乙女ゲー主人公はヤンデレでした   作:でち公

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ある程度設定を吐き出さなくちゃ続きかけるものも書けないなと気づいたので初投稿です


第2話 オルド視点

 おかしい、そう思わずにはいられなかった。Theモブと言わんばかりの無難な自己紹介をしたはずだ。同業者の傭兵仲間からは猫かぶりすぎだろと笑われまくった完璧な自己紹介をしたはずだ。実際クラスのほとんどの奴らは大した反応はしていない。5人の男達もそうだ。

 

 なのに何故、何故あの女は、水の聖女は瞬き1つせず目ん玉かっ開いて此方を凝視しているのか。えっ、怖っ! 薄く笑ってるのも何で? ほんと怖いんだけど。

 

「それじゃあオルドの席は━━━━━」

 

 そんな聖女の様子に戸惑っていると担任が俺の席を何処にするかと考えていた。出来れば聖女の位置から遠く離れた場所でお願いします! なんか聖女の横が不自然に空いてるけど他にも席は空いてるから聖女の横だけはご勘弁を! なんなら聖女の横じゃなければ立っててもいいから! 

 

「先生、私の横が空いています」

 

 そう言って薄く微笑んで手を垂直に挙げつつも妙に圧を発する聖女。

 

 やめっ、やめろぉぉおお!! お前の横だけは絶対嫌だぞ! 見ろよほら、例の五人衆が凄い目でこっち睨んでるんじゃが!? 俺達の聖女に近づくのかおぉん? 見たいなヤンキーもびっくりガン飛ばして来てるんだが!? けど1番怖いのはお前だよ聖女! 担任に話しかけてるのに目線だけはずっと俺にやってるのは怖いわっ! えっ何? お前俺の何を見てんの!? 

 

「や、だがなあ━━━━━」

 

 おっ、いいぞ。その調子で断ってしまえ。聖女の横とか厄介事しか運ばないだろうからな。ふふ、すまないな聖女よ。モブはモブらしく影に徹するのだ。断じてお前の横とかいう強烈に光り輝く場所には行かない。我らが担任は絶対に聖女の圧なんかに負けないんだから! 

 

「先生、私の横が、空いています」

 

「お、おう。じゃあそこで……」

 

 聖女の圧には勝てなかったよ……。

 

 仕方が無いので指定された席に向かっていく。席に近づくにつれて深まる聖女の笑み、五人衆からの高まる殺気。そして他の人達からの嫉妬混じりの視線。

 

 もしかして今日は俺の命日なんだろうか? やだぞこんなクソくだらないことで死ぬなんて。

 

 観念して着席すると同時に聖女が話しかけてきた。

 

「これからよろしくね、オルド」

 

 そう言って手を差し出してくる聖女。握手しろということなのだろうか。握手しても大丈夫なのだろうか。手を握り潰したりされない? しかし、ここで握手をしないというのは悪手でしかない。自分モブじゃないですと自己申告してるようなものだ。ここはモブらしく笑顔で握手だっ。……駄目だ、表情筋が仕事しねえ! 笑顔になれねえ! 傭兵業ではポーカーフェイスが大事だったから仕方ないね。仕方ないので笑顔を諦めて差し出された手を握る。

 

「ええ、これからよろしくお願いします。えっと……」

 

「あ、ごめんね? 私はレイン・ローレライっていうの。レインって呼んで欲しいな」

 

 知ってます、とは言えまい。一応初対面だし知らないふりをしとかなければ。

 

「分かりました、レイン」

 

「━━っ!」

 

 ん、今身体を震わせたか? 寒い……という訳では無いだろう。じゃあ一体何故……? そう思い首を傾げた後視線だけで周りを見渡すと身体を震わせた理由が分かった。

 

 五人衆の顔怖っ! 

