乙女ゲー主人公はヤンデレでした   作:でち公

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初投稿デース!

今回は戦闘回ということでゴリラ達がハッスルしてるので暴力描写が苦手な人は要注意です。


Ex.4 傭兵団の日常(後編)

 ニスフィム連峰の中腹にて、まるで金属バットでボール打った時のような快音を鳴らしながら突き進む一行の姿があった。

 

 まあ、正確に言うのならば金属バットでボールを打っているのではなく、オルドが近寄ってきた魔物を片っ端から殴り飛ばしているのだが。

 

「ウーゴさん」

 

「何だマウロ」

 

「実は俺ってこの連峰入るにあたって結構死ぬ覚悟とかもしてたんすよ。中腹には上級や最上級の魔物達が彷徨いてるって聞いてたんで」

 

「おう」

 

「けどなんすっかね。その上級や最上級の魔物達があんなボールみたいにすっ飛ばされてるのを見てると俺の覚悟はなんだったんだってなりますね……」

 

 遠い目をしながら語るマウロにウーゴは何も言うことが出来なかった。それにウーゴ自身もオルドの強さに舌を巻いていた。

 

 ━━強いとは聞いていたが、実際に見ると噂以上だな……。

 

 ウーゴ自身、他の傭兵団に所属しているものの強さを見た事はある。その時だって最上級の魔物相手に1歩も引かず戦う傭兵の強さに感動していたし、人とはこんなにも強くなれるのかとも感心を抱いたのも覚えている。が、今回の光景には少なくとも感動も感心もしない。むしろドン引きしかすることが出来ない。

 

 この光景は言うなれば熊を素手で殴り飛ばしているというのに相応しいだろう。

 

 そんな光景は誰だってドン引きしかしない。

 

 そんなことを考えていたからか、横の草むらから飛び出して襲いかかってきた魔物に反応するのが遅れてしまった。

 

「しまっ……」

 

 防御しようと慌てて剣を正面に構えようとした途端、飛び掛ってきた魔物が横合いから飛んできた光線に全身を飲まれて塵も残らず消し飛んだ。

 

「ええ……?」

 

 それをしたであろうメテオラの方を見てもまるで当たり前のように気にせずオルドの後を追っている。

 

「……まあ、これなら安心して調査が出来るか」

 

 ウーゴはそんなことを呟いて、何か一つでも痕跡を見つけようと辺りを見渡し始めた。そうしてしばらくの間中腹を彷徨いてると不意にオルドがピタリと止まった。

 

「どうかしたのか?」

 

「これを見てみろ」

 

 問いかけたウーゴに対してオルドは地面に向けて指を突きつけた。そこにあったのはかなり大型の足跡だった。それを見たウーゴ達はその足跡の元へと向かい、観察を始めた。

 

「前方に三指、後方に一指。典型的な龍属の足跡だな。爪の形状からしても肉食なのは間違いないだろう。それにこの特徴的な指の形はブラックモアドラゴンだな」

 

「足の幅と歩幅から見るに大きさ20、いや22m級っすかね」

 

「この地面の凹み方から見てブラックモアドラゴンは何かから急いでいたみたいにみえるわね。それに周囲の木に結構な傷があるわね。マーキング……いや、これは攻撃かしら?」

 

「……この足跡は一体?」

 

 足跡の形状、足の幅、歩幅、地面の凹み方などから様々な情報を得ているとそこから少し離れた場所にリタがもう1つの別の魔物らしき足跡を発見した。

 

「これは……肉球か。指球の間の狭さから見てイヌ属だな。それにしても随分掌球がでかいな。前足が発達しているのか」

 

「大きさは大体12mくらいっすね。ブラックモアドラゴンの約半分位の大きさじゃないっすか。ブラックモアドラゴンが追っていた……いやそれだと足跡の付き方が合わないっすね」

 

「ええ、むしろこの足跡の持ち主が追っていたと考えた方が妥当ね。ブラックモアドラゴンの足跡の真後ろにピッタリとくっついているもの」

 

「周囲の木を傷つけていたのはこの魔物? まるで刃物で切ったかのような鋭利な切り傷だけど。……そう言えばブラックモアドラゴンの鱗には風属性の魔力痕があるって言ってた」

 

 4人がそこまで考察したところでオルドとメテオラが近くにやってきた。オルドは足跡の方へ、メテオラは傷の付いた木の方へ向かうと各自調べ始めた。

 

「この足跡は以前帰らずの山の山頂付近で見たことがあるな……。地面についた爪痕からしても爪はかなり鋭い。聞きたいんだが、この足跡の持ち主はイヌ属で間違いないんだな?」

