第24話 戦後処理と進展
戦術人形になってから30日目。曇り後晴れ。
結果的に言うと作戦は成功した。多少ごたごたはあったが敵部隊を殲滅し、バラライカのKordで撃墜した飛行機の残骸の中からチャリオットも無事回収した。燃え盛る飛行機の残骸の中からチャリオットを探すのは大変だった。もしかしたら容器が壊れて中の汚染物質が漏れ出してしまうんじゃないかとヒヤヒヤしていたがそんなこと無かった。容器はかなり丈夫に作られていたお陰だ。
そして事前の計画通り依頼主にチャリオットを渡して金を貰おうとしたのだが、騒ぎを聞きつけたG&Kが依頼主の研究所を崩壊液やE.L.I.Dなどを利用した違法な研究を行なっているとして人形で構成された部隊を送り込んで制圧してしまった。勿論エイレーネーに荷担したとしてL&MもG&Kに睨まれたが「我々は騙されて動かされていたが、途中から研究施設の正体を知り奴らからチャリオットを回収した」みたいなことを言ってG&Kを納得させた。まぁ嘘は言ってないからな。
しかし、依頼主から金を貰ってからG&Kに通報するという計画は破綻し金ももらえないまま今回の騒動は幕を閉じてしまった。お陰様でこちらは大赤字。だがクレセント社が手助けしてくれたお陰でまぁ何とかなっている。これもクレセント社の社長とウチの社長が仲良くなっていたお陰だろう。まぁどちらにしろ向こうに大きな貸しが出来た訳だが。
L&M社の復旧作業は急ピッチで進められた。重要施施設を最優先で修理して、そこまで重要では無い所は簡単な修理をしただけだった。僕はその優先度の低い所で作業をしている。例えば荒らされまくった演習場を綺麗にしたり、ロケット弾やミサイルの破片、銃弾によって空いた建物の穴をトタン板とかで塞いだり。2号棟内に散らばった薬莢を回収したり血痕などで汚れた廊下や壁を掃除したり。人間では運ぶのが大変な重い荷物を運んだり。
まぁとにかく雑用から建物の修理の手伝いまでいろいろやった。朝の8時から作業をしていたんだが気づいたら昼過ぎになっていた。いくら人形と言えども流石に疲れた。一部がミサイルにより吹き飛んだガレージの天井の修復作業を終わらせた僕は近くにいた人に休憩に入ることを報告してからハシゴで下まで降りると、外に運び出され一カ所に集められたゴミの山の中から背もたれが無くなったパイプ椅子を見つけて引っ張り出し、日陰にパイプ椅子を置いて座り一息ついた。
「(あ〜疲れたー)」
慣れない修復作業とかをしたせいか凄く疲れた。ぐぃ〜っと背伸びをした僕は背もたれに寄りかかろうとしたがこのパイプ椅子に背もたれが無いことを気づいて途中でやめた。危ない危ない。もう少しで後ろに倒れてしまう所だった。
何となく空を見上げる。朝頃は曇っていたが今は青空だ。鳥が呑気に飛んでいる。最近敵と戦ってばっかりだったからこうやってゆっくり出来るのが凄い久し振りに感じる。ぼけ〜っと平穏な時間を満喫しているとふとルナのことを思い出した。
昨日の任務で軽くは無い怪我、と言うか負傷をしたルナは直ぐにヘリに運ばれて緊急処置がなされた。完全に修復出来た訳では無いが日常生活は問題なく出来るくらいにはなった。そう言えば朝から姿を見てないけど何処に居るんだろうか?少し気になった僕は探してみることにした。パイプ椅子から立ち上がってから僕は彼女が行きそうな所を考えようとするが・・・やべぇ、全く分からん。
そもそも僕はルナのことについて何にも知らない。彼女がどんな行動をするかとか分かる訳ない。取り敢えずそこら辺をぶらぶらと歩きながら近くにいた人に聞いて回ることにした。因みに喋れない僕がどうやってL&M社の人達と会話をしているのかと言うと、紙やタブレットに文字を書いて意思疎通をしている。ネルソン達もいつもスロートマイクをつけている訳では無いので普段はこの様にして会話をしている。
演習場を歩き回ってみてもルナの姿は見えないので2号棟内に入った。2号棟内はまだ復旧作業などで多くの人が居るので1人くらいルナを見た人が居るかもしれない。そう思って聞き回るが皆んな首を横に振った。
僕はもしかしたら部屋に居るかも知れないと思いダメ元でルナの部屋に来た。ドアをノックしてみるが返事は無し。ドアノブを回してみるとガチャリとドアは開いた。やっぱり部屋に居るのだろうか?
