少年は聖人との夢を見るか?   作:あちきた

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マジでご都合主義全開、異論反論は勘弁してください。


皇国の秘密とルミナス様

暴風竜ヴェルドラが消えて、3週間が過ぎた。別に消えたからと言って今すぐ何かが起こる訳でもなく、ジュラの森周辺の魔物の動きが活発化したとか、そう言うレベルらしい。

 

 

「連れて行きたい場所ってどこ?ヒナタ」

 

「・・・行けばわかるよ」

 

 

なんだろうか、今日のヒナタはいつもよりピリピリしてる気がする。あれかな、ヴェルドラのせいで仕事が増えて疲れてるのかな。

 

ヒナタに連れられて歩いていると、見えてきたのはこの国の中でも異様な雰囲気を放つ、首都ルーンの中心、西方聖教会の本部だった。本部と言ってもここは儀式専用で、実質的な本部はイングラシア王国という場所にあるらしい。

 

 

「な、なんか凄いね。気圧される・・・」

 

「少し話があるのだけれど」

 

「ん?何?」

 

 

どうしたんだろ改まって。ちょっと不安そう?気のせいかな・・・

 

 

「今からここで見た物や聞いた事を、他の人には絶対に言わないで欲しい。いい?」

 

「う、うん。分かった」

 

 

俺、何を見せられるんだ?まさか!この国の法皇が実は死んでいて、既に官僚達の傀儡政府となっているって言う噂は本当だったのか!?

 

なんて事を考えていられたのは・・・今だけだった。

 

 

 

 

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「ほう、転生者とは言え、まともな訓練も受けていない者に止められる物では無いのですが・・・止めるどころか、跳ね返してくるとは」

 

「・・・白々しいな。今のが魔法ってやつか?仮に当たっても、大したダメージにはならなかったはずだ。そんな事より今の、俺じゃなくてヒナタを狙っただろ。何のつもりだ?」

 

「私は大丈夫だから、落ち着きなさい。──どう言うつもり?ルイ」

 

 

大聖堂って所に案内されるや否や、魔法がヒナタに向けて飛んできた。ノアが居なかったら間に合わなかったかも知れない。

 

 

《『反転者』による魔法の反射に成功、『固有時制御』の自動調整を継続・・・油断しないで、マスター》

 

 

俺の『反転者』は俺を基準にスキル効果が発動する。例えば、人物Aから人物Bへの攻撃を反転させる場合、人物Aからの「俺以外への攻撃」と判定して、その攻撃を「俺への攻撃」に反転させる。初めはこれをしようとしたんだけど──それを良しとしないノアが『固有時制御』を発動させ、ヒナタと魔法の間に割り込んで強引に俺への攻撃にすり替える事で、撃った相手にそのまま魔法を跳ね返す・・・という事をやってのけた。そこまで頭回らないわ、流石機凱種。

 

 

《なんの為の超速演算だと思ってんだか・・・》

 

 

なんか呆れられた気がしたけど、きっと多分恐らく気のせいだ。お前はすぐ情報を整理出来るけど、俺はそんなに頭の回転早くないの!許してくれ、ノアよ。

 

こういう裏事情があり、あんなにカッコつけた事言っておいて実際はほとんどノアにやってもらった訳だ。そうなんだけど・・・本当に相手の目的が分からない。威力を殺して魔法を撃つ、それも相手はヒナタだ。わざわざ最強の聖人に喧嘩を売るなんて理解に苦しむ。

 

 

「どう言うつもりも何も、先日話した通りですよヒナタ。私が彼女を・・・なんと、その姿で男性とは・・・!世界は広いですね。では改めて──彼を見極めたかった、それだけです。」

 

 

《あの男、今『魔力感知』を使った・・・?あいつ──魔物だよ。それもかなりの上位種。今持ってるスキルだけじゃ、タイマンで勝つのは難しいかな・・・》

 

 

ノアがそこまで言うのなら、そうなんだろう。なんで魔物絶対許さないマン達の集う教会の本部の、それも大聖堂に魔物が居るんだか。いよいよ怪しくなったきたぞ・・・

 

 

《あ。それとは別に、もう『魔力感知』の解析は済ませてあるから。いつでも使えるよ!普通に使うと人間の脳じゃ処理しきれないから、私とリンクさせておくね!》

 

《告。エクストラスキル『魔力感知』を獲得しました。》

 

 

お、おう。ノアの声とは別に世界の言葉も聞こえたな・・・あいつら声そっくりと言うか同じだから、聞き取りにくいんだよな・・・

 

 

「見極めるって・・・私を攻撃する事で、かしら?」

 

