M14EBR-RIの日誌   作:MGFFM

21 / 22
お待たせしました第19話です!今回は久し振りに平和なシーンが書けました。


第19話 束の間の平和

戦術人形になってから27日目。おそらく晴れ。

 

任務は無事終了した。いや、無事って訳ではなかったか。僕はまたまた敵の弾を食らってしまった。今回の任務は負傷者も沢山出たのでまた僕は後回しにされるのかなと思ったが、僕は右の脇腹に弾を数発食らっていて割と重傷だったので直ぐに治療を受けた。今は手術が終わった後で、暫く安静にしていろと言われベッドに寝かせらている。なので何もすることが無くてとても暇だ。

 

こっそりベッドから抜け出そうともしてみたが見舞いに来たエレナに見つかってしまいそれ以降エレナはずっと僕の側にいる。これにより僕はベッドから抜け出すことは出来なくなってしまった。でもエレナが剥いてくれたリンゴはとても美味しかったし、喋り相手にもなってくれたから良い暇つぶしになった。

 

にもしても昨日はは濃い1日だった。墜落するヘリから落ちてみたり、何か闇落ちしたみたいな感じのSPAS-12に追いかけ回されたり、敵の基地に潜入したり、謎のケモミミ戦術人形と激しいバトルをしてみたり・・・・。あぁそして、驚いた事に今回僕達が追っていたブツは何と崩壊液を利用した兵器だった。それを今回僕達を襲ったテロ組織「エイレーネー」が奪ってテロを起こそうとしていたそうだから驚きだ。一気に話の規模が大きくなり過ぎて僕はイマイチ実感が湧かなかった。でもま、ブツは僕達が無事回収したからもう安心だ。2日後に依頼主が回収しに来るそうだ。

 

しかし今回僕達にブツを回収するように頼んで来た奴の所属している研究施設は、崩壊液やE.L.I.Dを使った違法な研究をしているところだった。なので依頼主から報酬金を受け取った後は、グリフィンに通報してグリフィンからも感謝料を頂くつもりらしい。

 

ウチの社長ゲスくない?

 

 

 

戦術人形になってから28日目。曇り。

 

やーっとベッドから出ることが出来た。そして今日は特に仕事とかも無いからエレナとFNCとM200一緒に街に行くことにした。実は前の前の任務(大型E.L.I.Dを倒したやつ)時にFNCに美味しいチョコを買ってあげると約束をしていたのだが、色々忙しくて買いに行ける暇が無かった。なので任務もひと段落した今日行くことにした。ネルソン隊長にそのことを話したら2つ返事で了承してくれた。

 

僕は初めてE-17地区の街に行くからとても楽しみだ。どんな感じなんだろうか?久し振りにハンバーガーとか食いたいなぁ。

 


 

僕は今、1人L&M社の正門の前に立っている。腕時計を見て時間を確認する。現在の時刻は午前11時47分。集合時間は12時なのでそろそろエレナかFNCが来る頃ではないだろうか。張り切って40分にここに来たのだが流石に来るのが早過ぎたと今更ながら後悔している。

「あれ、もう来てたの。早いね」

 

振り返るとエマがいた。エマは何時もの服では無くベージュのトップスの上に赤色のカーディガンを着て、黒色のスカートを履いていた。服が違うだけだここまで印象が変わるんだなぁ・・・。

 

「何?そんなまじまじと見て」

 

《いや、改めて見るとエレナって美人だよなぁと思って》

 

美人と言うよりは可愛いといった言葉がエレナには似合うと思うが、これを本人に言ったら怒られそうなので言わないでおこう。

 

「お世辞はいいから」

 

《いえ、本当に美人だと思いますよ!》

 

「そりゃどうも。って言うかアンタは相変わらず女子力を感じさせないものを着てるのね」

 

今の僕の服装は下はショートジーンズで上は適当に選んだシャツの上に灰色のパーカーを着ている。う〜む、確かし女子力は感じない服装かもな。でもフリフリしたスカートとかを履いたりするのは恥ずかしくて嫌なんだよな。

 

《私はそんな女の子らしい服は似合いませんから》

 

「見た目は普通に可愛いんだからおしゃれとかすれば良いのに」

 

ひぇ〜可愛いって言われちゃったよ。普通の女の子だったらここで喜んだらするのだろうが元男の自分は嬉しくもなんともない。恥ずかしいだけである。

 