 

 鬼の形相と言っても差し支えないくらい歪んでる。元々が整っているため怒った時の顔は尚更怖いというものだ。こんな顔みたらそら震えますわ。でももっと震えたいのはその視線を浴びてる俺ですけどね。この顔休み時間になったら連れ出されますねこれは……。まあ、好きな女の子が他の男と喋ってるのを見たらムカつく……みたいな気持ちなのか?

 

 あれ? 俺、自己紹介して握手しただけだよな? 俺何も悪くなくない? えっ、ありえないんですけど! 

 

「それじゃあ転入生への質問……といきたいところだが、この後は戦闘訓練だから質問は休み時間にしといてくれ。それと今回の戦闘訓練はペアで行う。適当にペアを組んだら第1訓練所に集合しろよ」

 

 そういうと担任はさっさとクラスから出ていった。この担任、今ペアを組めと申したか? 俺、転入したばかりだから友達1人もいないんですけど! あれか、担任と組めということか。

 

 どうすっかなと思っていると五人衆が此方に寄ってきた。……正確に言うと聖女の方にだが。まあ、聖女と組みたいのだろう。俺は応援するぜっ! だから俺と聖女とペアだけは勘弁な! 

 

「レイン! 俺と一緒に━━━━」

 

「オルド、ペアになろっ!」

 

 いの一番に声を掛けたこの国の王子、アルベール・ヌダム・オルティス。ええい、長い上にまだるこっしいな。王子1号の声に被せるように発言する聖女。そして固まる五人衆。

 

 あっ、これあれじゃな? また俺が睨まれるんだな? 

 

「ま、待ってくれ。レインはその男と組むのか?」

 

 最も早く再起動した王子1号がそう聞くと聖女は誰もが見惚れるような笑みを浮かべて答えた。

 

「そのつもりだよ、オルティスくん。だってオルドはこの学園に来たばかりでペアを組む人はいないと思うから」

 

「なら、俺がそいつと組むよ。それならレインが組む必要は無いだろう?」

 

 そう言って聖女に待ったをかけるのは騎士団団長の息子、クロヴィス・ファリナッチ・ヴァンだった。

 

 いいぞ! 俺もこいつとは組みたいとは思わないからな! ただでさえ今ヘイトが集まりまくってるのに更に集めてたまるかっ! ありがとうな、公式では熱血男と呼ばれてた騎士団団長の息子! お前はホント良い奴だ! 

 

「ダメに決まってるでしょ。だってヴァンくんと組んだら怪我するかもしれないじゃない。それなら回復もできる私の方がいいと思うの。それに私は学級委員長でもあるしね。だからオルドと組もうと思うのだけれど……ダメ、かな?」

 

「うぐっ、ああ、分かった俺は別にそれでいい」

 

 お前はホント駄目なやつだ! 上目遣いで陥落してんじゃねえよ熱血男! 他の奴らは……駄目だクソが! 他の奴らも陥落してやがる。レインがそこまで言うならって、そんな雰囲気醸し出して引き下がりやがった。諦めんなよっ! 

 

「それじゃあ、一緒に頑張ろうねオルド!」

 

「えっ、ああ、頑張りましょうね……?」

 

 物凄い上機嫌な様子で満面の笑みを浮かべる聖女に俺は何も言えなかった。ここで断ろうものなら色んな意味で死んでしまう。結局の所嫌々、本当に嫌々ながら聖女とペアを組むことになった。

 

 ちくしょう!! 

 

 

 

 

 

 

「おーし、全員着替えて集まったなー?」

 

 着替えてきましたよ、視線やばかったけどなっ! 着替えてる最中にビシビシと感じる視線。視線が実体化していたら串刺しになっていただろうことは想像に固くないほどだった。その中にやたらねっとりとした視線も感じとれた。……ここでもケツを守らなくちゃいけないのかあ……。嘘だと言ってよバーニィ! 

