魔法科高校の妖精遣いだよ……え?そんなにチートかな? 作:風早 海月
たった1日でお気に入り登録が20以上、感想まで来るとは思ってもみませんでした。
とても調子に乗ってるので今日も更新です。
現代の物流はとても便利なもので、魔法科高校ではあらかじめ必要なものを送っておけば手ぶらで登校することが出来る。
とはいえ、現代においてもカバンを持って登校する生徒がいない訳ではなく、逆に半数を超えているだろう。
CADをカバンに入れている人もいれば、化粧品を携帯する人もいるし、タオルやティッシュなどを持ち歩く人も多いし、衛生用品を持ち歩く人もいる。
そんな中で、栞は化粧品やタオルや衛生用品も持ち歩くためのカバンであることも確かだが、それ以上に妖精たちを連れて歩くための
[なんで私を連れていくのよ。雷電か雷火でいいじゃない。]
〔楓は校内とか非殺傷戦闘なら使い勝手いいからね。〕
[はぁ!?私が弱いっていうの!?]
〔照れてる〜。〕
[ちょ、違うし!別に照れてないから!]
[楓は本当に栞の事好きだね。]
[響!私は別に栞のことなんて…!]
[そう?私は好きだよ。思わず割れ目を擦り付けたいくらいには。]
〔…だから響は連れてきたくなかったんだよね。〕
[まあまあ、おふたりとも落ち着いてくださいな。]
今日連れてきているのは3人。楓、響、紗彩の3人だ。
(ま、この3人ならある程度の柔軟性があるからね。何があっても対応できる。)
とことこ駅から歩いて教室に入る。
やはり日本人離れした栞の容姿は目を引く。
先天性色素欠乏症の中でもⅡ型(OCA2)と呼ばれるタイプのそれだ。現代の医療技術によって眼の治療はナノマシン等で可能になり、肌も高性能なサンスクリーンが出来ているので、日常生活には支障はない。
とはいえ、銀髪に淡青色の瞳と白い肌は外国人の観光客が2020年代に比べて少なくなったこともあり、とても目立つ。
ちなみに、髪は染めても半日で落ちる。瑞葉の浄化作用が働いてしまうためだ。異物を浄化することにかけては瑞葉の右に出るものはいない。
まあ、ほのかは雫の方にいたので、カバンを置いたら雫の方へ向かう。
ついでにカバンから紗彩を連れ出して肩に乗せる。
紗彩は透明になれるので可能な芸当である。
「おはよう、雫、ほのか。…そちらは初めましてですね。御巫栞と申します。司波深雪さん…ですね?」
(…!次席の…お兄様が何か写真を見ながら固まってた方……はっ!?まさかお兄様このような方がお好みなのですか!?いやいや、待つのよ深雪。お兄様に限って
「昨日の入学式で。」
「私は本当は試験会場でも一緒だったけど。」
「え?雫と一緒だったの?」
「うん。キャパシティの大きさならほのかに勝る人はそうそういないと思ってたけど、あのテストでらくらく100工程やってた。」
「「………」」
その時、オリエンテーションの開始を告げる音声がかかった。
「皆さん、入学おめでとう。1-A指導教官の百舌谷です。」
全員が着席した時、教室に背広を着た男の人が入ってくる。
「難関である一高の入学試験。それを突破した200名の中でも優秀な成績、または潜在能力の高そうな方達により構成されているクラスです。首席の司波さんだけでなく、皆さん全員が期待を背負っている事を忘れないでください。実際に魔法師として活躍している先生方の貴重な授業を受けることができるのは一科生だけです。これは魔法師の絶対数が少ないためと言わざるを得ません。皆さんはこの機会を逃さず、大きく利用し、大いに学んでください。この後は専門科目の見学です。見学の後、選択科目を選んでいただきますので、しっかりと見てください。教員による引率はそれぞれ配ってある通りの時間に行われますが、他に見学したい授業があれば自主的に行動してもらっても構いません。」
百舌谷はそれだけ言うと教壇から降り、教室を出ていった。
☆☆☆☆☆
4人は指導教官について見学をすることにした。
その際、深雪に手を出そうとした男子数名をほのかのファインプレーですげなくあしらったのはご愛嬌である。
「この実験は放出系魔法の基礎を学ぶものです。摩擦によらず静電気を発生させ、空中放電で帯電状態を解消する実験です。」
指導教官は実験室の前で止まると、解説する。
「そうですね…放出系魔法とは何か、説明できる人はいますか?」
いきなりの問題に、多くの一科生は答えが分からずザワつく。
そんな中、先程ほのかにすげなくあしらわれた男の子がドヤ顔しながら手を挙げる。
「はい、先生。」
「森崎くんですか、どうぞ。」
「放射線を操作する魔法ですか?」
「ふむ、間違いではありませんが、不十分な答えです。20点と言わざるを得ません。質問に対する回答に疑問形を用いることはやめなさい。自分の答えに自信がなくとも、それを見せるべきではありません。それが無ければ40点といったところでしょうか。」
その採点に一同は一瞬にしてこの先生の授業では気をつけなければ、という考えに至った。
「では、司波さん、どうですか?」
「はい。放出系魔法は素粒子及び複合粒子の運動と相互作用に干渉する魔法です。」
「簡潔にまとめられたなかなか良い回答です。」
「ありがとうございます。」
深雪は腰を折って礼をする。
「では、今回の実験で行っている放出系魔法による帯電放電実験ですが、電気を操る魔法はどう作りますか?…では、御巫さん。」
「はい。そもそも、電気自体に干渉することは不可能です。広義での電気とは、自由電子や電荷を帯びた粒子の運動全般を指す概念のことです。狭義での電気、電流・電圧に干渉するのでしたら加重加速複合系が一般的です。しかし、今回の実験のような空中帯電及び放電には不向きであり、放出系魔法を使わず、摩擦によらない静電気帯電及び放電を行う時は収束吸収複合系を用いるべきでしょう。」
「完璧な答えです。」
(雷姉妹を使う上で必要だったからね。その辺の物理。)
「午後の見学は実技棟前に13:40集合です。それでは一旦解散とします。」
「「「「「ありがとうございました。」」」」」
全員が背を見せて去る先生に向かって腰を折って礼をする。
「さ、ご飯行こう!」
ほのかの声に3人は答えながら食堂へ向かった。
この後面倒なことが起こるとは4人とも考えてすらいなかった。
これで妖精全員が紹介出来ましたね!
これが栞の妖精の契約枠7つ全員です。
【楓】
かえでという名前のくせに風の妖精。
ツンデレだが、栞が大好き。
力こそそこまで強くないが、逆に学内での制圧など殺傷不能な場合に重宝される。
【響】
音や光や熱の妖精で、珍しく栞が初めての契約者。
エロい。思考が男子中学生。年がら年中発情期。若干ドMのきらいがある。
とはいえ、古くから封印してあった程の妖であり、高い戦闘力を誇る。栞は普段スタンドライトの代わりにしている。
【紗彩】
空の妖精。栞の飛行魔法は紗彩の魔法による。
防御系も担っていて、その防御を今まで抜いたのは雷火の必殺技だけ。
しっかりさんで透明になれるので、何かお使いがある時は紗彩が使われることが多い。