【三次】 みほエリを見たかった俺はこの先生きのこれるのだろうか?   作:米ビーバー

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 聖グロリアーナ女学院。そこは淑女教育の場であり、全寮制の管理の行き届いた施設であり、そこに通う少女たちに英才教育を施す学び舎である―――。

割とダージリンを始め紅茶の園のメンバーは否定しているが、グロリアーナの生徒たちの中に同性愛、所謂百合・レズという嗜好の人間が一定数存在する。という噂は少なからずある。というか、他の学園艦ですらまことしやかにささやかれているレベルだったりする。転生前の世界ですら、遠洋航海に出る船乗りなんかは海洋上で性欲処理する方法がなくて、羊を載せたりしてたらしい(イギリス話)し、遠洋を長期航海する学園艦。密室で他に発散するものもない、そんな状況で何も起こらぬはずもなく……とか容易に想像できるんだろう。ちなみに全く関係ないが外国の船乗りが良かれと思って外洋航海に向かう日本人に性欲処理用の羊を提供したら食肉用だと思って捌いて食ったというエピソードがある。
 口汚い連中どもはウチのことを聖グロならぬ性グロとか影で嘯いているほど全寮制という閉鎖的環境で同性愛が繁栄すると思われている思想というのは一般的だ。
―――もっとも、そういった連中がブリカスの手から逃れることができて人生を謳歌してる。なんてこともまた在りはしないのだが……


「――――――~♪」


 上機嫌で俺を膝の上に載せて周囲の見世物にしつつニコニコとすげぇイイ笑顔を見せるブリカス(ダージリン)を見ていると、どうしよう否定できないと思ってしまう。

―――俺としてもこの世界に百合の芽がなかった場合みほエリを為すためにまず思想を布教する必要があるし、そうなると面倒すぎて困るんでむしろ百合の気配は願ったり叶ったりではあるのだ。ただし俺を巻き込まなければ(胃痛)



 ―――嗚呼……血ぃ吐きそう(ストレス)





~蛇足編~
閑話:聖グロ対象こそこそうわさばなし


#1

 

 ――月――日

 

 本日よりいつもの日記とは別に手記を残すことにする。これはそう、適宜調査報告のための覚書のようなものだ。

 

 まず私の懺悔を行おう―――天翔エミにキスをしてしまった。

 

私自身、そういう趣味があるわけではない。ないのだが、気が付いたらそうなっていた。私がどういう考えでそうしたのか、今思い起こしてみても全く分からない。

 その後天翔エミは入院してしまった。頭から血を流していることから、テーブルに強く頭を打ち付けたことが原因だということだ。記憶を消したいほどショックだったという事だろうか……?

 

 ―――私にとっても初めての経験だったのだけれど……

 

 

 

 

 ――月――日

 

 天翔エミが帰ってきた。けれど私から露骨に距離を取っている。

どう考えてもあの一件を引きずっている。私自身も、どのように接していいかまるで分からない。距離を間違えたらまた近すぎる接触になる。そうなったら―――

 

―――彼女は私を、拒絶するだろうか―――?

 

 

―――私はそれに、耐えられるのだろうか……?

 

 

 

 ――月――日

 

 最悪だ。

 

 最悪すぎる。

 

 弱気の果てに知らず目の前の手に縋りついて懺悔をしていた。

その縋りついた手が当人だった。死にたい。貝になりたい。どこか遠くの国で10年ほど離れてすべてが風化するまで隠れてしまいたい。

 

―――けれど私は許された。

 

嬉しい反面。その後の彼女の言葉がとても気になる。

「私は許すけれど、他の連中に同じことをしないと約束しろ」だっただろうか…?

この言動とこれまでの距離を開けた態度や彼女自身の性格から推測される事象で、もっとも可能性が高いもの、それは……

 

―――天翔エミが、私を性的に狙っている。という可能性―――!!

