歌女と黄金の王(仮)   作:破滅竜ファントムブラスター

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第10話

「『ネフシュタンの…鎧』……!?」

 

 

 

「へぇ?てことはアンタ、この鎧の出自を知ってんだ?」

 

 

 

 翼の言葉に鎧の少女は感心したように言う。

 

 

 

「忘れるものか……」

 

 

 

 そんな少女へ翼は冷たく口を開く。

 

 

 

「二年前、私の不始末で奪われたものを忘れるものか。なにより!私の不手際で奪われた命を忘れるものか!」

 

 

 

 翼は剣を構える。

 

 鎧の少女もそれに応戦するように口元に笑みを浮かべながら身構える。その右手には変わった形の杖のようなものが握られている。

 

 数秒睨み合う二人、そんな中――

 

 

 

「やめてください翼さん!」

 

 

 

 翼にしがみ付き止めに入る響。

 

 

 

「相手は同じ人間です!」

 

 

 

「「戦場で何を馬鹿なことを!!」」

 

 

 

 そんな響の言葉に翼と鎧の少女が同時に叫ぶ。そして同時に声の揃ったことに驚き顔を見合わせ、互いにフッと笑みを浮かべる。

 

 

 

「むしろ、あなたと気が合いそうね」

 

 

 

「だったら仲良くじゃれ合う――かい!?」

 

 

 

 翼の言葉に鎧の少女が答えながら肩の装飾から伸びるピンクのそれを鞭のように振るう。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 響を突き飛ばしながらその攻撃を避けた翼はそのまま鎧の少女へと『蒼ノ一閃』を放つ。しかしその攻撃を少女は鞭の一振りで弾く。弾かれた斬撃は離れたところで爆ぜる。

 

 そのことに一瞬驚きの顔をしたものの、そのまま翼は少女へと切りかかる。しかし、その度の攻撃も少女は難なく避け、鞭で受け止める。余裕の少女に対し、翼の表情は困惑と焦りが見え始める。と――

 

  

 

「がっ!?」

 

 

 

 守り続けていた少女が突如蹴りを放ち、それをお腹に受けた翼は大きく弾かれる。

 

 聖遺物の一部のみで戦う自分と完全聖遺物での少女との力の差に歯噛みする翼。

 

 

 

「『ネフシュタン』の力だと思わないでくれよなぁ?あたしの頂点(てっぺん)はまだまだこんなもんじゃねぇぞぉ!」

 

 

 

 なんとか踏ん張った翼だったが攻撃に転じた少女の振るう自在に伸びる鞭の攻撃に翻弄され、逃げるばかりだ。

 

 

 

「翼さん!」

 

 

 

 翼の劣勢に響は叫ぶ。

 

 彼女の視線の先に余裕の笑みを浮かべる少女は

 

 

 

「お呼びではねぇんだよ!こいつらの相手でもしてな!」

 

 

 

 と、持っていた杖から光を弾丸のよう放つ。その光が地面に着弾すると同時にその光の中から四体のノイズが姿を現す。

 

 

 

「っ!?ノイズが、操られてる!?」

 

 

 

 困惑する響の目の前で鳥のような嘴を持った見上げるような体長のそのノイズたちは体のわりに短い脚を動かし響を追う。

 

 と、その嘴から響に向けて粘性の液体をぶちまける。

 

 

 

「うわぁ!?わぁっ!?そんな!?嘘!?」

 

 

 

 身動き取れず顔を顰める響。響へと歩み寄ろうとした少女だったが

 

 

 

「その子にかまけて私を忘れたか!?」

 

 

 

 少女へと冗談からの一太刀を浴びせる翼。それを少女はなんなく受け止める。が――

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 上に気を取られた少女は翼の足払いに体勢を崩される。

 

 そのまま放たれた斬撃を寸でのところで躱した少女。そんな少女に翼は回し蹴りを放つ。が――

 

 

 

「お高くとまってんな!」

 

 

 

 その蹴りを腕で受け止め、そのまま翼を地面に叩きつけ投げる少女。

 

 地面を転げた翼を少女が足で踏み付ける。翼の顔を踏み付けながら少女は口元に笑みを浮かべる。

 

 

 

「のぼせあがるな人気者!誰も彼もがお前に構ってくれるなどと思ってんじゃねぇ!」

 

 

 

「くっ!」

 

 

 

「この場の主役と勘違いしてるなら教えてやる。狙いははっなからこいつを掻っ攫うことだ」

 

 

 

 少女はニヤニヤと笑いながら響を指さして言う。

 

 

 

「え……?」

 

 

 

 突然のことに意味が分からず困惑する響。

 

 

 

「鎧も仲間も、あんたには過ぎてんじゃねぇのか!?」

 

 

 

「繰り返すものかと、私は誓った!」

 

 

 

 少女の言葉に踏まれながらなお強い視線で睨みつけた翼は剣を天へ掲げる。と、それに呼応するように雨のごとく剣が降り注ぐ。

 

 それらの剣――『千ノ落涙』を飛び退いて避けた少女に翼は再び切りかかる。が、少女は難なくそれらの攻撃を受け流し逆に翼を追い詰めていく。

 

 鎧の力に振るわれているのではなく、純粋にその力をものにしている少女の能力に翼が内心で歯噛みする。

 

