刀使ノ巫女 妖刀の刀使は月天の夜空で狂鬼に笑う   作:璃空埜

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どうも、璃空埜です!

長らくお待たせしました、とじみこ新話……投稿です!

早速どうぞ!!


第伍刀   “刀使狩り”抹殺宣言

「くぁ…………」

 

夢……というか精神世界で新しい力について色々と試行錯誤していた俺だったが何やら意識外(現実世界)が騒がしくなってきたところで目が覚め

 

「あふ……」

「っ!薙守!目を覚ましたか!!」

「………………うるせぇなぁ…………」

 

…………たところで、いきなり十条の大声が耳を貫き軽く唸る。

 

「…………寝起きなんだから、もう少し静かにしろよ……」

「それがそうとも言ってられないんだよね」

「そっそそそそうなんですそうなんですそうなんですそうなんです!!」

「?岩倉…………と落ち着け、六角」

 

気づけば学長室に岩倉と六角の姿があって岩倉が慌てる二人組を落ち着かせている傍ら、机に肘をついているいろはさんは何やら神妙な面持ちとなっており……それにつられて俺の意識も直ぐ様切り替える。

 

「…………俺が休ンでる間に何かあッたンすか?」

「ああ。…………ちゅうか~その話し方にあ「ンなこたァどうでもいいだろ……いいンですよ。…………それで?」……そうやね、それじゃ単刀直入でいくけど…………龍侍君に、正確には“刀使狩り”に抹殺宣言が出されたんや」

「ヘェ……?さしずめ、鎌府辺りですか?」

「その通りや。…………よう分かったの」

「俺が蹴散らしてきた刀使の団体の中でも特にしつけェ奴等が鎌府所属の奴等でしたからネ。それに、潜入した時に見た彼処のヒステリックババァなら容易にそういう手を打ッてくるとは詠ンでました」

「ヒステリック……?」

「ととというか潜入って…………」

「コイツの力を使えば楽だからな。後は休憩用に段ボール箱があればいい、あれは中々扱える」

「一体何をやってたんだお前は…………」

「情報集めがてら色々とな……」

 

にしてもあのヒステリックは一体どこから来たンだろうな?母の話じャア、折神紫を一心に敬愛していたらしいが…………それくらいしか言わなかッたンだよな。…………ま、その時決まッて苦笑いしてたところをみると、恐らくあまり仲は良くねェみたいだッたンらしいが。

 

「ンで……具体的にはどんな手段で俺を殺すッて?」

「そこについては特に明確な手法を示しとらんかったけど……十中八九、件の子が出てくるやろな」

「……件の子…………ですか?」

「そや。鎌府女学院の学長、高津雪那がかつて使用していた御刀を受け継ぎ、“天才”と呼ばれているほどの剣の使い手や」

 

…………“天才”…………か。それはかなりの驚異になるだろう…………

 

 

ーーーーーーーーーー俺じャなかッたら…………だがな。

 

 

「そンなら、なンとかなりそうだ」

「凄い自信だな…………相手は“天才”と称される程の実力の持ち主だぞ?それを会ってすらないのに『何とかなる』とは……」

「別に卑下してるわけじャねェ、ただ……ちィせェ頃から似たような奴としのぎを削ッてた経験があッから天才の相手は慣れてるッてだけだ」

「流石やねぇ~」

 

…………はッ。例え同じ天才だろうが、アイツに匹敵するような奴何て早々いてたまッかよ。

 

「して……これから龍侍君はどうするつもりなんや?」

「…………ここを離れるッてのが一番てッとりばえェとは思ッてるが…………」

 

言葉を一度きり、こちらを心配そうに見ているやつらの顔を一人一人見ていき……

 

「…………そうとも言えなくなッてンのもまた事実だからな」

「ふふふっ、相変わらず情に弱いねんなぁ~?」

「るせェ。…………しかし……そうなッと問題が一つできちまうンだよな…………」

「?と...いうと?」

「..........いやさ

 

