まおうの作り方   作:もっち~!

1 / 6
主な登場人物

ギルバート・ゴールドウィング/ギル・バートン
オリ主。先代勇者の次男。天職は未だなく、大神殿の書庫でお手伝いをしていた。選民主義者により、旧魔王城のある島に島流しにされた。

フレデリック・ゴールドウィング
ギルの兄で天職は大賢者。

システィ・ゴールドウィング
ギルの姉で天職は聖女。

ティア・ゴールドウィング
ギルの妹で天職は勇者。

ロック・ゴールドウィング
ギルの弟で天職は剣聖。

ローゼンタール・ゴールドウィング
ギルの父で、先代の勇者。

ロッテル・ゴールドウィング
ギルの母で先代の大賢者

ハンフリー・ホリック
ホリック王国の王。先代のタンク。

マイケル・ホリック
ギルの友人で、ホリック王国の王子。天職は剣士。

メアリー・ホリック
マイケルの妹で天職は聖女。

メリー・ホリック
マイケルの妹で天職は大賢者。

マリー・ホリック
マイケルの妹で天職は聖騎士。

アルバート
騎士団長

ルーシー
天職が悪魔の女性。

ガブ
天職が天使の女性。

ルナ
白髪のウサ耳族の女性。天職はバーサーカー。

ムート
紅髪の龍人族の女性。天職はバーサーカー。







国外追放

---ギルバート・ゴールドウィング---

 

我が家の朝は慌ただしい。特に、遠征の日は特にである。

 

「ギル!起きている?」

 

姉のシスティの声で目覚めた。全身に柔らかい感触がある。横を見ると、妹のティアが抱きついて寝ていた。

 

「はぁ~。ティア、あんた15歳なんだから、ギルと添い寝は止めなさいよ!」

 

「うにゃ~…えっ?お姉ちゃんには言われたくない!17歳にもなって、お兄ちゃんとお風呂ってあり得ないでしょ?聖女見習いって、異性と肌を合わせちゃダメなんじゃない?」

 

「ギルはギルで、異性じゃないもん!」

 

姉と妹の僕の取り合い。遠征の朝の日課のような。この二人のブラコンは病的であると思う。

 

「ギル!朝飯を頼むよ」

 

兄のフレデリックに言われた。

 

「今、準備します」

 

「兄ちゃん、剣の手入れ頼めるかな?」

 

弟のロックに頼まれた。

 

「メシの準備が出来たら、やっておく。ティアも剣を出して置いて」

 

「うん。ありがとう、お兄ちゃん」

 

我が家は7人一家である。7人中、僕を除いて、全員が生まれながらの天職持ちである。父さんは勇者、母さんは大賢者として、先代の勇者パーティーで活躍し、その功績で公爵の爵位を授かった父さん。兄のフレデリックと姉のシスティは双子で、妹のティアと弟のロックも双子である。

 

父さんはお城に勤め、母さんは学校に勤めている。兄弟姉妹達はそれぞれの天職専門の学校に通っているのだが、この街では天職の無い者は学校へは通えない。なので、僕は知り合いの神殿長様により、大神殿でお手伝いをしている。

 

天職専門学校では、月に1度、1週間の予定で遠征という名の演習をしている。来たるべき時に向けて、次世代の勇者パーティーを作り上げるの目的らしい。

 

食事を終え、兄弟姉妹達が遠征へと旅立って行き、僕は大神殿へと向かった。

 

「よぉ、ギル坊」

 

顔見知りの門番さんに声を掛けられた。

 

「おはようございます」

 

受付で出金簿に印をいれてもらい、書庫へと向かう。僕の仕事は、大量にある書物の整理である。天職は無いが、『言語マスター』というスキルを持っている。これは、いかなる言語も読み書き出来るスキルだそうだ。その為、今では使われない言語の書物の内容を、この国の言葉に書き換えて、探し易く本棚に配置していくのが、僕の専門業務になった。

 

「ギル、今日も精が出るなぁ」

 

神殿長様が、お昼のお弁当を持って来てくれた。

 

「天職が無いんですから、この位しかお役に立てませんよ」

 

「ギルの天職は司書だといいなぁ。まぁ、こればっかりは、発現するまでのお楽しみだけどな」

 

僕に対して笑顔を絶やさない神殿長様。

 

「はい。発現する、その時を楽しみにしてます」

 

受け取ったお弁当を食べ、また仕事を再開する。そして、今日の就業時間が終わり、受付へと向かう。今日、翻訳出来た書物のリストを提出する為である。

 

「ギル、ちょっと、いいかな?」

 

貴族院の法制局長であるハルバート卿に声を掛けられた。貴族院とは、この国の政策を決める組織であり、法制局は法律を決める機関である。

 

