水異怪獣マジャッパ
培養合成獣サンダーキラー 登場
「行け!終わりの土、終地震撼グラツキ!」
ギマイラの一件から数日後。最後の終わりの魔獣である終わりの土が、グランドキングにも似た魔獣の終地震撼グラツキがソラサキの隣街で破壊の限りを尽くそうとしていた。
「ギマイラが倒されて一時は復活ができなくされたと焦ったが、前もって人間に注入していたライマギエキスで偶然にも覚醒してくれて助かったな」
天堂はグラツキの復活を喜んでいると街を壊すようグラツキは前進していく。その歩いた場所はどんな建物や植物も砂と化していた。
「グラツキは全てを土に還す。さぁ、どうするウルトラマンタイガ?」
「行くよタイガ君!」
『カモン!』
「光の勇者!タイガ!」
現場へとやってきた伊智香はタイガアクセサリーを手に取り、それを右手に持ち替える。
「バディ・ゴー!」
『ウルトラマンタイガ!』
タイガへと変身した伊智香はグラツキの前へと立つ。
「グラツキはグランドキング並の装甲を持つ魔獣だ。生半可な攻撃は通用しないぞタイガ!」
「分かってるって。父さん達ウルトラ6兄弟が苦戦させられたグランドキングの亜種だ。全力で行くっての!伊智香!魔獣の力だ!」
「うん!」
『カモン!』
終わりの風。ヤクサイの力が宿るリングを装着した伊智香はそれをタイガスパークへとかざす。
「ヤクサイリング・エンゲージ」
「ハァっ!」
ヤクサイの風の力を解き放つと、一筋の風がグラツキに浴びせられる。その風を浴びたグラツキは関節部が軋んで動きが鈍り出した。
「病は気からだ!気を付けな!」
『タイガ!パワーにはパワー。私が行こう』
「待ってくれタイタス。もう少し俺で行かせてくれ」
『何か策があるのか?』
「父さんが苦戦した相手だ。俺の力を試すチャンスなんだ!ハンドビーム!」
タイガは自分の力を試すチャンスだと言ってタイタスの交代を拒否するとハンドビームでグラツキを牽制する。
「ハァァッ!デリャァっ!」
連続パンチからのドロップキックを叩き込むも、グラツキはまるで動じない。
「くっ、硬い。伊智香!もっと魔獣の力だ!」
「う、うん!」
『カモン!』
「あれ?」
伊智香は装着したエンジョーリングにいつもと違うような違和感を感じながらもそのリングをタイガスパークへとかざした。
『エンジョーリング・エンゲージ』
「デリャァァァ!」
タイガはエンジョーの熱線でグラツキを攻撃するも傷一つつかない。
「伊智香!パワーアップだ!」
「うん!」
『カモン!』
タイガアクセサリーがフォトンアースアクセサリーへと変化すると、伊智香はそれを手に取る。
『アース!』
『シャイン!』
「輝きの力を手に!」
フォトンアースアクセサリーを右手に持ち替えるとウイングが展開し、力が解放される。
「バディ・ゴー!」
『ウルトラマンタイガ・フォトンアース!』
「ハァァァッ!!」
フォトンアースへと強化変身したタイガは連続パンチを叩き込むもグラツキはまるで怯む様子もない。
「っ!なんて硬さだ!」
タイガはフォトンアースでもビクともしないグラツキの装甲に驚いていると、グラツキは胸部のクリスタルから強烈な光線を放ってきた。
「ウワッ!?」
タイガは光線を回避すると、その一撃はビルに風穴を開けてしまった。
「なんて貫通力・・」
「当たったらひとたまりもないな」
光線を警戒しつつも何度も攻撃を繰り出すタイガ。しかしタイガの攻撃ではグラツキは怯む様子もない。
「シュァ!」
再び光線を放たれそうになった瞬間、避けられないと判断したタイガはバリアでそれをガードしようとした。
「オォォォ!!」
光線が放たれタイガはそれをバリアで受け止める。それは偶然にもグラツキの光線を反射して、グラツキの角へと命中した。
