鬼夜叉と呼ばれた男   作:CATARINA

26 / 128
いよいよ読めないって?

苧環はオダマキ。

花言葉は…


苧環

『なあ、夜叉よ。』

 

なんだよ、珍しく黄昏たりして。

 

『もし、もしもわしとお主が道を違えてたらどうなってたと思う?』

 

……ぞっとしねえな。お前と戦うなんて是非御免被りたいね。

 

『…………』

 

ああ、まじめに答えろってか。

…さぁね。

ま、案外今と変わんねえかもな。

 

『そうか…では、もしわしがお主に死んでくれと頼んだら?』

 

くだらねぇな。

 

俺は刀を抜き、信長に無造作に放り投げた。

 

馬鹿野郎が。もし、お前の夢に、俺が邪魔なら、ここで俺の首を落とせ。

……やりにくいなら自分でやるが。

 

『すまんかった。わしの冗談じゃ……そもそもお主抜きでわしに何が残る?

残るのは男にも、女にもなりきれん半端者のうつけ者だけよ。』

 

そうでも無かろうに。お前なら上手くやるさ。

 

 

 

『最後に、もう一つだけ聞いていい?』

 

何だ?さっきにも増して塩らしいな。

 

 

 

『もし、私が夜叉に殺して欲しいってお願いしたら、どうする?』

 

…………冗談でも本当に笑えんなぁ。

 

 

 

 

まぁ、決まってんだろ。

 

それが本当にお前の望みなら、

 

 

 

 

 

 

殺してやるよ。

 

 

 

 

 

 

殺してやるぜ!!!吉ィ!!!!!!

 

「クッ……クハハハハハハハハ!!!是非も無し!良い、良いぞ夜叉!!!

お主の視界にわしだけが映っている!!!ああ、ああ、堪らぬよ!!!」

 

 

ガトリングの弾幕を切り払いながら槍を投擲する。

魔王信長はそれを優に躱すと急接近して蹴りを放つ。

夜叉は蹴りを敢えて受けるとその勢いで回転、自らのダメージを抑えつつ刀を振り抜く。

しかし刀は信長の持つ魔王剣に防がれる__が。

先程槍を持っていた手を夜叉の物へと置換。

ステータスを超える筋力で信長を掴むと残った回転の余力で投げ飛ばす。

 

 

お互いにお互いの事をお互い以上に知る二人。

まさに知己と呼ぶに相応しい関係だが…

片や体格も戦闘方も異なり、片や人の姿さえ為さない化け物に変貌。

お互い初見であるが故に。僅かづつだが傷を増やして行った。

 

 

 

ああ、クソが。

こんなに憎たらしいのに。

こんなに腹ただしいのに。

こんなに愛おしいのに。

 

楽しいな。畜生。

 

殺したい程に憎たらしい。一片の肉片も残さず。

守りたい程に愛おしい。自らを憂い続けた友を。

 

成程。これがお前の抱えた苦しみか。

 

自らを中傷した無辜の民への憎しみ。

間接的な誹謗の原因であり、自らを憎めと望んだ友への憂い。

それらを憎しみながらも()()()()と望んだ矛盾。

 

 

 

ああ、最低(最高)な気分だ。

 

でも、だからこそ。

ここから先は俺の答えで行く。

終わらせようぜ。友達と殺し合うなんて。

馬鹿らしいからな。

 

 

 

終わらせよう。吉。ここが俺達の幕引きだ。

 

身体に纏う夜叉の力を全て解除する。

 

「今更…………今更だ夜叉!!!何故!何故わしを置いて行った!!!あの時も!今も!」

 

吉の拳が迫る。俺は____()()()()()()()()()で迎撃した。

 

「ッ………………!!!」

 

何だよその顔は。おっと。()()()()()()()()()()()()()

ああ、最高だな。ニヤケが止まらねぇ。

 

「止めろ!!!わしの心を乱すな!!!」

 

まぁ、そう言うなよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()

()()()()()()()()()()()()()()

 

「……………………ッ………」

 

『ハァ……性格の悪いこって……』

そう聞こえた気がした。

まぁ、そう言うなよ。

ニチャァ…と擬音が付くように俺は笑みを浮かべた。

 

 

感覚器に打撃を与えて怯ませる。

足を崩し、体制を崩し易くする。

掴んだら、相手の力を最大限利用して投げ落とす。

最後に武器で無力化して相手の戦意を削ぐ。

 

 

 

俺の勝ちだ。

 

 

「………ああ、悪くないの。わしの負けじゃ。殺せ。」

 

まぁ、待てって。

お前、何でこうした?

 

「…………こう……とはなんじゃ?」

 

腹を貫かれた吉。但しサーヴァントなら致命傷じゃない。

全身を撃ち抜かれた姉さん。急所は外してた。

何より無傷のマスターとマシュちゃん。

 

甘いなぁ……本当に甘いんだよ、お前は。

元より殺す気もなく、唯々俺を煽って殺される気だったんだろ?

 

お前は俺に恨んで欲しかったと。

まぁ、散々恨んだよ、今。

じゃ、お前の望みは後一つだろ?

刀を振り上げながら泣き笑いに顔を歪める。

 

「ふふ……お主も大概に甘いの……」

 

うるせぇよ。

 

「………………愛してるね。夜叉。」

 

ああ、オレも()()()()()、吉。

 

 

 

 

 

「……………御免。」

首を切り落とした。

 

 

 

 

 

これで名実共に俺は信長を殺したか。

気分は最低。

悪くない。

身体の中身を吐き出したくなるような不快感。

悪くない。

 

 

 

 

これがお前の呪いなら____俺がお前を忘れない為の方法なら___

 

甘んじて受け取るさ、

ハハッ。

 

 

 

 

 

 




捨てられた恋人
必ず手に入れる
愚か
断固として勝つ


ピッタリじゃない?

シリアスもラブコメ擬きも、もう限界の玉葱。
コメディ寄りにしたい……ぐだぐだしたい……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。