乙女ゲー主人公はヤンデレでした   作:でち公

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日刊1位になっていましてお紅茶を吹きましたわゾ〜(お嬢様)

日刊1位になったしこの設定が広まって書いてくれる人が増えることですわ! 増えますわね? 増えますわ! 増えなさい! 増えましたわ(確信)

それから誤字脱字報告の方感謝です(正気)

それはそうと初投稿ですわ(お嬢様)


第3話 オルド視点

 なんかついノリと勢いで勝っちまったけど俺は負けるべきじゃなかったんだろうか。

 

 そんなことを思いながら俺は目の前の現実から逃避を試みていた。

 

「ねぇ、オルド。さっきの私の貫手を逸らした技のやり方がやっぱり分からなくて……。もうちょっと詳しく教えて欲しいな」

 

 そう言いながらグイグイとクッソスタイルのいい身体を俺に押し付けてくる。特にグイグイと押し付けられる胸がやばい。凄いやばい。なにがやばいかってそれを濁った目で見てくる五人衆がやばい。やばいしか言ってないな俺。

 

 このおっぱいで聖女は無理でしょ。

 

 前世で散々ネットで言われていたことを思い出した。ワイトもそう思います。

 

「えっと、こんな感じで力の向きを考えてやるとやりやすいかと……」

 

 グイグイと体を押し付けてくる聖女から少し距離をとって実例を見せてみる。聖女は俺の真似をしてみるが上手くいかないのか首を捻る。

 

「うーんやっぱり上手く出来ないなぁ……」

 

 そりゃすぐに出来たら天才でしかないわ。……あれ? この聖女って確か設定の方だと……。

 

「あ、そうだ!」

 

 何かを思いついたように手をポンと叩く聖女によって思考が中断された。なにか凄い嫌な予感がする。そう、具体的に言うなら五人衆と他の生徒から嫉妬の嵐が来そうな……。

 

「ね、オルド。私の身体を使って教えて欲しいな」

 

 そう言って聖女は俺の懐に入り込むと先程よりも密着して俺の手を握ってきた。そして身長の関係から聖女は俺を見上げながらお願いをしてきた。

 

 時に聖女の運動服はどんなものか知っているだろうか? 

 

 ノースリーブの胸元が強調されるような上着に尋常じゃないローライズで丈がクソ短いズボン。

 

 簡単に言うとタンクトップにホットパンツという思春期の男を前屈みにさせてしまう事間違いなしな服装をしている。お前本当に聖女? 

 

 そんな服装をしている巨乳な聖女が上を見上げるととんでもない事になる。具体的に言うなら上を見上げる関係上胸を張るので胸がすごい強調される。その上タンクトップなのでより一層強調される。

 

 さてここで今の俺と聖女の位置を思い出していただきたい。

 

 俺の懐に入って過剰なまでに体を押し付けている聖女と手を握られている俺。詰まるところ背後から抱きしめているような状態になる。

 

 その状態で聖女が俺を見上げたら? 

 

 答えは簡単━━━━━

 

 

 

 ━━━━━絶景が広がる。

 

 逃げようと思っても手を握られているせいで逃げることすら出来ない。なんだろう、逃がさないという意志を感じるようだ。

 

 視界は天国、気配は地獄。これなーんだ? 

 

 ━━━━━今の俺の状態です……。

 

 肝が冷えるような嫉妬と殺気の嵐が俺に降り注ぐ。これには俺も思わず苦笑い。この後俺は殺されるんではなかろうか。

 

「? オルドどうしたの?」

 

「え、ああいやなんでもないですよ。えっとですね、ここをこうして……」

 

 苦笑していた俺の方を見て怪訝に思ったのかどうしたのか尋ねてきた聖女になんでもないと誤魔化してササッと教えることですぐに聖女から離れられるように画策する。

 

 聖女の手を取って力の加え方や流し方を聖女の体を通して体感させる。

 

「あ、こういう感じなんだ」

 

 聖女はなるほどと言った感じで先程俺が動かした動作を完璧に再現してみせた。

 

 ウッソだろお前。たった1回体感させただけで先程俺が動かしたのと同じように出来てしまった。その事実に冷や汗をかく。

 

