月日は過ぎて春、時期は学園祭の真っ最中だ。
学園祭では各学園がそれぞれイベントを開き、それに合わせて他校の生徒や外からの来場者を受け入れるようになる。一番顕著なのはクインヴェールで、特に男の来場者が多くなる傾向にある。
他のメンバーは訓練に時間を割くとのことで、学園祭には興味がないらしい。
──なので、学園祭を思う存分楽しもうと思っていた……
「──ヘルガさん。人(しかも未成年)を居酒屋に連れ込んだ挙げ句、さすがに飲み過ぎですよ……」
「らってなぁ? しゃいきんはもんだぃじがおおしゅぎるんだぞ~? これくりゃいしないときがしゅまないんだよぉ!」
「痛っ、痛い痛い! ただでさえ馬鹿力なのに叩かないってぇっ!!」
……はずだったのだが、行人は昼間突然ヘルガに呼び出されて居酒屋に連れ込まれ、前回同様犯罪臭漂う姿で酒をガブガブ飲み干すヘルガに、何度も背中を叩かれていた。
普段はあんなに硬いヘルガが酒に呑まれここまでなっているところを見るに、相当ストレスが溜まっていたようだ。──そもそも仕事仲間を呼べばいいものを、なぜ行人が呼び出されなければならないのかわからない。
「……で? その問題児ってのは、一体なんなんですか」
「クインヴェールのぉ、せりかっていうやつでにゃあ? つじらいふやいたじゅらのとりしまりがおおしゅぎるんだよぉ。わかるかぁ? このたいひぇんひゃが……」
もう呂律も回らなくなっているが、言いたいことはなんとなくわかった。そのセリカという人物がヘルガの憂鬱となっているのだろう。学園祭の時期はいつも以上に警備が厳重となるが、そいつのライブなどがそれに拍車をかけているのだ。
「あーはいはいわかりました。とりあえず一回出ましょう。二日酔いになりますから」
「わたひならのうりょくでなおしぇるから──」
「お勘定お願いしまーす!」
正直もうめんどくさかった。これで何かあっても責任をとれないし、とにかく早く終わらせたかった。華奢なヘルガの体を背負って居酒屋を逃げるように出ていく。
(──何かあったら、
自分もイタズラをしてやろうかと心から思いながら、行人はヘルガの身柄を星猟警備隊に引き渡した。
クインヴェール女学園序列六位、セリカ・サシャールの朝は早い。まずは身だしなみを整える。いつもならアレンジを加えたクインヴェールの制服なのだが、今回は向かうところの関係もあって男装をする。
黒を基調としたシックなデザインで、少し怪しさもにじみ出ている。謎の若い紳士とでもいったところか。
他にもいつも使うトランプやナイフ、コイン、武器として一応片手剣の煌式武装も持っておく。
次に誰もがご存知の歌姫、シルヴィア・リューネハイムの部屋に侵入しそして、
「……セーリーカーちゃーん?」
着替えを見られ怒りに震えるシルヴィアの姿を拝見する。実はあの容姿の秘密を探るために行った行為がことの初まりだったが、いまではシルヴィアのリアクションを見るためになっている。
そしてここからが今日の大本命、なんとレヴォルフの校内に入っていく。学園祭中のレヴォルフは校内がカジノとなっていて、それもポーカーやブラックジャックといった本格的なギャンブルが楽しめる。
何を隠そう、今回はカジノへと遊びに来たのだ。元々セリカはカジノに遊びに行くことが何度かある。それは自分のためにお金を稼ぐためでもある。セリカは立場上色々な物資が必要となるため、それこそかなりの量の金が必要なことがある。
そうして今日も今日とてギャンブルに手を出そうとしたとき、
(あれは……)
見慣れない男がポーカーをプレイしているのが目に留まった。普通にプレイしているだけならば特に関心はなかった。セリカが興味を持った理由は、その人物がゲームで荒稼ぎをしているからだ。
男は自分の表情やチップの使い方が異様にうまかった。一つも揃っていないカードでも焦りを見せず汗もかかず、むしろ顔は笑みを深めていた。緩急をつけて相手にこけおどしだと思わせておき、最後にチップをかけて一気に取り戻していた。
──男は完全に、相手を手玉にとっていた。
(──へぇ~)
セリカとしては、なんとなくだがさらに興味を持った。サーカスのピエロのように、成功し、時に失敗し、そんな感覚を持っているように見えた男に、自分と似た者同士かもしれないという興味を湧かせていた。
急ぎめで書きましたが、やはりというか、かなり雑になってます。オリキャラ出したくて辛抱たまらなかったんですすいません許してください何でもしますから。
書いてる途中アスタリスクのアニメ公式ホームページで漫画を見ていたんですよ。ユリスとアーネストとイレーネのキャラ崩壊でクッソ笑いましたw あとソフィアとシンルーが可愛すぎました。
でもソフィアはクインヴェールの翼持ってないから全然わからないっていうね。近くに売ってないかなぁ……(白目)