いやまぁ確かに今の僕の姿はどっかの学校にいそうな女子学生みたいで可愛いと思うよ。それは認めよう。って言うかこの姿は自分であってつまり今僕は自分で自分を可愛いと思っちゃってるってことか?それって自分は可愛いと認めちゃってることになるのだろうか?いやいや、僕が可愛いと思っているのはこの体であって僕自身は男なんだから関係ない。

 

「何真剣な顔で悩んでんの?」

 

気づいたらエレナが僕の顔を覗き込んでいた。僕はニコリと笑いながら答えた。

 

《い、いえ、何でもありませんよ》

 

このことは深く考えないようにしよう。自分が何者なのか分からなくてなってしまう気がする。

 

それから待つこと数分。右奥の方の道から丸っこい車が走って来て僕達の目の前で止まった。何と言うか、FNCに似合う可愛らしい車だな。運転席側の窓が開きFNCが顔を出して来た。助手席にはM200が座っている。

 

「おねーちゃんおまたせー!」

 

「お久しぶりです」

 

可愛い少女が可愛らしい車に乗っているのは絵になりますな。しかし車を運転しているのが少女と言うこの絵面は道路交通法的にはアウトだよな。まぁ彼女は人形だから問題は無いのだが。

 

「アルバトねぇ。アンタにお似合いの車だね」

 

FNCの乗る車を見たエレナかそう言った。

 

《この車アルバトって言う名前なんですか?》

 

「正確にはアルバト595って言う名前だよー」

 

FNCが説明してくれた。フィアットって言うか車のメーカーが昔作った車らしい。見た目が可愛いということでFNCのお気に入りの車だそうだ。僕とエレナはアルバト595の後部座席に乗さてもらい、僕達は街へと向かった。

 

L&M本社はE-17地区の郊外にあるので、街まで行くのに約1時間もかかってしまった。僕が戦術人形なってから初の街だ。街が近づいてくるに連れテンションが上がって行く。車を駐車場に止めて、僕達は街を散策する。

 

僕がまだ男だった頃に住んでいた街と違いここの街は活気に満ちている。多くの人々が行き交い、多くの店が軒を連ね、色んな話し声が聞こえて来る。歩いているだけでも楽しいな。建物も僕の住んでいたところより高い。ここは復興が結構進んでいるようだな。

 

「どこに行くの?」

 

僕の横を歩いていたFNCが聞いて来た。今日のFNCはチョコ色のスカートにベージュのカーディガンを着ている。そしていつも三つ編みにしている髪を今日は下ろしており、服と相まって別人に見える。多分街ですれ違っても僕は別人だと思いFNCだと気づかないだろう。それくらい見た目の印象がガラリと変わっている。

 

《近くに美味しいチョコケーキを売っているお店があるから、そこに》

 

「チョコケーキ!」

 

チョコケーキと聞いてFNCは目を輝かせた。FNCはお菓子の中でもチョコが好きみたいだったので昨日エレナと一緒にチョコに関連する店を探した。探してみた結果数件ヒットし、その中の1つに行くことにしたのだ。

 

まぁ僕はどの店が良いとかあんまり分かんないのでエレナに色々と助けて貰った。

 

歩くこと15分、目的地に到着した。やって来たのは街角にひっそりと佇むおしゃれな外観のカフェだ。ドアを開けるとカランカランカランとドアに付けられたベルが鳴った。うわぁーこう言うところ初めて来たわ〜。やはりと言うか何と言うか、おしゃれな内装だな。男だった時はこう言った所は一生行くことは無いと思っていたんだが、人生どうなるか本当に分からないなぁ。

 

窓側のテーブルに案内され、僕達は席に座った。僕の横にはFNCが座り、目の前にはエレナ、その横にM200が座った。机に置かれていたメニューを見てみる。砂糖が希少品となりつつある今日この頃、やっぱりデザート系の値段は高い。しかしPMCに所属している僕達は危険な仕事の対価として多額のお金を受け取っている。なのでちょっと贅沢しても大丈夫な程のお金は持っている。

 

「すいません、ザッハートルテを4つ」

 

エレナが予め決めていたチョコケーキを店員に注文した。そして皆がそれぞれ好みを飲み物を注文して行く。

 

「私はこのアメリカンコーヒーをこっちの子にも同じものを」

 