 ゲームの方の設定ではこの聖女、歴代水の聖女の中でも最強と呼ばれている。その強さは歴代の水の聖女を纏めて相手しても勝ててしまうと言われている。というか、実際に何かしらのイベントで歴代の水の聖女を打倒するイベントがあるのだが、この聖女はあろうことか単騎で突破してしまうのだ。その上この聖女、1度理解してしまえばそれが何であろうと扱えるという馬鹿げた才能がある。もうお前一人でいいんじゃないかな。

 

 なろう聖女だの揶揄されていたが、その才能の片鱗を見て改めてそのチートっぷりを実感してしまう。

 

 今はまだ力の流し方や見切り方も俺の方が圧倒的に上だ。だが、いずれ越されるだろう。まあ、こいつにだけは負けたくないので追い越されないように鍛錬をするが。

 

「すごいですね! その動きであってますよ!」

 

「えへへ、オルドの教え方が上手だったからだよ」

 

 お前の才能がヤバかったからだと思うんですけど。そんな考えを他所に此方へとズカズカと歩いてくる五人衆の姿があった。

 

「アシュワース、いくら何でも彼女に引っ付きすぎじゃないか?」

 

「そうですよ、いくらなんでも教える為とはいえレインに引っ付きすぎです」

 

 そう言ってくるのは王子1号にその付き人、宰相の息子であるケヴィン・デュテルトル・ルブランだった。公式ではメガネのイケメンと呼ばれていたのでメガネで。

 

 せやな、俺もそう思う。でも聖女が手を離してくれないんです。しかも段々握ってる手に力が入り始めてるんですけど。

 

 あ、いやまてよ? こいつら使えば上手く聖女から離れてこいつらに聖女押し付ければ俺もハッピー、相手もハッピーでいい事尽くしなのでは? よしそうと決まれば早速実行だ。

 

「そ━━━━━」

 

「私がオルドにお願いしてるんだし、別に問題は無いよ」

 

 一言どころか一文字しか喋らせてもらえんかった……。

 

「そうは言うがいくらなんでも密着しすぎじゃね? さっさと離れるべきでしょ」

 

 財務大臣の息子、アンジェロ・ドゥ・ラフィットがそう言うと俺の手を握る力が更に強くなった。こいつは公式ではチャラ男と呼ばれていたのでチャラ男としよう。

 

「オルドが使ってる技を理解するためだよ。ただ見るだけじゃ分からなかったから仕方の無いことじゃないかな?」

 

「俺の親父に教えて貰ってた時はそんなに密着してなかっただろ?」

 

「騎士団長さんのはとても分かりやすかったからね。あれは見るだけで理解することが出来たんだ」

 

 熱血男も反論するが即座に潰されてしまった。

 

「ふむ、ですが貴方は女性、アシュワースさんは男性です。そんなにも密着するのはアシュワースさんを困らせてしまうのでは?」

 

 普通に言っては引かないと思ったのだろう。隣国の王子であるハンス・オーゲン・ディール、王子2号が別の方向から攻めてきた。そう言われると聖女は眉をへにょりと情けなくタレ下げて俺の方を見つめてきた。

 

「オルド、私迷惑かな?」

 

 そう言ってこちらを見つめてくる聖女の目は潤んでいた。なんだろうか、この状態ではいと頷いてしまうとこいつは絶対に泣くという謎の確信がある。しかも泣いたら拗ねて機嫌を元に戻すのにすごい大変な気もする。

 

「うん? 迷惑とまではいきませんが……」

 

 そんなことが頭によぎったためどっちつかずと言った返事をしてしまった。その返事を聞いた聖女は先ほどの泣きそうな顔から一転して花が咲くような笑顔になった。

 

「じゃあ何も問題はないよね! ほらほら、オルドもっと詳しく教えてよ」

 

 そういうや否やただでさえ密着していたのをさらにくっつき、握っていた手を絡ませ始めた。この聖女、ナチュラルに五人衆煽ってない? そのヘイト全部俺に来るんだけど? 