 

 由々しき事態だ。私にそんな性的指向はない。ないが―――彼女がそう思ってくれていることを、心のどこかで喜んでいる自分が居る。由々しき事態だ、一刻の猶予もない。

 

   確かめなければなるまい。

 

 私自身の“これ”が、所謂恋心というモノなのか、それとも、一時の気の迷いからくる麻疹なのか。

 

 そして天翔エミが【私だけを想ってそう言っている】のか、それとも【手始めに私を落とそうとしているのか】を、明確にしなければならない。

これは私自身を賭けた盛大な博打であり、同時に聖グロリアーナにとって絶対に無視してはいけない案件に成りえた。明日からでも実践しなければならない。

 

 同時に現段階でどこまでを想定して距離を詰めてきているかをしっかりと把握して距離を見極めなければならない。

 

  私にそんな気は無いのだから!!無いのだから!!

 

 

 

 

 

# 聖グロこそこそうわさ話 その1

【 聖グロ隊長ダージリンが己の内面に抑え込み切れない感情を調書(ファイル)として綴った数冊が、隊長の私室に厳重に保管されているらしい 】 

 

 

 

 

#2

 

 

 ――月――日

 

 一歩目は大胆に。そしてそこから徐々に後退するのが交渉の初歩。

天翔エミの毎日のロードワークのルートは以前に追いかけた際に把握できている。後は、彼女よりも早く自身のトレーニングを終えて、彼女の寮の前で準備を終えておくだけ。

 

「あら天翔エミ、お疲れさまですこと。丁度良いわ、シャワーを貸していただける?部屋の水回りの修理が終わっていないの」

 

事前に水回りの修理依頼を申請しているから、この線で疑問を持って辿ったとしても不審な点は見つからない。細工は流々、後は彼女の反応次第。

 やや渋々ながら部屋に受けいれてくれた彼女に感謝を述べつつ、シャワールームに向かう―――彼女の手を引いて。

 

―――さぁ天翔エミ……裸の付き合いという極上の誘いに貴女はどう出るのかしら?

 

 

 

 

 ――月――日

 

 何なのもう!何が不満なのあの娘は!!おまけに言うに事欠いて人のことを痴女呼ばわりとか……ああもう腹が立つ!!

 

 ―――落ち着こう。“憤怒は他人にとって有害であるが、憤怒に駆られている当人にはもっと有害である。”と、トルストイも言っているのだから。

 

最初から肌と肌の触れ合いの極みからスタートというのもロケットスタートが過ぎたのかもしれない。そも彼女はどちらかというと潔癖症の気がある節があった。以前彼女の部屋でシャワーをお借りした際に勝手にシャワーを使うなと怒られたことがある。今回もそれに近いのかもしれない……考察が正しいのかわからないと言うのはもどかしいものだ。

 

 ―――思考しよう。思考は大切なものだ。“思考が人間の偉大さをなす。”とはパスカルの言葉である。

 

 先日の失敗は裸の付き合いだったことだ。つまるところそこがネックであったと言ってもおそらくは過言ではない。

で、あれば全裸でなければ問題はないという結論になる。徐々に距離を置いていき彼女のセーフティラインから目的を割り出すためにも必要な作業と言える。これは私的な目的ではない。ひいては聖グロリアーナの生徒全てを対象としているかもしれない彼女の最終目的が何処までに至るかを調べる崇高な使命である。

 

―追記―

 競泳水着を用意してみたところやはり逃走した。彼女自身はかなり初心なのかもしれない。それならば彼女の分の水着も用意してみるとしよう。

 

 

 あっ、ちょっと、節分ではないのですからやめなさい。鬼のように私を扱うのをやめなさい!やめて、(珈琲)豆はぶつけるものではありません!やめなさいと言っているでしょう!!?