エレナはメニューに記載されている写真を指差しながら言った。そして喋れない僕の分も頼んでくれるのに優しさを感じる。

 

「私はカフェモカ!」

 

元気よくFNCが言う。ザッハートルテとカフェモカと言うチョコ+チョコにするあたり流石だな。

 

「あ、ボクはカプチーノでお願いします」

 

M200はちょっとおどおどしながら注文した。

 

注文したやつが来るまで皆んなと色々雑談をした。まぁ会話の7割位は任務中の自分の武勇伝だったり愚痴だったりとおおよそ普通の女の子がするような内容では無いのだが。程なくして運ばれて来た飲み物を片手に話は続いた。

 

《987メートル⁉︎凄い!》

 

M200に今までの狙撃の中で1番遠かった距離は?と言う質問をしてみたのだが予想以上に長距離を狙撃していたので驚いた。約1キロだぜ?1キロ。

 

「あの時は運良く無風だったのと、目標が動いてなかったので・・・」

 

《それでも凄いよ!》

 

褒めまくっているとM200はだんだん顔を赤くして行き、最終的に俯いてしまった。可愛い。

 

「そう言えばアンタは接近戦が得意みたいだけど、何処であんな戦闘方法を?」

 

エレナがFNCに聞いた。僕はあの任務時に見たFNCの戦う姿を思い出す。光の無い目で敵を一切の躊躇いも容赦も無く殺していたあのFNCと今目の前で皆んなと楽しそうに話をしているFNCが同一人物だとは思えない。

 

FNCは「ん〜」と言いながら顎に手を当てて考えるような仕草を見せた。

 

「隊長の影響かなぁ〜」

 

「隊長?」

 

「AK-12のことです。ボク達の所属する第1戦闘部隊「アインス」の隊長を務めています」

 

復活した(まだ顔は赤い)M200が丁寧に説明してくれた。と言うか君達の部隊名アインスって言うんだ。初めて知った。

 

《部隊は全員人形なんですか?》

 

「そうだよー」

 

FNCの話によるとアインス部隊に所属するのは隊長のAK-12、副長のAUG、K11、FNC、M200、Vector(ベクター)、IDW、LWMMGの計8名らしい。

 

「隊長とっても強いんだよ!私一回も勝てたことないもん」

 

あの謎のケモミミ人形を殺さず生け捕りにしてしまう程なんだから相当強いんだろうなぁ。あ、そう言えばそのケモミミ人形はどうなったのだろうか?

 

《そう言えば、捕まえた人形達はどうなったんですか?》

 

「K11曰くメンタルモデルに何か細工が施してあると言ってました」

 

「細工って?」

 

「それを今K11が調べています」

 

「なるほどねぇ。もしかしたらエイレーネーに所属していた人形達はメンタルモデルを弄られて加担されてたのかもね」

 

《人間で言う洗脳に近い感じですかね》

 

「元に戻すことは出来るんですかね?」

 

「さぁねぇ。最悪メンタルモデルを初期化しなきゃかもしれないね」

 

程なくして注文していたのザッハートルテが運ばれて来た。チョコレート味のバターケーキ(スポンジ)をチョコレートでコーティングしてある。今にも涎が出て来そうな程美味しそうな見た目だ。スポンジは二層構造になっていて、スポンジとスポンジの間にジャムのようなものが塗ってある。

 

「わぁ〜♪美味しそう!食べて良い?」

 

FNCが僕にキラキラした目を向けながら聞いて来た。僕が《良いよ》と言うとFNCは誰よりも早くザッハートルテを口に運んだ。

 

「ん〜♪とっても美味しいよ!これ!」

 

FNCがとても幸せそうな様子でザッハートルテを食べている姿を見ていると何だかほっこりする。FNCに急かされながら僕も食べてみる。ネットにはこってりとした濃厚な味わいが特徴と書いてあったがその通りだった。すまないね皆さん。僕は上手な食レポは出来ないんだ。まぁとにかく美味しい。本当に美味しい。

 

「久し振りにこんなの食べたなぁ」

 

とエレナがボヤいた。まぁそうだよね。L&Mの食堂にこんなのが出て来ることはまずあり得ない。どちらかと言うとスタミナ料理が多い。まぁあれはあれで美味しいんだけどさ、時にはこう言う甘いものが食べたくなるんですよ。携帯用食料としてDレーションと呼ばれるチョコが渡されるが、それはひじょーに不味い。

