乙女ゲー主人公はヤンデレでした   作:でち公

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FGOの幼馴染ものが人気でビックリです。

そっちの方も書き書きしてますので納得のいくものができたら挙げます。

皆さんも書いてもいいのよ?

初投稿はじめました。



第6話 オルド視点

 ファルマス学園から少し離れたところに屋台が年中立ち並ぶ場所、通称屋台村。そこに俺と聖女はやって来た。……それから後ろからこっそりついてきている例の五人衆もいるが。

 

 なんで絡んでこないのかと思ったら尾行するためだったのか。いや、普通に絡んでこいや。そしたら聖女を押し付けられたのに。くっ、俺のぶらり一人旅の予定が……! 

 

 それにしてもあの五人衆あれで隠れてるつもりなのだろうか? 素顔隠すために覆面を付けているがどう見てもそっちの方が目立ってると思うんですけど。それに身分の高い連中が集団でこんな場所に来たらイカんでしょ。……まあ、一応護衛っぽいのが五人衆の後ろに8人程付いているから大丈夫か。

 

 念の為こっちの方でも多少は警戒しておくか。

 

「オルドオルド! ほらほらこっちこっち!」

 

 そんな考えを他所に聖女は俺の手を掴んでグイグイと引っ張っていく。何やらオススメの屋台があるとの事だが、一体何を食べるつもりなんだろうか。

 

 そうして暫く引っ張られて辿り着いたのは揚げ物特有の香ばしい匂いを放つ屋台だった。

 

「おじさん、ベルソーラ2つください!」

 

「おー! レインちゃんじゃねえか。珍しいね、レインちゃんが男連れなんて。もしかして彼氏さんかい?」

 

「えへへ、そう見え━━━━━」

 

「いえ、違います」

 

 なんてことを言うのだこのおっさんは。此奴とそんな仲になったら確実に面倒臭い事になるだろう。ほら見てみろ後ろの五人衆がもう百面相し始めたぞ。

 

「おや、そうなのか? レインちゃんが男を連れてくることなんて初めてだったからそういう関係なのかと思ったよ」

 

「レインは最近こちらに越してきた私にこの辺りを案内していただいているだけですよ」

 

 そう、ただのクラスメイトという関係なのだ。決して聖女の恋人などという面倒なポジションじゃあない。

 

 ま、それはさておき━━━━━

 

「所でその、ベルソーラというのは?」

 

 キツネ色にこんがりと揚がった楕円系の食べ物を見て思わずゴクリと喉を鳴らしてしまう。見た感じコロッケに似ているがどうなのだろうか。

 

「ベルソーラっていうのはな、この国名物のドレイモとファルマス小麦にこの店特製のスパイスを使った揚げ物料理さ。どんなものかは食ってみたら分かるぜ」

 

 そう言ってベルソーラを1つ差し出してきたので、それを受け取った。

 

「揚げたてだ。熱いから気をつけろよ?」

 

 うむ、確かにホクホクだ。軽く息を吹きかけて冷ましてからかぶりついた。

 

「……!」

 

 なんだっこのっ、うまぁっ! 

 

 カリカリとした衣にドレイモを潰すのではなく、荒く刻んでいることで歯応えもいい! そして何よりもこのピリッとした辛味の効いたスパイスがとんでもなくこのベルソーラとマッチしてる。

 

「これとても美味しいです」

 

「そうだろ? ほらレインちゃんの分だ」

 

「ありがとうおじさん!」

 

 レインが受け取っている姿を後目にベルソーラどんどん食べていく。いや本当に美味いなこれ。もうちょっと食べたい。

 

「すいません。追加で5個お願いします」

 

「お、気に入ってくれたかい。それじゃあ5個で400ゴルだな」

 

「はい」

 

 懐から小袋を取り出してそこから400ゴル丁度出す。

 

「へへ、まいどあり。じゃあ少し待っててくれ」

 

 こくりと頷き、完成するまでの時間までまだ残っていたベルソーラを食べようとした時、なにやら聖女から手元に視線を感じた。

 

「……あげませんよ?」

 

「違うよっ!」

 

 なんだ違うのか。てっきりこのベルソーラが欲しいのかと思った。じゃあ何だったんだろうか、そんなことを考えていると聖女の目線がベルソーラではなく金の入った小袋に目がいっていることに気がついた。

 

 もしやこの聖女、俺の有り金を奪おうと……? 

