鬼夜叉と呼ばれた男   作:CATARINA

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シリアス多めにする予定。

10月頭にシンガポールに出荷されますので玉葱日本に居ません。

マスターの皆さんは周回お疲れ様です。
玉葱は80箱になりました。


嗤う道化

俺は絶句した。

 

同時に何故か納得した。

 

成程。馬鹿らしい答えだ。

 

そこまでやるか。いや、俺だってやるだろうさ。

本当に、清々しい程俺だ。畜生。

 

 

 

「ハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!何だよ!もっと遊ぼうぜ!?」

 

 

不味いな。思ったより理性が残ってないらしい。

 

 

「全軍撤退!サーヴァントとマスター以外は引け!命を無駄にするな!」

 

 

 

「まぁ、こんなの、最初に王将を仕留めりゃ詰みだろ!!!」

 

「え!?」

 

不味い!マスターから狙うか!

クソッ!!!狂ってても合理的に狙ってきやがる。

 

間に合わ無ぇ!!!

 

「恨みは無いけど、これも仕事でな。死んでもらおうか!」

 

気がついた時にはマスターに対して刀を振り下ろしている。

 

 

 

だが、幸いだったのは、

 

未だ詰みでは無く王手だった事か。

 

 

 

「お待ち下さい。」

 

「ッ…………」

 

「お久しぶりです。父上。」

 

「誰だ、お前。」

 

「貴方の娘、茶々にございます。」

 

 

 

 

 

 

「………娘……娘?誰だ………お前は……お前、お前は、俺は一体?俺は……誰なんだ?」

 

 

娘すら分からないのか。

 

 

………ここまで共感できても、やはりお前は俺じゃない。お前が俺なら、絶対に覚えてるはずだ。

 

俺たちは同じ穴の狢。

家族を、友を、守るため夜叉に成り果てた。

ここまで。ここまでだ、俺たちの共通点は。

 

片方は堕ちた先で手を伸ばされた。守るべきものに導かれた。

片方は堕ちた先で目覚めた。だが、それでも、護りたいと。名前も、存在すら売り払ってさえ。

 

俺は忘れない。

それは道標だから。

軌跡だから。

 

最期まで抗った意味だから。

 

だからこそ。

お前には負けられねえよ。

 

 

過去を棄てられた亡霊風情が、俺を騙るな。

例えお前が、何時かの、有り得たかも知れない俺だとしても。

 

俺たちは誰かを守り、育み、いつかは踏み越えられていく。

数多の骸を超えて俺たちは今日を生きてきた。

 

だから俺は、浅井長政として死んだ事に一切の後悔は無い。

例え、どんなに悲惨で、どんなに蔑まれ、嘲笑されようが。

 

 

 

「うるせぇ!うるせえんだよ!何なんだよ!畜生畜生畜生!誰なんだよ!思い出せねぇ!思い出せねぇ!」

 

 

『敵性サーヴァントの霊基ランクの大幅な低下を確認!今なら押し切れる!』

 

 

決着を付けようぜ。

最期まで誰かを思い続けた俺と。護るために何もかもを棄てたお前。

 

実に滑稽で、道化には相応しいだろ?ハハッ!!!

 

「マスター!!!!!!今しか無い!一気に薙ぎ倒すぜ!」

 

マシュがマスターの前に立ちふさがる。全てから主を護るかのように。

信長が撃つ。まるで少しでも長く見ていたくないと願うように。

景虎が切り払う。まるで闇を切り拓くように。

夜叉が吼える。有り得たかも知れない歴史を薙ぎ倒すように。

 

これなら行ける。そう思った。

だから油断しちまった。

そう気づいた時には遅かった。

 

 

「……………『外道たりて因果を贖え道化』」

 

 

 

 

 

俺は誰なんだ。何をしてるんだ。俺は、俺は。

 

『﹍﹍﹍』

 

誰だ、何だよ、お前らは誰なんだ!思い出せねぇよ!

 

『………』

 

分かんねぇ!分かんねぇ!何だ、俺は、一体………

 

『ちちうえ』

 

止めろ!それ以上!俺の中に入ってくるな!

 

『父上』『夜叉様』『夜叉』『夜叉君』

 

ああああああああぁぁぁア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!!!!!

 

……………………………………………そうか。

 

 

オレは、

 

俺は、

 

俺は!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浅井長政(やしゃ)だ。

 

 

 

……………『外道たりて因果を贖え道化』。

 

 

 

 

 

 

ここはどこだ?

確かオレに触れられたはず……宝具か?

 

『裏切り者』

 

何だよ!?

 

『外道』『不忠』『謀逆』

 

ああ?前一個以外は心当たり無ぇんだが?

 

 

 

 

「流石だな。並の英霊なら既に心を折られてるもんだが。」

 

………コイツがお前の宝具か?ショッボい宝具だぜ。

 

「まぁ、そう言うな。代わりと言ってはなんだが、面白いモンを見せてやるよ。」

 

そりゃ楽しみだ、ポップコーンは有るかな?

 

「ハァ……やっぱり根本で俺達は変わらねぇな……」

 

 

 

刹那、脳内に流れ込む情報。

有り得たかもしれないifの歴史。

その末路。

 

ハハッ。最高の喜劇だなこりゃ。スピルバーグも真っ青だ。

 

「だろ?守ろうとして守るものを傷付けるとか笑い話にもならねぇ。」

 

全くだぜ。

………いやまぁ、お前のやり方が分からんワケでも無いがな。

で?ここにご招待なさった理由は?悪いがソッチの気は無いからお断りだが。

 

「地味に傷を抉るな。後世でさんざっぱらネタにされてるから。」

 

やっぱりかよ。

 

「まぁ、理由は特にない。強いて言うなら俺が俺である理由を俺に知って欲しかった、ただそれだけだ。」

 

成程?本当にそれだけか?

 

「………勘のいいガキは嫌いだよ。」

 

いや、切り上げたら40何だけどな。

 

「めんどくせぇ。決着を付けよう。シンプルな話だ、生き残った方が正しい。」

 

おっ、やるか?武器無しで。元傭兵の俺に勝てるもんか。

 

「こっちだって元傭兵だ。なめんな。」

 

ハハッ。だったらやろうか。ルールはいつもの。分かるよな?

お互いに武器のネタは割れてるし、このまま続けんのも不毛だろ。

あくまで()()に行こうぜ?

 

「………確かにな。読者さんもそろそろ飽きてくんだろ。」

 

 

 

 

おいやめろ。シリアスが台無しだろ。

じゃ、お先にどうぞ。

 

「それじゃ遠慮なくッ!!!!!!」

 

メッキャァァァアア!!!!!!

 

痛ってぇな!オイ!殺す!

 

ドキャァァァァァッ!!!!!!

 

「グホァ………ッ!!!!!!」

 

実に滑稽な殴り合い。しかし、

お互いに避けない。防がない。

 

お互いに譲れないから。

お互いに護りたいから。

 

お互いに負けたくないから。

 

 

「「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!!」」

 

 

 

いつの時代も、歴史とは勝者だけが騙り継ぐものである。

 

 

 




シリアスとは一体何だったのか。

ジャンプ漫画かな?



『外道たりて因果を贖え道化』

固有結界。入った人間に夜叉がかつて人々から受けた中傷を元にその人物のトラウマを刺激する。さらに夜叉自身へも中傷は及び、傷付き、疎まれる事で鬼は昂る。
詳細は後々公開のマテリアルにて。

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