ドアを開けて恐る恐る部屋を覗き込むが、部屋は真っ暗で誰も居なかった。どうやら部屋の鍵をかけずに何処かに行っているみたいだ。まぁ別鍵をかけなくてもわざわざ入って来る奴は居ないから同じように部屋の鍵をかけない人は多数いるんだけどね。
ドアを閉めて何処を探そうかと考えながら廊下を歩いているとオットーに出会った。
「よ、こんな所で何しているんだ?」
僕はポケットからメモ帳をを取り出してそこに文字を書きオットーに見せた。
『ルナを見ていませんか?』
「あの獣耳の奴か?」
オットーの質問に僕は頷いた。僕やエレナ、サイモンとは違いオットーなどは殆どルナと交流していないから誰そいつ状態だ。でも一応皆には今朝ルナのことは紹介したから全く知らないと言う訳では無い筈だ。オットーは顎に手を当てて数秒間考え、「あっ」と声を上げた。
「そう言えば少し前に白い服着た奴が屋上に上がって行くの見たな」
ルナはいつも白色のフード付きのマントを着ている。それに僕の知っている限りで白色の服をよく着ている人は見たことが無いから間違いないだろう。屋上に行ってみるか。
『ありがとうございます』
とメモ帳にお礼の言葉を書いて僕は屋上へ向かった。
階段を登り屋上に到着する。ここも攻撃ヘリの機銃掃射を受けたせいで地面がボロボロになっている。そして情報通り探していたルナも居た。特に何をする訳でも無くただ景色を眺めているだけの様だ。しかし、風にマントをなびかせながら遠くを見つめている姿は獲物を探している狩人のようにも見えなくもない。
僕がルナに近づこうと歩き出した瞬間、ルナが振り返って僕の方を見て来た。そう言えばどうやって話しかけようかとか考えてなかったな・・・。取り敢えずニコッと笑いつつ話題を振ってみる。
《こんな所で何をしてるんですか?》
「・・・・・」
ルナはこちらを見ているだけで何も答えない。う〜ん、何かアクションを起こしてくれないとこちらも反応に困るなぁ。僕はルナの横にある立ち手摺に寄りかかり、ルナの見ていた方を見ながら言った。
《ここの景色、私好きなんですよねぇ》
「・・・・・」
無反応!圧倒的に無反応ッ!表情を伺ってみても無表情だから何を思っているのかも分からん。ルナは先ほどと同じように何処か遠くをじっと見ている。
《・・・何を見てるの?》
「・・・・・」
え、これどうすれば良いの?いくらこっちから話題を振っても向こうが反応してくれないと意味ないんだが?殆ど喋らないとは聞いていたがまさかここまで無口だとは・・・なかなか手強いな。取り敢えず言いたかったことを言っておくか。
《昨日と一昨日はありがとう。ルナのお陰でサイモン達を助けることが出来たし、無事チャリオットを回収することも出来た。ルナのお陰で今回の任務はまぁ無事とは言えないけど何とか終わらせることが出来た。本当に、ありがとうね》
そう言って僕はもう一度ルナに向かって笑って見せた・・・が特に反応は無し。まぁ、地道に交流を深めて行けばいつか反応してくれるかも知れないしこれからも話しかけようか。
「あ、居た居た。エマちゃーん」
そんなことを考えていると後ろの方から声が聞こえた。振り返って後ろを見てみるとそこには青い髪をサイドテールにして結んだ女性ー今回とてもお世話になったクレセント社に所属するK11がこっちに手を振りながら歩いて来ていた。と言うか何でここにいるんだ?
《お久しぶりです。社長でしたら執務室に居ると思いますよ?》
「いや、キミに用事があるんだよ」
僕に?何んだろう?
「発声装置、治してあげるって約束したろ?」
あっ‼︎そうだった!完全に忘れてた。そう言えば前の任務の時に約束してたな。その為にわざわざ来てくれたのか?
「明日の朝9時に迎えに来るから」
《わ、分かりました。って言うかそれを伝える為にわざわざここに来たんですか?》
このことを伝えるだけなら無線とかで済ませれば良いのに何でわざわざここまで来たんだ?
