そんな悔しさから生まれたが、書く時間がない。
供養。
一話とキャラ設定だけ。
気が付くとパラサイト・イヴの世界に転生していた。何を言っているのか分からないと思うけど、わたしも何を言っているのか分からない。だって目覚めたら幽霊みたいになっていて、ベッドで眠る金髪幼女姿のわたしを見下ろしてたもの。ちなみに前世は男でした。日本人だったと思います。名前は思い出せません。
パラサイトイヴ。平たく言えばス○ウェア版のバイオハザードってところ。ウイルスに感染してゾンビや化け物になったりするのではなく。人間や動物の体内にあるミトコンドリアが自我を持ち、肉体を乗っ取って化け物に変えてしまうアクションRPG。銃も魔法もあるんだよ。
美人な女主人公アヤを操作して、化け物を倒して行きながら事件を解決していくストーリー。原作小説もあって、こっちは純粋なホラー風味になってる。蛇口がトラウマになりました。あと、マリコお母さんで抜いた人、手をあげなさい。お姉ちゃん怒らないから。
それで、なんでパラサイト・イヴの世界って分かったかというと。身体のラインが強調されるような黒いラバースーツを着た妹が、眠っているわたしに縋り付いていたから。下半の部分がミニスカートみたいに短くて、パンツ穿いてないように見える格好。とってもエッチだと思います。わたしにそっくりな双子の妹です。名前はイヴ。
そして見覚えのある部屋。鈍い銀色の壁面に鉄で覆われたような部屋。壁紙は張ってなくて壁一面がパネルをはめ込んだような作りをしてる。とても狭い部屋。
テレビは壁に埋め込んだ三面式の洗脳装置で。目を逸らしても、どの角度でもグロ映像を見せれる素敵仕様。子供用の積木はストレスを溜めるために凹凸が丸みを帯びて、簡単に積み上げられない粗大ゴミ。おまけにイヴの描いた絵は人が血まみれになったり、黒焦げになったりして死んでいる絵ばっかり。信じられる? これ子供部屋だよ? 窓はあるけどイヴとわたしを観察する覗き窓で、きっと毎日観察されてる。わ~い、プライベートな時間はゼロですね。分かります。
本当に胸糞悪くなるよ。イヴの受けた境遇を考えると吐き気がする。で、わたしはそんな環境に耐えられなくなって意識不明の状態。幽体離脱してしまいました。
いや、姉として頑張ろうよ。目の前で妹が涙を流しながら、わたしの隣で眠ってるの見ると申し訳なるし。まあ、幽体離脱する以前の記憶しかないから推測するしかないけど。
魂というか意識だけ?の存在になったわたしの身体は便利だ。何せ壁を通り抜けることもできるし、空を飛ぶこともできる。結構遠くまで行けて、この施設のフロアを見て回ったりした。悪夢の生態系の箱庭。通称、シャンバラを通り抜けるときに強制的に共食いのシーン見せられて吐きそうになりました。吐かないけど。
それで、気になったことを調べて回った。つまり原作にはないわたしの存在と誕生過程を調べた。
シェルターと呼ばれるこの施設は、化け物である
そして、わたしの正体はイヴと同じ主人公アヤのクローンじゃなくて。アヤの姉であるマヤのクローンだった。インキュベーターの中にあるフラスコやプレートのラベルにマヤって書いてあったからたぶんそうなんだろう。アヤの培養細胞と、イヴの培養細胞と、マヤの培養細胞の三種類。それがたくさん並んでる。イヴと同じでコードネームも存在するけど、嫌いなので言いたくない。
わたしとイヴは特別な細胞を持っている。正確にはオリジナルであるマヤと、その角膜を移植されたアヤの細胞だけどね。
つまり、ネオ・ミトコンドリアだ。
ゲームの事件の原因となったミトコンドリアが自我を持ち、意識と肉体を乗っ取り、人間に対して反乱を起こそうとした原因となった存在。新人類が旧人類を駆逐したように、新たな知的生命体として地球に君臨しようと数億年前の原初の時から自我を持ち計画を練っていた人類の恐ろしい天敵。
アヤとイヴの細胞の中にあるミトコンドリアは、そのネオ・ミトコンドリアだ。今は制御下におかれているが、いつまた自我に目覚めて反乱を起こすか分からない。そんな危険な存在を、彼女たちは孕んでいる。ただし、恩恵もあって身体能力を格段に強化したり、自己治癒能力を促進して瞬間的な回復能力を発揮したりできる。人体発火もお手の物だ。生物の体内にミトコンドリアが存在する限り、相手のエネルギー生産を強制的に引き上げて、膨大な熱量を発生させることができる。それこそ人間を爆弾に変えるくらいには。