 

................俺、どこ泊まりゃいいンだ?」

 

 

「「「........あっ」」」

 

…………おいてめェら、俺だッて何でもできるわけじャねェぞコラ。………………最悪、野宿でも構いはしねェが……ンなこと言うと面倒な事になりそうだからな。

 

「あぁ、その件ならウチに考えがあるから安心してな」

「おぉ……」

 

流石だな、伊達に五箇伝の一角を担ってるわけじャ……

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

…………ふざけンなよ、あの細目ババァ…………!」

「おや?何か言いましたか?」

「あ、いや、何でもないです……」

 

学長室で“刀使狩り”抹殺宣言とやらの話を聞いてから一夜明け…………

 

俺は今、この学館指定の男性用体操着に袖を通し、ここの教師の一人に連れられてとある場所にむかっている。

 

いや、な?昨日あの話のあと、一度学館から出て後十条らとゆったりと帰ってたら何やら考え込んでた十条のスペクトラムファインダーに『龍侍君だけ戻ってきて〜な〜』っつう連絡があって、忘れもんでもしたかな、と1人で学館戻ったら待ち構えていたいろはさんにとっ捕まえられて、あれよあれよという間に偽名やらなにやらを与えられて、そのまま流れで臨時の剣術講師にしやがったっつぅ………………

 

「…………はぁあ、なんでこんなことに……」

「着きましたよ。ここが刀使専用の道場です」

「あっ、はい」

 

そうこうしているうちに、めちゃくちゃ大きな道場に到着しその中へと足を踏み入れる。すると、大勢の体操着に着替えた女子生徒達が綺麗に並んで各々素振りを行っていた。

…………俺、場違い過ぎない?

 

「素振りやめ!」

「「「「「「「「はいっ!!」」」」」」」」

 

うわ、一矢乱れぬ動きすげぇ。ただ、やっぱりこん中で唯一男の俺がいるとそりゃまぁ訝しげな視線も集中するし、ざわつくわな。…………されてる本人はキツいが。

 

(誰?)

(男の人がなんでここに?)

(そこは分からないけど……イケメンなのはいい事じゃない?)

(えぇ?でも、何か顔に傷もあるし、ガラ悪そうだよ?)

(なにいってるの?それがいい味出してるんじゃない!!)

 

そこはやっぱり年頃の女子なのな。てか、俺がイケメンとか言ってる奴、見る目ないだろ。

 

「気になるのは分かるけど、1度静かに!」

 

そう女教師が手を叩きながら注意すると、あっという間に静かになる。……好奇の視線はこっちに向いてるが。

 

「コホン……さて、ここにいる人は五條学長のかつてのご学友のご子息、片桐 斗哉(かたぎり とうや)さん。本日より、剣術の臨時教師として御教授して頂けることになりました」

 

ええぇ……ハードルめちゃくちゃあげるやん…………。

内心ガックリ来てる俺を他所に、その話を知らされた刀使の少女たちは大きくざわつき始める。

そりゃそうだろうな、刀使経験のある教師とかじゃなくて学長の推薦とはいえ、ぽっと出の得体の知れないやつ……しかも男に教わるなんてなりゃ嫌がる奴もいるだろう。

そう考えていると案の定…………

 

「反対ですっ!!なんでこんな奴に……!!」

 

そぅら、でた。

大声を張り上げた刀使に声をかけようとした教師を片手で制した後、俺は1歩前に出ると……

 

「何でこんな奴に……っつう気持ち、俺もなよォ〜っくわかる。だが……」

 

獰猛な笑みを浮かべて声を上げたやつを睨みつける。

 

「それは奢りってやつじゃねぇのか?」

「な……」

「確かに、お前さんらは御刀の力と大なり小なり剣術を使って戦ってるだろ?しっかし、それを駆使したといえども“刀使狩り”にはいいようにしてやられている……それはつまり、『一般の奴には負けねぇよ』っつう奢りがあるからじゃねぇのか?」

