乙女ゲー主人公はヤンデレでした   作:でち公

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今こそ言える。初期ではレインちゃんガッツリ病ませる予定だったのにいつの間にかピュアッピュアレインちゃんになったということを。病みを祓う姿は紛うことなき聖女。

それはそうとこの話を読むにあたってこの小説の名前を思い出して欲しいんですよ。

それじゃあ失踪します。



第7話 オルド視点

 ファルマス学園に転入してから一週間が経った。

 

 時に聖女から逃げたり、時に聖女を五人衆に押し付けたり、時に聖女に捕まって屋台村に赴いたりなど色々なことがあった。

 

 他にもクラスの連中ともそこそこの交友関係を築くことが出来た。それに五人衆とも友好的な関係を作れたよ。まあ、聖女の情報を流したら結構あっさり作れたけどな! 聖女との仲について探りを入れてみたりしたけれど、まさか全く進んでなかったとはこのオルドの目を持ってしても見抜けなかった……。

 

 話を聞いてみるに聖女はガードがクッソ堅いらしい。二人きりで何処かに行くなんてことはなく、何処かに行く時は必ず複数人でしか行かないとの事だった。

 

 ちなみにこの情報はチャラ男くんからだった。そしてこのチャラ男くんだが、見た目に反してめちゃくちゃ頭がいい。特に魔法薬学と魔法陣学に関しては2年生にして学園の教授達と議論ができるレベルだった。

 

 なのでその事をべた褒めしつつ、聖女の情報をちょこちょこ流したらとても仲良くなりました。それと同様に他の4人にも聖女の情報をという餌を投げながら各自の得意分野を褒めつつ情報をすっぱ抜き、友好を深めることに成功した。

 

 や、チョロいなこいつら。というよりも聖女の情報という餌が強烈すぎるのか。

 

 しかし今思ったがこの関係は恋愛ゲームでいう便利な情報を与えてくれるモブポジではなかろうか。ふふ、このままのポジションを維持し続けていこうじゃないか。

 

 そう意気込みつつ、自分の席に着いてしばらく経つとこのクラスの担任であるクロード先生が教室の扉が開いて入って来た。

 

「よーし、お前らさっさと席に座れー」

 

 その言葉で席を立っていたクラスメイトたちは自分の席に着席した。全員が座ったのを確認するとクロード先生はいつもの様に点呼を取る、ということはしなかった。

 

 なんだろうか、果てしなく嫌な予感がしてきた。こう、命に関わるとかではなく、死ぬほどめんどくさい事になりそうな気がする。

 

「あー、今日からこのクラスに転入生が来る。本来であればオルドと同時に入れるつもりだったんだが、諸事情により少し遅れての転入となった」

 

「先生! その人は女の子ですか!? それとも男ですか!?」

 

 前側に座っていた男子が転入生と聞いてパッと手を挙げて質問を投げかけた。

 

「喜べ、女だ。それもとびっきり可愛いぞ」

 

「「「いっよっしゃあっ!!」」」

 

 五人衆を除いたクラスのほとんどの男子が雄叫びを上げた。まあ、確かに新しく入ってくるのが女だと嬉しいよね。それも担任お墨付きのとびっきりの容姿を持つ女子なんて。ただなんか嫌な予感してきたので素直に喜ぶことが出来ない。

 

 そんなことを思っていると隣に座っている聖女がこちらに耳打ちをしてきた。

 

「オルドは嬉しくないの?」

 

「私はどっちでも構いませんので」

 

 と言うよりもどんどん嫌な予感が強くなってきているのでそれどころではない。もはや寒気すらしてきた。

 

「それじゃあ入ってこい、()()()()

 

 おい待て、今なんて━━━━━

 

 担任に呼ばれて入ってきたのはまるで儚げな少女のようにほっそりとした体に雪のように白い髪を前下がりのセミショートにしており、そして何よりも目を引く星の如く微塵の濁りも見せない琥珀色の澄んだ瞳を持つ少女であった。

 

 まるで天使のような見た目を持つ少女に教室にいた誰も彼もがまるで時が止まってしまったかのように身動き1つせずじっと目で追っていた。

 

「メテオラ・テバットです。暫くの間、よろしく」

 

 そして見た目通りに鈴のように澄んだ声で自己紹介をする少女にますます全員が引き込まれていった。

 

 そんなふうに周りが少女に魅了されている中、オルドは死んだ魚のような目になっていた。

 

 なんで相棒━━━━━メテオラの奴がきてんの? え、なんで? 団長、メテオラも一緒に行くとか一言も言ってなかったよね? 