数年前にニューヨークのマンハッタン島で、ネオミトコンドリアが反乱を起こした時。人間の肉体を発火させ、ドロドロに溶かして溶解し、肉の塊に変えたりもした。生命が誕生する原初のスープに変えて、多くの人間がヘドロと化しひとつになったのだ。おまけに銃弾はおろかミサイルすら逸らし、近寄る戦闘機や戦闘ヘリを中のパイロットごと発火させて撃墜し、終いにはひとつの空母機動艦隊が同じ手で壊滅させられた。まさに人類の天敵といっていい。
このシェルターと呼ばれる施設の組織は、その元凶のとなったマヤと、その関係者であるアヤの細胞を回収して、こうして利用している。
年老いて、死を間近にする金持ちに不老不死だなんだと持ちかけて、自ら被験者にさせる。人体実験もホームレスや孤児を誘拐すればいいから問題なし。不老不死のために富豪層や国家からの資金提供もたくさんあるよ。やったね。
それで、私たちの細胞にあるネオ・ミトコンドリアとレトロウイルスを駆使して、被験者の皆様をモンスターに変えてしまいましたとさ。ちゃんちゃん。
ネオテニーって言って厳密には違うんだけど。人間を培養槽の中で赤ん坊くらいにまで物理的に幼児退行させます。そこからネオ・ミトコンドリアをレトロウイルスに載せて送り込み、被験者の遺伝子を作り替えます。ここでネオ・ミトコンドリアが被験者の深層心理を読み取り、その人の願望にあった
知能と知識を持つモデルは一部の選ばれた存在にのみ許されるよ。でも、被験者には余計なストレスを与えたくないから、何の説明もしないよ。希望どおり若返りと不老不死を与えて老いの苦しみから解放したから何の問題もないよね。
それで組織は崇高な目的として全人類を理想の新・人・類に変えたいんだ。だから、ネオ・ミトコンドリアを載せたレトロウイルスをばら撒いて、世界中の人間を強制的に
これが組織の目指す大まかな人類救済の目的。うん、これは酷い。
わたしとイヴはそんな
だから、あの酷い子供部屋で洗脳しようとした。組織の従順な駒に仕立て上げて、恐怖を与えて組織に逆らえないようにして、言うことを聞かせようとした。
でも、誤算があった。ネオ・ミトコンドリアには自我がある。組織に従順な振りをして、
組織もわたしとイヴを使って
つまり、わたしとイヴは脱出できないってこと。下手に逃げ出すと、未だに施設を監視してるであろう組織の人間につかまっちゃう。シェルターはモハーヴェ砂漠のど真ん中にあるから逃げることも難しい。対策をしないと途中で干からびて死ぬ。
助かる可能性は、ただひとつ。
問題はどうやって彼女をここまで導くかだけど、ちょっと楽観視してた。待っていれば彼女は必ず此処を訪れる。組織もわたしたちを確保するために、同じ力を持つアヤをぶつけようとするだろうから。でも、懸念事項が二つあって。ひとつは原作通りにいくかどうか不安だということ。わたしというイレギュラー要素が何を引き起こすのか分からないから。もうひとつは、組織の失敗を知った国家が証拠隠滅にために施設を爆撃するだろうということ。直接関与していなくても、大統領は人類の負の遺産となる施設の証拠は残したくないだろうから。
つまり、わたしとイヴに残された時間は少ないということだ。時間が経てばお腹も空くし、エネルギー不足になれば結界の維持も侭ならなくなる。そうなれば
刻一刻と迫る時間の中でわたしはどうすればいいのか考える。事件の発端となるアクロポリスタワーに行こうにも、わたしは日本人としての記憶しかないので、アメリカの土地勘など分からない。下手に動けばイヴの場所まで戻ってこれなくなる。最悪、意識の消滅すらあり得る。試したことはないが、幽体離脱したまま死んでしまう可能性もゼロではない。どこまで行けるかは未知数だ。
シェルターはドライフィールドと呼ばれる集落につながっているが、助けを呼びにいっても誰もいないだろう。