「まぁ暇つぶしも兼ねてな。あっちにいたら研究と人形の整備ばかりで面白い事が殆ど無いからねぇ」
つまり仕事をサボりたいが為にわざわざここまで来たと。と言うか仕事をほっぽって良かったのか?
《仕事の方は大丈夫何ですか?》
「重要なヤツは全部終わらせといたから問題無いよ」
やるべきことは終わらせてから来たってことか。K11は「にしても・・・」と言いつつ僕の後ろにある復旧作業中のガレージを見た。
「なかなか派手にやられたねぇ」
ガレージには対戦車ミサイルが1発命中しており、壁と天井の一部が吹き飛んでいる。壁の方は既に応急修理を済ませており、屋根の方もトタン板で穴を塞いでいる。一部分だけ何枚ものトタン板が貼り付けてある屋根は見た目はかなり不恰好だが屋根に穴が空いたまんまよりはマシだ。
「こう言っちゃぁ悪いが廃墟みたいだな」
ガレージは激しい戦闘により汚れ、多数の銃弾が当たったことにより壁はボロボロ。ガラスが割れた窓にはダンボールが貼り付けてあり、屋根は元々あった屋根とトタン板が合わさったチグハグのもの。うん、人が居なかったら廃墟にしか見えねぇ。
《ですね・・・》
まるで今のウチの状況を表しているかの様だな。K11と話しているとK11の服のポケットの中から呼び出し音が鳴った。
「おっとお呼びの様だね・・・じゃ、また明日。あぁっとそうだ。ついでにルナの修理もしてやるから一緒に連れて来い。それじゃ」
K11は僕に手を振ってからポケットから通信用端末を出して誰かと話し始めた。階段を降りて行くK11を見送った僕はその後もルナ相手に話しかけ続けた。
まぁ結局僕が作業の手伝いに呼ばれるまでの間ルナが何か反応してくれることは無かった。ずっと景色を見ているだけだった。
戦術人形になってから31日目。晴れ。
今日は一日中L&M社の復旧作業の手伝いをしていたのだが、とても嬉しいニュースが舞い込んだ。僕は戦術人形として目覚めてからずっと声を出すことが出来なかったのだが今日、クレセント社に所属するK11が来て声を出せるようにしてくれると言ったんだ。これでわざわざ人形用無線で話さなくても会話が出来るし、ネルソン達といつでも会話が可能になる!
こんなにも明日が待ち遠しく思う日は無い。多少不安もあるし、緊張もするが喋れるようになるのはとても嬉しい。声が出せるようになったらまず初めにエレナに話しかけようと思う。彼女には色々とお世話になっているから感謝の言葉を伝えたいと思ってる。
現在の時刻は午前8時47分。僕はヘリポートに来ていた。結局昨日は緊張や不安や嬉しさなどの感情が混ざり合い落ち着かなくてあまり寝付けなかった。ま、例え完徹しても今の僕は人形なんだから殆ど問題は無い。僕は右横に立っているエレナの方を見て話しかけた。
《わざわざ付いて来なくても大丈夫ですよ?》
「どうせ今日は暇だったしね。それに、アンタを1人で行かせるのは色々と心配だし」
《私ってそんなに頼りないですか?》
「頼りないね」
僕の質問にエレナは即答で答えた。このまでバッサリ言われちゃうと傷付くなぁ。でも実際僕は皆んなに頼りにされるほど強い方言ったらそうでもないし、反論は出来ない。
「そんなこと言ってるが、ただ単にお前を心配しているだけだよコイツは」
後ろからサイモンがやって来てエレナの頭をポンポンと叩きながらそう言った。
「一昨日の任務の時もエマのことめっちゃ心配してたもんな」
「そりゃ心配するでしょ。あんな無茶なことすれば」
《無茶ならこっちの方が・・・》
と言いつつ僕は左横に立っているルナを見た。チャリオットを持った敵の乗った飛行機を止める為に飛行機のタイヤにアウディをぶつけて強引に減速させようとしたからな。
「確かに。アレはイカれてたな」
サイモンも首を縦に振りながら答えた。
《そう言えばサイモンさんは何でここに?》
「ネルソンにお前を見送るように頼まれたんでな」
「そう言えばネルソンは?」
見送りとはは別にいいかと思って隊長のネルソン以外には報告はしなかったし、見送りもいらないと言ったんだけどネルソンの性格を考えたら見送りに来そうだな思っていたが姿が見えないな。
「ネルソンとアリーナは今日朝早くから任務の出てんだよ。だから俺に代わりに見送ってくれって言われたんだ」
一昨日あんな激しい銃撃戦をしたばかりなのにもう新しい任務に当たっているのか・・・。少しくらい休めば良いのに。と言うか昨日もネルソンは一日中復旧作業をしていたしいつ休んでいるんだ?そのうちぶっ倒れるんじゃ無いか?