 

 どういう事だ、おい。と、そんな意味を込めた目線をメテオラに向けるが彼女はただにっこりと微笑むだけであった。

 

「それじゃあメテオラの席だが何処がいい? このクラスは人数が少ない分、席がそこそこ空いている。好きなところに座るといい」

 

「ええ、では━━━━━」

 

 その言葉を聞くとメテオラはこちらをじっと見つめてきた。いや、正確に言うと俺のもう1つある隣の席にというべきだろうか。

 

「オルドの隣が空いてるのでそこに座りますね」

 

 その言葉とともにクラスの男子全員がこちらを血眼で見てきた。

 

「ずるいぞオルドお前!!」

 

「というか、知り合いなのかよ!?」

 

「俺を紹介してくれないか!」

 

 ……? なんでこいつらメテオラに反応、ってあーそうか。メテオラは見た目だけなら美少女だもんな。中身は色んな意味でぶっ飛んでるせいで忘れてた。

 

「オルド、そのテバットさんとは知り合いなの?」

 

 やや不安げに聖女はそう聞いてきた。

 

「そうですね、知り合いというよりは━━━━━」

 

「将来を誓い合った仲です」

 

「いきなり嘘ぶっこいてんじゃねえぞ」

 

 メテオラが唐突に聖女との話に割り込んできた。しかも平然と大嘘を吐いてきたもんだからたまったもんじゃない。

 

 否定するとメテオラはわざとらしくヨヨヨ、と言いながら泣き崩れた。

 

「シクシク、メテオラは悲しいです。あんなにもメテオラと激しくヤり合った仲だというのに……」

 

「ヤ、ヤり合った……」

 

 カァッ、と顔を紅潮させる聖女に思わずため息を吐きそうになりながらもメテオラの言葉を訂正する。

 

「誤解を招く言い方してんじゃねえよ。ただ単に戦っただけだろうが」

 

「それもそうでしたね。それでは再会のハグをしましょう。それからキスもしましょう。こう、しっぽり、ねっとりと」

 

 そう言って悪びれもせずに抱きつこうとするメテオラの頭を反射的に立ち上がり鷲掴みにすることで無理やり押さえつけるが、メテオラはさらに強い力で抵抗して無理矢理にでも抱きつきにかかった。

 

 このやろっ、こんなことで身体強化魔法使いやがった! 

 

 こんなくだらない事で魔法なんぞ使いやがってと思いながらもグググッと力を込めて抑えていたが一気に馬力を底上げしてきたメテオラにそのまま押し切られ抱きつかれた。メテオラは抱きつくと頭をぐりぐりと押し付けてきた。

 

「ひっつき虫かお前。つーか、メテオラはなんでこっち来たんだ」

 

「前にも言いましたが、メテオラの居場所はオルドの隣ですので」

 

 何を当たり前なことをと言った顔でまるでこちらがおかしいことを言ったかのような態度を取るメテオラに思わず頭が痛くなった。それから気になったこともあったのでメテオラに小声で尋ねた。

 

「理由になってねえだろ。つか、団長は許可したのか?」

 

「一番近い連休の時にオルドを引き摺ってでも連れて帰ると言ったら快諾してくれましたよ」

 

 連れて帰るという言葉に真っ先に思い当たる節があった。と言うのも俺の所属する傭兵団は程度に差があれどそのほとんどが戦闘狂だ。

 