何よりもこの幽霊みたいな姿は他者に認識してもらえないのだ。イヴに話しかけても聞こえていないようだったし、物や人に触れることもできない。まあ、壁をすり抜けたりできるから便利ではあるんだけど。誰かに私を認識してもらうのは不可能だ。物を動かしたり、音を出すこともできない。
だから、こうして眠るわたしの肉体に寄り添っているイヴの傍で漂っている。ちょっと現実逃避気味に、見守っているともいう。万が一、意識が消えるのだとしても、せめて彼女の傍で最後まで存在していたい。そんなわたしの我儘だ。
夢の中で辛いことでも思い出したのだろうか。ベッドでわたしと一緒に眠っているイヴの目から涙が零れ落ちた。この子も寂しがり屋で、世界に一人ぼっちだと思い込んでいる可哀そうな子だ。身勝手な組織に利用され、誰にも優しくしてもらえず、擁護すべき親もいない。姉妹であるわたしだけが頼りで、だけどそんなわたしは今は役立たず。こうして妹に迷惑を掛けてしまっている。
そんなイヴを少しでも慰められるよう、せめて触れられない手で、そっと彼女の頭に手を添えて撫でてあげた。触れられなくても此処にいるよ、と伝えたくて手を握る。少しでも彼女にわたしの存在が伝わるように。
そして、わたしも眠るように目を閉じたとき。急に意識が暗転した。何処かに飛んでいく感覚。まるで、意識が吸い込まれて、そこに飛び込んでいくような。名付けるならオーバーダイブとでもいうべきなのだろうか。
『なっ、マヤ……!?』
気が付いたとき。わたしの目の前にジーパンにレザージャンパーを着こなした美人な女性がいた。金髪碧眼でわたしとイヴに瓜二つの女の人。
この世界の主人公であり、数奇な運命を辿っている女の人。アヤ・ブレア。
彼女が驚愕の表情を浮かべて目の前に立っていた。
えっと……ここ、どこ?
設定
マヤ
概要
金髪碧眼の幼女。目覚めた当初は生存本能により昏睡し、体力の温存に努めようと肉体が動いていた。
体内にいるネオミトコンドリアの女王
コードネームはリリスだが、本人はそう呼ばれることを嫌っている。
その正体はイヴと同時期に生成されたマヤのクローン。マンハッタン島事件の折に、組織によってマヤの細胞が回収され、シェルターで培養されることで再び誕生した。マヤの遺伝子が使われ、イヴとは同じ製造過程を得ている正真正銘の姉妹である。イブよりも強力な
そして、リバレーション中は能力が劇的に向上するので、限界を超えた動きが可能。人には知覚できない瞬間移動のような芸当までこなして見せる。さらに肉体の強度が上がるので甲殻類の化け物を殴り倒すことも可能。空を飛ぶことだってできる。もはや、魔法に等しい能力。
能力を酷使しすぎると、お腹は空くしのども乾きやすい。それだけ膨大なエネルギーを使っている証拠でもある。
ゲーム知識を駆使してアヤを助ける。後半はイヴの意識が乗り移ったアヤを陰ながら支えている。
性格は女の子好きで、特にイヴの事は溺愛しているといってもいい。
明るく快活だが、根は小心者なので怖がりでもある。その為アヤを尊敬しているし、羨ましがっているが、自分は自分と割り切ってもいる。
そして、日常では生活能力が皆無に等しいダメ人間。一応、料理もできるし、洗濯だってできるが、不器用なので何処か下手っぴ。
ミトコンドリアの力が活性化しているときは運動能力や反射神経、思考速度が向上するので絶大な運動能力を行使できるが、普段はぽけっとしていることも多いし、体力もない。
頭は悪くないし、計算能力や記憶能力もある。けれど、基本的に楽をしようとするぐうたら人間なので、ごろごろするのが趣味。将来はイヴのお嫁さんになって養ってもらおうとするあたり、筋金入りのダメ人間である。どうしてこうなったとはアヤの談。
脳内に
その正体にも気づいているが、それを告げれば迫害されてしまうことを恐れているし、友達を消されたくもないので皆にはナイショにしている。
何かと面倒を見てくれたり、親しくしてくれるピアースを慕っており、アヤにはピアースの方がお似合いなんじゃないかと思っていたりもする。
そんなにカイルが嫌いか。
ハイワンズ、とりわけボイドからは完全な上位存在として敬意を抱かれているが、
好きなものはアヤとイブ
怖いものは本気で怒ったアヤ
趣味はイブを愛でることやピアースをからかうこと。
嫌いな人はカイル。何だかイヤな予感をさせるから。