「!?」

 

俺の言葉に先程まで威勢の良かった刀使が、顔を赤くして黙り込んでしまう。そりゃそうだ、俺の言ったことは何と言われようとそう思われる、捉えられる事は確実。実際、週刊誌とかでも近寄ったことを言った評論家はいたからな。

 

「現にお前はこちらの実力を一切測らず、俺が“男”で御刀を使えるわけがなく、身体能力的に見ても己の方が圧倒的に上って判断したから強気に出た」

 

ま、不思議なことに実際は扱えるんだが。

 

「……っ!じ、実際そうでしょう!!」

「そこに関しちゃ、否定はしねぇ。俺は御刀の力なんてお前ら刀使のように使えるわけがねぇから身体的にゃお前らの方に分がある。しかしなぁ……それが戦場で勝ち負けを決める決定的な差じゃぁねぇんだよ」

「っ!?」

「ま、こうやって言葉を並べててもしゃあねぇ……そんなに己の力に自信があるのなら相手してやるよ。俺もそこまで口がいいわけじゃねぇし、その方が手っ取り早い」

 

 

       ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「……やはり、こうなったか」

「あはは……好戦的だね〜。それで、十条さんはこの勝負どう見る?」

「どうもこうもアイツの圧勝で終わる」

「そ、即答?かく言うあの子もうちのクラスじゃ結構な実力を……」

「そんなんじゃない。アイツの実力は私達の基準では測れないんだ…………その理由はこの試合でお前もわかる……」

 

 

       ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

そうして、俺の言葉を皮切りに最初に突っかかってきた刀使を除いた奴らが円形に囲む中、その中央で鼻息荒く御刀を構え写シを貼った刀使と対面する。

 

「……やる気…………あるの?」

「んん〜?それは、お前、次第」

 

借用したなんてことは無い普通の刀を鞘に締まったままだらりと構える俺を険しい顔付きと共に睨みつけてくる刀使。

……ったく、目の前の情報だけ鵜呑みにしてるからそういう反応しか出来ねぇんだよ。

 

「双方…………構え!」

 

内心溜息をつきつつ、審判役の教師の合図で鞘から刀を抜き放ち……

 

「…………始め!」

 

その声と共に刀使はいきなり迅移を使って俺の懐へと潜り込むと移動の際の勢いを乗せて御刀を振りあげようとしてくるが……いやいや、さすがに単調すぎねぇ?

 

「ん」

「な!?」

 

俺はその刃を難なく左手の親指と人差し指で摘んで止める。

いやいや……こんなの軌道さえ詠めればある程度修練積んだ奴なら俺みたいに素手は無理だろうけど刀で軌道逸らすなり、躱すなり簡単に出来るぞ?そんな驚くもんじゃねぇ、それに……

 

「んなもんでいちいち驚いてっから隙だらけになるんだっつうのっ!」

「あぐっ!?」

 

摘んだ刃を後ろに流して体勢を崩させた刀使の後頭部に、柄頭で弱く一撃を与え更に体勢を崩させる。刀使は倒れこそはしなかったが二、三歩よろめいた後、何とか踏みとどまり改めて振り返りつつ刃を向ける…………が

 

「え!?」

「体勢を立て直すの遅すぎじゃねぇか?」

「!?」

 

既に刀使の背後に回っていた俺は、俺の姿が見えず呆然としてた刀使に声をかける。するとその声に飛び上がった刀使が大慌てで迅移を使って距離をとり、こちらへ刀を構えつつ大きく息を吐く。それに対して俺は軽く溜息をつきながら、刀を鞘へとゆったりとした動作でしまうと静かに腰を落とし、居合の構えをとる。

 

「!……居合…………」

「がっかりすぎてな……次の一撃で決めてやろうと思って」

「!?こっ……この!!」

 