 

 オルドは近くにいたウーゴに尋ねると、ウーゴはその質問に対してこくりと頷いた。そして何故それがイヌ属の足跡だと判断したのかを説明し始めた。

 

「ああ、そうだ。この前方にある指、形からして肉球何だがこれの事を指球って言ってな。この間がほぼくっついているくらいには狭いだろ? これはイヌ属の特徴でな。足跡が似ているネコ属がいるが、ネコ属ならこの間隔はまだ広い」

 

「ふむ、ブラックモアドラゴンを襲うくらいには強く、そして獰猛。多分だが『あいつ』か。殲光、木に魔力は付着しているか?」

 

 オルドは木についた痕跡を調べているメテオラに尋ねた。

 

「してますね。しかも思った通り、あの鱗についてた同じ魔力です。この傷は風属性の鎌鼬系統による攻撃魔法でしょうね。後、一部魔力が付着していないのがある所から直接攻撃も仕掛けてますね」

 

 それを聞いてオルドは息を深く吐いた。ブラックモアドラゴンを追っていた魔物の正体が分かり、面倒なことになったと思ったからだ。

 

「決まりだな、此奴は『タンペットルーヴ』だ」

 

「『タンペットルーヴ』!? 嵐狼(らんろう)のことか!」

 

「嵐狼って言えば極限級の魔物じゃないすか!? なんでこんな所に!」

 

 驚くウーゴ達を他所にオルドは嵐狼について説明を始めた。

 

「『タンペットルーヴ』、通称嵐狼だが、此奴はかなり執拗い。狙った獲物は逃がさないとよく言われるが、その言葉の通り今回はブラックモアドラゴンを狙って帰らずの山から追っかけてきたんだろうな。だから本来は光の届かない洞窟に過ごしているはずのブラックモアドラゴンが鱗の色から判断するに相当長いこと逃げ続けていたんだろう。そんで逃亡先としてこのニスフィム連峰にやって来たというわけだ。上級、最上級の魔物が中腹に逃げてきたのはその二体が上層の方で暴れているからだろうな」

 

 そこまで説明したところでオルドは話を区切りウーゴ達の方をじっと見つめた。

 

「こいつは予測だが嵐狼はもうブラックモアドラゴンを狩猟している事だろう。この周囲の光景から察するにな。それで、だ。今回討伐するはずのブラックモアドラゴンは既に討伐されていると仮定すると、今回の依頼はここで終わりとなる。ああ、勿論戦ってはないから契約金はいらないが」

 

 そう言って手をヒラヒラと振るオルドに対してウーゴは気まずそうに聞いた。

 

「その、嵐狼は討伐はしてくれないのか?」

 

「悪いがこれでも一応は傭兵なんでね。流石に特級の契約金で極限級相手にするのは些か契約金が足りない」

 

「そうか、それもそうだよな。因み嵐狼の討伐契約金はどれくらいになる?」

 

「そうだな、嵐狼が相手となるとざっくり見積ってこんなもんか」

 

 オルドから提示された金額を見て、ウーゴは唸る。

 

「やはり嵐狼となるとこれくらいはするか。むしろ安いくらいではあるが……。だが、すまない。流石にこの金額となると俺の一存では決めることは出来ない」

 

「そうか、なら一応ブラックモアドラゴンが討伐されているかだけでも確認しておくか? それの確認が出来次第下山すればいい。その後は国と話し合って依頼するかを決めてくれ」

 

「そうだな、嵐狼が本当にいるかの確認もしたい。是非ともそうしてくれ」

 

「了解、それじゃあ上層の方へ進もうか」

 

 ◆

 

 一行はニスフィム連峰の上層部へ向かい、辺りを探索していると不意にオルドとメテオラが足を止めた。その事に気がついたウーゴが疑問を投げかける。

 

「どうしたんだ?」

 

「血の匂いだ」

 

「それもかなり濃いですね」

 

 2人はそう言うと同じ方向へと一斉に走り出した。それに慌てて着いていく4人。息を切らせながらも2人について行くと鬱蒼とした森の中を進んでいたはずなのに不意に開けた場所に出た。

 

 一体何が。

 

 そう思う間もなく4人は目に映った光景に息を呑んだ。

 

 まるでそこだけ嵐が来たかのように木々が薙ぎ倒され、地面は所々捲り上がっていた。そして何よりもそんな光景の中心に今回の目標であったブラックモアドラゴンが全身をズタズタに引き裂かれて血の海に沈んでいた。

 

「まさか、本当に嵐狼がいるのか……?」

 

「ま、調べてみるしかないだろう」

 