 

 

 

 

# 聖グロこそこそうわさ話 その2

【 紅茶の園にフリーパスを貰ってるブリュンヒルデ様(天翔エミ)は、普段から衣服の内側に“護身用珈琲豆”なるものを持ち歩いているらしい。用途は不明 】

 

 

 

 

 

#3

 

 夜遅くまで勉強会(および雑談)を行い、就寝時刻と同時に同じベッドで眠る機会を与えても私を引き込む様子はなかった。だがここで私から歩み寄るのは誘っている形になりいざというときに弁解がやり難くなるので、アイコンタクトで誘っていると思われない程度にチラチラと視線を送ってみたが効果がない。

 

 ―――私に何か不満でもあるのかと思ってしまう。不愉快極まりない

 

 ただし漸く最近この娘の距離の置き方が見えてきた。身体に触れるなどの行動を極力避けている。これは臆病さからくる行動に酷似している。普段の豪快で慎み浅く野卑な発言や行動と裏腹に、内面では他者に近づくことを躊躇い、悩む傾向にあるようだ。そのくせ他人の悩む姿を見るとおせっかいを焼くのは生まれ持った宿業か何かなのだろうか……?

 それと、罰ゲームと称せば大体の行動は受け入れてくれることが分かった。少々ちょろすぎて心配になる部分があるけれど……これは調査する大きな好機と言える。

 天翔エミはあまり勉学的な意味では頭がよろしくない。それでも中ほどよりは上をキープしているけれど徐々に順位を下げている。この状況が続くようならば中位を転落し、高等部に至るころには勉強についていけず赤点・追試に至る可能性がある。

 

―――ならばこれは彼女の学力向上を見据えた私なりの気遣いと言える(強弁)

 

 私から格言などを含めたテストの問題傾向を考えた問題集を提示し、その問題をベースに日常の中に抜き打ちテストを盛り込む。失敗すれば罰ゲームで……一定時間抱きぐるみにでもなってもらうとしよう。

膝の上に乗せると身動きを取らなくなるので不覚にも黙って大人しくしていれば小動物のようで可愛いとまで思ってしまうのは難点ではあるが……天翔エミが勝手に動き回ると事態の把握も困難になるし、面倒が増える。相対的に見てプラスに働くのだから個人の思惑は置いておいても問題ないだろう。きっとそうだ。

 

 

 

 

****** D to ???

 

 

 

 

 物憂げな瞳をしているダージリン様を、いつから見ていただろうか?

 

それがある日を境に元通り優雅な振る舞いを取り戻し―――

 

―――“戦乙女”さまへの距離が明らかに近くなった。

 

「もはや間違いなどありえない」

 

 薄暗い闇の中、装飾の付いた目の部分だけを隠す貴族的なマスクをつけた少女が語る。

 ぼう、と蝋燭が揺らめく。数はひとつ、ふたつと増えていき、周囲が蝋燭で埋め尽くされた。その蝋燭を燭台に載せ、一人が一つずつ持っている。全員に共通するのは顔を隠す貴族的なマスク。その人数は膨大で、広大な空間だというのに狭く感じる程に集まっていた。

 

「―――我らがダージリン様に春が訪れたという事!!」

 

―――ォォォォォォ――――!!!

 

密室を揺るがすような歓声が響く

 

「その相手が、同じ紅茶の園のメンバーであるという事!!」

 

―――ォォォォオオオオオオ!!!!

 

先ほどよりも強くなった歓声に周囲の空気が震えているかのような錯覚を感じさせる。

 

「―――そしてそれが、我らがお慕いして止まない“戦乙女”さまであるということ!!」

 

――――――――――

 

場を一瞬静寂が包み込み―――

 

 

――――ォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォ――――!!!

 

 

地響きにも似た振動を起こす雄叫びのような歓声が轟き渡った―――!!

 

 

 

「いやぁ……私は最初からあの二人は怪しいと思ってたんです」

「私はダージリン様はアッサム様と……なんて思っていましたけれど」

「ですがアールグレイ様の反発が予想されるのでは?」

「いや、アールグレイ様であればむしろ何人でも問題なく抱擁されるかと」

『確かに!!』

 

 

 

「――――静粛に!!」

 

 

ザワザワと姦しく騒いでいた集団がシンと静まり返る。声を上げたリーダーらしき貴族マスクの少女はマスクの奥の瞳をキラリと光らせると、口を開く

 

「―――先ほども言った通り、ダージリンさまと“戦乙女”さまの関係はもはや明白!!」

 

周囲の皆がうむと頷く。

 

「―――ならば我らのすべきことは!!?」

 