あぁ〜あぁ〜……ある程度はマシな筋してんのにそうやって簡単に激昂するあたり未熟だなァ。

 

       ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「…………岩倉、次の一撃、よく見ておけ」

「え、あ、うん……でもどうして?」

「次の一撃でアイツのバケモノ具合がわかる」

 

 

       ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

なんつーか、さっきから時折岩倉と十条が何やらヒソヒソと話してるみたいだが……十条とは何度も手合わせしてるし、岩倉はポケッとしている刀使の奴らの中でしっかり俺の動きを確認しているみたいだし、俺対策でなにか企ててんのかね。

 

「っ!!」

 

俺の意識が別のところに向いていたのを過敏に感じ取ったのか、距離を置いていた刀使が迅移を使ってこちらへと突っ込んでくる。意識の油断を掴んでそこに漬け込むのはいい点だな、だが……

 

「だからって直線とは芸がねぇけどもっ!!」

 

懐に彼女が踏み込んできた瞬間に鞘から刀を走らせ、風車状に別方向からほとんど同じタイミングで刃を振るう。

 

「へ……」

「『秘剣“燕返し”』……なんつって」

 

その光景に目を奪われていた彼女の無防備な腹部を通り抜けざまに横に一瞬で両断すると、写シが霧散して消えそのまま刀使は膝から崩れ落ちた。

 

「最後の突撃は俺の攻撃を誘う動きだったみてぇだが……残念、俺の方が速かったみたいだな。しっかし、最初と違ってこっちの実力を測りながら攻撃してきたことは評価してやるよ、アホなヤツは『刀使の自分が……ありえない!』とかっちゅう自尊心で突っ込んでくるからな。そういうことをしなかっただけでもいい傾向だ」

 

抜き放っていた刀を鞘へと納刀しつつ、彼女の最後の僅かな動きから予測したことを含めて評価してから辺りを見回すと、一様に刀使の奴らと審判役の教師までもが有り得ないものを見る目で俺の事を見つめていた。

…………流石にやり過ぎたか?

 

「…………ねぇ、次……私対戦してもいいかな?」

 

内心、僅かに冷や汗をかいていると刀使達の一角から見知った顔……岩倉が自身の御刀を手に立ち上がった。その顔は緊張の中にも強者との戦いへの楽しみのようなものが垣間見える。

…………面白ぇ。岩倉の戦い方は見たことねぇしな、ここでやって見るのも面白そうだ。

 

「こちらとしては大歓迎だ。…………あんたも依存はねぇだろう?」

「……あっ、ああ」

「へへっ、そうと決まればさっさとやるか!」

 

そうして、のびてしまっていた刀使を何人かが運んでいくのと入れ替わりに岩倉が俺と対峙し、写シを貼り御刀を斜に構える。

構えからして防御型の剣の使い手か。

 

「…………なるほど」

「こっちはいつでもいいよ」

「なら……お言葉に甘えさせてもらおうか!」

 

その言葉と同時に俺は突きの要領で鞘を岩倉に向かって弾き飛ばすと同時にそのまま駆け出す。いきなり鞘を飛ばしてきたことに驚いた彼女だったが、それでも冷静に飛ばした鞘を弾こうとする。しかし、その瞬間に俺は鞘に追いついてそれを左手で掴み、岩倉の弾こうとしていた御刀を鞘で押さえつけ、それによって隙だらけとなった上半身、その左半身めがけ右手に持った刀で今度こそ突きを放つもすんでのところで岩倉が身を低くして突きを躱し、その直後に突然強くなった力で強引に鞘ごと腕を弾きあげられて体勢を崩す。その瞬間を逃さず、今度は岩倉が俺に向かって突きを放ってくるもそれを刀で受け流し、ある程度受け流したところで彼女の腕を脇に挟んで捉えた瞬間に刀を持ち替え、そのまま横に振るい袈裟斬りしようとするが、再び突然彼女の力が強くなり強引に拘束を解かれた後迅移を使って距離を開かれてしまった。

