ありふれない破壊者の世界最強   作:膜孥 成呶

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2話

 次の日の朝から、訓練と座学が始まった。

 始めにメルド団長から、ステータスプレートと針を貰う。配ったのは、兵士達なのだが、そこら辺は言葉の綾と言うものだ。全員に渡し、皆が聞ける状態になったと分かると、メルド団長はステータスプレートの説明をしだした。

 

「このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。」

 

 一人一人の反応は、違えど皆一様にステータスプレートを見る。ステータスプレートは、縦6cm横10cm位の大きさだ。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。これらは、アーティファクトと呼ばれる物だ。」

「アーティファクトとは、何ですか?」

 

 アーティファクトが、何なのかわからない天之川が、メルド団長に質問する。

 

「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。その中でもステータスプレートってのは、複製するアーティファクトと一緒に作られた物で、世界中に普及している。身分証と言えばわかるか?まぁ、本来のアーティファクトは、国宝級なんだがな。」

 

 天之川の質問を丁寧に解説してくれる。生徒達は、成る程と頷く。そして、親指の腹に針を刺して、出てきた血をステータスプレートの魔方陣に着ける。一瞬淡く光ると、ステータスが出てきた。

=========================戸谷士 17歳 男 レベル:◼️◼️◼️◼️

天職:破壊者

筋力:◼️◼️◼️◼️

体力:◼️◼️◼️◼️

耐性:◼️◼️◼️◼️

敏捷:◼️◼️◼️◼️

魔力:◼️◼️◼️◼️

魔耐:◼️◼️◼️◼️

技能:言語理解・破壊者[+アイテムボックス][+オーロラカーテン][+生体時間減速(クロックダウン)]・鑑定

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 数時間前に言ったから、ここで解説させてもらう。転生者と言うことは、話したが能力は言ってなかった。小説のタイトルや技能で理解したかもしれないが、俺の力は仮面ライダーディケイドのものだ。変身したりできるだけの、何の変哲のないものだ。まぁ、文字化けを日本語で書くあたり作者の脳が知れる。

 メルド団長は、俺達がステータスを確認したこと見ると、ステータスについて説明しだした。

 

「ステータスを開くと、最初に名前、年齢、性別、レベルの4つ表示されている。レベルは100が上限だ。100までレベルが上がれば、極限の最強とも言えるだろう。レベルが上がるのに伴ってステータスも上がると思っている人もいるとは思うが、それは間違いだ。ステータスは、日々の努力でしか成長しない。次に天職だが、これはそれぞれの最適な職業を指している。1番下の技能に影響しているものだが、別に剣士だからと言って剣士にしか成れないのかと言うと違う。冒険者になっても良いし、農業者にだってなっていいのだ。話は戻るが、トータスの人たちの平均が10程だが、勇者様方なら軽く10倍程だろう。それぞれのステータスを確認したいので、一人一人教えに来てくれ。」

 

 団長がそう言い終わると、1番に天之川がメルド団長の所に行った。

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天之河光輝 17歳 男 レベル:1

天職:勇者

筋力:100

体力:100

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

魔耐:100

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

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 これが勇者のステータスだ。俺には遠く及ばないが、レベルが62で他の平均が300の団長に、天之川はレベル1でその1/3の100なのだ。

 

「おぉ~。技能は本来2、3個なんだが、お前は既にこんだけ持ってるなんて。頼もしいヤツめ~。」

 

 メルド団長がバシバシと、天之川の肩を叩く。技能は、先天的な物で増えはしないのだが、唯一の例外は派生技能と呼ばれる物だ。俺の技能の、破壊者なんかも派生技能がある。派生技能は、一つの技能を長年使い続け、壁を越えた者だけが手に入れられる力だ。俺がなぜ、その派生技能を持っているのかは、おいおい(作者の気分次第)ってことで。

 

 天之川を皮切りに、出席番号順でメルド団長にステータスを見せることになった。暫くして俺の番が回ってきた。メルド団長はステータスを見るなり「は?」と言った。元々ステータスの確認と言うこともあり視線は少なからずあったが、メルド団長の一言で全員の意識が俺のステータスに向く。

 

 檜山に至っては、俺のステータスを見ようとこっちに来た。メルド団長は隠そうとしたが、檜山は俺のステータスをチラ見する。檜山もメルド団長と同じく、「は?」と言う反応をする。いつも通りだ(錯乱)。

 

「そろそろ返していただけないでしょうか?」

「まあ、良いだろう。」

 

 メルド団長は、渋々ステータスプレートを返してくれた。俺は、再度檜山を確認する。いまだに檜山は、口を開けて固まっている。メルド団長は、何も見なかった事にして次の人のステータスを確認しはじめた。そして、ハジメの番が来る。

 

「まぁ、こう言うのもいるよな。」

 

 そう言ってメルド団長は、ハジメにステータスプレートを返した。褒めもしないメルド団長を不思議に思ったのか、檜山以外の斎藤、近藤、中野の3人がハジメのステータスプレートを奪う。すると、その3人は、腹を抱えて笑いだした。

 

「おい、なんだよこのステータス。」

「オール10とか。肉壁にすらならないじゃん。」

「あひゃひゃひゃひゃ!」

 

 彼ら3人は、ハジメの力を馬鹿にする。しかし、それをうち(・・)の愛ちゃん先生が、許すはずもなく。

 

「クラスの仲間を笑うのを、私は許しませんよ!南雲くんにプレートを、返してあげなさい!」

 

 愛ちゃん先生のかわいらしい怒りに毒気を刈られたのか、3人はハジメにプレートを返す。そして、愛ちゃん先生は、ハジメの方を向いて自分のステータスを励ますかのごとく見せる。

 

「安心してください南雲くん。私も、非戦闘職ですよ。ほら、私のステータスです。」

 

 ポッキリとハジメの心が折れた。なぜなら……

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畑山愛子 25歳 女 レベル:1

天職:作農師

筋力:5

体力:10

耐性:10

敏捷:5

魔力:100

魔耐:10

技能:土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解

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 これが、愛ちゃん先生のステータスだ。戦争において人的資源と同等かそれ以上に大事なのは、食料資源だ。そこで、作農師が活躍する。技能を見ると分かるように、農業に適した物がたくさんある。戦争に関して言えば、勇者と同じくらい必要な戦力だ。

 

 それに、魔力だけで言えば、天之川と同じくらいある。これがハジメの心を折った1番の原因だろう。そこで、愛ちゃん先生は、ハジメの異変に気づく。「あれ、どうしたんですか!南雲くん!」と、ハジメの肩を揺らす。

 

「あらあら、愛ちゃんったら止め刺しちゃったね。」

「な、南雲くん!大丈夫!?」

 

 冷静にツッコむ八重樫さんに、ハジメのことを心配する城崎さんと言い、固まったままの檜山と言い、どうもこのクラスは混沌(カオス)しか、しないようだ。だが、一生懸命、頑張って空回りする愛ちゃん先生に場は、和んだ。

 

 結局、檜山はメルド団長に叩き起こされて、次の訓練に入った。白井にステータス見せて、と言ってみたが、見せてくれなかった。


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