 

 そこまで考えたところで今食べているベルソーラが先程と聖女が払っていたということに気がついた。

 

「ああ、すみません。お返ししていませんでしたね」

 

 その言葉と共に小袋に手を突っ込んだところでまた聖女につっこまれた。

 

「それもちっがーう!」

 

 ええ……? じゃあ何なんですかね? 

 

「えとさ、その小袋なんだけど……」

 

 ああ、そうか、そういや気にしてなかったけどこれ随分とボロボロだもんなぁ……。そらそんなボロボロの物持ってたら気になるか。

 

「これかなりボロボロですからね。あはは、お恥ずかしい」

 

 破けた後が補修された跡等も随分とある。長い事使っていたもんだから特に何も考えていなかった。そしてそもそもこの小袋、財布用じゃないしな。子供が持つような小袋を丁度いいサイズだからって財布に使っていただけだし。

 

「その小袋、随分と長く使ってるみたいだけど買い換えようとは思わなかったの?」

 

「ええ、なんだか捨てるに捨てれなくて。やはりおかしいですかね?」

 

「ううん、おかしくなんかないよ。それに私も同じくらい使い込んでるのがあるから親近感が湧くなーって思ってね」

 

 そう言って聖女が出したのは俺が使っている小袋と全く同じ物だった。そしてその小袋も俺と同じように長い間使い込まれているのが分かるほどボロボロであった。

 

「えへへ、何だか嬉しいな」

 

 はえー、この聖女も同じ小袋持ってるとかすごい偶然もあったもんだな。まあこの小袋使いやすいしね。そんなことを思っているとベルソーラが出来たらしく、おっさんが袋に入れて渡してきた。

 

「ほい、お待ちどうさま。サービスで1個追加で入れといてやったぜ」

 

「ありがとうございます。また来ますね」

 

「おう、次もたくさん買っていってくれや」

 

「ええ」

 

 早速袋から1つ取り出して食べようと思ったところで聖女が食べ終わっていたことに気づいた。……まあ、さっき奢ってもらったし、一人で食べるというのも何だか居心地が悪いし 、何より借りを作ったままは嫌だ。

 

 自分の分とは別に1つ取り出して聖女に差し出す。

 

「あげます。さっき奢ってもらったので」

 

「ええ!? いやいや、そんな悪いよ!」

 

「別に構いません。店主の人からサービスで貰ったのをあげるだけですから」

 

 ベルソーラを聖女に押し付けて自分の分のベルソーラを食べ始める。聖女は受け取ったベルソーラをみて、やや目を細めると礼を言ってきた。

 

「……ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

 聖女と一緒にベルソーラを食べながら歩いていると敵意の籠った視線を感じた。その視線の先を辿ると路地裏に荒くれ者のような格好をした三人の男達がこちらを見ていた。正確に言うなら聖女の方を見ていると言った方が正しいか。

 

 この後もまだまだ屋台巡りをしたいし、こんな事で足止めを食らうのも嫌だ。というわけで、聖女にバレないように極小の魔力で土魔法を使い、小石を手の中に作り出す。後は身体強化の魔法を右手のみにかけて何時でも小石を弾き飛ばせるようにしておく。

 

 向かってこなければ特に何もする気は無いからこっちに来るなよ、と思っていたが結局こちらに向かってきたのを確認できたので三人めがけて指弾の要領で小石を勢いよく弾き飛ばす。小石は猛スピードで人混みの中を進み、荒くれ者達の眉間に激突した。その結果、荒くれ者達は路地裏のゴミ捨て場に頭から勢いよく突っ込んだ。

 

「なんかあっちの方が騒がしいね?」

 

「大方酔っ払いあたりがゴミ捨て場にでも突っ込みでもしたのでしょう。所でレイン、他におすすめの屋台はありますか?」

 

「うーん、じゃあ今度は最近行ったスイーツを売ってる屋台があるからそこに行こうよ」

 

「分かりました」

 

 悔しいがこの聖女は本当にこの辺りの美味い屋台をいくつか知っている可能性が高い事が先程の屋台で分かった。なのである程度はこの辺りの屋台について教えてもらうとしよう。