 

「へぇ……やるじゃん」

「そっちも、ね。あ、でも鞘投げるのは試合じゃ注意受けちゃうよ?」

「!あ〜…………俺は実戦派なの」

「いやいや……そこは教える立場なんだからしっかりして欲しいなぁ……」

「うっせ」

 

二、三言葉を交わしてから今度は岩倉の方から迅移を使って、動きにフェイントを入れつつこちらへと迫り、刀を持っていない右側から斬りかかってきた。

 

「狙いはいいけど……っ!」

「!?」

 

その瞬間、足払いをかけて岩倉の体勢を崩すのと同時に再び持ち替え今度は逆手に持った刃を振り上げるも、これもギリギリのところで躱されてしまう。

 

「さっすが!」

「くぅ……っ!」

 

十条が手放しに褒めていたことはあるな!こりゃァ……まだまだ楽しめそうだ!!

 

 

       ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

           Another's Side

 

 

「くぅ!?」

「手が緩んできたぜ!」

 

写シを貼って力を強化していなければ確実に弾き飛ばされているであろう剛撃を何とか受け止める…………けど、流石にそろそろ手がしびれてきたや……。

参ったな……十条さんの話の通り、彼の奇抜な戦法、普通の人よりも数段早い反応、そしてこの剛撃……これを凌ぐはきつい!特にやっぱり対応が大変なのは反応と奇抜な戦法だ。普通の人と相対しているより時よりも動きを数段早く見積もらないと瞬間的な動きで負けちゃうし、かと言って正攻法で来る時もあれば予想だにしない方法で来る時もあるからもう大変だ。…………これでまだ全然本気じゃないってのもまた凄いや……!

 

「いい腕だ。しっかり相手の力量も測りつつどんな手が来ても対処できるようにしてるな!」

「ご褒めに預かり……!嬉しい……!よ……!」

 

目の前で繰り広げられる光景に呆然としているのか、誰一人一言も発しない体育館内には私達の会話と剣戟の音しか響かない。

 

 

       その終わりは突然やってくる。

 

 

「あ」

 

幾度かも分からない刀と刀のぶつかり合いで、いつからかヒビが入っていたのだろう。薙守くんの剛剣と私が振るった刃が交錯した瞬間、そのぶつかり合った箇所から薙守くんが使っていた刀が粉々に砕け散ってしまった。

 

「くぁ〜…………またか……」

 

しんと静まり返る体育館内に、毎度のことのような少しダルそうな薙守くんの声が通り過ぎていき……それから誰かが始めたのかは分からないがどこからか拍手が始まり、それはすぐ様全体に広がって気付けば体育館内にいるほとんどの人が彼に向かって拍手を贈っていた。

 

「うぉ……なんだ、いきなり」

「ふふ、きっとなぎ……片桐さんの実力をみんなが認めたんですよ」

「あっ……そ」

 

ぶっきらぼうながらも少し照れたように頬を掻く薙守くん。そうしている内に授業を終えるチャイムがうっすらと聞こえてきて、彼は先生に呼ばれてどこかへ立ち去ってしまった。

それから私たちは彼が折ってしまった刀を丁重に片付けた後に着替えて教室へと戻ったのだけれども……

 

「あの人、凄いね!」

「初めは『なんだコイツ……』とか思ってたけども、あの人なら教わってもいいかな〜」

「口は悪いけどイケメンだしね!」「そうそう!そこがまた重要!」

 

皆、興奮冷めやらぬ口振りで賑やかに彼の話を各々でしていた。

 

「あっ、という間に人気だね」

「ふん。そう浮かれるようなものでは無いだろうに」

「皆、年頃なんだし仕方ないって。それとも?十条さんはな……片桐さんが気にならないの?」

「…………奴の剣術の深さならば気になる」

「あはは……もう、素直じゃないんだから……」

 