「これだよタイガ君!」
「あぁ!見つけたぜグラツキの攻略法!」
グラツキの攻略法に気づいたタイガはそのチャンスを誘うかのように距離を取る。するとグラツキは再度光線を放ってくる。
「シュァ!」
バリアを張ったタイガはそのバリアの角度を調整してグラツキのクリスタル部分へと跳ね返す。自身の光線で装甲に穴が空いたグラツキに対してチャンスと判断したタイガはエネルギーを集束させる。
「オーラムストリウム!!」
タイガのオーラムストリウムがグラツキの穴へと命中すると、グラツキは内側から爆発する。すると爆炎から1つの光が飛んできてそれは指輪として伊智香の手に収まった。
「これで7個目の指輪・・・だね」
「やった!グランドキングを倒せた!俺の力で倒せたんだ!」
指輪に不穏なものを感じ取った伊智香だったが父親の苦戦した相手を自分も倒せたと喜ぶタイガの前では何も言えなかった。
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「これで終わりの魔獣7体すべてが倒されたか。ここまでは計画通りなのだろう。霧崎さん」
戦いを最後まで見ていた天堂は同じく戦いを近くで見ていた霧崎の方へと視線を移す。
「あぁ、計画通りタイガは7つ全ての指輪を集めてくれた。後はその時がくるのを待つだけだ」
「そうか・・」
ここまで全てが計画通りに進んでいる霧崎に対して、天堂は面白くなさそうな反応をする。
「おやおや、どうしたんですか天堂さぁん。面白くなさそうな顔をして」
「いや何。このまま計画通りに行ってしまう前にもう一戦タイガに勝負しておこうとおもってね」
「・・・まぁせいぜい頑張ってください」
霧崎は止めなかった。既に3人とも強化形態を得たトライスクワッドに単身で挑んだところで勝ち目はないのを知っているにも関わらずだ。
「バレットは元々終わりの魔獣を倒すために作られた存在。意思を与え、それを復活させる存在に変えたところで所詮は機械人形か」
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「『宇宙人による犯罪被害の実態調査』・・・なんですかこれ?」
最近凪の部隊に入った碓氷雅美はレポートを発見し、しぶき達に尋ねる。
「あぁ。それね。普通の保険って人的保険や災害に対する保険が対象でしょ?
でも最近宇宙人による犯罪被害が増加傾向にあったり怪獣による損害も増加してるからそれに対する保険を国の方で立ち上げるんだってさ」
「それでうちに実態調査が回って来たってわけ」
「それで・・・何か調査対象になりそうな事例はあるんですか」
雅美は丁度いい事例か何かあるのかと尋ねると、しぶきとは当然と言わんばかりにもう一枚の案件を手に取る。
「そんなの分かりやすいのがいるだろ」
「そうじゃな」
ゆらに同意したしぶきはその案件を雅美へと見せる。
「ヴィラン・ギルド?」
「そういえばまだ雅美はヴィラン・ギルドの関係する事件はまだだったね。ついこの間もあったんだよ。あの時は頭でっかちで身体のところが細い変なのが動物の遺伝子を弄っていてね」
「確かチブル星人とかいってましたよね」
チブル星人マブゼ。その名前を憶えていた雅美はついつい口走ってしまう。
「そうそう。チブル星人!・・・ってあれ?なんで知ってるの?あの場に雅美はいなかったよね」
「あっ・・・そ、そうでしたね」
「もしや雅美。あの場でしぶき達を付けていたのはお主なのではなかろうな?」
「・・・・・」
素直に「はい。そうです」と言えない雅美はダンマリを決め込む。それがしぶき達にとっての「YES」だった。
「そうか。あの時の気配はお主じゃったか。しかしどうやって透明になっておったんじゃ?」