 

「それじゃあこっちだよ」

 

 そう言って聖女は俺の手を握るとグイグイと引っ張っていく。聖女に案内されるがままに着いていくと随分と甘い匂いが漂う屋台へと来た。聖女が勧めるスイーツとは一体どんなものなのか、そんなことを考えながら屋台の方に近づいてみるとやけに見覚えのあるスイーツが売っていた。

 

 というかこれって━━━━━

 

「えへへ、ここのスイーツはすっごく美味しいんだ。薄く引き伸ばした甘い生地に果物を入れて白くて甘いフワフワしたホイップっていうのを入れて、それを生地で巻いて食べるんだ」

 

「そ、そうなんですね」

 

 クレープじゃねえか。なんでこの時代に……? あれ、この世界って中世辺りがモチーフじゃないの? え、なんで本当にあるのさ。クレープ自体は近世の初め頃に出来始めたはずだろ? しかもその時のクレープはまだ甘いやつじゃないはずだぞ。

 

 ……乙女ゲームの世界だからでいいか! 

 

 乙女ゲーだしクレープくらいあってもおかしくない、うん。

 

 それにしても色々な種類があるんだな。チョコにショコラにメイプル、ストロベリー、キャラメル……突っ込まないぞ、絶対突っ込まないからな。

 

「やあ、そこのお二人さん達。ウチの自慢のセリクムを食べていかないかい?」

 

「もちろんですよ! 私はストロベリーホイップを1つ下さい。オルドは何にする?」

 

「んー、それならショコラホイップで」

 

「はいよ、ストロベリーホイップとショコラアイスホイップだね。ちょいと待ってておくれよ」

 

 このクレープの名前、セリクムって言うのか。でもどう見てもクレープだよな。しかもトッピングの名前はモロ前世からの言葉だし……。もしかして転生者やら憑依者やらがいるのか? 俺という存在がある以上いないとは言えないからなあ……。

 

「レイン、セリクムと言うのは最近できたものなのですか?」

 

「王都に昔からある食べ物らしいよ?」

 

「昔から? それってどれくらい前か知ってます?」

 

「え、うーん……。聞いたところによると確か200年以上前からあったとか聞くね」

 

 200年? そんな前からあんの? 

 

「そう言えばトッピングの名前もこの辺りでは全く聞きませんよね」

 

「そうだよねー。私が頼んだストロベリーホイップって言うのもストラの実をただストロベリーって言ってるだけみたいだし」

 

「へえ、そうなんですね。じゃあなんでこんな名前をつけたんでしょうね」

 

 そんな事を二人で話しているとその話が耳に入ったのか店主であるおばさんがこちらを見てきた。

 

「それはね、どんな名前で出すか悩んでた私がある日見た夢で神様が啓示してくださったんだよ。こういう名前で出しなさいって」

 

 何やってんだ神様。え、そんなクソくだらないことで啓示してきたの? 俗物が過ぎないか神様。

 

「神様ってそんなにホイホイ夢に出てくるものなんですか……?」

 

「まあ、夢に出てきたのは命名神様だからねえ。基本毎日誰かに啓示してくださるそうだよ」

 

「ああ、命名神様なら納得です」

 

 まるで啓示のバーゲンセールだぁ……。そんなことしていいのか神様。いいんだろうね、聖女の反応を見る限り。

 

「ほら、お二人さん完成したよ。ストロベリーホイップとショコラホイップだ」

 

「ありがとうございます」

 

 2人分の代金を支払い、聖女にストロベリーホイップを渡す。

 

「あ、自分の分くらい払うよ」

 

「良いんですよ。美味しい屋台を教えて貰ってるお礼です」

 

 聖女がお金を渡そうとしてきたが、受け取らずにショコラホイップを食べ始めた。

 

 む、これマジで美味いな。ホイップの甘みにショコラの苦味がいい感じに合わさって美味しい。それにこの生地もほんのり甘いけど少しだけ塩気があるから食べやすい。これだけ美味けりゃ他のも美味いだろうな。くっ、何個か買うべきだったか……! 