 

 

「ここでふんわり考え事たぁどしがてぇ!?」

 

 

 

 少女の振るう鞭を寸でのところで避けて距離を取る翼。そんな翼に少女は杖から先ほどと同じく光弾を放つ。

 

 それらの光からノイズが溢れ出し翼を襲う。それらのノイズを蹴散らしそのまま少女へ攻撃を放つが少女はやはり余裕で受け流す。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 翼は小型のナイフ状の小刀を投げつけるが

 

 

 

「ちょっせぇ!」

 

 

 

 それを弾き上空へと跳び上がった少女は振るった鞭の先に輝く光弾を発生させる。人の丈ほどの球状のその攻撃を翼は剣で受け止める。が――

 

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 

 受けきれず大爆発を起こす。

 

 爆発に弾かれ地面に倒れ伏す翼を見下ろし笑みを浮かべる。

 

 

 

「フンッ!まるで出来損ない!」

 

 

 

「……確かに、私は出来損ないだ……」

 

 

 

「あぁ?」

 

 

 

 少女の嘲るような言葉に翼は呟く様に言う。

 

 

 

「この身を一振りの剣と鍛えてきたはずなのに……あの日、無様に生き残ってしまった……!出来損ないの剣として、恥を曝して来た……!だが、それも今日までのこと!」

 

 

 

 言いながら翼は剣を杖の様にして体を支えながらフラフラと立ち上がる。

 

 

 

「奪われた『ネフシュタン』を回収することでこの身の汚名を晴らさせてもらう!」

 

 

 

「……そぉかい。脱がせるものなら脱がして――何っ!?」

 

 

 

 これまで余裕の表情を浮かべていた少女の顔に初めて困惑が浮かんだ。

 

 少女が慌てて振り返ると自身の陰に先ほど弾いた小刀の一本が突き刺さっていた。

 

 

    『影縫い』

 

 それのせいか、少女は上手く身動きが取れない。

 

 

 

「くっ!こんなものであたしの動きを――ッ!まさか…おまえっ!?」

 

 

 

 翼へ向き直る少女だったが、翼の顔を見てある可能性に気付く。

 

 

 

「月が覗いているうちに、決着を付けましょう……」

 

 

 

「歌うのか?絶唱を!?」

 

 翼の言葉に少女の顔に焦りの色が浮かぶ。

 

 

 

「翼さん!」

 

 

 

「防人の生き様!覚悟を見せてあげる!」

 

 

 

 言いながら響へ翼は剣を向ける。

 

 

 

「あなたの胸に焼き付けなさい!」

 

 

 

「やらせるかよ!好きに!勝手に!」

 

 

 

 なんとか抜け出そうともがく少女だったが、そんな彼女を尻目に翼はその剣を天へ掲げ、大きく息を吸いこみ――

 

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl~」

 

 

 歌いながら少しずつ鎧の少女に近づいていき、最後には少女に抱き付くようにして歌い終える。すると強烈な光と衝撃波が翼から発生し周囲のノイズを吹き飛ばす。

 

 

「ぐぁぁあああ!!!」

 

 

 その衝撃をすぐ側で受けた少女の鎧はヒビが入り、苦悶の声をあげる。次第に地面に刺さっていた短剣が抜け、今までそれによって固定されていた少女は吹き飛ばされる。

 

 

 残ったのは月明かりに照らされた翼とそれを地べたに座り込んだ響のみ、すると車が何台か側に止まり、その内一台の車のドアが勢いよく開く。

 

 

「無事か!二人とも!」

 

 

 車から出たのは二課の司令、風鳴弦十郎だった。

 弦十郎は響が交戦してる場所に翼を向かわせてから同じ場所にノイズの反応が何度も出ることに異常を感じ緒川と何人かの部下と共に車を走らせてきたのだ。

 

 

「私とて…人類守護の務めを果たす防人…です。こんな所で…折れる、剣…じゃ…ありま…せん…」

 

 

 

 翼がそう答える。全身のあらゆる場所から血を流して今にも倒れそうなのに、その顔はあらゆる場所から血を流しながらも笑っていた。

 

 そして糸の切れた人形の様に翼が倒れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな状況を上から見ていた者がいた。

 

 

「あれが2年前に無くなった完全聖遺物『ネフシュタンの鎧』か」

 

 

 ギルガメッシュはヴィマーナの上で以前手に入れた二課の聖遺物の資料に目をとうしながら先の戦闘を見ていたのだ。

 

 

「そして、最後に使われたのはシンフォギアの最終兵装『絶唱』……」

 

 増幅したエネルギーを解き放つ、シンフォギアの最大攻撃。その威力は絶大であるが、発動者へのバックファイアも大きい。

 

 

「二年前のあやつが死んだのは正規の装者ではないこと、そして本来なら投薬しなければならないのにしなかったこと……」

 

 

「今回のあれは正規であるからすぐに死ぬことは無かろう」

 

 

 

「取りあえず情報収集はこの辺りだな」

 下には黒い車が止まり、赤い服を着た偉丈夫が出てくるところだった。奴は以前、姿を消していた筈の我と目が合った。念のため警戒しておくべきだ。

 

 

次回から作品にでる宝具の説明をあとがきにいれるか

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