「それは・・・私の中にいるスマッシュの技で周りに見えなくしていたんです」
雅美は正直にスマッシュがやってくれた事を皆に話す。元々『ウルトラマンだから』という理由でスカウトされた雅美はメンバーに自分がウルトラマンと一体化している事を知られている。なので正直にスマッシュがやってくれたと言えたのだ。
「まったくお主は・・・その頃はまだ凪でもない一般人じゃったろうに無茶をしおって」
「ウルトラマンと一体化してる人を一般人って呼ぶのはちょっと難しい気がするけどね」
「まぁ過ぎた事じゃし今はこれ以上は問い詰めんでおこう。それよりもヴィランギルドの件じゃ。ヴィラン・ギルドは簡単に言えば宇宙人達の犯罪集団じゃな。闇の商人や怪獣を用意する者、様々おる」
しぶきは雅美にヴィラン・ギルドの事を簡潔に説明すると今回のミッション資料を全員に見せる。
「そして今回のミッションなのじゃが・・・ツキカゲと合流してから説明するかの」
「きゃぁぁぁ!?」
凪の部隊が外へと出た途端、何処からともなく悲鳴が聞こえた。彼女達が悲鳴が聞こえた場所へと向かうと、1人の女性が黒いマスクをつけた2人の男に襲われている姿があった。
「何をしてるんだてめぇら!」
真っ先に男の1人を殴りつけるゆら。するとゆらのパンチで倒れ込んだ男は宇宙人としての顔へと変化した。
「この人達、宇宙人だ!」
葉栖美はすぐさま2人共宇宙人だと判断して回し蹴りでもう1人もダウンさせる。
「くそ、こいつ等強いそ!」
「一旦引くぞ!」
凪の部隊に勝てないと判断した宇宙人達は引いていく。
「大丈夫ですか?」
「は、はい。ありがとうございます」
「いったい何で宇宙人に狙われていたんですか?」
「それが・・・心当たりがなくて」
心当たりがない。襲われていた女性はそう言ったが、雅美以外の凪の部隊は宇宙人達がバッグをひったくろうとしていた事を見抜いていた。
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「ふっふっふっ、もうすぐ。もうすぐですよぉ~」
とある工場。チブル星人マブゼはまたもベリアル因子を使い、怪獣を生み出そうとしていた。
「チブル~。今回はどの怪獣とどの怪獣を合わせようとしてるんだよ~」
「前回は初挑戦ということでオーソドックスな『怪獣』のバーニング・べムストラでしたが、今回は少し冒険をしてみました。今回はこの2体の遺伝子です!」
ホログラムは2体の怪獣を写す。1体は白い体に黒模様が特徴的な怪獣エレキング。もう1体はウルトラマンエースを倒すために作り出されたロボットのエースキラーだ。
「え、エースキラー?エースキラーってロボットでしょ?遺伝子ってあるの?」
「チブル的天才である私に不可能はありません!」
「???・・・まぁ、いっか!」
よく分からなかったザラブ星人は考えるのをやめた。
「えっ?いいのか?」
「良い訳ないと思うが・・・俺達にもよく分からないしそれでいいんじゃないか?」
スラン星人とゴドラ星人もよく分からなかったようで、深くは考えない。
「とにかくです。さぁ、2体目の培養合成獣の誕生ですよ!はい、スランさん!スイッチを!」
「えっ?俺?はいはい・・ポチっとな」
スラン星人がスイッチを押すと怪獣の合成が始まる。
「さぁ後は仕上がるのを待つだけですね」
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チブル星人マブゼ達が新たな培養合成獣を作り出している頃、雅美達は先ほど宇宙人に襲われていた女性から話を聞いていた。女性の名は行方麻衣子。狙いは彼女のバッグの中にある何かだと気づいていた凪の部隊は犯人を捕まえるまで彼女の護衛をすることにしていた。