 オルドはそう言うとメテオラと共にブラックモアドラゴンの死骸に近づいて調べ始めた。その様子を見て4人も急いで死骸の元へと向かう。

 

「ふむ、目が潰されてるな。この潰れ方はなにか強い圧力が加わったことによるものだ。それにしても目か。ブラックモアドラゴンは暗いところで生活する関係上、視覚がかなり発達したんだったか」

 

「ここは風の魔力を感じますね。眼球だけ潰されてるところを見るにピンポイントで風魔法で圧縮した気体をぶつけたんでしょうか」

 

「嵐狼は狡猾な魔物。それにかなり知能も高い。だからまずは弱点を狙ったんだと思う」

 

「まあ、そんなところかもな」

 

 オルドとメテオラが目の傷について話し合っている中、リタが何故そこを狙ったのかを推測していく。ついで今度は大きく凹んだ胸部について着目した。

 

「この傷が止めになったんだろう。明らかに心臓を狙った攻撃だ。だがそれにしてもブラックモアドラゴンの厚い胸殻をここまで凹ませるとはな」

 

「ここからは魔力は感じませんね」

 

「ふむ、ならどうやって……」

 

「ん? この凹み方ってかなりの質量がぶつかった感じじゃないすかね。しかもこの凹み方からして嵐狼の頭のサイズとピッタリっすよ」

 

「風魔法で速度をブーストさせて突進したのか?」

 

「その可能性が高そうですね」

 

 マウロの助言により厚い胸殻がどうやって凹んだのかを推測することが出来た。次は最も酷い状態になっている腹部へと着目した。

 

「これはかなり酷いわね。内臓のほとんどが食い荒らされてるわ。それにこの噛み跡……。鱗を難なく貫通しているところから牙も相当鋭いわね」

 

「牙のサイズも相当だぞ。少なく見積っても30cmはある。人間が噛まれたら一瞬で内臓まで食い破られて即お陀仏だな」

 

 ウーゴ、そしてアンナの推測によりブラックモアドラゴンを討伐した魔物が完全に嵐狼だということに決まった。その事により4人の間に重い空気が流れる。

 

 今回の調査でブラックモアドラゴンを討伐したのはまず間違いなく嵐狼だということが分かった。はっきり言ってこれは非常にまずい事態だ。ニスフィム連峰はオプティマ共和国から約750kmの距離しか離れていない。

 

 はっきり言ってこの程度の距離、嵐狼にとっては2~3日で踏破しきれる距離でしかない。極限級の個体がそんな近くにいるなどと悪夢以外の何物でもない。だが、今回に限ってはあのアキリィア傭兵団からやってきた龍星と殲光の二人が揃っている。噂通りならばあの二人なら嵐狼を討伐してくれるだろう。

 

 だが、そのための契約金の変更をする為には一度国に帰ってから話し合わないといけない。もし、そんなことをしている間に嵐狼が国に行ってしまったらどうなる? 

 

 まず間違いなく最悪の出来事になるだろう。

 

 ウーゴがそこまで考えたところで不意にオルドが舌打ちをかました。

 

「チッ、あの犬っころめ。こっちの存在に気が付きやがったか」

 

 その言葉と共に目を爛々と輝かせて血走った目で此方を見つめる特徴的な赤い鬣と尻尾、そして青と白の体毛に口元を赤く染めた嵐狼が現れた。殺意を剥き出しにしてこちらを見つめる嵐狼に思わず誰かがヒッ、と怯えを含んだ悲鳴を上げてしまった。

 

「殲光」

 

「ん」

 

 オルドの合図とともにメテオラは正面に対魔障壁を張った。そして障壁が構築された瞬間、突風などと言うレベルではない暴風が障壁をぶつかった。障壁が張られていない部分はあまりの暴風に地面が捲り上げられていき、暴風の正面にあった木々は全てバキバキとへし折れる音とともに薙ぎ倒されていく。

 

 その一撃はあまりにも強く、山頂付近にいるというのに今の一撃でニスフィム連峰の麓まで一直線の道ができてしまった。

 

「ま、見つかっちまったもんはしゃあねえわ。おいあんたら、契約はしなくてもこの場から追っ払うことくらいはしてやるぜ?」

 

 まるで少し散歩に出かけると言わんばかりの気楽な声でそう語るオルド。けれど言っていることは嵐狼の気性からして言外にこの場は追っ払うが後のことはどうなっても知らんと言っているのと同義だ。

 

 ━━どうする

 

 思考を目まぐるしく加速させていくウーゴだったが、不意にリタがオルドに対して真っ直ぐに見つめて話しかけた。

 