 

「そんじゃ、お前たち2年の担任となるクロード・ベルコだ。主に戦闘訓練を担当している。ビシバシ鍛えてやるから覚悟しとけー」

 

 気だるげにそう言う無精髭が生えた男は先程聖女の圧に負けた人だった。そっかあ、この人が戦闘訓練担当か。

 

 結構、というよりかなり強いとみた。

 

 流石はリバドレード王国最高峰と呼ばれるファルマス学園。こんなに上質な先生を用意しているとは。今度一戦交えて貰えないだろうか。とても楽しめそうだ。

 

「そんじゃペア同士組んで念入りストレッチしとけよ。今回は魔法無しの組手をするからな」

 

 そうかそうか組手か。……組手? 聖女と? 嘘でしょ。やばいって聖女と組手はまずい。しかも魔法なし。つまりは肉弾戦のみ。

 

 俺、男、聖女、女。

 

 迂闊に攻撃出来ねええええ!! 変なとこに当ててしまってでもみろ、五人衆からの処刑待ったなしだぞ!? それ所かクラス中から白い目で見られること間違いなしだ。イカン、これはイカンですよ。

 

「すみませんクロード先生」

 

「お、なんだ転入生」

 

「私の相手はレインさんなのですが、組手は拙いのではないでしょうか」

 

「お前は戦場で女と戦うことになったら戦わねーのか?」

 

 はい、正論ですね。戦場だと迷ったやつから死んでいくもんね。そら、戦場なら躊躇いなく殺しに行くけども! 

 

 ここ! 学園! でしょうがっ!! 

 

 今後の学園生活に支障を来すんだっつーの! 考えてもみろ! 五人衆に加えてクラス全員から慕われてそうな奴に怪我なんかさせてしまったら俺の学園生活が灰色になるっつーの! 

 

「おい、お前ら一応言っとくが相手が女でも適当にやろうとすんなよ。俺の戦闘訓練は生温くはないからな。それに怪我をしてもこの学園にゃ優秀な回復術士もいる。安心して潰し合え」

 

 PTAがあったら大問題になりそうな発言だぁ……。

 

「そんじゃ一発目は……決めた。オルドとレインペアで戦え。レインの実力は既に知ってるが、オルドの実力は知らねえからな。ルールは闘技台の上の白線から外に叩き出すか、気絶、もしくは参ったというまでだ」

 

 はい、クソー! 初戦からかよ! 

 

 クロード先生に言われたのでストレッチをしてから仕方なく前に出て構えを取る。同じく目の前に立ち構える聖女。その顔はなんとも楽しそうなそれでいて嬉しそうな顔をしていた。

 

「よーし! 私負けないからねっ!」

 

「ええ、此方も負けないように頑張りますね」

 

 ああ本当に嫌だ。こいつとだけは戦いたくなかった。

 

 だってコイツ━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、いくよっ!」

 

 ━━━━━加減なんて出来ないレベルで強そうなんだよなっ! 

 

 そう思うと同時にバゴンッと聖女の足元の床が粉砕すると共に一息で5mはあった間合いを詰めてきた。そしてそのままスピードを乗せたハイキックが俺の側頭部を狙う。

 

 それを体勢を後ろ向きに逸らすことで回避する。

 

(足払いか……)

 

 続けて聖女はハイキックからのスピードを落とすことなく足払いへと繋げていく。恐らく体勢を逸らしたことで不安定になった重心を支持基底面の外に出すことで転倒させることが目的なのだろう。それをバク転する事で回避。

 

 だが顔を上げた時には目の前で掌底を放っていた聖女の姿が見えた。逸らすのは間に合わない。ならばそれを首を横に傾けることでギリギリで躱すと同時に後方へ跳躍することで距離をとる。

 

 本当に強いなこいつ……! 