そうこうしていると1機のヘリが飛んで来た。クレセント社だからまたバローなのかと思ったが違った。飛んで来たのはティルトローター機では無く普通のヘリだ。これは・・・MH-139Aグレイウルフだね。見た目がカッコいいから直ぐに分かった。
グレイウルフは目の前のヘリポートに着陸した。スライドドアが開き中からK11が姿を現した。
「お待たせ!さぁ乗って!」
僕とルナと付き添いのエレナの3人はグレイウルフのキャビンに入った。使い古されたウチのUH-1Yと違い機内は目立った汚れも無く綺麗だった。もしかしたら最近購入した機体なのかもしれないな。
「おや?キミも来るのか?」
K11は僕と一緒にヘリに乗ったエレナを見て聞いて来た。僕が説明しようとしたが、それよりも早くエレナが話し始めた。
「ただの付き添いだから気にしないで」
「他に付いてくる奴は?」
「居ない」
「それじゃ、出発するぜ」
K11はパイロットに離陸するように指示を出した。直ぐにグレイウルフのブレードの回転数が上がり、機体が浮く。空の上からL&M社を見てみるとまだあちこち壊れている所があるのが確認できる。ミサイルを食らって倒壊したレーダーもそのままだからな。完全に治るまでには暫く時間がかかりそうだ。
L&M本社を後にしてから約1時間、僕達を乗せたグレイウルフはクレセント社に到着した。空から見てもL&M社よりも設備が整っていることが分かる。ソーラーパネルとかあるし。ウチは旧式の設備などが多いがここは最新鋭とまではいかなくても新型の設備が多そうだ。
グレイウルフはクレセント社のロゴマーク(Cが三日月風に描かれたヤツ)が描かれたヘリポートに着陸した。K11がスライドドアを開けるとヘリポートにはFNCとG1ジャケットを着た女性がおり、その横には戦術人形のグリズリーが立っていた。
グレイウルフから降りた僕達に女性は歩いて来た。茶髪の髪を背中まで伸ばした美人の女性だ。女性は僕達の方を見ると優しく笑いかけて来た。
「初めまして。クレセントの社長をしているリンゼイ・クロエよ。気軽にクロエって呼んで」
僕は軽く会釈をする。挨拶をしたいのだが声が出せないし、彼女は僕達の部隊が持っているような特注のスロートマイクを持っている訳でも無いな。
「今日はお世話になります」
「そんな畏まらなくて良いよ。自分の家だと思ってゆっくりして」
見た感じ優しそうな人だな。と言うかクレセント社の社長って女性だったんだ。僕の勝手なイメージだと厳ついおじさんって感じだと思ってたんだが。
「私の大切な部下を守ってくれたしね」
「いえ、もう既にそちらにそれ以上にお世話になっているので」
普段聞かないエレナの敬語に僕は凄い違和感を感じる。まぁ目上の人と話すんだから敬語で話すのは当たり前なんだが。
「貴方がエレナだね?FNCからよく話は聞いてる。優しいお姉ちゃんだって」
お姉ちゃんねぇ・・・元男の僕からするとやっぱり違和感を感じるなぁ。FNCみたいな可愛い子に「お兄ちゃん!」って笑顔で呼ばれたらどれだけ嬉しいことか。まぁお姉ちゃんっと呼ばれるのも悪い気はしないけど。ま、実力とかを合わせた戦闘力ではFNCの方が圧倒的に高いんだけど。
《お姉ちゃんは大袈裟ですよ。FNCちゃんの方が強いですし》
いつも通りエレナに僕の言葉を代弁して言って貰う。
「お姉ちゃんも充分強いよ!」
僕の話を聞いたFNCがまるで意地を張る子供のように言った。むーって頬を少し膨らませている姿も可愛いな。
「あははは。エレナちゃんはFNCに相当好かれてるみたいだね」
「おーい。そろそろいいかー?早く始めたいんだけど」
僕達の後ろに暇そうにしていたK11がクロエ社長に言った。
「はいはい。ほんと貴方って人形弄りが好きだよねぇ」
