約二ヶ月ぶりの投稿……遅くなり申し訳ございません!この話かなり難産でして……まあ、クオリティはいつもどうりだと思います。誤字があったらごめんなさい!急いで書いたもんで。
それでは第38話水遊びの時間!どうぞ!
…白夜side
オレが黒服の少女の蹴りを止めると、少女は一旦距離を取った。軽く吹き飛ばすつもりで蹴ったんだが衝撃を反らしたか。
「……あなたは…」
黒服の少女が顔を上げるとその表情を驚愕で染めた。ん?知り合いか?
「なるほど、強いわけだぁ。」
「悪いが誰だ?」
「私はねぇ……」
黒服の少女がそう言って、被っていたフードを外す。黒いフードからは雪のような白い髪が現れた。綺麗な肌を持つ、幼くても整った顔立ちの少女だ。頭に何か触覚のような物が付いており、ぴょんぴょんと動いているが……何だあれ?まあいいか。
「ジニアスルームNo.1、塩崎愛花だよ♪元No.1の白夜裕翔くん♡」
オレと同じような紅い眼を光らせながら少女はそう言って満面の笑顔を見せる。……ジニアスルームだと?
「はぁ……まだ続いてたのか。確か本部は跡形もなく片付けたはずなんだがな。」
オレが会社の社長になる3日前ほどにオレが探索をして見つけ出し、中に誰もいないことを確認して壊したはずなんだが。
「???何を言ってるの?ジニアスルームはずーーっとあるよ?」
「それはおかしいな。ジニアスルームは政府非公認の施設だ。そんな不用意に外に出したりはしない。監視を10人つけてやっと外で活動するような場所だ。それなのに監視員が一人も見当たらないのはどうしてだ?」
「どうしてってそれは……あれ?どうしてだろ?……まあとりあえず!私はあなたを連れ帰りに来たの!さ!愛花と一緒に帰ろ?敵対したことは許すし、ここにいる人達にも危害を加えないから!」
明るい笑顔を出して塩崎愛花と名乗る少女は手を差し出す。人を引きつけるような笑顔に優しい態度。人を誘うのに長けているな。だが……
「断る。」
「……え?」
「もう一度言う、断る。」
「なんで?ジニアスルームは私達の家なんだよ?私と裕翔くんは……裕翔くんは……あれ?…………え?あ、うん。分かった。」
塩崎愛花が歯切りが悪そうにそう言うと途中で頭を抱えだしたが、急にやめ、立ち上がった。ふむ、先程から様子が少しおかしいな。
「裕翔くんは私の…私達の敵なんだね?いいよ、勝負して倒してでも私は連れ帰るから!」
急に敵意を剥き出しにしてこちらに飛びかかってきた。さて、現No.1の実力を試すか。
「せい!やぁ!とお!」
「気が抜けるような掛け声だな。」
塩崎愛花の気が抜けるような掛け声と共に繰り出される拳や蹴りを適当に捌き、頭にチョップを当てる。
「痛い!?むぅ……速い上に一撃が強い!」
「遅い、軽い。本当にNo.1か?」
「私は戦闘タイプじゃないの!!」
「じゃあなんでここに来たんだよ……」
「それは………なんでだろ?」
?よく分からない奴だな。コイツの目的はオレを連れてジニアスルームに行くこと。しかし、こんなことはジニアスルームにいる生徒ではなく、大人達がしていたことだ。それにこの程度の実力ならオレに対して送らない方がマシだ。妙に警戒を高めさせるだけだからな。
「やぁァァ!!」
「もっと相手の動きを見ろ。どう動けば相手がどう動くかを計算しろ。」
塩崎愛花の攻撃を捌きながらそう指示をする。……何故だか分からないがそうしたくなった。ふむ、何故だろうか。
「動かないくせに何言ってるの!それにそんなことしてる時間ないもん!一刻も早くあなたを連れ帰らないと……」
「なぜそこまで拘る?なぜ今なんだ?オレが抜け出したのは約2年前だ。その時になぜ追わなかった?」
「そ、れは……司令が……」
「なるほど、今は別の司令官がいるのか。オレの父親が殉職してからは別の司令官が入ったんだったな。」
「何を言ってるの?裕翔くんのお父さんはまだ生きて……あれ?違う、あなたの父親が死んで新たな人が私達を教育してくれたの!」