 

 そんなことを思いつつも追撃をしてこない聖女に内心首を傾げながらも聖女の方を見る。

 

「あはっ、やっぱり思った通りだぁ」

 

 思わずゾクッとしてしまった。そこには喜色満面と言わんばかりの恍惚とした表情を浮かべた聖女がいた。

 

「オルドは強いねぇ。多分格闘術だけなら私と同格……いや、もしかしたらそれ以上なのかな? えへへ、ね、オルド」

 

 今度は先程より断然速い踏み込みによる間合い潰し。加えてその速度を乗せた貫手を放ってきた。

 

「本気で、戦おう(ヤろう)?」

 

 ああ、ホント最悪だ。ここまで強いんじゃ、否が応でも『スイッチ』が入ってしまう。いや、もう入ってしまったか。このゴリラ聖女め、恨むぞ。

 

「ハッ、上等」

 

 聖女が放った貫手に軽く手を添え、力の向きを変える。すると大きく逸れたため聖女の懐がガラ空きとなる。そこに間髪を容れずに拳を叩き込む。聖女は大きく飛んでいき、着地すると共にガリガリと床を削りながら強引に止まる。

 

 ━━━━━白線は超えていないか……。

 

 殴った時の感触からしてダメージは少ない。恐らく大きく後方に飛ぶことで衝撃を逃したのだろう。

 

「えへへ、嬉しいなぁ。私相手に手加減しないで戦ってくれるなんて」

 

 寧ろ恍惚とした表情を浮かべながら此方に歩み寄ってくる聖女。マゾかよと叫びたくなってしまう。

 

 聖女が間合いを詰めようと踏み出した瞬間、それよりも速く俺が間合いを潰し接近する。聖女はそれに驚きつつも掌底を繰り出す。轟ッと空気を裂くような音ともに繰り出された掌底の勢いを利用して聖女の手首を掴み、空へと勢いよく放り投げる。

 

 そして投げ出された聖女の腹部に蹴りをぶち込んだ。

 

「空中なら魔法を使わない限り勢いは消せねぇだろ? そんでもって━━━━━」

 

 だが、流石は魔王を倒したと言うべきか。蹴りを入れた瞬間には腕をクロスさせ、腹部をガードしていた。

 

 勢いよく吹っ飛んだ聖女だったが、空中で体勢を整えて綺麗に着地する。だが━━━━━

 

「俺の勝ち、ってな」

 

 聖女が着地したのは白線より外側だった。

 

「勝者オルド! 勝負を終えた二人は別の闘技台で訓練するか、他の奴らの見学をしてもいいぞ」

 

 あー、ホント強いわこの聖女。格闘術だけでコレだもんなぁ……。これにあの能力が合わさるとか敵からすりゃクソゲーもんだな。つくづく敵には回したくないものだ。魔法無しの組手で良かったわ。あったら絶対負けてた。

 

 そんなことを思いつつも吹っ飛んで行った聖女の元へと駆け寄り手を差し伸べる。終わった後の握手ってやつだな。

 

 だが、聖女は差し出した手を見ずに俯いてふるふると震えていた。

 

 えっ、もしかして痛すぎたか? や、そりゃ加減なんてしてなかったけども。えっ、泣くのかこれ? やばい、泣かれたら俺がし━━━━━

 

「凄い凄い! オルド本当に凄い!」

 

 ━━━━━ほげええええええ!!! 

 

 ドゴォッという音でも付きそうなほどの強烈なタックルを腹部にもらい大きく吹き飛んだ。そしてそのままの流れで俺の腹部の上にマウンティングをとった聖女は何とも嬉しそうにはしゃいでいた。

 

「私これでも学生の中では格闘戦で負けたこと無かったのに! それに私の知らない技が沢山あった! えへへ、ね、私にどんな技なのかじっくり教えて欲しいな。それこそ手取り足取り……ね? って、あれ?」

 

 ふぐぅ……やはりゴリラの聖女だったか……!




じゃあ続き書いてくれよ! 楽しみに待ってるからな!

おるどくん:正体現したね? ガチると元の口調に戻る。

れいんちゃん:やっぱりゴリラの系譜に名を連ねてた。格闘術もヤバいやつだった。パワー系ヤンデレ。

くろーどせんせい:こいつらやばくない?

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