 

《ですね。とても美味しいです》

 

全員あっという間にザッハートルテを食べ終えてしまった。この体になって初のチョコケーキだったがとても美味しかった。また食べに来たいな。

 

カフェを後にした僕達は街を適当にぶらぶらと歩いていた。するとFNCが「皆んなにお土産を買いたい!」と言ったので近くのスーパーに寄ることにした。ついでに僕もネルソン達にお土産を買うことにした。しかし何を買えば皆んな喜んでくれるだろうか?皆んなの好みが分からないなぁ。サイモンとアリーナは酒で良いとしてアンナとか何を買えば良いんだよ⁉︎暗殺武器でも買うか?

 

《ネルソン隊長とかには何を買えば良いんですかね?》

 

「ネルソンは甘いものを買えば良いよ」

 

へぇ、ネルソンって甘いものが好きなんだ。ちょっと意外だな。

 

《それならさっきのカフェのザッハートルテを持ち帰りで買ってあげればよかったですね》

 

「あそこってお持ち帰り出来るのかな」

 

《今度来た時に聞いてみますか》

 

ネルソンにはザッハートルテに似たチョコケーキを買った。サイモンにはビールを、アリーナには酒では無くタバコを買った。銘柄はアリーナをよく吸っているジタンだ。ハオレンにはたまたま見つけた緑茶を買った。バラライカにはー

 

《これとかどうです?(笑)》

 

僕が手に持っているのはロシア土産で有名なマトリョーシカだ。

 

「それもう持ってるよ」

 

持ってるんかい!結局ロシアンティー似合う紅茶とジャムをエレナが買った。オットーにはウィスキーを買ってユウヤ、ハルカには適当に選んだクッキーを買った。そして問題のアンナにはユウヤ達のと同じクッキーを買った。しかし彼女がクッキーなどの菓子を食べている姿が想像出来ないのだが・・・。

 

とにかく、全員分のお土産を買い終えた僕とエレナはFNCとM200に合流した。FNCは両手に大量のお土産の入った袋を持っている。アルバト595を止めていた駐車場に来るとアルバトのトランクにお土産を載せる。僕もネルソン達のお土産をトランクに載せて、トランクのドアを閉めた。

 

「おねーちゃん」

 

後ろからFNCの声が聞こえたので振り返ってみるとFNCは満面の笑みを僕に向けていた。

 

「今日はありがとう!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

(´・ω・`).;:…(´・ω...:.;::..(´・;::: .:.;: ・・・ハッ⁉︎やばいやばい。あまりにFNCが可愛かったから浄化されかけた。

 

「また来ようよ!次は部隊の皆んなも連れて来るから!」

 

僕はFNCに微笑んだ。

 

《そうだね。また来よう》

 

僕達がワイワイと話しながら車に乗り込み、FNCが車のエンジンをかけた時に突然エレナと僕が持っていた無線機からサイモンの声が聞こえて来た。

 

《こちらサイモン!本社がエイレーネーの襲撃を受けた!》

 

その一言で平和だった車内の空気が一気に変わった。FNCはサイモンの話を聞いた瞬間アクセルを踏み込みアルバト595を急発進させた。僕はあまりにもとっぴげた話に一瞬何を言っているのか理解出来なかったが数秒後にやっと事態の重大さに気づいた。エレナが無線機を取ってサイモンに聞いた。

 

「状況を詳しく教えて」

 

《敵は既に2号棟と正門ゲートと1号棟と演習場に侵入して来ている。今俺達は2号棟内で即席のバリケード作って何とか防衛しようとしてるんだが武器が無い。1号棟に取りに行こうにも包囲されてて行けない。今は敵から奪ったM4と拳銃一丁で何とか防衛してるが長くは持ちそうにない》

 

「了解。直ぐにそっちに向かうから待ってて!」

 

《頼りにしてるぜ》

 

そう言ってサイモンは通信を切った。

 

「飛ばすよー‼︎」

 

FNCはアクセルを限界まで踏み込み車を加速させた。




どうだったでしょうか?今回は前から書こうと計画していたFNCとの日常回が書けたので満足です。

そして今回可愛い私服FNCちゃんを描いてくださったこまりんさん、本当にありがとうございましたm(__)m

さて、突然のエイレーネーの襲撃。L&M社はどうなってしまうのか?次回もお楽しみに!

ご感想お待ちしております!

 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。