 

「でも、やっぱり悪いよ」

 

 そんなことを考えていると聖女がもう一度お金を返そうとしてきた。ぶっちゃけあんな端金程度なら返さなくても本当にいいんだが……。とは言えこの聖女は頑固だろうし必ず返そうとするよな。うーん、そうだ。

 

「なら1口食べさせてくれませんか? ちょうどそれも食べてみたかったんです」

 

「え、まあ、それくらいいいけど……」

 

 そう言って聖女がおずおずと言った様子で差し出してきた。差し出してきたセリクムを遠慮なく1口食べる。

 

 うむ、これも美味いぞー! ホイップの甘みとストラの実の酸味がよく合う。それにこの味は団長が好きそうだな。今度傭兵団に帰る時にみんなにお土産として買って帰るか。

 

 む、口元にホイップがついてるな。

 

 口元に付着したホイップを親指で拭いとり、拭ったホイップをペロリと舐める。うーむなんとも甘い。甘いもの好きな相棒にもたまらん逸品だろうなこれ。

 

 そんなことを考えているとなにやら聖女の方から視線を感じた。

 

「どうかしましたか?」

 

「あ、ううん! なんでもない、なんでもないよ!」

 

「はあ、そうですか」

 

 聖女は慌てたように否定すると恐る恐ると言った感じで自分のセリクムにかぶりついた。

 

「これとても美味しいですよね」

 

「う、うん。すごく、美味しい、ね?」

 

 そんなことを言いながらチラチラとこちらを見てきた。む、もしかして俺のショコラホイップが食べたいのか? まあ、これ美味しいもんね。1口くらいなら食べさせてもいいか。

 

「はい、どうぞ」

 

「はぇ!?」

 

 そういうわけで自分が食べていたショコラホイップを聖女に差し出す。すると聖女はとても驚いたような声を出した。なんだ? 食べたいんじゃないのか? 

 

「先程からこちらを見てきたのでこれが食べたいのかと思っていたのですが……」

 

「あ、いや、えーと」

 

「食べたくないのですか?」

 

「た、食べたいです……」

 

「ならどうぞ」

 

 そう言ってずいっと聖女の目の前に差し出すと、少し躊躇ったような素振りを見せたあと決心したかのようにゆっくりとショコラホイップにかぶりついた。

 

「どうですか?」

 

「うん、おいしい、すごく、おいしい、です」

 

「それは良かった」

 

 残ったショコラホイップをさっさと食べ終えてるとそろそろ学園の方に帰らないといけない時刻になっていたことに気がついた。

 

 他にもいろいろと食べたかったが、仕方ない。

 

「名残惜しいですがそろそろ時間ですので学園の方に帰りましょうか」

 

「うん、そうだね。……ね、また一緒に行こうね」

 

「ええ、機会があったら行きましょうか」

 

 行かないけどね! 俺は今度こそ1人で食べるんじゃーい! 

 

 




デート回なので会話文を多めにしてみました。テンポ良く読めるようにしたいものです。

所でヤンデレで思うことがあるんですけど、ヤンデレって平穏かつ満たされてたらただの可愛い女の子だと思うんですよ。えっ、なんでこんなことを言い出したかって?

レインちゃんの平穏はここまでだということです。

オルド:いつもなら気をつけるがご飯に気がいってしまい攻略キャラムーブしまくってたことに気がついていない。飯が絡むと馬鹿になってしまう。傭兵団のルールで美味しいものはシェアと言うのが基本だったので間接キスとか全く気にならない。というかそんなものは頭の中から消え去った。

レイン:表面上は平静保ってるけど内心は大荒れしてた。レインポインツ大量進呈。何回か顔が赤くなりそうだったが能力使って赤くならないようにした。無駄遣いしてんな、お前な。

命名神様:(ファミチキください) 人の夢枕に立って名前を決めてくれる。妖怪か何かじゃなかろうか。

五人衆:レインとデートしやがって羨ましい! あっ、手を繋ぎやがった! あのレインとあーんまでするだとぉ!? 何処かで出ていくつもりだったが、レインの普段見れない姿に見るのに夢中になって出ていくのを忘れてた。

護衛達:ちゃんとお役目を果てしていた。なお時々急に気絶する輩にビックリしていた模様。

次回は(作者が待望してた)レインちゃん回だっ!

まあ、そんなことを言って失踪するんですけどね。


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