 そして我らが団長は団内でもぶっちぎりの戦闘狂だ。どれくらい酷いかと言うと目に付いた魔物を片っ端からぶちのめすくらいには戦闘狂だ。なので行く前に団長の戦闘欲求を満たす為に三日三晩寝ずに殴り合いをした。それで次に帰るまでに持つだろうと今までの経験から読んでいたのだが。

 

「行く前に散々戦ったよな?」

 

「3日も持ちませんでしたよ」

 

 嘘でしょ、3日も持たなかったの? 前の時は結構長く持ってくれたじゃん。

 

「……なにか被害出した?」

 

「ゴルディン山を禿山にしてましたね」

 

「嘘だろ、またやったのか?」

 

 ゴルディン山、通称帰らずの山。苔むした巨大な木々が鬱蒼と生い茂った4000m級の山であり、常に木々が尋常ではない速度で成長し続けるという特殊な環境から山の中をさ迷い帰って来れなくなるということが多発する山だ。だが、この山が帰らずの山と呼ばれる由縁はそこではない。

 

 そこに住む魔物達こそが帰らずの山と呼ばれる原因なのだ。地脈の関係からか、そこの山には多種多様な魔物達がうじゃうじゃと発生している。それこそ中堅の冒険者や傭兵でも倒せるような魔物から国が一個中隊を差し向けて討伐しなければならない魔物までいる。だが、いちばん厄介なのがその数だ。少し歩いただけでそんな魔物達と遭遇するのだ。そしてそこに住む魔物たちは血の匂いに敏感だ。つまり、1匹でも魔物を倒すとその血の匂いに惹かれた魔物達が群れをなして襲いかかってくるのだ。

 

 幸いにもその山は人間の国からそれなりに離れているということとオルドの所属する傭兵団の本拠地の近くにあるため暇を持て余した戦闘狂達が定期的に間引きに行っているのでこれと言った問題は起こっていない。

 

 傭兵団のストレス解消の山として気に入られたゴルディン山が団長の手によって禿山にされた。これによりゴルディン山が復活するまで魔物達も発生しないだろう。それによって何が起きるかと言うと、近場で戦えなくなった戦闘狂共が悶々とする。そして溜まりに溜まりきると傭兵団内で大乱闘が勃発するのだ。

 

 ああ、くそっ━━━━━

 

「俺も参加したい……」

 

「乱闘にですか?」

 

「当たり前だろ。絶対楽しいぞ」

 

 ああ、本当に残念だ。是が非でも俺も混ざりたかった。こっちに来てからろくに戦ってなかったし、メテオラからそういうことを聞くと今まで我慢してた欲求が湯水の如く溢れてくる。今日って戦闘訓練あったよな? 

 

 そんなことを考えていると話について来れずにおいてけぼりにされた聖女が質問をしてきた。

 

「ね、ねえ、オルド。結局のところテバットさんとはど、どういう関係なのかな?」

 

 何処か恐れているような、そんな雰囲気を醸し出している聖女に少し不思議に思いつつも思ったことを口にする。

 

「んー、まあ、相棒といったところですかね?」

 

「あい、ぼう……」

 

「おいそこの3人。話は休憩時間にしろ」

 

 担任に注意されたため、未だに引っ付いているメテオラを身体強化魔法を使い無理やり引き剥がし席に座らせてから着席する。

 

「メテオラに質問をしたい奴は休憩時間にしてくれ。それから今日の連絡事項だが、今回の戦闘訓練はお前らの魔法の腕を見させてもらう。もちろん持ってきているとは思うが魔法発動に魔具が必要なやつで忘れたやつはこちらで用意したものを使ってくれ。以上だ」

 

 そう言って準備のためかさっさと教室から出ていこうと扉に手をかけたところで「ああ、そうだった」と何かを思い出したかのように呟くとこちらに顔を向けた。

 

「オルドとメテオラの二人は着替えたら魔具準備室に来てくれ」

 

 そう言うと今度こそ扉を開いて教室から出ていった。

 

 ふむ、順当に考えれば手伝いと考えるのが妥当だが……。

 

「メテオラ、お前何かしたか?」

 

「メテオラは特に思い当たることは無いです。そういうオルドはどうなんですか?」

 

「こっちも特に思い当たる節はないな」

 

 メテオラが初っ端から何か仕出かしたかとも思ったが、目を見る限り嘘は言っていない。とすれば俺の方かとも思ったがそうであるのならメテオラまで呼ぶ理由が分からない。ふむ、素直に準備を手伝えということと考えてもいいか? 

