで来るとは。

余程の自信があるのか、或いは…。

 

「最初の実戦、か。

気が早いことだ。

で、マスター。

一先ずは当初の予定通りで構わないな?」

 

「ああ、勿論だとも。」

 

ボクは、踵を返して魔力炉室を後にする。

追従するキャスター。

 

「我々は、エネルギー開発にばかり心血を注いできた訳ではない。

そのために、お前には数多の貴重な魔術資料を閲覧させたんだ。

平行して配備していた、もう一つの成果物も確認させてもらうとするさ。」

 

「ああ、了解だ。

僕の『陣地作成』と『鉄人兵団(アイアン・レギオン)』。

その機能を是非お見せしようじゃないか。」

 

 

 

 

 

 

………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

闇夜の冬木・新都。

その寒空の下、ライトアップされ輝く巨大な一棟のビルディング。

きらびやかな其処は、しかし周囲のビル街からは隔絶されているという印象を与えた。

単に、他のビルを見下ろす高層設計になっているだとか、外周に十分な敷地が存在し、其処に雰囲気を彩るような木々と照明柱が設置されているだとか。

それらもそれぞれ要素の一つ一つではあるかもしれないが、そういった理由だけではない。

間違いなく“何らかの人為的なやり方”で、他者を寄せ付けない何かを、そのビルディングは発していた。

 

しかし、そんな場所に近づく人影が一つ在った。

 

青紫色の特徴的な癖っ毛に、蒼白とさえ言える白い肌の少年。

ファーのあしらわれた白いジャケットを纏い、黒い手袋を嵌めた手には何やら“書物”を携える。

整った顔立ちは、不敵な笑顔で歪んでいた。

 

「お初にお目にかかります、ミスタ・ガリアスタ。

ぼくの名前は間桐慎二。

始まりの御三家・間桐の次期当主にして、此度の聖杯戦争の参加者(マスター)です。

何卒、宜しくお願い致します。」

 

敷地に踏み入った後、一礼をした後ビルディングを見上げる少年。

始まりの御三家。

聖杯戦争という魔術儀式を開催した、三人の魔術師の末裔とされる。

周囲に人影は無いが、明らかに相手が見聞きしているのを想定した振る舞いをしている。

その態度は、不穏なものを含ませながらも堂々としたものだった。

 

『これはこれは。

礼節を弁えた御仁の様で、感服した。

この極東の地に住まいながら我が名をご存知とは、事情通でおられる様だが…礼節には礼節で返さなければな。

はじめまして、マトウのマスター。

私が、アトラム・ガリアスタだ。

此度は、時計塔推薦のマスターとして参戦した。

此方こそ、有意義な戦争となる様、宜しく頼むよ。』

 

刹那、照明柱に備え付けられたスピーカーから声が響くと共に、慎二の前に人影が現れた。

夜間であり、照明で照らされている事を加味したとしても、その人影は随分と色彩を保っており明るい。

 

「…魔術による映像(ビジョン)ってやつですか。」

 

一瞬驚いたが、直ぐに不敵な笑みを取り戻して少年は言う。

 

『それは半分正解、半分外れといったところかな。

直接姿を見せられず、申し訳ない。

なにせ、こちらのサーヴァントのクラスはそちらも想定済みだと思うからね。

うかつに“マンション”から出るワケにはいかないんだよ。』

 

「何、構いませんよ。

穴熊を決め込むのなら…引きずり出して差し上げる。

…ライダー!」

 

少年は、携えた書物を開いて叫んだ。

書物は輝き、同時に遥か上空に大きな影が出現した。

その影の正体を判別することなど、魔術で『強化』された肉眼ですら困難であった。

(はや)い。

辛うじて確認できる、それが纏う色は白。

白い暴風と化したそれは、一足飛びにビルディングに突撃していた。

 

『ほう、騎乗兵のサーヴァントか。

初手でカミカゼとは、如何にもジャパニーズらしいと言えなくも無いが…。』

 

しかし、それは成らなかった。

ビルディングの壁面に直撃する寸前、『光の壁』に阻まれる。

 

「っ!!」

 

完全に勢いを殺された白は、その姿が露となる直前に霧散した。

場に残ったのは、その乗り手であろう存在のみ。

宙空から、しなやかに着地して見せたその人物は、女性だった。

紫色の長髪を風に靡かせた、長身の女性。

扇情的な衣服に身を包み、その目は眼帯で覆われている。

 

「チッ…やっぱりそう易々とはやらせてくれないか。

ライダー、下がれ!」

 

『成る程、アレはそちらのサーヴァントの宝具だったか。

宝具とは、その英霊が持つ高名なアイテムや逸話そのもの。

姿形で正体がバレてしまうほどの逸品だった、というわけだね。

直ぐに隠すのは、良い判断だ。』

 

「ええ、まあ…その通りですよ。

あの謎のバリヤーさえなければ、貴方の陣地を基礎ごとへし折って破壊して差し上げられたんですが…。

まあ、構いません。

威力偵察を行うなら、これくらいはやらないとキャスターの陣地は崩せない。」

 

尊大な笑みの褐色と、冷や汗一つに不敵な笑みの蒼白。

 

『いや、素晴らしい覚悟だ。

思いきりの良い用兵を行う魔術師は、好感が持てるよ。

時計塔の老いぼれ連中とは大違い。

礼と言っては何だが…君の言う威力偵察に、もうひとつ成果を加えてあげよう。』

 

アトラムが言い切るか否かのタイミングで、ビルディング上部から新たな人影が飛び出す。

 

メタリックレッドにゴールドのヒューマノイド・ボディ。

胸には丸いリアクターが輝き、両手足部から何らかのエネルギーが噴出。

その状態で宙空に静止していた。

 

「…なんだ、アレは?」

 

思わず、慎二が本音を漏らした。

これは、聖杯戦争だ。

魔術師同士の殺し合い。

神秘と神秘をかけた決闘のはずだ。

なのに、空に飛ぶアレは…どうみても、魔術に属する代物ではない。

どちらかというと、超科学…いや、SF(サイエンス・フィクション)のソレじゃないか。

 

 

『さて、僕の相手はそこのお嬢さんというコトで良いのかな?

だったら悪いが、少しの間付き合ってもらおうか。

此方で“作成”した、アーマーの性能テストをね。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご閲覧いただき、ありがとうございました!
喚ばれるサーヴァント自体は、若奥様以外は原作通りを予定してます。
で、他にもイレギュラー的に何騎か現界している感じ。
結果、MCUサイドの介入により、少し原作とは時系列とか在り方が変わっちゃってるキャラが存在します。
その辺、ご了承いただけると幸いです。

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