鬼夜叉と呼ばれた男   作:CATARINA

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一章もうすぐ完結。
ペースがヤバい。進まないね。



息子

………次は右。左、飛んでからの蹴りを外して掴み。

 

戦闘が始まってから数分。

今頃立香ちゃん達が邪ンヌと戦ってんだろ。

俺は…所長ちゃんとこの狂戦士と戦っていた。

 

…短剣を投げてそれを追うように刺突。

 

それを見切り、刀を踏み付ける。

 

「グッ!?」

 

馬鹿野郎。戦いに癖が出すぎだ。

いやまぁ、ここまで気が付かなかった俺も()としてあれかもしれんが。

 

そしてお前…いや、()()()の特徴だが…

 

「ッ………!!!!!!」

 

何か俺に仕掛けられると、悔しくて大振りになる。

 

「何十…いや、何百と直せって言っただろうが、馬鹿息子共。」

 

俺は半ば呆れながら…隙だらけの狂戦士を唐竹割りに両断した。

…確かに俺は言ったよ。お前らはお互いに半人前。二人で協力しろと。

だがお前らよ、そう言う事じゃ無ぇんだって。

ハァ……俺の血のせいか?違うよな?うん、俺じゃない。姉さんの教育が悪い。(責任ポイー)

 

両断された狂戦士はそれでも尚動き、立ち上がろうとする。

 

知ってるよ。分かってるから等分にしたんだからな。

 

「ほら起きろ()()()()!久々に根性鍛え直してやるよ。お前らには色々と言いたい事があるんでな!」

 

その言葉と共に___狂戦士の半身()()()()()はそれぞれ人の姿をとった。

片方は小柄ながら快活な雰囲気を醸し出し。

片方は大柄な体躯に見合った得物を構えていた。

 

 

 

 

 

 

 

二人ともがその見目麗しさで名を知らしめした。

兄、竹王丸。弟、卯松。

また、二人は戦においても非の打ち所無き程に優秀であった。

しかし、その事を誰もが賞賛することは無かった。

何故に___?

 

母は長尾景虎。またの名、上杉謙信。

ソレは現世に降り立った軍神そのもの。

その比類無き力、戦場に歯向かわんとする者無く、戦を蹂躙する者。

 

…そして対外的に知られる事なき事実。

 

父は猿夜叉丸。またの名、浅井長政。

ソレは常世を喰らい尽くす鬼神の写し身。

生涯を懸けて戦いに生き、今日でさえ日本で最も人を殺めた個人と呼ばれた者。

 

彼らの両親は、両親共に偉大すぎた。

如何な武功も誉れもその輝きが故、誰しもが直視しなかった。

 

『兄者。』

『どうした?卯松よ。』

『…所詮我らは凡骨に過ぎず、父の、母の劣化に過ぎぬのでしょうか。』

『…それは後の人が決めること故、この兄には分からぬ…』

『…………』『が。』

 

『もしやすると、我らは親の恥となりうるのやもしれぬな。

大大名上杉に生まれ、高名を挙げる程の武勲一つ無い。』

 

 

 

『………兄者。この弟に一つ策が。』

 

『………正気か?それを成せば我らは後に狂人として名を残そうぞ。』

 

『構いませぬ。…兄者…いや、兄貴だってそうだろ?このままじゃ、俺たちの事なんか

誰も覚えちゃいない。誰も思い出してくれない。母上も、父上も。』

 

『……後悔しないか?』

 

『ああ。』

『フハハ…奇遇だな。実は僕も同じ様に考えてたんだ。ハハッ。』

『ハハハッ!何だよ、やっぱり俺たちは狂人じゃねぇか。』

 

『期日は?』

『早い方が良い。そうだな…』

 

この後、彼らは自らの親族を皆殺しにする。

望みはただ一つ。二人だけでの戦いをするがために。

そして…

 

『俺の勝ちッ!だ!』

『…ッ…僕の負けか……』

 

卯松の小太刀が竹王丸の腹を貫いた。

どう見ても致命傷。とても助からない。

 

『後は頼んだ、卯松。』

『…いーや。嫌なこった』

 

そう言うと、卯松は竹王丸の太刀を取り、自らと兄を纏めて貫いた。

 

『グァ…お前、何を…』

『なぁ、兄貴ィ。やっぱし俺には無理だわ。俺も父上の子供だからさ、独りは寂しいんだよ。それに、』

 

『挙句の果てに家を潰して心中した馬鹿息子なら父上がまた叱ってくれるだろ?ハハッ。』

『…………それなら僕を巻き込まないで欲しかったかな。父さんのお説教はキツいから…ハハッ。』

 

血を流し過ぎた。

もう、意識が保てない。

 

最後に思うのは、苦笑いする母の顔。笑顔で怒る父の顔。

そして、鉄の延べ棒で繋がった最優の()の事だった。

 

 

 

 

とまぁ、この下り、実は色々あって見てたんだよね俺。

色々言いたい事あるけど取り敢えず…喧嘩両成敗って事で一つ。

 

そう呟き、俺は踏み込みそのままの勢いで刀を……抜かずに拳を二閃。

一発づつもらった息子共は頭を抱えて悶える。

 

「痛ってぇ!」「ッー!ッー!」

 

「「何すんだよ父上(父さん)!!!」」

 

喧しいわ!親の後追って自殺するとか馬鹿かお前らは!

少しはこっちの気持ちを考えろアホンダラ!!!

 

無性に腹が立つので少しお灸を据えてやろうか。

弓を、槍を、大太刀を捨てる。

そして圧切を正眼に構え、睨み笑う。

分かるだろ?

 

 

 

親父が、父が武器を捨てる。

成程、やっぱり俺達じゃ父さんの全力を出すには足りないか…

 

「だがまぁ、関係ないよなぁ兄貴?」

「……そうだね。結局の所、僕らに出来るだけの全力を。」

 

ああ、()達は幸せだな。

こんな状況なのに____父親と遊べるだけで幼子のように嬉しいのだから。

 

「さぁて、」

「うん。」

 

「「行こうか!!!」」

 

見せてやろう。自分達の成長を。

…………超えてやろう。二人で。




息子ちゃん達がまるでジャンプの主人公みたいだぁ…(困惑)

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