「ハァァッ!」
「危ない!」
槍のような武器で襲い掛かって来た男の攻撃を飛粋はワイヤーで縛り付けて阻むとゆらが男を殴りつける。その攻撃を受けた男は本当の姿に戻ると、先ほどの宇宙人の1人だった。
「ここは私達に任せてみんなはその人を!」
「任せた!」
この場を飛粋とゆらに任せて凪の部隊は麻衣子を連れてその場を離れようとする。するともう1人の宇宙人が銃のような武器を持って現れた。
「聖獣の守り人よ。お前のタリスマンを渡せ」
「タリスマン?いったい何の事?」
本当に何の事か知らない麻衣子。そんな事など構わない言わんばかりにと宇宙人はタリスマンを奪おうと襲い掛かって来た。
「何の事かは知らないけど・・・」
「奪わせんわ!」
しぶきと葉栖美はタリスマンを奪わせまいとキール星人と戦闘を始める。するとそこに偶然通りかかったザラブ星人がその戦いに気づいた。
「あっ!あそこで同業者が何か争ってるよ!」
「構うな。あれはあいつ等の仕事だ。俺達は俺達の仕事をすればいいのさ」
ザラブ星人の隣を歩くスラン星人はそんな事は気にしなくていいと自分達に任せられた仕事を全うしようとする。
「怪しい人達!」
「えっ!?怪しくないよ!通りすがりのヴィラン・ギルドだよ!」
「おい、バカ!」
自らヴィラン・ギルドと名乗ってしまったザラブ星人の頭を叩いたスラン星人。そしてそれを聞き逃さなかった雅美は2人を取り押さえようと向かっていく。
「や、やばいよ!」
「あぁ、お前のアホのせいでな!でもまぁ俺達にはこれがある!」
何処からともなくアバレンボウルを取り出したスラン星人は怪獣メダルをそれへとセットする。
「おっ!さっそくチブルが作ったのを使うんだねスラン!」
「当然だ。こういう状況で使うもんだろ」
『サンダーキラー!』
アバレンボウルを起動したスラン星人はチブル星人マブゼが創り出したエレキングとエースキラーの培養合成獣サンダーキラーが出現した。
「か、怪獣!?」
『行きましょう雅美さん。だいぶ回復しつつある今なら少しは戦えるはずです』
「分かった!」
スマッシュスパークを取り出した雅美はそれに右手をかざす。
「スマッシュ!!」
「サァァッ!!」
ウルトラマンスマッシュへと変身した雅美。凪の部隊は「あれが雅美の変身したウルトラマン」とそれぞれ反応しているとサンダーキラーはスマッシュへ向けて電撃を放ってきた。
「ジュァ!スマッシュファイ!」
バック転で電撃を避けたスマッシュは光のナイフを作り出しながら構える。
「あいつ、ウルトラマンだったのか。・・・まぁいい。逃げるなら今のうちだ!」
「じゃあね~!」
スラン星人は今のうちにと判断してザラブ星人とともに逃げていく。
「あいつ等、余計な事をしやがって!」
同じヴィラン・ギルドと言っても所属が違うため、何も知らなかったキール星人達は慌てながらも光線銃の引き金を引くと、その光線はしぶき達ではなく麻衣子の方へと飛んで行った。
「きゃぁ!?」
幸いその光線は麻衣子には当たらなかったが、転倒してしまった麻衣子はバッグの中から香水瓶のようなものを落としてしまう。
「やっぱり持ってるじゃないか!タリスマン!」
「これがタリスマン?」
香水瓶がタリスマンだとは知らなかった麻衣子を脅すようにキール星人は光線銃を向けようとする。
「させん!」
しぶきと葉栖美はそうはさせまいとキール星人に向かっていこうとするも、キール星人は半ばヤケ気味に光線銃を乱射して2人は踏み込めなくされてしまう。
「このっ!お前らがいなければもっと計画は順調だったはずなのに!」
計画が順調に進まなかった事をしぶき達に八つ当たりするように光線銃を乱射するキール星人。するとその1発が麻衣子の持っていた香水瓶に当たってしまった。
