鬼夜叉と呼ばれた男   作:CATARINA

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ネタっぽくなった。
バルバトスといえば素材だからね、しょうがない。


魔霧の最期

「見るが良い!これこそが我が真の…」

 

ああ、そういうのは不要かと。

逝ってらっしゃいませ~

 

バベッジからの情報を元にロンドンの地下へと赴いた一行。

そこに居たのは魔霧事件の黒幕、マキリ・ゾォルゲンだった。

ゾォルゲンは真の姿、バルバトs…ゲフンゲフン、素材柱の姿を現そうとしたが

 

「あぁ、遅い、遅い、遅い遅い遅い………」

 

再生、そして死亡。

バルバトスはその姿を表す事もなくミゼーアによってリスキルされていく。

最初こそ所長らも『えぇ…』と言っていたが殺害される度に大量の素材が漏れ出る事に気が付くともはや何も言わなかった。

 

……暫くして違和感に気が付く。

……後ろの魔力炉からの魔力供給か。

聖杯を動力に膨大な魔力を製造。それにより魔霧を作成し、余剰分を再生に用いている。

厄介な……どこまでストーリーから逸れれば気が済むのか。

 

「…少々本気で削がして頂きましょうか。」

更に加速。加速、加速。

秒間44柱、足りない?ならば263柱、まだ行ける?宜しい。619柱/sだ。

 

「ギ」「ャ」「ア」「ァ」「ァ」「ァ」「ァ」「ァ」「ァ」「ァ」「!」「?」「!」「?」

断末魔さえ途切れる程の速度に、舞い上がる粉塵。

やがて何も見えず、何も聞こえなくなった。

粉塵が収まるとそこにはマキリ・ゾォルゲンが人型のまま直立していた。

魔神柱の力を削り取られたゾォルゲンはふらつきながらも真っ直ぐに老人を睨み付ける。

 

「もう……遅い……ロンドンに…満ちた……魔霧の量は……充分に………」

 

おっと。まだ息がありましたか。

やれやれ、結局人外はどうも耐久が強くて良くない。

「お嬢様方、どうかお目を背け下さいませ。」

少々手荒に致します故に。

 

先程までの高速では無く一歩一歩とゾォルゲンに近付いて行く。

 

コツン…コツン……

死神が死を宣告するが如く。

カツン…カツン………

ゆっくりと。然れど力強く。

 

ゾォルゲンの胸倉を軽々と掴みあげ、告げる。

 

「貴方………否、貴様は我が主の奥方、引いてはその契約者の生命を危険に晒し…ロンドンに残る英霊の残滓を利用し、弄んだ。故_____ここに()()()()貴様の罪を裁決する。我が身はこの世の生命に非ずとも、我が同盟者が憤怒、貴様が辱めた者の怨嗟を持って、貴様を処断しよう……愚か者にも弁明を赦そうか、最期に言いたい事を述べるが良い。」

 

好々爺の仮面を外したその男の顔にもはや笑みは無い。

ただ淡々と罪を述べつけ、睨み付ける。

人が変わった?……否、これこそがこの男の本性。

元となった男と混ざりあった怪物の本来の姿。

彼が内封するとある存在を半ば解放した姿である。

 

老いてなお精悍な顔立ちはそのままに、

目を煌々と輝かせながら問いかける。

それを見る者は幻視する。まるで獣の様な耳を。威厳を示すかの様な尾を。

 

「我が悪逆…完成させるに足る……星の開拓者よ…

汝三大の言霊を司る七天!抑止の輪より来たれ…」

 

サーヴァント召喚の一節。

最後の最後で抵抗する気か。

 

「不敬なり。人の皮を被った獣風情が。」

 

そう言ったのと彼の爪がゾォルゲンを引き裂くのはどちらが先だっただろうか。

返り血に全身を真紅に染め上げながら、老執事は問う。

 

「……さて、カルデアの御一行さま。さっさとアレを破壊してしまうとしましょうか?」

 

その笑みはあまりにも自然で、返り血と混ざりあって非常に歪だった。

しかし。

 

その場を雷光が包み込み、一瞬にして全員の意識を呑み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

____________________『………!』

 

__________________________________『し……ま!』

 

__________________________________________________『…長……!』

 

『所長様!』

 

目が覚める。

 

どれくらい気絶していたのか?

頭が痛い。目が霞み、手足に力が入らない。

 

「………幸いと言うべきですか。目立ったは外傷無く、辛うじてですが意識もあるようで。」

『所長!?所長かい!?良かった繋がった!!!…いや、安心してる暇じゃない!大変だぞぅ!

その特異点はエラーが発生している上、謎のサーヴァントの影響で更に不安定だ!

もしこのままなら特異点ごと崩壊する!』

 

「………恐らく、そのサーヴァントとはニコラ・テスラでしょう。

雷電を生み出し、星の歩みを推し進めた開拓者。狂化も付与されているようでしたが。」

 

『というか君は雷を受けなかったのかい……?その……』

 

「ミゼーアと申します、Dr.ロマニ。少々雷撃には慣れておりまして。」

 

慣れるとはどういう事だ……ぐっ……

「ああ所長様、無理をなさらぬように。ニコラ・テスラは私がどうにか致しましょう。」

その代わりに………と切り出したミゼーアが差し出したのは傷だらけのジャックだった。

___咄嗟に貴女を庇ったのですよ。

そう告げられ、所長な中に罪悪感が広がる。

「どうかご自分をお責めにならぬよう、あの場に置いて彼女の選択は真に正しい。

不要な憐憫は彼女の勇気への侮辱になり得ますよ?……では、私は少々()()をして参ります。」

そう言って老人は所長から視線を外す。

不安に駆られる所長は縋るように燕尾服の裾を掴み、言う。「…怪我しないでね。」

「……勿論です、マスター(お嬢様)。」

老人そう微笑むとその場から消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

故に、誰も気が付かなかった。

男の顔がこれまでに無いほどの憤怒を称えていた事に。




そろそろ勘づかれるんじゃないかと怖い玉葱。


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