「龍星、先程貴方が提示した金額。それを払うと言えば嵐狼を討伐してくれる?」

 

「おい、リタお前何を言って━━」

 

「ああ、勿論だとも。あの金額をしっかりと払ってくれるなら今すぐにでもこの犬っころの首を落としてやるさ」

 

「分かった━━」

 

 大胆不敵に笑うオルドにリタを一度目を閉じて、深く深呼吸するとカッと目を見開いた。

 

「リタ・ジェイド・オリヴィエの名にかけてその金額を支払うと誓う」

 

「なっ、リタ、いや貴方様はまさか━━」

 

 その言葉を聞いたオルドとメテオラの2人まるで漸く楽しめると言わんばかり口角を吊り上げた。

 

「よし、契約はなった。嵐狼討伐開始だァ!!」

 

「ボッコボコにぶち転がしてやりましょう」

 

 その言葉と共にメテオラが空に向けて魔力弾を打ち上げた。そしてニスフィム連峰の半分を覆うほど巨大な魔法陣が空に描かれる。

 

「おいソル! その4人を連れて上空に飛んどけ。そんで流れ弾飛んできたらそっちで相殺しといてくれ」

 

 その言葉と共にソルは4人を纏めて咥えると背中の方に向けて放り投げて猛スピードで空の彼方へと飛んでいく。そしてニスフィム連峰を覆っている魔法陣を超えたあたりでホバリングをして停止した。

 

 4人はいきなりのことに驚きつつも下の方がどうなっているのかとソルの背中から先程までいた場所を覗いてみると今自分が見ているものが現実なのか疑いたくなった。

 

 空に描かれた魔法陣からはひっきりなしに極大の閃光が雨のように降り注ぎ、先程まで自分たちがいた場所は遠目から見ても凹んでいると分かるほどの巨大なクレーターが発生していた。そして彼らが戦っている周囲にあったはずの森は見るも無惨な焦土へと変貌していた。

 

「め、滅茶苦茶だ……」

 

「あれが本当に人の戦いっすか……?」

 

「これが噂のアキリィア傭兵団なのね……」

 

「……」

 

 ウーゴ、マウロ、アンナの3人はオルドとメテオラの戦いぶりを見て戦々恐々としているのとは別にリタはオルドの動きを食い入るように見つめていた。

 

 ◆

 

 嵐狼は混乱の極致にいた。食い応えのあるトカゲを食べてしばらく休息をとっていたら人間(おやつ)が6人群れを為してやってきた。少々後ろにいるトカゲは気になるが、纏めて殺して食ってしまえば関係ないとそう気楽に考えていたというのに、今の状況はなんだ? 

 

「クッ、ヒッ、ハハハハハ!! 楽しいじゃねえかよぉ! なぁ、犬っころォ!」

 

 当たれば1発でやられてしまう。そんなことが考えずとも分かるほどの凶悪な威力を持った攻撃を仕掛けてくる右目の位置から白銀の炎に似た魔力を噴出する男。

 

「ああ、ああ! メテオラはとっても楽しいです! もっともっと激しくぶち転がしてあげますね!」

 

 空から極大の閃光が雨のように降り注ぎつつも、此方を的確に狙ってくる光の魔弾。見ればその女の手には銃のようなものが二丁握られていた。そこからひっきりなしに光の魔弾が飛んでくるのだ。

 

 そして何よりも恐ろしいのが、この2人は全くお互いの事を気にしていないのだ! 

 

 そこに味方がいようと平気で攻撃を放ってくる。それはまるで当たった奴が悪いと言わんばかりであった。怖い、恐い! 嵐狼はあまりにもイカれた連携ともいえない攻撃を放ってくる2人組に恐怖していた。

 

 逃げよう、逃げなければ死んでしまう! 

 

 そう思って風を纏って加速して逃げようとした瞬間には、白銀の魔力を噴き出している男が一瞬で回り込んでくるせいで逃げることが出来なかった。目の前に現れた瞬間、自慢の爪で切り裂こうと男に向けて振るったが、男の余りの硬さに逆にこちらの爪がへし折れてしまった。

 

「おいおいおい、逃げんなよ! これからが楽しいところじゃねえか!」

 

 その言葉と共に放たれる悍ましい程の威力を持つ拳が自身の頭蓋目掛けて振り下ろされた。それを間一髪で回避することは出来たが、回避したことによって空を切った拳は地面に激突し、大規模なクレーターと爆風が発生してまるで塵のように吹き飛ばされてしまった。

 

 しめた! このまま爆風に乗って逃げれば……! 