「しまった!?」
香水瓶から溢れ出した光は近くの噴水の水を吸い上げてタツノオトシゴのような顔をした怪獣へと姿を変える。水異怪獣マジャッパだ。
「2体目!?」
「あれの中身って怪獣だったの?」
「し、知りませんでした。お婆ちゃんから肌身離さず持ってろ。決して開けてはいけないって言われてただけで・・・」
サンダーキラーと戦闘中だったスマッシュはマジャッパの登場に驚いていると騒ぎを聞きつけてやってきた伊智香がタイガスパークを出現させた。
「な、なんか2体もいるよ」
『俺のスピードでかく乱してやる!』
「分かった。行こうフーマ!」
『カモン!』
「風の覇者!フーマ!」
フーマのアクセサリーを手に取った伊智香はそれを右手に持ち替える。
「バディ・ゴー!」
『ウルトラマンフーマ!』
ウルトラマンフーマへと変身した伊智香は光波手裏剣を飛ばしてマジャッパの注意を惹きつける。するとスマッシュはサンダーキラーに光のナイフを突き刺して怯ませた。
「助かりました。ウルトラマンフーマ」
「フーマでいいぜ。ところでお前はどっちと戦う?」
背中合わせに話すフーマはどちらと戦うかをスマッシュへと尋ねる。
「乗りかかった船です。こちらの方は僕に任せてください」
スマッシュは乗りかかった船だと言ってサンダーキラーと戦う事を決めるとフーマはマジャッパの方へと向き直す。
「OK。そっちは任せたぜ」
サンダーキラーをスマッシュに任せたフーマは高速で移動しながら光波手裏剣を連続してマジャッパへと飛ばす。
「おらおら、どうした?俺はこっちだぜ」
高速移動をしながらマジャッパを挑発するフーマ。そちらに気を取られるマジャッパは少しずつサンダーキラーとの距離が離れていく。
「スマッシュアロー!」
光の槍を作り出したスマッシュはそれをサンダーキラーへと投げつけるも、その槍はサンダーキラーの鋭い爪に切り裂かれてしまう。
「こいつ。・・強い。ならこれならどうだ!」
光のナイフを作り出したスマッシュはそれでサンダーキラーへと斬り込もうとすると、サンダーキラーは周囲に電撃を見境なく放つ。その一発はマジャッパへと直撃し、それに怒ったマジャッパがサンダーキラーへと接近し、せっかくフーマが2体の距離を離そうとしていたのが無駄になってしまった。
「えっ?マジかよ」
「す、すみません」
「面倒だな。スマッシュ!こうなりゃ同時攻撃だ!2体まとめて一気にぶった切ってやる!」
「はい!」
『カモン!』
ギンガレットを装着した伊智香はそれをタイガスパークへとかざす。
「七星光波手裏剣!」
「シューティングスマッシュ!」
2人のウルトラマンの必殺技が放たれると、その瞬間マジャッパは保護色で透明となり攻撃を避け、2人の必殺技によってサンダーキラーのみが倒される結果となる。
「やったぜ!」
「いえ。あの鼻の長いほうは透明になって攻撃を回避しました。今も・・・うわっ!?」
背後からマジャッパの攻撃を受けたスマッシュはその場へと倒れ込む。
「いったい何処に?ぐおっ・・・!?」
同じくフーマも透明なマジャッパの攻撃を受けてしまうと、マジャッパは保護色を解いて有毒ガスによる攻撃をフーマへと浴びせてきた。
「なんなのこれ?甘い臭い?」
「これは・・・身体が痺れる・・っ」
体が痺れて動けなくなったフーマは再び透明になったマジャッパから攻撃を受け続ける。
「くっ、ウルトラサーチャー!」
スマッシュは相手の居場所を特定するウルトラサーチャーを発動すると、マジャッパの居場所を見切る。
「フーマ!後ろです!」
「オォラ!!」
後ろだと言われたフーマは咄嗟に背後に蹴りを入れると本当にいたマジャッパの保護色が解かれてその場に転倒する。
