ぐだ子とマシュと灰の人のダクソ3冒険記   作:こたろうさん

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 Elden Ringが発表され、暗い魂が再燃し、身体は闘争を求め、大統領になってPS4で暴れ、投稿します。


ロスリック高壁
ロスリック高壁に到着


『レイシフト完了。どうだい、身体の調子は』

「問題ありません。先輩は?」

「うん、私も特には。しいて言うなら、大気中から魔力みたいなものを感じて、ちょっと違和感があるくらいかな」

 

 呼吸を確認しつつ、周囲を見渡し、私は通信からの声と隣の少女からの問いかけに答えた。

 

『よし、ちゃんと人間が生きられる環境みたいだね、よかったよ』

 

 通信越しにドクター.ロマンが安堵の息を漏らす。たしかに、これまでのグランドオーダーとは全く違う、完全な未知の場所へのレイシフトだったからね。今までもそういう場所はあったけど、行く前からわからなかったというより、行ってみたら全然知らない場所だったって感じだったし。一応、ダ・ヴィンチちゃん特製の酸素供給装置を着けていたけど、大丈夫そう。

 

『突然現れた特異点「ロスリック」。しかしどこの時代にも、いや時代どころかどこの歴史にもあてはまらない、聞いたことのない名前。観測上では人間がいるのかすらわからなくて、キミ達をレイシフトさせていいかどうかさんざん悩んだけど・・・』

「これも人理修復のため、人類の未来のためだからね!」

「はい、私も先輩もこの使命が危険なのはとっくに承知です。どんな困難が待ち受けていようとも、前に進むだけです」

 

 私とマシュの力強い答えに、ダ・ヴィンチちゃんが満足げに頷く。

 

『二人ともこれまでの聖杯を探す旅、そして聖杯をめぐる戦いに幾度も巻き込まれながらも、目的を果たし生還してきた。今回も無事に人理修復を成功させて帰ってくると信じているよ。もちろん、そのために私たちも全力でサポートするけれどね』

「うん。ありがとう」

 

 ダ・ヴィンチちゃんの頼もしい言葉に礼を言う。実際、これまでのグランドオーダーは、ロマンやダ・ヴィンチちゃん、カルデアのスタッフのみんなの支援があったからこそ成し遂げられたものだ。もちろん、各特異点で出会った人達やサーヴァント達、何より隣にいる愛しい彼女のおかげでもあるけどね。

 

『何度も言うけど、特異点が観測された時代には聖杯があるはずだ。歴史改変みたいな大きなことをするには膨大な魔力が必要だからね。そこにも聖杯、もしくは聖杯のような大きな力を持った何かしらがあるはずだ。二人には現地の調査とともに、聖杯の探索をしてもらいたい』

「はい」

「うん。まかせて」

 

 ロマンからの言葉に返事をする。とはいえ、本当にこんなところに聖杯があるのだろうか? 人類史に載っていない場所か・・・。まあ、それも含めての調査だしね。

 

「そのためには、まずはベースキャンプと召喚サークルを設置できる霊脈の確保だけど・・・」

「あるんでしょうか、この場所・・・といいますか、この世界に」

『うーん・・・、魔力のようなものはそこら中から観測できるんだけどねえ・・・。やはり人間の気配がまったく感じられないんだよ。というかこの魔力のようで魔力でないモノが何なのか・・・。いや、そもそもそこは人類史にすら載っていなかった特異点だし・・・。“次元が違う”なんてレベルじゃなく、私たちの世界と根本から違う可能性もあるし・・・。人間どころか生物がいるのかすらわからないし・・・。だとすればなぜ突然に特異点が現れたのか・・・』

 

 ぶつぶつ言いながらダ・ヴィンチちゃんは考えこんでしまった。まあ、これほどまでに謎だらけな世界、私でも興味が惹かれないと言えば嘘になる。

「おーい」と声をかけると、代わりにロマンが答えてくれた。

 

『あはは、何せボクたちの世界とは何もかも違うからね――いやまあ、これまでの特異点も異常なところばかりだったけど――気になることばかりなんだろう。・・・ボクはむしろ不安しかないけど。ともかく、そこに何がいるかどころか何があるかわからない以上、慎重に行動するように心がけてね』

「はい、大丈夫です。先輩のことは私が絶対に守りますから」

 

 マシュの健気な言葉に、思わずマシュを抱きしめ頭を撫でまわす。やべえめっちゃニヤける。

 

「マシュはかわいいなあ!!!」

「ちょっ、あの・・・先輩・・・///」

『はいはーい、二人ともいちゃつくのはやることやってからね。立香ちゃん、まずは状況確認したいんだけど』

 

 顔を真っ赤にしたマシュを抱いたまま、改めて周囲を見渡す。

 私達がいるのは、巨大な塔の途中にある広場のような場所だった。塔は全て石でできており、しかも私達がいる場所の他にもたくさんの白い塔が見える。遠くに目をやっても塔が並び、塔の間からさらに向こうにも塔が見える。一番奥に見える塔なんて、まるでモヤがかかっているかのように霞んで見えるほどだ。塔のてっぺんは鋭く天に向かって伸びており、屋根の部分だけ赤く染められていた。イメージカラーなのかな?