 

 そう思った矢先に今度は当たれば瞬間消滅させてくる光の魔弾が食らいつくように放たれる。身を捩り何とか回避をする。だが、上から降ってきた極大の閃光に飲み込まれた。

 

 熱い、熱い、熱い熱い熱い熱い熱い!!! 

 

 まるで全身を火炙りにされてしまったかのような灼熱の激痛が我が身を襲ってきた。そしてその痛みで思わず足が止まってしまった。その次の瞬間、先程までかなりの距離があったはず白銀の魔力を噴き出している男の拳が眼前に迫ってきていた。

 

「逝けやオラァ!」

 

 メギリと自身の頭蓋から嫌な音が聞こえたと共に今まで生きてきた中で最大級の痛みが脳を揺らした。

 

 そして嵐狼は空を舞った。

 

 猛スピードで殴り飛ばされた嵐狼は正面の木を全て薙ぎ倒してもそのスピードは全く緩まず、遂には連峰の岩壁にぶち当たり、そのまま岩壁を砕いて岩の中を突き進んでいく。それでもなお勢いは止まらず連峰の岩壁を全て砕ききり、連峰の端っこまで来たところで漸く勢いが止まった。

 

 もはやコヒュー、コヒューと虫の息よりもか細い息を上げ、全身のほとんどの骨が砕けたような痛みに襲われるという死に体だが、嵐狼は嬉しくて仕方がなかった。

 

 これで逃げられる。

 

 その一心でまともに動いてくれない身体を這ってでも少しづつ、少しづつ動かしてあの化け物たちから離れようと必死だった。そしてふと自身の周囲がやたらと明るくなっていることに気がついた。

 

 これは一体……? 

 

 疑問に思って空を見上げるとそこには白銀に輝く光の流星が此方に目掛けて降ってきていた。その光景に嵐狼は魅了されたかの如く見つめ続けていた。

 

 そしてそれが嵐狼の見た最期の景色だった。

 

 ◆

 

 一部が焦土と化したニスフィム連峰のその麓で4人の冒険者たちと2人の傭兵、そして1匹のドラゴンが向かい合っていた。

 

「今回の嵐狼の討伐ありがとうございました。これで国に被害が出ることも無いと思う。契約金の方も約束通り払わせて貰う」

 

「了解、契約金はこの商業組合の口座に振り込んでおいてくれ」

 

「分かった」

 

「んじゃ、俺達は帰らせてもらうよ」

 

「あ、あのっ!」

 

 そう言ってオルドとメテオラはソルの背中に乗ろうとしようとしたらリタに呼び止められた。オルドとメテオラは不思議に思って振り向き、リタの方を見た。

 

「2人はこの国に来る気は無い? 来てくれたら良い待遇を受けられると約束する」

 

 勧誘を受けた2人は互いに顔を見合わせるとフッと笑った。

 

「俺はアキリィア傭兵団から離れるつもりはないから遠慮させて貰うよ」

 

「メテ……んんっ、私も同じ意見です」

 

「そっか」

 

 その言葉を聞いたリタはそう返事されるだろうことは予感していた。

 

「それじゃあまた縁が有ったら依頼でもしてくれ」

 

 オルドはそう言い放ち、今度こそソルの背中にメテオラと一緒に乗って空の彼方へと消え去って行った。

 

 リタは彼らが消えた空を見てポツリと呟いた。

 

「それでも私は貴方のことを諦めきれない。必ず手に入れてみせる」

 




龍星:歩くクレーター製造ゴリラ。逃げようとしても一瞬で目の前に現れるゴリラムーブする。強い速い硬いの三拍子が揃ったクソゴリラ。なお団長はその遥か上をいく。今回の合体技は上手く決まったなと内心自画自賛してた。

殲光:超広域殲滅ウーマン。本来のスタイルは二丁魔銃スタイルでクソみたいな弾幕張ってくる。しかも上から雨のように降ってくる極大の閃光もある。数は力なのだよ。魔性持ちは当たれば大ダメージ必須なので魔性の存在にとってはクソゲーにしかならない。今回の合体技はもはや夫婦がなせる技だと思っていた。

嵐狼:圧倒的被害者。とち狂った思考で襲いかかってくるゴリラ共に為す術なくぶちのめされた。1対1ならそこそこ戦えたがタッグ組んだゴリラには何も出来なかった。こんな酷いことってある?

リタ:?????

くぅ~疲れましたw これにて番外編完結です!(以下略)

次回からは本編進めます。ついでに言えばレインちゃんの闇堕ちの章になります。いやあ、これから収穫の時期ですよ。楽しみです。

それじゃあ、さよならー(失踪)

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