「はい。貴方からの話を聞いている限り、彼が貴方に特別な感情を抱いているのは確かみたいですし」

 

「わー!やめてくれ!頼む!」

 

 

なんだこの公開処刑は。さっきまでの空気が嘘のように慌ててしまった。いやはや・・・このルイという男、中々の手練のようだ。

 

 

「この判断能力と戦闘力、そして何より、貴方への忠誠心。これなら・・・ルミナス様もお喜びになるだろう」

 

「・・・はぁ、やはりルミナス様が貴方に命じたのね。あのお方の考えは、私程度では理解できないわ・・・」

 

「???」

 

 

なんかルイとヒナタは顔見知りっぽい。てか、ルミナス様?それって確か、ヒナタが所属している西方聖教会の唯一神様じゃなかっけ。え、何。この世界は本当に神様が存在してるのか・・・?──てか、お喜びになるってなんだ。

 

 

「先程は失礼した、私の名はルイ・バレンタイン。この神聖法皇国ルベリオスの法皇を務めている者だ」

 

「・・・え!?魔物が法皇!?」

 

「──私も最初は驚いたわ。でも、これが真実なの」

 

 

いやいや・・・え?魔物を絶対に許さないマンの総本山、神聖法皇国ルベリオスの法皇が魔物!?そんな事許される訳・・・てか、バレンタインって確か・・・

 

 

《バレンタインって言うと確か、十大魔王の一人、ロイ・バレンタイン・・・それと同じ名を持つ魔物・・・まさか!?》

 

 

まさかとは思うが、一応確認だ。

 

 

「あの・・・バレンタインと言うと・・・?」

 

「ああ、魔王ロイ・バレンタインは、私の弟だよ」

 

「そうですよね!流石に・・・え?ええ!?」

 

「まぁ、そうなるわよね」

 

 

なんだこれ、国家機密中の国家機密じゃないか。だからヒナタは初めにあんな事を俺に言っていたのか。でも、何故それを俺に?わざわざ国の一番の秘密を俺に打ち明けて、一体どうしようと言うのだろう。

 

 

「それで、何故それを俺みたいな一介の転生者に?」

 

「それはこれから行く場所で話そう、着いてきてくれ」

 

「あぁ、ルミナス様もいらっしゃるのね・・・どれだけ前から計画していたのかしら・・・」

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

それから俺が連れてこられたのは、大聖堂を抜けた先にある、霊峰へと続く山道。それを登って行くと、見えてきたのは謎の建物。

 

 

「ヒナタ、此処って?」

 

「此処は奥の院、この国で最も神聖な場所よ」

 

 

それはまた。俺は今この国で最も神聖な場所へと連行されて居るらしい、懺悔でもさせられるのか。俺なんか悪い事とかしたっけ?

 

うっ・・・なんだか頭が・・・。あれ、なんでお風呂?お風呂で何か悪いことをしたという事か?身に覚えが──なんか腹の辺りが痛い、ものすごく痛い。

 

 

「さて、ヒナタからも聞いているとは思いますが、重ねて申し上げますよ。・・・決して、ここで見た物や聞いた事を他者に伝えないようにしてください。もし伝えてしまった場合、我々は貴方を殺さねばなりません」

 

「わ、分かった。肝に銘じておくよ」

 

 

そりゃあ国家機密だもんな、暗殺チームから狙われるとか少しかっこいいけど、それが実際に起こるとなれば話は別だ。怖すぎる。

 

 

「──ロイ、彼の者を連れてきました」

 

「おう、通せ」

 

 

扉が開き、そこに居たのはなんと・・・十大魔王が一人、ロイ・バレンタインその人だった。やはり魔王、魔力感知とやらで確認したが、こいつもルイと同じくらい強い。

 

 

《──マスター、ロイの横にいるメイドさん。あの人から気を抜いちゃダメだよ、魔素量を偽装してる痕跡がある》

 

 

え?メイド?言われてみると確かにめっちゃ美人だ、ヒナタといい勝負である。もしヒナタと出会う前なら、だらしなく鼻の下を伸ばしていたかも知れない。

 

 

《そうじゃなくて!》

 

 

分かってるって。あんな可愛い子でもめちゃくちゃ強いのがこの世界だ、ノアの言う通り、気を抜かない方が良いだろう。

 

 

「・・・ほう?本気ではないといえ、妾の偽装に気づくとは。中々見所があるではないか」

 

「──もう宜しいのですか?ルミナス様」

 

「良い。偽装の違和感に気づけただけ、ただの転生者にしては上出来。余程強力なスキルを持っているのだな?」

 

 

メイドさんがいきなり椅子に座って話し始めたと思ったら、ヒナタが何やら確認を取っている。ルミナス様・・・?まさか、このメイドさん・・・!