 

「・・・これはお城の中かな? なんかとんでもない大きさだね」

「そうですね・・・。これ、すべて人の手で造られたのでしょうか」

 

 私の腕の中でマシュがつぶやく。

 

「どうだろ。とりあえずロマン、ダ・ヴィンチちゃん、映像送るね」

『ありがとう。おお、これはすごいな・・・』

『ふむふむ、人工物があるということは、知的生命体がいるのは間違いないだろうね。しかし文明レベルはこっちほどは発展してないのかな? 建造物の形状からして、発展の方向性にあまり差は感じられないが。・・・しかし、これほどの規模の建造物となると、そっちの世界では相当栄えていたんじゃないかな。さしずめ「ロスリック城」といったところか。“城”というより“街”って規模だけれど』

「うん。そんな感じはするけど・・・」

 

 私は言葉を濁した。

 確かにこれほどの大きなお城のような場所だ、すっごく栄えて“いた”んだろう。けど、今見える景色からはぶっちゃけそうは思えない。少なくとも、現在進行形で「栄えている」とはとても言えない。たぶん三人も同じように感じている。

 石でできた塔の広場は、もう長いこと手入れがされていないのか、床は整理されておらずあちこちガタガタになっているし、塀が崩れているところも少なくない。塔を形成する白い石も、ほとんどがくすんで灰色になっている。耳を澄ましても聞こえるのは、高所であるここへ吹き付ける風の音だけ。人が一人もいなくなってしまったようなこの静けさは、この城が“終わりを迎えた”ことを表しているようだった。

 いや、ここだけではない。この世界自体がどんどん衰退していっているように感じる。空を見上げれば、太陽は見えず、薄い黄金色の雲が連なり、絵を描いた天井のようにも見える。太陽の明かりさえも衰えているようだった。

 

 まるで、線香花火の火が消える直前の、最期の瞬間のように、小さな火がチラチラと仄かに燃えている。そんなふうに感じられるのだ。

 もし、人間がいなくなった世界があるとしたら、それはこんな感じなのだろう。

 ・・・人理焼却。人の文明がすべて失われた世界。もしかしたら、それはここに似た世界なのかもしれない。

 

「なんかすっごいやる気出てきた」

「私もです、先輩」

『ふふ、二人のやる気スイッチが入ったところで、とりあえず行き先を決めようか。北の方にとても大きな魔力反応があるんだ。とりあえずはそっちを目指そうと思うんだけど』

 

 ダ・ヴィンチちゃんが提案する。

 

「北? ・・・ってどっちだっけ」

「あっちですよ先輩」

 

 私の後ろで、マシュが私に背を向けて右手を伸ばしている。

 マシュが指で指した方向は見ず、マシュの肩に顎を乗せ、ほっぺたをくっつけて視線を揃える。やっぱめっちゃええニオイやな~。ほっぺたも柔らかいし~。あぁ^~心がましゅましゅするんじゃぁ^~。

 

「んー? どっちー?」

「ちょっ! 先輩! 顔はくっつけなくてもいいですよ!」

 

 顔やなかったらええんかいな。やっぱりマシュはすけべねえ。

 通信からロマンの咳払いが聞こえる。

 

『ンン゛! ・・・えーとね、行き先が決まったところで早速調査を開始したいんだけど!』

 

 ・・・ロマンってヘラヘラしてる軟派者っぽいけど、百合モノは好きじゃないのかな。どうでもいいけど。

「はいはい」と適当に返事をしマシュから離れるようとすると、マシュが「あっ」と声を上げた。なになに~私と離れるのがそんなに寂しいのかい~?

 

「冗談言ってないであれを見てください!」

 

 注意され今度こそマシュの指した方向を見る。

 

「うわぁ~お・・・。すっごい・・・」

『え? なに? 二人ともどうしたんだい?』

 

 通信からの声に、映像を送って返事をする。

 

『これは・・・城・・・かな・・・』

『城・・・だねえ・・・』

 

 二人も驚いて言葉が出ないようだ。そりゃそうだ。私達は今まで、今いるこの場所が大きな城の中だと思っていた。なのにここは城ではない、ちゃんとした城が別にあったのだから。

 首が痛くなるほど見上げた視線の先には、まるで一つの山のようにそびえる“城”があった。というか「山」という文字の形だけでこの光景を表せそうだった。

 

『なるほど、あそこが本当の「ロスリック城」と・・・。ならばここは、あの城を守る前線、攻め入るものを阻む巨大な壁「ロスリック高壁」といったところだね』

 

 ダ・ヴィンチちゃんの声が聞こえる。珍しくテンションは低めだが、心なしか嬉しそうだ。探求心がくすぐられてるのかな。

 

「・・・なんていうか、思っていたよりも長い旅になりそうだね」

「・・・そうですね」

 

 私達はため息をつく。ロマンの声は聞こえないが、心配性の彼のことだ、きっとこれからの苦労を想像して絶望してるのかもしれない。ダ・ヴィンチちゃん、あとで胃薬あげてね。

 

「とりあえず、あそこを目指して進めばいいんだよね?」

 

 私が聞くと、ダ・ヴィンチちゃんから待ったが入る。

 

『うーん・・・、ただね、あちこちで動いている少し濃い魔力の反応があって、その動きのパターンが人間みたいなんだよ』

「ということは、この世界の住人でしょうか?」

『その可能性はあるね』

 

 よかった、ちゃんと人がいるみたい。空気もあるし、やっぱりこの世界の環境は、私達の世界とそんなに違いはないのかな?

 でもそれだけでは安心できない。意思疎通ができるのか、これはとても重要だ。なにせここはまったくの別世界。出会っていきなり怪しまれて、言葉も通じず攻撃されるようなことは避けたい。

 

「じゃあ、まずは近くの反応から調べて、もし人だったら様子を伺いつつ接触を試みるよ」

『うん。頼んだよ。ではこれより、グランドオーダーを開始するよ!』

 

 




 小説書くの初めてなんですけど、こんなに大変なんですね。皆さますごいですね。やりすぎじゃないですか?イレギュラーじゃないですか?

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