魔法科高校の妖精遣いだよ……え?そんなにチートかな? 作:風早 海月
そう、それは2度目だった。
「いい加減にしてください!」
事の発端は深雪の兄、二科生である達也とその仲間たちと深雪が一緒に帰ろうとする時に一科生の自己中な人達が深雪を奪おうとしているのだ。
ちなみに同じようなことが昼の食堂でもあり、その時は達也が折れて事なきを得たが、今度ばかりは折れるも何もない。
「なんの権利があって2人の仲を引き裂こうとするんですか!?」
(引き裂くってそんな…美月ったら何を勘違いしてるのかしら?)
美月の堪忍袋の緒が切れた言葉に、深雪の場違いな妄想が膨らんで「ドキッ、キュン、ぼっ」というような効果音が深雪の中に響く。
[きっとそのままベッド・インだね。]
〔響は黙ってて。〕
「ん?栞、なんか言った?」
(!?…雫は妖精の声を聞けるの!?修行も妖精と契約してる訳でもないのに…これは才能ある!)「別に何も言ってないよ。」
「そう。」(何か絶対言ってたんだけど…)
一科生のグループの急先鋒はすげなくあしらわれた男の子だ。どんだけ深雪に一目惚れしたのやら。
「だいたいキミたちはなんで楯突くんだい?ウィードのクセに……いいかい?この魔法科高校は実力主義だ。その実力で劣っているキミたちは、つまり存在自体が劣っているとみなされるんだよ。身の程をわきまえたらどうだ?」
「それが…一科生の総意ですか?」
「違っ「当たり前だろう?」
ほのかが思わず否定しかけた言葉を塗りつぶすすげ男君。確か名前は森山。
[モブ崎じゃなかったっけ?]
〔しー。〕
イラッとしながらモブ崎を見るほのかだが、誰もこちらは見ていない。なぜなら、紗彩の魔法で存在を偽っているから。面倒なことになる前にほのかと雫も効果範囲に含めている。
「お、同じ新入生で、今の時点であなた達がどれだけ優れているって言うんですかっ!?」
「いいだろう…その差、思い知らせてやろうか?」
雫とほのかはまさかと驚く。
「二科生…風情がぁぁ!!!!!」
モブ崎がホルスターから高速でCADを引き抜きながらCADのトリガーを引く。
「特化型!?」
「攻撃魔法!」
雫の予測通りだろう魔法の起動式がCADからモブ崎に送られ、二科生の1人、千葉エリカが警棒で弾き飛ばす。
(いや、なんだ!?弾き飛ばされる前にCADから起動式は取り入れたはずだ!なのに何故エアブリッドが発動しない!?)
(間に合わなかった!?…でもなんで魔法が発動しないの!?)
この時だけはモブ崎とエリカの思いは一致した。
((何が起こった!?))
恐らく、エリカが間に合ったと周囲は見ているだろうが、それが違うと分かるのは当人達2人と達也と、そして―――
「ええ加減にしなさい、モブ崎。」
「俺は森崎だ!」
「ぶぶっ!!」
「なんで笑う!?」
「いやー、幼なじみと同じような返しだったから。あははは、あははははははは!」
笑いの止まらないエリカはほっといて、一科生の前に立つのは栞と紗彩だった。
(あれは、まさか妖精か!本物をこんな所で見れるとは…!?
「自分より下の人間だからといって威張ってなんでもしていい訳では無い。小学生でも分かること、あなた達は分からないの?それなら魔法師になることは辞めるべきよ。魔法師だって1人では戦えないもの。」
「だが!」
「まあ今日のところはあなた達の土俵に乗ってあげる。実力主義なんでしょ?1発でも私に攻撃を当てられたら私は退散する、当てられなければあなた達が折れる。制限時間は2分ね。あんまり時間かけても風紀委員が来ちゃうし。」
「いいだろう。同じ一科生にお前のような腰抜けは要らん!いくら同じ一科生でもこの人数差なら!」
一科生のグループは個々に魔法を発動するが、相克を起こす。
「あらあら、一科生だと威張って強いぞーって言ってた方々が相克すらも理解してないなんて…」
「直接狙うな!間接攻撃だ!」
(…モブ崎は意外と手馴れてる。きちんと指揮が取れるのか。選民思想さえなければ御巫家で飼ってもいい能力がありそうね。)
「紗彩、対物障壁。防殼。」
[承知しました。]
(くそ!なんて硬さなんだ!?ならば!)