明らかに変だな。さっきから動きが単調だし、言っている事も時々おかしい。所々で口調が変わったりなど。まるで洗脳されているかのよう。
「そうか、オレの父親は元気か?」
「うん♪今でも裕翔くんに対してかける言葉がおかしかったと……え?あれ?違う、あなたの父親は死んでいるんだよ?何を言っているの?」
「……なるほどな。」
やはり塩崎愛花は洗脳状態にあるようだ。恐らく、頭の上についている触覚らしき物が洗脳装置だろう。口調が変わるときにぴょんぴょん動くしな。
『システムエラー、システムエラー、システムエラー、遠距離操作型洗脳装置が宿主の抵抗によりエラーを発生させました。全速逃亡モードへと移行します。』
機械のような音声がどこからか聞こえてきた。音のした方を見ればその正体は塩崎愛花だった。しかし、様子が少しおかしい。
目に意識がなく、焦点があってない。顔は先程までと違う無表情だ。そして触手らしき機械はまるで警告するように赤色に光る。
?全速逃亡モード?……マズいな、逃げられる。
「…………」
「オレから逃げられると思うか?」
塩崎愛花が逃亡をするのを理解したオレは塩崎愛花を捕まえようとしたがその時には森の中へ逃げていた。オレはその後を追う。このままなら追いつけるな。
『目標の速度が予想以上に早いことを確認。宿主の筋繊維を犠牲に更に速度を追加します。宿主が死ぬ確率がありますがよろしいですか?……はい、分かりました。全力で逃亡します。』
どうやら遠隔操作の洗脳らしいな。……しかし、このままだと逃げられる。それに死なれたらこっちが嫌だしな。追うのをやめよう。
殺せんせーの方も気になるし、あっちに行くか。
殺せんせーの方へ向かうと、イトナとの戦いはまだ続いていた。イトナは前よりも触手の数が減っているが速度が上がっていた。ワン○ースの黄猿が言うように、速度は重さ。その分だけ威力も上がっているのは一目瞭然だ。
殺せんせーの頭上には原、吉田、村松がおり、黒崎達がなんとか助けようとしているが手を出せない状況だ。…これは殺せんせーにしか助けられそうにないな。無理に助けようとしてイトナの攻撃を喰らったら余計に殺せんせーの足を引っ張ってしまう。
そして殺せんせーの頭上の崖では寺坂やカルマ、クラスの皆が集まっていた。何やら話しているな。
「……その狡猾なオツムでオレに作戦与えてみろ。完璧に実行してあそこにいるのを助けてやらぁ!」
「いいけど実行できんの?俺の作戦……死ぬかもよ?」
そう言ってカルマは寺坂のシャツのボタンを勢いよく外す。…なるほど、カルマも考えたな。
「…やってやんよ!こちとら実績持ってる実行犯だぜ?」
その頃、殺せんせーは触手がパンパンに膨れて赤くなっており、イトナに追い詰められていた。そういえば殺せんせーの全身が赤く膨れ上がったら茹でだこみたいに見えるんじゃないか?
「さあて、とどめにかかろうイトナ。」
そこへ崖から一人の男が降りてくる。そう、寺坂だ。
「おい!」
「…寺坂君?」
シロは意外そうな声で寺坂の方を向いた。どうやら想定外のことらしい。
「よくも俺を騙してくれたな。」
「まあそう怒るなよ。ちょっとクラスメイトを巻き込んだだけじゃないか。E組で浮いてた君にとっちゃ丁度いいだろ?」
「うるせぇ!てめぇらは許さねぇ。…イトナ!てめぇ俺とタイマンはれや!」
寺坂はそう言って服を持って構える。ちゃんと作戦どうりに動くらしいな。
「やめなさい寺坂君!君が勝てる相手じゃない!」
そんな寺坂に殺せんせーはそう声をかけた。まあ、確かに寺坂に勝機はないように見える。だが、今の寺坂には作戦がある。
「すっこんでろ膨れタコ!」
「ふ、健気だねぇ。黙らせろ、イトナ。」
シロは鼻で笑った後にそう命じた。まあ、寺坂が死ぬことはないだろう。オレ達を守らなきゃいけないから殺せんせーは常にオレ達に多少なりの注意を置けるからだ。だから殺せんせーの注意力を削げる。
イトナの一発は重いだろう。恐らく気絶しそうな程の衝撃のはずだ。だが、裏を返せばその程度。耐えられない事はない。
だから今イトナが浴びせた触手の一撃も耐えられる。