 

 

「貴様も気づいているのだろう?そう、妾こそがルミナス教の唯一神ルミナスにして、吸血鬼族(ヴァンパイア)の真祖、魔王──ルミナス・バレンタインじゃ」

 

 

その言葉と同時に、メイドさん──魔王ルミナスから、気が飛びそうになる程の威圧感が発せられた。

 

 

《・・・これは、魔王にのみ許されたエクストラスキル『魔王覇気』による物だよ。このメイドさんが魔王と言うのは、本当みたいだね》

 

 

ノアが教えてくれるまでもない。目の前の美しい少女は間違いなく魔王だ、人間としての本能がそう叫んでいる。

 

そしてルミナスは、おもむろに立ち上がると──ヒナタに対して、その牙を向けた。

 

 

「・・・この覇気の中でさえ、妾の前に立ち塞がるか。やはり貴様、気に入ったぞ」

 

「っ!?」

 

《マスター!──『反転者』による事象反転が通じないなんて・・・》

 

 

俺の首の直前で、ルミナスの攻撃は止まっていた。これがスキルでも何でもない、素の身体能力とは・・・本当にとんでもない魔王・・・

 

『固有時制御』でヒナタの前に割り込み、そのままさっきと同じように『反転者』でその威力を返そうとしたが、結果は失敗。なにか別の力に押し負けた様な感覚だった。

 

ルミナスはそう言うと、発動していた『魔王覇気』を解除してくれた。助かった、もう少しで気絶するかと思ってたわ・・・

 

そしてそのまま俺の耳元で、周りに聞こえないような声で、とんでもない事を聞いてきた。

 

 

「一体何が、お前にそこまでさせる?話を聞く限りでは、命を助けられた恩義による物だと思っていたのだが・・・・・・お主、まさか本当にヒナタに気があるのか?」

 

「そ、それは・・・なんと言いますか・・・その・・・・・・」

 

 

まずい、顔が赤くなっていくのを感じる。そんなにピンポイントで理由を聞かれると恥ずかしくなるからやめて!

 

・・・そんな俺を見て、ルミナスは納得したのか

 

 

「ふっ、ははは!・・・なんせ顔だけは良いからな!別におかしな事でもあるまい。むしろ、好きな女の為に命をかけられる。その事を誇るが良いぞ」

 

 

なんか励まされた。──てか顔だけじゃないわ!ぶっきらぼうだけど実は優しい所とか、たまに見せる微笑みとか色々あるわ!

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

「本題に入ろう。聞くがお主、妾に仕える気は無いか?」

 

こんな風に聞いているが、多分答えはYESしか無いのだろう。断ったら殺される気がする。

 

 

「よ、よろしくお願いします・・・」

 

「うむ」

 

「──それで、彼にわざわざ正体を明かしたのはこちらに引き込む為ですか?ルミナス様」

 

 

俺なんかを勧誘する為だけに、こんな重要な秘密を明かさないだろう。

 

 

「それもあったが・・・、そなたが珍しく他人の話をしたのでな。興味が湧いただけじゃ。それに、その者はそなたにぞっこ──転生者と言うでは無いか。異世界人は世界を渡る際、強力なスキルを手に入れると聞く。ならば、使える時に使える、強力な隠し玉として鍛えるのも悪くは無い」

 

 

なるほど、ルミナスは俺の事を言うことを聞く駒にしたいらしい。てかぞっこんとか言いかけただろ。・・・まぁ俺としても強くなれるのは有難い。そんな事滅多に無いだろうが、もしヒナタに危険が迫った時、俺も戦える。

 

 

「──そなたと言う首輪もついておるしな。・・・それでお主、名は?」

 

「よ、ヨミ・ナギシロです・・・」

 

「ふむ。ではヨミよ、お主は聖騎士(ホーリーナイト)となり、ヒナタの下でその腕を磨くがいい。期待しているぞ」

 

・・・ こんな感じで、俺は聖騎士団(クルセイダーズ)に入り、魔王ルミナスの秘密を共有する立場となった。俺としては、強くなれるし、ヒナタの近くに居れるしで一石二鳥だ。

 

これから少し忙しくなるだろうが、ヒナタの為だと思えばもうなんかずっと働ける気がする。

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

俺がヒナタに扱かれまくったり、豚頭帝(オークロード)が出現して世界が混乱に陥ったりしたのは──また別のお話。

 

 

 




多分次はリムル様出てくる

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