(汎用型!別の魔法!)〔響、対光障壁。多分レーザー系来るよ。〕
[了解。ご褒美は指で。]
〔自分の右手でどうぞ。〕
[ケチだね。栞の指だからいいのに。寝てる時使ってるかもしれないけどごめんね。]
☆☆☆☆☆
結局2分では終わらず、生徒会長と風紀委員長が来るまで続いた。
一科生の連中はことごとくしょっぴかれて反省文とあいなった。
「いやー、あれ止めてくれたの栞だったのかー。」
森崎の魔法が発動しなかった理由は栞自身の領域干渉だった。
「うん。間に合ってよかった。」
「2人も止めようとしてくれたんでしょう?ありがとう、雫、ほのか。」
「―――!!!し、し、雫!司波さんが、ほ、ほのかって!」
「うん、そうだね。」
「お兄様が言ったでしょう?私も深雪でいいのよ。」
「ん、分かった、深雪。」
嬉しすぎたらしく、ほのかは酔っ払いのようになっていて、雫に支えられている。
「私もいいの?」
「もちろん、栞もよ。」
「ありがとう。」
駅に向かいながらの会話は栞に高校生活を実感させるものだった。
「ところで、御巫さん。」
「あ、私も栞でいいですから、達也さん。」
「そうか。栞、君の肩にいるのは妖精か?」
「うん。この子は紗彩。空の妖精だよ。そして―――」
栞はカバンを開けると、2人が飛び出して栞の左肩に腰掛ける。
「こっちの黒髪の方が響。こっちのグレーの髪をサイドテールにしてる子が楓だよ。」
[よろしくお願いしますね。]
[響だよ。…さすがにお兄さんのモノは入らないかな。]
[楓よ!別に栞のためじゃないんだからね!栞は見てらんないのよ!]
ちなみに、妖精は物理要素を持つため魔法技能がなくても見ることは出来る。だが、魔法技能があっても声は普通は聞けない。それは妖精を使役する上で重要なスキルで、妖精と1人も契約してない人が妖精と会話するのはたいへん難しい。
「…栞、響って…その、変態なの?」
「…やっぱり聞こえるんだ。雫って妖精遣いの才能あるね。ちなみに、響は年がら年中発情期のエロ妖精だよ。戦闘力は十分なんだけど…」
「なんて言ってるんですか?」
美月はつんつんと響を触りながら聞く。
[巨乳メガネさん、おっぱい舐めさせて。]
「巨乳メガネさん、おっぱい舐めさせて。だって。」
「ひゃ、ひゃい!?」
ぼんっという幻聴の聞こえる速さで顔を真っ赤にする美月の固まった細い指先を大きく口を開けてちゅぱちゅぱとしゃぶる響。
[いくらお姉さんの指が細くてもさすがに太すぎたね。]
〔とか言いつついつも私の指しゃぶってるじゃない。〕
[栞のはその年代にしては細すぎるんだよ。もっと食べないと。おっぱい大きくならないよ?乳首だけ硬いからよく
「……栞、その……うん、気持ちは分かる…よ?」
声が聴ける雫から同情と共感を受けて、栞は沈没するのであった。
身長141cm、体重36kg、バスト(察してください)
先天性色素欠乏症Ⅱ型(OCA2)を発症しており、メラニンを一切生成できない。眼疾患もあったがナノマシン治療で治療を行い経過観察中であるが、これは継続的にナノマシンを補充する必要があるからである。
しかし、ナノマシン治療は発育(色んなところ)に深刻なダメージを与えていて、身長体重が小学校卒業から増えていない。響によると生えていないらしい。(それもコンプレックスのひとつ)
銀髪に淡青色の瞳を持つ。華奢な骨格で、肉付きもいい訳では無い。椅子に座っているとお尻の骨が痛い。
魔法師としては高い能力を持つが、サイオン量以外では深雪に劣るくらい。
契約枠は7つ。妖精遣いとしては最強クラス。
【瑞葉】
長い青い髪が特徴の妖精。
水や氷の妖精。普段は飲み物を冷やすのに使われている。
よくドジを踏むので普段は料理担当だが、それでも皿が割れる。