そういう十条さんだけど、少しだけ、何だか不満そうな顔をしているのに気づいてるんだろうか?…………面白そうだし、黙ってるけどね♪

 

          Another Side End

 

       ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

少し薄暗くなった人気のない路地を律儀に待っていた十条と肩を並べて帰路に着く。

 

「ッたく……あのヤロ、グチグチ絞りやがッて……」

「仕方ないだろう?私達の次なる目標は新たなる御膳試合優勝者の確立なのだから」

「だからってなァ……」

「後、その口調だとバレるぞ?」

「うっせ!」

 

あの後、刀折ったこともそうだが、俺の手癖足癖の悪さを散々あの教師に絞られてしまった。ったく……人の流派に一々干渉して来んなや…………。

 

「しかし……あっという間にお前、人気者だな」

「そうなのか?」

「あぁ、ウチのクラスでも中々の賑わいを見せていた。あの分なら学館全体に話が広がるのも時間の問題だろう」

「……不思議なこともあるもんだ」

 

人気ねぇ……そんなもの今は必要ないってのに。

しかし、そうすっと弱ったな。これで有名になっちまうとどこから俺が“刀使狩り”であるってことがバレるかわかんねぇぞ。……行動には気をつけねぇとな。

そんなことを考えつつ、何故か少し不満げな十条と歩いていた時だった。

 

(……ねぇ、主さん)

 

突然脳内に、隠し持っている村正の声が響いてきて思わず飛び上がりそうになる。

 

(っだよ!!突然出てくるなって……)

(人、いなさすぎじゃないかい?)

 

村正の言葉を聞くやいなや、立ち止まって辺りを見回す。

…………言われてみれば確かにここの道は人通りが少ないとはいえ、こうまで人がいないとなると不自然だ。

 

(…………まさか)

(はめられたね、こっちに人が二人……この感じ的になかなかの手練が向かってるよ)

(ッチッ!)

「……片桐?」

 

宣言した翌日にいきなりかよ!!っつうか対応がはやす……

 

「しまったそういうこッか!!」

「……どうした?」

「十条!確か今、平城には鎌府からの留学生が何人か紛れ込ンでンだッたな!!」

「あぁ……それがどう……っ!そういうことか!!」

 

昨日の今日で対応早いと思ッたが、そういや昨日のノロに飲まれた野郎のことを六角は『ここ最近鎌府から対“刀使狩り”要員として派遣されたってぐらいしか……』とか言ッてたからして、俺の“刀使狩り”としての主だッた活動が途切れた場所から推測してあのヒステリックも行動してやがッたか!!

 

「どうする……?」

「悪ィが俺はお客を迎え撃つ。お前は下がッてろ」

「フッ……そう言うと思ったよ」

 

不敵に笑いながら十条は俺と背中合わせにたち、持っていた小烏丸の鯉口をきる。

 

「十条……?」

「文句は言わせまい。恐らく鎌府の学長も協力者が刀使内にいたとしても早々簡単に口出しは出来ないだろうし……お前の“もうひとつの力”ならば、口封じも簡単だろう?」

「…………無茶だけはすンなよ?」

「わかってるさ」

 

ッたく……良い奴だよ、お前は。

 

(村正!)

(わかってるさ、もう一定の範囲内にいた人の意識と記憶は刈り取ってある……後の二人は…………)

(迎え撃つさ…………盛大にな)

 

村正にそう返しつつ、隠していた服の袖から刃を二刀とも抜き放ッた瞬間、キィンという甲高い音と共に頭の中をなにか不思議な感覚が通り過ぎていく。

 

「!」

(共鳴?…………まさか……)

「薙守?」

「いや……何でもねェ」

 

その感覚に少し戸惑ッたが、頭を振ッてその感じを強引に払い飛ばして改めて構え直した時……ようやく人影が見えたかと思うと、そのうちの一方がいきなり飛び上がッたと思うと……

 

「ヒャッハァ!!」

「ッと!」

 

