鬼夜叉と呼ばれた男   作:CATARINA

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やっちゃえアサシン!

市ちゃんの戦闘を書いてみた試験回。


猛進

「さて、二人ともしっかり捕まれよー。」

 

「はい!」「またこの馬に乗ることになるとは…」

 

文句言うな。コイツが怒ったらどうする。

俺らの仕事は機動力を活かして敵軍を食い破る事だ。

市を連れてくのは気が引けるが…サーヴァントである以上しかたない。

 

じゃ、立香ちゃん!マシュちゃん!ネロ!そっちは任せたぜ!

そして、羅刹!『全力』で良いぞ!俺たちの全力で道を拓く!

 

「Burrrrrra!!!!!」

 

 

 

見えた。前方にローマ軍。

士気が高い。高過ぎるな。

さてと、じゃ市ちゃん。離すなよ?

 

「勿論です!」

 

行くぜ…ダイナミックエントリー!

 

市を矢の上に乗せてそのまま射出する。

不安だが…ま、一応猩々殿 梟殿 お蝶殿のお墨付きだ。大丈夫だろ。

………大丈夫だよな…?

 

 

 

「わーい!……とぅ!」

 

「!?女の子!?全軍一時停止!前方に突如小さな女の子が!」

 

ガガーン!……女の子…女の子……

むう、人が気にしている事を…

 

「……あー…えー大丈夫かい?お嬢さん。」

 

あ、大丈夫ですー!ペカー

 

「(ドキンッ…)あ、ああ、ならいい。所でだ。ここは危険だ。オジさんに着いて来て…」

 

あ、そうだ!確か伝言があったんでした!

えーと、『周りの敵は皆殺しだ。隊長格優先。』成程!

じゃあ一人目ですね!

 

そう言うと市は何処からか取り出した手斧で正面に居た兵士の頭を叩き割ると、

突然の惨状に対応出来ない兵士達の横をすり抜けるように駆け回る。

通り過ぎた敵兵らが正気に戻り、市の方へと振り向くと…全ての首が、ズレた。

「んんっ。久しぶり過ぎて体が訛りましたね。」

これじゃお蝶様に怒られちゃいます…と市が悲観する中、惨劇は始まっていた。

先に市に触れられていた者から、次々と首が落ち、鮮血が吹き荒ぶ。

「どうしましよう…夜叉様に捨てられちゃいます…」

そう呟きながら数本の苦無を投合する。

数本……?否、数本だった。

数本の苦無は複数に分裂。有り得ない軌道を描きながら兵たちの首元を引き裂く。

この少女はタダの少女じゃない。敵だ!

真っ先に気付いた大柄なケントゥリオン…百人隊長が戦斧を振るう。

少女を殺めるのは心苦しいが、やむを得ぬ。

「とでも思ってるんですかね?失礼ですよ!」

しかし、それを容易に見切った市は爆発的な、しかし音無き踏み込みで避け、

その勢いのまま心臓を貫いた。しかし…

「ふぇ?まだ動けるんですか。」

ケントゥリオン、それは優秀な兵士の証。

ローマの為、せめて道連れに…

………ここで死ねていれば、あるいは良かったろうに。

「…秘伝・大忍び落とし。」

傷口を抉るように支点とし、空に舞う。

そして首を…打ち落とす。

しかしローマ兵とて静観はしていない。

市は即座に囲まれた、その数およそ百。

「……ふえぇ…いっぱいです…」

 

「…騙されるな!少女と思わず確実に潰せ。」

「「「「Yes sir!」」」」

 

全方位を盾で囲み、にじり寄る。

しかし市は慌てない。質の悪い盾なぞ恐るるに足らず。

忍びの斧は力ではなく技で振るう。

体の移動を交えた斧の一振は容易く盾を叩き割った。

驚愕する重装兵の隙を逃さず首元に刀を突き刺し、血を撒き散らす。

視界が血煙にそまり、何も見えなくなる。仕掛けた本人以外は。

血煙に紛れ、敵兵間を駆け回り、飛び回る。

そして仕込みが完了すると市は急停止した。

 

怒れる敵兵の波は市を押し潰さんと迫る。

かなりの膂力…それが罠とも知らずに。

先頭の兵が市に触れる刹那…最後尾の兵の首が飛んだ。

髪の毛並…しかし一本で人三人ほど吊るせる極細のワイヤーが張り巡らされている。

後は引けば全ての兵の首が落ちるように。

しかし市には力が足りない。ならば敵を利用するだけのこと。

気付いた時には既に襲い。後ろから迫る怒涛の波は止まらず、次々と血に染まっていく。

そして最後の一人の首が飛び…血に染まった少女は笑う。

 

「アハハハッ、これで夜叉様もきっと褒めてくれます!」

 

少女らしい無垢な笑みで。

 

 

 

 

一方の長政というと。

 

「やだ、俺の嫁さん強すぎ……?でも可愛い。」「ええ……」

 

惚気ていた。

だけではなく。

 

「Baalaaa!」

 

羅刹を操って戦線を引っ掻き回していた。

 

いや、あんなに強いとは…負けてられるか。羅刹、行くぜ。

 

そう言って槍と大太刀を抜く。手綱は取らずとも良い。

お互いにお互いを信ずる故に。

 

「ッオオオオオオ!!!」

 

それはただの突撃(チャージ)

しかし、げに恐ろしき巨馬と無双の兵が乗ればその一撃は既に戦略級。

一度の襲歩で百人近くが命を落とす。

それを何度も、何度も繰り返す。

軍を率いる隊長格を優先して撃破したため、残る雑兵は戦略も無い。

ただ目の前の災害から逃れるのがやっとであった。

 

大多数の兵を討ち取り、市と合流する。

 

最高だったぞ市ィ!!!

お互い血塗れなのは気にもとめず抱き締める。

……ただまぁ、あんまし無理はしないでね?

 

……色んな意味でこの夫婦を止められる者は居ないだろう。




市ちゃんつおい…

何なんだこの夫婦。



梟 猩々 お蝶

市ちゃんのNINJAとしての師。
SEKIROに似た人が居た気がするが多分気のせい。
大柄な体躯にも関わらず機敏な動きをする梟。
隻腕ながら義手で飛び回り、斧で頭を叩き割る猩々。
幻術を使うくノ一お蝶。

皆お市を孫のように可愛がるあまり、己の奥義を叩き込んだ。
結果生まれたのがNINJAお市ちゃんである!

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