鉄血神話   作:ゆっくり猫大佐

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二話目です!


目覚め

目が覚めた。

何気なく目を擦る。

 

「ん?」

 

付けていた眼帯は取れていて、両目が見えるようになっていた。

その時、記憶が一気に蘇った。

師匠を殺すための任務に赴き、師匠と死闘を繰り広げたこと。

そして、手榴弾を使って相討ちになったこと。

 

「これでよかったのか、師匠……」

 

俺は立ち上がり、周囲を見渡した。

周りは木々が生い茂る森だった。

森はジャングルの様な熱帯雨林では無く、スギの木に似た木が生えている森だった。

 

「ここはどこだ……?」

 

俺はこんな場所に見覚えはない、俺はまず身体に何か変化が起きていないか確認した。

服や装備は全て無かった。

ふと目に入って驚愕したのが、手の指が鉤爪状になっていたことだ。

次に腕だが、これは明らかにおかしかった。

普通人間は関節との間に繋ぎ目など見えない。

だが俺の腕にはその繋ぎ目がクッキリとあった。

足も人間の足というよりはロボットの様な足になっていた。

そして俺は近くにあった水溜りで自分の顔を確認した。

水溜りに映ったのは人間の顔では無くクチバシの様なものがついたフルフェイスのマスクだった。

これは何世紀も前に使われていた医師用のマスクに似ていた。

その当時はペストという病気の治療を行う際につけていたものだ。

俺はマスクが外れないか後頭部に手を回した。

しかしどれだけ探してもマスクを外すものが見つからなかった。

そんな時に

 

『マ……、マ…ター、…スター』

 

とノイズが掛かった無線で話している男の様な声が聞こえた。

俺はあたりを確認した。

しかしは辺りには誰もいなかった。

するとまた、

 

『マ…ター、マス…、マスター』

 

俺は声に

 

「おい、誰だ?」

 

問いた。

その声は少し沈黙すると

 

『初めまして、私は貴方のスキル「パルトニョール」で御座います。

これからよろしくお願いいたします。』

 

とその声は答えた。

 

「スキル?何だそれは?」

 

『スキルとはこの世界においてある一定の経験を積むなどによって獲得する力で御座います。』

 

「うん?この世界?ここは俺が元いた世界ではないのか?」

 

『はい、マスターは別の世界からこの世界にやって来ました。この身体もこの世界に来てから構築されたものです。』

 

「と言う事は俺は異世界に転生して来たということか」

 

『左様で御座います。』

 

「因みに俺は人間なのか?もし違うなら教えてくれ」

 

『はい、マスターは人間では御座いません。気になるのでしたらご自分でお確かめになっては?』

 

「どうやって調べれば良いんだ?」

 

『目の前にスクリーンを出すイメージをして何か言ってみてください。』

 

俺は前世のコンピューターを想像した。

 

「システムコール」

 

すると目の前に

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 アレックス=オブリソーコフ

 

種族 魔導生命体オートマタ

 

L v.1 魔素獲得量 0/1000

 

魔術適正=2000

 

スキル

〈一般〉

 

幻惑魔法

 

 

〈種族固有〉

 

剛腕 立体起動

 

〈固有〉

 

双魔銃召喚コールデュアルガンズ

 

相棒パルトニョール

 

強奪

 

〈異能〉

 

超加速アクセル

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

と出て来た。

 

「何だこれは?」

 

『これはステータス画面と言われるものです。この世界はマスターの前世にあったゲームの様にレベルやスキルがある世界です。

レベルが高ければ高いほど筋力や敏捷性などの基本的な能力や魔力量などが上昇します。』

 

「なるほど。で、今の俺の強さはどのくらいなんだ?」

 

『はい、弱いです。』

 

「弱いってそんなんで魔物とかと戦えるのか?」

 

『はい、確かに現在のマスターは弱いです。

現状のマスターは魔物としては下級ほどの強さしかありません。

しかしマスターは強力なスキルと前世での経験があります。

大した知能のない魔物相手ならそう簡単には負けないでしょう。』

 

「分かった。要は現状の俺は弱いが知能の低い魔物ならば倒せると」

 

 

 

 

その後、俺は森の探索を始めた。

どうやらこの付近一帯に人里はないようだ。

こんな容姿だし、ここがどんな世界かまだはっきりと分からない以上、人が多く住む地域に赴くのは得策ではないと思っていたので都合が良かった。

 

周囲を警戒しながら歩いていると突如、地面を突き破って巨大な蛇が現れた。

 

「キシャァァァァァァ!!」

 

でかいな……こいつ、全長20mは軽くあるぞ。

 

『マスター、「コールデュアルガンズ」と唱えてみて下さい。』

 

「わかった、『コールデュアルガンズ』」

 

すると目の前に、二丁の黒い自動拳銃が出現した。

とても銃身が長く、重厚でありながらもどこか気品を感じさせる銃だ。

 

「これでも食らいやがれ!」

 

俺は銃を手に取り、前世の傭兵としての経験を駆使して大蛇の両目を速射で撃ち抜いた。

 

「キシャァァァァァァッ!?」

 

続けて、大蛇が苦痛に悶えて大きく開いた口に、弾丸をぶち込んだ。

それが留めの一撃になったのか、蛇は地響きを起こしながら倒れて動かなくなった。

 