少女の声に

 

『―――華咲き誇るまでを見守る太陽であるべし!!』

 

一糸乱れぬ声が応える。リーダーらしき少女はこくりと頷く

 

「我ら―――」

『“アインヘリヤル”の名のもとに!!』

 

リーダーの掲げた腕に呼応して、皆が一斉に「応」と腕を掲げる。

周囲を支配するのは一体感であり、場に酔っている者もかなり居るのだろう。だがこの場にいる全員が共通した目的のもとに集っていた。

その目的が他ならない。

【紅茶の園のメンバーの恋模様をひっそりと見守りたい】という野次馬根性であった。

 

 

*******

 

 

「―――ふぅ」

 

ロッカールームで着替えを済ませて、顔のモノを外してロッカーの隠しスペースに放り込み、ドアを閉じる。一息つくも興奮冷めやらぬためか、少し汗ばんでいるように思えた。

 

「―――シャワーでも浴びようかしら……?」

 

更衣室すぐ隣のシャワー室への内扉を開こうとしたところ、外から小柄な人影が入ってきた

 

「―――ありゃ、邪魔しちゃったかな?」

「て、天翔様、ご、ごきげんよう!」

 

人影の正体が天翔エミ様だとわかってから慌ててカーテシーのポーズをとる。シャワーを浴びようとしていたところなので半裸に近い薄着姿なのが思ったよりも恥ずかしい。

 

「ああいや、更衣室の備品の残り様をチェックしてるだけだから、すぐ出るよ」

「あ、はい。お疲れ様です」

「いんや。そっちもお疲れ様」

 

 顔を逸らしてそう言って手をひらひらと振ると、天翔様は奥の掃除用具や備品が入ったロッカーの方へ向かってしまった。今日は良い日だ。天翔様から声をかけていただいて、気遣いまでいただいてしまった。気力がみなぎっている予感がする。この後もきっと良い一日になる。絶対に!

 

 

 

 ―――翌日、ロッカーの備品チェック中に指を挟んでしまったとかで、痛々しい包帯を巻いた天翔様が居た。私とあいさつを交わしたその直後のことだったのだろうか?だったら私が居ながら申し訳ないと思ってしまう―――。

 

 

 

 

 

 

# 聖グロこそこそうわさ話 その3

【 聖グロリアーナには、“アインヘリヤル”と呼ばれる『紅茶の園の皆様を生温かく見守り隊』が存在する――――のかもしれない。なお、その総数も、誰が誰であるのかも互いに秘匿されている秘密組織である―――のかもしれない 】

 




――月――日

 俺にもできる仕事ということで校内各所の備品の残りのチェックと、足りない備品の購入手続きの書類作成を請け負った。
更衣室の備品を調べようと入ったところ、出会い頭に内扉からシャワールームに入ろうとしてた女生徒(モブ)と鉢合わせした。シャワーを浴びようとしていたので半裸でした。


―――これは(罪状的に)アウトですか? アウトですよね(確信)


自分で指一本ピロシキすると最近目ざといダージリンに怪しく思われるのでロッカーを使って指を挟んだように見せかけ指ペキを敢行。最近色々アレな目に遭ってるんだし、このくらいやっておかなくてはなるまい、きっと。


骨折まではいってなかったのか内出血で青黒く腫れあがってきた指の関節部分を目ざとく見つけたダージリンに詰問され「かくかくしかじか(万能)」で説明。
「保健室へ行け」と言ってくるダージリンを放置してとりあえず内出血どうにかしないとと思ったので、給湯室にいって後輩たちの見てる中、給湯室のコンロであぶった果物ナイフでさっくり切って血抜きをしたら卒倒された。解せぬ()

 激おこダージリンに「何をやってるんですか」と怒鳴られた挙句、応急処置と言って指を咥えてちゅるちゅると吸われながら舐め回された件。

これはピロシキに入りますか?(はい。入ります)


―――あれ?これ無限ループフラグじゃね?()

おすきにどうぞ?(謎)

  • ダーペコ
  • ペコヒップ
  • ダーサム
  • アルダー
  • ダーみほ

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