「サンキュー!」
お礼を言われたスマッシュはそこでエネルギーが尽きて変身が解かれてしまう。
『フーマ。君も下がれ。後は私が行こう』
「悪ぃ。任せるわ」
『カモン!』
「力の賢者!タイタス!」
タイタスのアクセサリーを手に取った伊智香はそれを右手に持ち替える。
「バディ・ゴー!」
『ウルトラマンタイタス!』
「ムゥン!」
マジャッパを掴みあげたタイタスはそのままジャイアントスイングで投げ飛ばす。すると伊智香の体力も限界が近づいてきたようでカラータイマーが赤く点滅し出す。
「これ以上時間はかけない。伊智香!全力で行くぞ!」
「うん!」
『カモン!」
『エンシェント!』
『ソウル!』
「英霊たちの魂とともに!」
タイタス・スターエンシェントアクセサリーを手に取った伊智香はそれをダブルリードして右手に持ち替える。
「バディ・ゴー!」
『ウルトラマンタイタス・スターエンシェント!』
タイタス・スターエンシェントへと強化変身を遂げたタイタスは渾身の拳をマジャッパへと叩き込むとマジャッパは毒ガスを噴射してくる。
「フンっ!」
それを拳圧で吹き飛ばしたタイタスはアッパーでマジャッパを空へと飛ばすと光球を作り出す。
「決めるぞ。エンシェントスタープラニウム!!」
エンシェントスタープラニウムが炸裂し、それが直撃したマジャッパが倒されるとタイタスは空へと飛び去って行く。
「ふぅ、結局2体ともトライスクワッドの力を借りちゃったね」
『仕方ありません。さぁ雅美さん。皆さんの元に戻りましょう』
「そうだね・・」
雅美はしぶき達のもとへと戻っていく。しぶき達は既に宇宙人達を確保した後だった。
「おつかれじゃったな」
「まぁ、はい。皆さんもお疲れ様です。ところで麻衣子さんは?」
「戦いに巻き込むわけにはいかんからのう。不動が避難させておる」
「そうですか。良かった」
ひとまず無事に事件が解決して一安心していると1人の足音が近づいてきた。
「お疲れの様子だな。凪の部隊」
「貴様は・・・バレット!」
凪の部隊の前に現れたのは銃を片手に持った天堂だった。
「バレット?」
『まさかウルトラマンバレット!』
スマッシュは自分の前に再びバレットが現れた事に驚くと、天堂は雅美に銃を向けてくる。
「まさかお前も復活していたとはなぁ。ウルトラマンスマッシュ」
『目的は・・・僕への復讐ですか?』
「復讐か。復讐などには興味はないがウルトラマンタイガやツキカゲと遊ぶのに邪魔なお前には消えて貰いたいとは思っているな」
そう言った天堂は銃の引き金を引くも、その銃弾は雅美には当たらなかった。
「・・・っ!」
しぶきが庇ったからだ。
「しぶきさん!」
「だ、大丈夫か?」
「私なんかよりもしぶきさんが・・・!」
「よか・・った」
意識を失うしぶき。激怒した雅美は自身の銃を天堂へと向ける。
「貴女だけは許さない!」
「復讐心。いいぞ!お前は中々いい表情をしてくれるじゃないか!地球には百地とタイガ以外に面白そうなのはいないと思っていたがもう1人いたな。いいだろう。お前も遊び相手にしてやる」
「スマッシュ!!」
互いに等身大のスマッシュとバレットへと変身する雅美と天堂。2人のウルトラマンが今再び戦い出した。
初芽の怪獣ファイルpart18
終地震撼グラツキ
身長 70メートル
体重 21万5千トン
得意技 グランドレーザー
最後の終わりの魔獣、終地震撼グラツキは歩いた場所を全て土へと還してしまう危険極まりない魔獣です。装甲もとても頑丈で並のウルトラマンの攻撃を寄せ付けません。強力な光線技も使えますが、自身の装甲で自身の光線は防げないようで、それが原因となりタイガに敗北したようです。
次回「鉛の銃弾 後編」