「まぁなんとか倒したけど地面からの攻撃は瞬発力に頼るしかないな……」

 

そんな事を考えていた時。

 

《経験値を獲得しました。アレックス=オブリソーコフのLvが2に上がりました。魔素獲得量が500に上がりました》

 

「レベルが上がったみたいだな、『システムコール』」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 アレックス=オブリソーコフ

 

種族 魔導生命体オートマタ

 

L v.2 魔素獲得量 500/1000

 

魔術適正=2000

 

スキル

〈一般〉

 

幻惑魔法

 

 

〈種族固有〉

 

剛腕 立体起動

 

〈固有〉

 

双魔銃召喚コールデュアルガンズ

 

相棒パルトニョール

 

強奪

 

〈異能〉

 

超加速アクセル

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

レベルが上がったことで魔素量が増加したようだ。

というかスキルの効果がよく分からないし、どうやって発動すればいいかも分からない。

 

『スキルは〈一般〉の『幻惑魔法』は念じれば発動できます。分身体による撹乱、認識阻害、思考誘導などが使用できます。〈種族固有〉の『剛腕』は戦闘時に自動的に発動、筋力を向上させます。効果はレベルに応じて上がっていきます。『立体起動』は、身体を動かしやすいように自動調整し、アクロバットな戦闘を可能とします。これも戦闘時、自動的に発動します。〈固有〉の『双魔銃召喚』は特定の詠唱で魔導自動式拳銃を二丁召喚するものです。『相棒』は私、パルトニョールです。高速演算、思考補助、術式最適化、能力分析・最適化、物質鑑定・解析などが主な能力です。『強奪』は対象となる生物の魂を吸収、そのスキルを奪い取るものです。〈異能〉の『超加速アクセル』は詠唱により発動し、一時的に身体性能を大幅に上げ、超音速で動くことが可能となります。ただし、限界を超えた身体強化によって度重なる使用は身体に損傷を与えます。適度に使用するように心がけて下さい。以上がスキルの発動方法と効果となります。』

 

思ったより便利なスキルが多いようだ。パルトニョールなんかすごく役に立ってくれそうだ。ただ、アクセルだけは奥の手にしておく必要があるな……

 

「よし、今後何が起こるか分からないし、この調子でレベル上げしとくか……っと、この銃を仕舞うにはどうすればいいんだ?」

 

『「ストレージ」と唱えれば収納されます。』

 

随分便利なもんだな。

 

「ストレージ」

 

手に持っていた二丁の拳銃が跡形もなく消えた。

 

 

 

 

 

 

 

それから俺は、引き続き森の中を探索し、魔物に出会っては討伐する事を繰り返していた。

気が付けば木々の間から見える空は橙色の夕陽に染まっていた。

 

俺は、完全に陽が沈む前に今夜の寝床を探すために歩いた。

洞窟などがあれば良いが、最悪は木の上で眠れば良い。

暫く歩くと運良く丁度良さそうな洞窟を見つけた。

巨大な岩の割れ目になっており、多少の湿り気はあるものの快適に夜を明かせそうだ。

近くには魔物の気配もなく、今日はここを寝床にすることに決めた。

寝る前に俺は日中のレベル上げの成果を確認しておこう。

 

「システムコール」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 アレックス=オブリソーコフ

 

種族 魔導生命体オートマタ

 

L v10 魔素獲得力 1000/1000

 

魔法適正=2000

 

スキル

〈一般〉

 

幻惑魔法 短刀術

 

〈種族固有〉

 

剛腕 立体起動

 

〈固有〉

 

双魔銃召喚コールデュアルガンズ

 

相棒パルトニョール

 

強奪

 

〈異能〉

 

超加速アクセル

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

レベルは10まで上がり、一般のスキルは『短刀術』が増えていた。

これはレベル上げの途中に倒したゴブリンたちが持っていたスキルだ。

ある程度の知性はあるようで集団で襲ってきたが、纏まりがあまりなかったために容易く一掃できた。

俺の『強奪』は殺した相手から好きなスキルを選んで取得出来るようだ。

実用性のないスキルばかりだと思ったらこの短刀術があったので有り難く頂戴したのだ。

 

また、日中にパルトニョールにこの世界の文明レベルを聞いたところ、前世の中世ほどだと言う。

しかし火薬などは発明されてないようだ。

もちろん銃は開発されておらず、銃を使う場面は選ぶ必要があるかもしれない。

人間は未知を恐れる生物だからだ。

もし、俺の正体が魔物とバレて異端審問でもかけられたらかなり面倒だ。

そのための自己防衛措置としても短刀術を選んだのだ。

そして今気づいたが魔素獲得力が最大値にまで上がっていた。

 

「おいパルトニョール、魔素獲得力が上がってるのだがこれはなんだ?」

 

『魔素獲得力とは魔物が魔物を倒した際に獲得するものです。魔素とは魔物の体内にある魔力の様なものです。

魔物はその魔素を一定量獲得すると種族進化をすることが出来ます。』

 

「という事は俺も進化するということか?何に進化するんだ?」

 

『マスターも進化すると思われます。ただしどの様に進化するのかは個体差があるため、私にも分かりません。』

 

「そうか……まぁ強くなるとするなら得したって考えればいいよな」

 

進化のことを考えて多少の期待感に身を任せ、その日は眠りについた。


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