「なんでしょうか?」

 

「ちょっと、来てくれるか?」

 

「はい」

 

ハルバート卿と、倉庫のような場所に入ると、急に意識がなくなった。

 

 

意識が戻ると、知らない場所にいた。そこは砂浜であった。ホリック王国は海に面してはいないのに、砂浜にいた。どうして?周囲を見回すと、地平線しか見えない。他の島も行き交う船すら見えない。ここはどこなんだろう?どうして、ここにいるんだ?身の回りをチェックすると、姉から貰った剣が無い。友人からもらった護符が無い。そもそも服も財布も無く、下着姿だった。まるで、追い剥ぎにあったみたいだ。

 

まず、波打ち際を歩いて行く。地平線以外に何か見えないかを確かめる為だ。1時間ほど歩いたが、地平線しか見えない。脳裏に世界地図を浮かべた。周囲に島の無い場所…大陸の周辺には無い。そうなると、大陸から離れた場所ってことだ。なんで、そんな場所にいるんだ?思い当たる節は、僕に天職が無いことかな。

 

貴族院の貴族達は、選民主義の方が多く、天職の無い者は下民とさげすんでいた。噂では、天職の無い者は大罪人で島流しの刑に処されると、聞いたことがある。僕は国外追放の上、島流しにされたのだろうか?

 

そうだ。食料を見つけないと。海に入り、魚を捕まえてみる。海の中は、様々な生き物がいた。どれも素手では難しい感じである。陸に一旦上がり、銛の代わりになりそうな物を探すことにした。

 

 

 

---マイケル・ホリック---

 

夜になり、城内が慌ただしくなっていく。何事かと、訊いてみると、

 

「王子殿下、それが、ギルバート様が大神殿内で神隠しに遭われたそうなんです」

 

っと。ギルバートは、俺の友人で、先代勇者の息子である。

 

「神隠し?誘拐か?」

 

「わかりません」

 

事情を訊きに、父である王に話を聞きに行く。玉間では、既に話を聞いたおか、妹達が心配そうな表情で、椅子に座っていた。俺には三つ子の妹がいる。上からメアリー、メリー、マリーである。3人とも、俺と同様にギルバートと仲が良い。

 

「どんな状況だ?」

 

メアリーに訊いた。

 

「お兄様…焼却炉から、ギルの衣服の燃えかすが見つかったそうです」

 

メアリーの頬を大粒の涙がこぼれ落ちていく。

 

「暗殺か?そうなると、選民主義の貴族連中か?」

 

ギルバートは天職を持っていない。先代勇者の子供で唯一持っていない。他の4人は、勇者パーティーに入れるような天職持ちばかりなのに…先代勇者の顔に泥を塗る愚か者と、陰口をたたかれていたギルバート。持っていなくてもいいじゃないか。俺達王族の誰もがギルバートを暖かい目で見守っているんだから。

 

ギルバートは特異な者であった。天職が無いのに、様々なスキルや特技、能力を持っていたのだ。大賢者のスキルである『言語マスター』、剣聖の特技である『一刀両断』、聖女の能力である『癒やし』など、天職が無くても、役立てる異能力者であった。その為、天職持ちの兄弟姉妹や、俺や俺の妹達に、スキル習得のアドバイスなどをしてくれていた。

 

そんな彼が、暗殺って?天職無しの異能力者は、選民主義者にとって異物だったのだろうか?

 

「犯人がわかりました」

 

騎士団長のアルバートが入って来た。

 

「ハルバート卿が、ギルの愛剣と、姫殿下様がギルに差し上げた護符を持っていました」

 

ギルバートの愛剣は、聖女であるシスティからのプレゼントで、聖女の剣と呼ばれている聖剣である。

 

「で、ギルはどこにいるのだ?!」

 

父がアルバートに訊いた。皆、アルバートの言葉を、待っている。

 

「黒魔術の『強制転移』でサタンキャッスルへ飛ばしたそうです」

 

静まる玉間。サタンキャッスル…魔王城のある島で、禁足地に指定されている死の島である。島の周囲10キロのラインには強力な結界が張られており、何人たり出入りが出来無いようにされている。

 

「空間系の『強制転移』で、結界に干渉せずに、送り込んだそうです」

 

妹達が号泣し始めた。ギルバートは死んだのと同じであると理解したのであろう。救出することは絶望的である。まして、無人の魔王城があるだけで、文明など存在しない。集落なども無い。生き物もたぶん、いないはずだ。

 

「ギルぅぅぅぅ~」

 

ギルの父親の叫び声が玉間に響いた。

 

 

 

 


 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。