鬼夜叉と呼ばれた男   作:CATARINA

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長い…


叛逆の兆し

比較的軽傷で済んだ卯松と竹王丸、そしてエリザベートは一晩が過ぎると難なく目覚めた。

しかし、デミサーヴァントだった為か、マシュの容態は改善せず、死に至らぬとも余談を許す所ではなかった。

 

マシュ……

 

「気持ちは分かります…ですが、先に進まなくちゃダメですよ。

俺も昔は何人見捨てたのか分かりませんよ…ハハハハ。」

 

03さんは、辛くないの?

 

「……辛いっすよ、そりゃ。置いて行かれる…というよりは自分は置いて行くばかりでしたからね。」

 

 

__『時間が無い!行け!』

「アンタらを置いて行けってのか!?」

___『馬鹿野郎、お前が行かなきゃ怪我人共はどうするんだよ!』

____『そうだそうだ!それに、たまにゃ俺ら歩兵部隊にも戦果を分けてくれよ。』

_____『おいおい新人、俺達はベテランだぜ?俺達が死ぬとでも?』

 

「………了解…必ず……必ず戻りますから!」

 

 

 

 

それで、どうなったの?

 

「…さぁ、覚えてませんね。ただ、僕はその任務の後に軍を辞めました。

逃げた、と言われても仕方ありません。実際…僕は逃げたんです。

でも、この仕事しか出来なかった。それでPMCに所属して__

後は他の皆さんと同じように、何も残せず、戦死しました。

…大丈夫っすよ、逃げた僕と違ってあの人はそれでも闘い続けた人です。

そんな人が早々と諦めるとでも?冗談キツいっすよ。」

 

「…湿っぽい話は終わりにしなガキ共!お話(襲撃)といこうか!」

今回の05は最初から本気モード。朝っぱらから一瓶を空け、既に足元にはもう一瓶の空瓶が。

つまりこの女三本目である。

というか最初は和平という話だったのにどうしてこうなったのか…立香は訝しんだ。

 

………必ず助けるから。

待っててね、01さん。

 

 

 

 

 

 

 

失敗した。

まさか索敵範囲がここまで広いとは思わなかったな。

…距離は?

 

『後方871m…秒間3.2mずつ距離を詰められています。』

成程。

 

全力で疾走しつつ、速度を殺さずに前宙…一瞬捉えた背後に射撃する。

 

『命中確認、有効打無し。』

 

………やはりか。

奴の仕掛けのタネが分からん。

命中してるのにダメージ無し?

そんなレベルじゃない。

()()()()()()()()()()()()()

 

頭がイカレそうだ…見た所命中した弾は奴の肌一枚上を滑るように弾かれてやがる。

つまり此方の銃撃は意味無し。一方向こうの攻撃は一撃でアウト…割に合わない仕事だぜ。

 

ケルト兵達が占領し、今は無人となったゴーストタウンを駆け回る。

直線じゃ分が悪い。立体的に逃げ回って策を練るしか無いか……

 

瞬間、先程まで背にしていた住宅が吹き飛ばされる。

向こうには追いかけっこに付き合う気は更々無いらしい。

 

『推奨:CQB(近接戦闘)』

マジか、一撃チート持ちに格闘仕掛ける気か?……あぁ、でも、そういや一度もやってなかったな…

手にしたARのトリガーガードに指を掛け、クルリと回す。

すると銃は先程までとは全く違う形の物へと変貌していた。

………試して見るか。

 

奴は俺の位置を把握してない。

だから当てずっぽうにやたらめったら撃ってやがる。

口でピンを抜いてからゆっくり2秒カウント。

コイツは安全ピンを抜いてから5.6秒で起爆する。

2秒数えて投げりゃビンゴだ。

 

お前は直接的な害意…攻撃を何らかで逸らしてる。

だから痛くはしないぜ、ちょっと目眩はするがな。

 

コンカッション、これなら効くだろ?

一拍置いて爆音、間違いなく命中。

混乱した奴はさらに乱射する。

違ぇよ、上だ。

 

背中で窓を押し破り、真上から強襲する。

散弾も防ぐのか…まぁ、予想通りだな。

銃身を逆さに持ち、銃床でバットの様に殴り付ける。

わざわざ防いだな?手応え有り。

流石に近接は防ぎようがないか。

 

そうと分かれば始末するのは容易い。

子供を嬲るようで気分が悪いが…生憎心は死んでるんでな。

加減してくれると思うなよ、ビーストⅡ。

 

 

 

 

 

 

 

 

痛い、苦しい。止めて、助けて。

私は、帰りたかっただけなのに。

 

殴られ、蹴られ、首を絞められた。

灼けた鉄を押し当てられ、顔を焼かれた。

刺された短剣に目を抉られた。

 

あぁ……私が悪かったんだ。

あの時、アイツに捕まらず逃げてれば。

あの時、噛み付いてでも、止めていれば。

…私がちゃんと引き留めていられれば。

 

貴方は私から離れなかった。

貴方が死ぬ事も無かった。

ここが地獄ならきっとこれは罰なのだろう。

 

ゴメンなさい、止められなくて。

ゴメンなさい、弱くて。

本当は知ってた、貴方が私の事を誰よりも大切に思っていたのか。

でも、それが辛かった。

 

二人で朝を迎えて、二人で日々を過ごし、二人で助けあって、

時々喧嘩もして、でも仲直りして、お互いに愛を囁く。

私が望んでいたのはそんな関係だった。

 

貴方が家族と呼んでくれたのは人生で一番の幸せだったけど、貴方に家族と呼んで欲しくなかった。

もっと私を見てよ。

家族()じゃない、私を見て。

 

こんな事普通じゃない。

血が繋がっていなくたって、こんな感情を抱いてしまってはならない。

でも、もう耐えられなかった。

帰ってくる度に傷が増え、疲れを滲ます姿に。

それでも笑顔を見せる優しさに。

 

ゴメンなさい、貴方がそれを望まないと知っていた、貴方を傷つけると知っていた。

でも、私は耐えられなかった。そして、図々しくも望んだのだ。

これで自分の傍に貴方を留めておけると。

……馬鹿らしい。自業自得じゃないか。

 

()()()、乾いた自嘲だけが零れる。

 

気が付けば、服を剥かれ、今にも慰みものにされる所だった。

でも、そんな事はどうでも良かった。

……私が悪いから、もう二度と会えないのだ。

せめて一度でもこの気持ちを伝えていれば違った結果になったのだろうか?

会いたい……会いたいよ……

 

 

 

 

 

 

 

気が付けば、手には見慣れた銃を握っていた。

……それでも私を守ってくれるの?

私は貴方を騙して、傷付けて、殺したのに。

 

…そっか。

だったら私も諦めないよ。

 

手首を返した射撃は自らに馬乗りにならんとした男を撃ち抜いた。

ちっぽけな弾丸は命中すると同時に男を塵に還した。

ハハ、ハハハハッ。

違う、お前じゃない。

汚い、汚い汚い!!!

何処も彼処も獣ばかりだ、あぁ、何て穢らわしいのだろう。

駆除しなきゃ。貴方と私にとって邪魔なモノは滅んだって良いよね?

 

 

どんな事をしてでも、幾ら手を汚そうとも。

どんな世界に居ても、どんな時代に居たとしても。

私は貴方の所に帰ってみせる。

 

だから、待っててね?()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

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