クロエ社長の言った人形弄りと言う発言に僕は恐怖を感じた。え?何?人形弄りって。もしかして僕実験動物みたいな扱いを受けるのか?そんな僕の不安を察したのか、エレナがK11を睨みつけながら言った。
「エレナに変なことしたらタダじゃおかないから」
若干殺意を向けながら睨みつけるエレナに対してK11は「分かってるって」と言いながら手を上げた。
「人形弄りって言っても人体実験みたいなのは主に自分の体にするから安心して」
いや、自分の体で人体実験するのも充分ヤバイけどな。話によるとK11は自分の体を自分で改造したりするのが好きらしい。
「本人の了承が無い限り他の人に変なことはしないから安心して」
クロエ社長は僕を安心させるように言うが、今の説明を聞く限りじゃぁ逆に安心できない。
「じゃぁ私は執務室に戻るから。後は任せるよ」
「へーい」
それから僕達はK11に案内されて研究棟と呼ばれる白い建物に案内された。研究棟の扉のほとんど全てがカードキーをかざすタイプのドアで、ウチとは大違いだ。そして廊下を進み僕とルナそれぞれ別々の小さな部屋に案内された。エレナは外で待機だ。
「じゃ、ここで服は全部脱いで。脱いだやつはそこのカゴに置いといて」
と部屋に入る前にK11に言われたので僕は言われた通り服を脱ぎ始める。部屋に入る丸型の椅子とカゴの置かれた小さなテーブル以外ないも無い真っ白な部屋。部屋の広さは格安なマンションの部屋見た感じ監視カメラは無さそうだけど絶対何処かに隠しカメラがあるだろ。
誰かに着替えている姿を見られていると思うと凄く恥ずかしい。そう言えば服は全部脱げと言われたが、ぱ・・パンツ・・・も脱がなきゃなのかな?
分かんなかったのでドアを少しだけ開けて顔だけを出してK11に聞いた。
《あ、あの〜パンツも脱ぎますか?》
「あぁ脱いでくれ。全部脱いだらカゴに置いてる病院服を着てくれ。靴も脱いでサンダルを履いて」
《分かりました》
どうやら脱がなきゃいけないらしい。前よりはマシになったが、今だに自分の体を見るのは恥ずかしい。胸とか下のアレとかを見るのは今だに恥ずかしい。今だにこの体が自分の体とは思えないんだよなぁ。さっさとセーラー服とかスカートとかを脱ぎパンツも脱ぐ。そしてカゴに置いてあった病気服を着る。
パンツも何も着ていないで薄い病気服1枚って言うのは超スースーして落ち着かないな。
脱いだ靴を壁際に並べて、同じくカゴに置いてあったサンダルを履いた。どうでも良いけどめっちゃ久し振りにサンダル履いたな。
ドアから出ると既に病気服姿のルナが立っていた。ルナはいつも通り無表情で特に恥ずかしがっている様子も無い。更にいつの間に着替えたのかK11も手術着姿になっていた。そして僕達はK11に案内され更に廊下を進んでドアの前に来た。
「ルナはあそこの人達について行って。エレナちゃんはあたしについて来て」
ルナは手術着を着た人に案内されて部屋に連れて行かれた。僕もK11に連れられて部屋に入る。部屋の中には人1人が入れる位の大きさのカプセルが横たわっていた。ウチにも似たような物があるがそれより上等そうだな。やべぇ凄い緊張して来た・・・・。
「じゃサンダルと病気服を脱いでこれに寝て」
僕は言われた通りサンダルと病院服を脱いだ。全裸の格好を見られることになり僕は顔を真っ赤にしながらカプセルの中に入って仰向けの状態で寝た。K11が僕の顔を覗き込んで来た。
「じゃ、今から強制シャットダウンさせるから。次目が覚めた時には喋れるようになってるから安心しな」
K11が僕に向かって手を振っている光景を見た次の瞬間、僕の意識は突然途絶えた。
どうだったでしょうか?エマちゃんは無事声を出せるようになるのでしょうか?次回もお楽しみに!
そして、いつも私の誤差、脱字などを報告してくださりありがとうございます。なるべく誤字などが無いように、そして面白い作品が書けるようにこれからも頑張って行きます!
ご感想お待ちしております!