 

「ま、何はともあれ着替えるべきか。それではレイン、申し訳ないのですがメテオラを女子更衣室までお願いしてもよろしいですか?」

 

「え? あ、ああ! うん、いいよ任せて」

 

「ありがとうございます。ではまた後ほど」

 

 そう言って男子更衣室に向かう、が何故かメテオラがこちらの隣にピッタリとくっついて歩いてきた。

 

「おい、なんで着いてきてるんだ?」

 

「今から着替えるんですよね?」

 

「そうだよ、だからお前はレインに着いていくんだよ。なんで俺に着いてきてんだ」

 

「別にメテオラはオルドに裸を見られてもいいので一緒に着替えましょう」

 

 思わずこいつは何を言っているんだと思い、白い目で見てしまう。

 

「嫌に決まってんだろ」

 

「嫌、ですか……。オルド、あんまり舐めたこと言ってるとここでひん剥きますけど、いいですか?」

 

「お? やるかこの野郎。逆にひん剥いてやろうか」

 

 2人で頭をゴツゴツと付き合わせていると聖女が中に割って入ってきて無理やり距離を空けさせた。

 

「ダメだからね2人とも!? メテオラさんはオルドと一緒に着替えたら他の人にも裸見せちゃうことになるんだからね!?」

 

「オルド以外の男の目を潰せば問題ないと思いますが」

 

「ダメに決まってるからね!?」

 

 メテオラのあまりの暴論に速攻で否定する聖女。いいぞ、その馬鹿にもっと言ってやれ! そんなこと考えていると聖女はぐるりと此方を向いた。

 

「オルドもオルドだよ! 女の子に対してひん剥くなんて言ったらダメなんだからね! そう言うのは━━━━━じゃなくて! 兎に角そんな言葉言ったらダメだからね!」

 

「あっはい」

 

 一気にまくし立ててきた聖女に気圧され思わず頷いてしまった。いやまあ、確かに女の子に対してひん剥くなんて言ったらダメか。相手がメテオラだったから何も考えてなかった。

 

「それじゃあ、メテオラさんは私と一緒に女子更衣室に行こうね!」

 

「え、ちょっとなんですかいきなり。メテオラには今ここでオルドをひん剥くという仕事が━━━━━」

 

「じゃあまた後でね、オルド!!」

 

「え、ええ」

 

 そういって聖女はメテオラの言葉を無視してメテオラの手を握って強引に連れていった。そんな聖女の後ろ姿を俺は見送ってから男子更衣室へと向かった。

 

 




レインちゃんの平穏は崩れてしまいましたね(他人事)

化けの皮剥がれたやつ:まさかの傭兵団での相棒が何の連絡もなしに来てたことに驚いた。しかも本来だったら同時期に入る予定と聞いて尚更。その上メテオラムーブに飲まれてメテオラのみに素で対応してしまった。

フリーダム:見た目天使顔負けの顔してる(激ウマギャグ)基本マイペースというかフリーダムすぎる人。オルドくんとは仲良し。そしてひっつき虫。

病みを祓う聖女:オルドが素で話してる女の子が登場したことで絶賛恐慌中。しかもオルド本人からも相棒と言われさらに混乱中。まさか五人衆と同じ目に合うとは思うまい。堕ちそう(小並感)

フリーダムメテオラちゃんの容姿書いてて思いましたが、レインちゃんの容姿書いてなかったですね。と言うわけでレインちゃんの容姿は明るい水色の後ろで結ばれたロングヘアーに明るい青色の瞳です。多分どこかの話で詳しく描写する。

それはそれとして初投稿です。

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