鬼夜叉と呼ばれた男   作:CATARINA

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本当は夜叉君の誕生日に出す予定だったんですがね。
玉葱投稿日間違えてたよ……

本文だけワードで作って満足してました。
御免なさい。

短編集?です。人物の切り替わりが多いのは申し訳ない。


ある武芸者の手記

私は旅の武芸者だ。

ある時、とある河原の松の木の下で夜営をすると、

一人の男が通りがかった。

身の丈は六尺は優に超えるだろうが、反面、その顔は薄ら笑みを浮かべた怪しい男だった。

どうやらこの男も夜を越すらしい。

退屈しのぎに稽古でもせぬかと誘うと男は即座に断り、詫びとして一つ話し始めた。

 

 

 

慶長20年5月________

 

 

徳川家康は遂に豊臣家を滅ぼした。

 

豊臣秀頼、その母淀君を自害に追い込み、とうとう覇権を手にしたのだ。

 

徳川家康は幕府を開き、その後250年もの間を一族で支配する。

 

しかし、この話は。

最期まで絶望に抗った人々の、語られぬ物語さ。

まぁ、暇潰しにでも聞いてくれよ。

 

 

 

 

もはやこれまで。

 

城は燃え、堀は埋まり、名だたる将兵の尽くは討ち取られた。

 

「母上……申し訳有りませぬ………」

 

愛しき我が子よ。

愛しき父に似て健強に育ち、愛しき母に似て美しい子よ。

 

いいのです。

これが天命ならば、非力なるこの身にどうして抗えましょうか。

 

 

 

 

 

秀頼は自刃した。最期だけは武士らしく。

 

続いて淀君も……

 

『悔しい。』

 

おっと、まだ続くようだ。

 

悔しい………悔しいです………父上…母上………。

何故私たちだけが、こんな目に!

父上!何故私には力が無いのですか。

家臣を、子を、守れる力が。

 

 

 

『んなもんお前には要らねぇからだよ。』

 

………父上?

 

『まぁな。娘も孫も曾孫も心配で化けて出たぜ。』

 

ごめんなさい。父上。貴方に救われた生命、ここで捨ててしまいます。

 

『気にすんな。お前の生き方。俺が口出しは出来んさ。ただ…………』

 

?

 

『立派だったぞ。流石は俺の…俺達の娘だ。任せときな。』

 

ははっ。たった一言。その一言に、全てが報われた気がした。

さらばです。父上。

 

 

 

『立派だったぞ………ああ。まったく。』

『だが、まぁ。アレだ。』

『人の娘と孫、ともすれば曾孫にも手ぇ出すとは。いい度胸してんナァ?狸?』

 

『ハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

無念。

 

申し訳有りませぬ父昌幸よ。

悲願たる魔性家康の討伐は遂に叶いませんでした。

気を張れども、声をあげようとも、もはや身体の一部たりとも動きませぬ。

 

無念なり。無念なり。

 

敵か。

 

「我が名は真田信繁よ。雑兵共、我が首手柄にするがいい。」

 

 

『まぁ、待てって。真田信繁君。一つ取引をしないか?』

 

取引だと?この後に及んで命乞いなどせぬ。早く討て。

 

『内容はシンプル。アンタがこの先生きる僅かな時間。そいつを全部寄越せ。

対価としては何だがまぁ…確実に狸に一泡吹かせてやるよ。』

 

成程。乗ろう。元より死んだ身。微かな生になど執着は無い。

最期に聞いておきたい。貴公の名は?

 

『唯の老兵さ。まぁ…娘と孫が世話になった。とだけ礼を言わせてもらおう。』

 

そうか、貴公…いや、貴方は…

 

 

 

 

『ホントにいい部下を持ってる。我が孫ながら羨ましいぜ。』

 

さてと。

 

「正直どれだけ持つことやら。ま、動ける限り殺して回りマすカネ。」

 

 

 

勝った。

これで泰平の世が来る。

 

苦節七十年余り。信長様の力に怯え、長政の若造に脅され、2人の死後も猿めに拐かされた人生。

時は来たり。

 

私の世だ。

ついに、ついに!

 

私が!私だけが!天下統一を成し遂げたのだ!

我を讃えよ!我を崇めよ!

この家康こそが!この国を支配せし神の現身なのだ!

 

しかし、この狸は気づいて居なかった。

 

自ら神を名乗ってしまった事に。

神を喰らう夜叉の存在に。

 

 

殊更、神を名乗る人など特段の好物に過ぎない事に。

 

 

『 あ、そうなんだ で?それが何か問題? 』

 

 

 

 

この後のお話は伝えられていない。

いや、この話こそが疑わしいものだがね。

 

ん?何で伝えられていないって?

 

馬鹿野郎。お前。そりゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

見た奴が皆殺しになってたらどう伝えるんだよ。

 

 

ただまぁ一つ言えることがあるとすれば、その後の地獄の惨劇を家康は生き延びた。

流石は戦国の世を70過ぎまで生き延びただけはある。

 

但し、命からがら逃げ延びた家康は、幕府を開くも僅か一年でその人生を終える。

 

一説には、秀頼公の祖父様、浅井長政公の祟りだとか。

実際家康の死に際は実に無残極まり、『鬼が!鬼が!』と餓鬼みたいに喚きながら死んだってよ。

 

まぁ、結局。人の身で神を騙るのがどんなに烏滸がましいか、

家康公は身をもって体現してくれたってな。

 

 

ん?そんな話を知る俺は誰かって?

唯の放浪者だよ。アンタと同じ、唯の、な。

 

 

 

『貴方は一体…………?』

『あ~まぁ、唯の幽霊だよ。色々な縁でな。アンタを逃がす事にした。』

 

 

おっと、夜が明けてきた。俺はそろそろ行くよ。

 

 

…………まぁ、アンタも、ご先祖さまは大切にな?

 

ハハッ!

 

 




さて、誰でしょう! フロム脳全開をオススメします。

まぁ、意外とわかりやすいかな?
豊臣秀頼ってググれば一緒に名前が出ますしね。

最初の武芸者君はモブです(大嘘)。


最後になりますが、夜叉君誕生日おめでとう!

「いや。遅ぇよ。(8/28)ワード使うの止めたらどうだ?」

いやぁ、自動保存がやりやすいんだよね。

「成程?まぁ、こんな事が続くと読者にハンバーグの具にされるからな?」

申し訳ない。ズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイ

「…………まぁいいや。」

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