「よく耐えたねぇ。イトナ、もう一発あげてあげなさい。」
シロがそう言った時、イトナがくしゃみをした。そう、まるで先程までの殺せんせーのような。そんなイトナを見て、シロは意外そうな声を上げる。
なぜ、こうなったか?答えは簡単。寺坂は服を変えてない。イトナも殺せんせーと同じ触手持ち。昨日の謎のスプレーを至近距離で沢山浴びた寺坂の服に触れて、ただでは済まない。
そしてイトナに一瞬のすきができる。その瞬間に殺せんせーが原さんを助ければ形勢逆転。
これがカルマの作戦だろう。
「吉田!村松!デケェの頼むぜ!」
そう言って寺坂は水をパシャパシャと叩く。それだけで後は分かるだろう。
寺坂とカルマの合図と共に皆が水場に飛び込む。そうしてイトナに水をかける。
イトナの触手は大きく膨れ上がり、殺せんせーと同じくらいまで肥大化した。ハンデはもうないに等しいだろう。
「で、どーすんの?俺らも賞金持ってかれんの嫌だし、そもそも皆アンタの作戦で死にかけてるし、それに裕翔も怪我したし、ついでに寺坂もボコられてるし……まだ続けるならこっちも全力で水遊びさせてもらうけど?」
そういえばオレ怪我してたな。あ、でも結構塞がってきてるな。
「…してやられたな。ここは引こう。この子等を皆殺しにしようものなら反物質臓がどう暴走するか分からん。それに人類最強の白夜裕翔もいるしな。」
2話に続く大騒動だったが、相手の方が引いてくれるらしい。……ン?オレっていつの間に人類最強になってたんだ?
「帰るよ、イトナ。」
そのシロの言葉が表す意味は敗北。それを理解したイトナの瞳孔が大きく開く。…一応警戒しておこう。
「どうです?皆で楽しそうな学級でしょう?そろそろちゃんとクラスに来ませんか?」
ここまでの事をしても殺せんせーはイトナを生徒として見ている。
「イトナ?」
しばらく沈黙が続いたが、イトナはシロに付いて行った。殺せんせーの勧誘は失敗したらしい。
「なんとか追払えたなぁ」
「良かったね、殺せんせー。私達のおかげで命拾いして。」
「ヌルフフフ、もちろん感謝してます。まだまだ奥の手はありましたからねぇ。」
皆で一件落着という空気の中、寺坂に忍び寄る影が一人……原だ。
「そういや寺坂君、さっき私のこと散々言ってたね。ヘヴィだとか太ましいとか…」
「い、いいやアレは情報を客観的に分析してだな。」
……それ余計酷いこと言ってないか?
「言い訳無用!動けるデブの恐ろしさ見せてあげるわよ!」
そう言って原が寺坂に詰め寄る。その後ろにはカルマ。イジろうとしているのが丸分かりの表情をしている。
「あーあ、ホント無神経だよなぁ寺坂は。そんなんだから人の手のひらで転がされんだよ。」
「うるせーカルマ!テメェも高い所から見てんじゃねぇ!」
そう言って寺坂は岩の上にいるカルマを無理やり落とす。カルマは回避はできなかったがしっかりと受け身をとったので怪我はなさそうだ。……まあ、ずぶ濡れだがな。
「はぁ?なにすんだよ上司に向かって!」
「誰が上司だ!触手を生身で受けさせるイカレタ上司がどこにいる!だいたいテメェはサボり魔の癖においしいところだけ持っていきやがって!」
その寺坂の意見に同意が多いらしく、皆でカルマに水をかける展開になっている。さっきまで命がけだったのが嘘のようだ。
それにしてもあの少女は誰だ?初めて会うにしてはやけに馴れ馴れしい態度。オレの父親の事をまるで家族かのように話す口調。そしてあの洗脳。
昔あったジニアスルームの同級生か?顔をあまり見た事がないからしっかりと覚えていない。
……厄介な事にならなければいいが。
後書きでも〜!ワンフォーワン!
……なんだこれ?適当にやりました。後悔と反省と懺悔があります。ごめんなさい。
さて、難産の割にあまり大して手応えがない第38話!どうでしたか?良ければ感想をくださると嬉しいです!
さて、今回表れた少女は誰なのか!?まあ、予想付きますかね?どうなんでしょう?あ、設定に無理があるのはいつものことです。許してください。
それでは!また次回でお会いしましょう!