空中で抜刀しながら襲いかかッて来たため、咄嗟に構えた左の村正で受け止める。

 

「ックク!受け止めやがったか!」

「オイオイ……物騒だな。俺がお目当てな奴じャなかッたらどうするよ?」

「ハッ!寝言は寝て言え!その黒い刀が何より証拠だゼ、刀使狩りサンよぉ!!」

「そう……かよッ!」

 

鍔迫り合いしていたところに不意に蹴りを繰り出すも、飛び退いて躱されてしまう、予想以上に身の子なしが軽いみてェだな。

 

「すばしッこいな!!」

「てめぇほどじゃねぇよ!」

 

最初に攻撃してきた二刀使いのやつに追撃をかけようとした時、不意に横から急激な殺気を受けるが、俺に到達するよりも早く十条がその刃を受け止めた。

 

「くっ!」

「!」

「……うるせえ奴とは違ッて今度はめちャくちャ静かなのが来たな」

 

受け止められたことに驚き、そいつはすぐさま飛び退るのと同時にようやく雲間から光が差し込み、襲撃者達の全貌が明らかになる。

それは何方も小柄で、片側は色素の薄目の髪を二つに結ったヤケに獰猛な笑みを浮かべて猫背で構える二刀使い。もう片側は……感情を削ぎ落としたなんの感情も感じられない瞳の白髪の刀使で…………俺の村正が彼女の持つ御刀に強い反応を示しているように感じられた。

 

「オイオイ……そこの平城の刀使さんよぉ!何でソイツに手を貸す?」

「ハッ!学長の言いなりの者に何を言っても無駄だろう?」

「……あ〜ま、そんなことはどうでもいいや」

「なぁっ……」

「へェ?」

「私としてはそこのヤロウが荒魂ちゃんと聞いていてもたってもいられねぇんだわ!!」

「シンプルに狩りを望むか、イイねェ……そう言うシンプルで純粋な気持ち、嫌いじャねェ」

「うわ……なんかどこかで見たような感じだと思ったら、お前と似てるのか…………」

「どういう意味だコラ。ッとまァ俺としてもてめェとは遊びてェンだが……」

「なら、遊ぼうぜぇ!!!!」

 

そう言うないなや迅移で瞬間的に距離を詰めてくる二刀使いの刃をこちらも二刀で受け止め……

 

「今日はお前じャねェの!!」

「ぐっ!?」

「十条、あっちは任せた!」

「分かった!」

 

左に揺さぶり体勢を崩した瞬間に、肩口辺りに強力な蹴りを与えて弾き飛ばすと、それと同時に十条がソイツを追ッて迅移で駆けていき、その隙を逃さずもう1人が俺に向かッて迅移の勢いを載せた突きを放ってくるのを地面に突き刺した村正で受け流し、蹴りを放った足でそのまま横に薙いで、その体を弾き飛ばすも空中で器用に回転にして難なく着地する。

 

「お〜すッげェ身体能力」

「…………」

「………………なんか喋れや」

「…………」

 

うわ……エラく無口な奴が来たな…………まぁ、いいか。

 

「ま、何にせよ……さっき攻撃受けた感じ、お前が件の天才様とやらか」

「…………」

「…………どちらにせよ、天才ッつうもンだからもうちョいいい腕の奴が来るかと思ッたけど……こりャ肩透かしだな……」

「!」

 

お、ようやく反応しやがッた。しかし、どちらにせよコイツは恐れられてる程じャねェな。

 

 

「…………てめェぐらいなら楽勝だァな」

「…………」

 

 

   

               第伍刀    終




以上、とじみこ最新話でした!

次回は近日中にスタリラ最新話を投稿予定ですので、お待ちください!

では、誤字脱字、ご意見ご感想の方、気兼ねなくよろしくお願いします!(あれ?いつものは?……実はずっと同じのにどハマりしててネタ切れ?のような状態なのです……。……ホロライブの天使は天使で最高なのは相変わらずです)

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