 

 そして当然の如く五人衆の顔は俺の事をまるで親の仇を見るような顔つきになっていた。なんでさ。

 

「レイン、ひとつ教えてくれ。アシュワースに密着しているのはアシュワースの格闘術が知りたいからなんだよな?」

 

「うん、そうだよオルティスくん」

 

「そうか、なら━━━━━」

 

 あ、これ駄目だなやつだ。クソ面倒くさいことが起きるやつだ。

 

「アシュワース、俺と戦ってくれないか?」

 

 うーんこの。まあ、好きな人と密着できるのならしたいよな。だからと言って普通王子が戦うか? や、そりゃ多少は格闘術は学んでるだろうけどさ。

 

 あ、そういやここ乙女ゲー世界か。なら是非もなし。確かゲームの方でも終盤は聖女単騎で魔王城行かない限りは五人衆もついて行ってたし、そこそこ強いだろ。

 

「別に構いませんが……」

 

「ありがとう。だが、ただ戦うというのもつまらないだろう? 1つ賭け事しないか?」

 

「賭け事ですか?」

 

「ああ、俺が勝ったら俺がレインに教える。お前が勝ったら俺のできる範囲で望むものを用意しよう」

 

 等価値じゃねえだろその賭け事。王族怖いわぁ。高々、聖女と密着したい為だけにそんなことする? ……するからこんな事やるのかぁ……。

 

 他の4人もその手があったかと言わんばかりの表情してるし……。

 

「オルティス様がそう仰るのであれば私からは何も申し上げる事はございません」

 

 勝っても負けてもwin-winだしな。ま、わざと負けりゃいいだろ。聖女を押し付けることが出来るのなら大歓迎だ。だが、その思考を読んだかのごとく王子1号はただし、と付け加えてきた。

 

「手を抜いてわざと負けることは許さない。互いに全力で戦うことに意味があるんだからな」

 

 マジ? その条件下だと絶対王子1号勝てねえだろ。パッと見ても鍛えちゃいるがさほど強いとは感じない。ゲームの方でも王子1号は魔道士よりのステしたしなぁ……。

 

 格闘術じゃ勝てないってのも分からねえのか? ……あーいや、この表情は違ぇなぁ。勝つ、それ以外の事なんて考えてねえ目だ。

 

 いいなぁこの王子1号。

 

 結局の所そこいらにいるぼんぼんと変わらねえのかと思ってたけどそういう表情も出来るんだな。

 

 これは俺も全力を出さねば失礼に当たるというものだ。王子1号に敬意を評して俺も全力を出すことを誓おう。

 

 

 

 

 

 

 ━━━━━負けるほうになあ! 

 

 当たり前だろ馬鹿野郎。聖女を押し付けることができる千載一遇の機会だぞ。こんなチャンスみすみす逃せるかっつーの! それに王族に下手な怪我をさせられないしなぁ。目をつけられた面倒なだけだ。

 

 ふふふ、傭兵団一の演技力を見せつける時が来たようだな。傭兵団の仲間からも認められたギャップが酷すぎて笑われるほどの演技を見せてやるぜ! 

 

 

 

 

 軽く身体を解してからレインの時と同じように互いに位置について構える。それにしても王子に対する歓声すげえな。それから聖女は俺の応援するのはやめような。是が非でも負けにいって聖女を押し付けねば。

 

「よし二人とも闘技台の上に上がったな? それじゃあ始めぇっ!」

 

 クロード先生が戦いの合図をする。

 

 よっしゃ、どっからでもかかってこい! 華麗にぶっ飛んでやるぜ! そんなことを思いながら構えて待つが王子1号は一向に近寄ってくることは無かった。何故……? そう思っていると王子1号は不敵に笑いだした。

 

「ふっふっふ、何故攻めてこないのかと不思議に思っているようだなアシュワース」

 

「ええ、まあ」

 

「お前は確かに強い。あのレインにも勝つほどだ。だが、俺はお前の攻略法を先程の戦いで見つけたぞ!」

 

「攻略法?」

 

 マジかよこの王子1号すげえな! 魔道士よりのステだったからINTも高かったし、そういう分析とかも得意なんだろうな。さて、どんな攻略法だ? 

 

「お前の攻略法、それは俺から攻撃しない事だ!」

 

「は?」

 

 は? 

 

「アシュワース、お前は先程の戦いはずっと受け身に回っていた。お前の得意とする戦法はカウンター戦法なのだろう。事実レインもお前のカウンターにより敗北していた。ならばこちらから攻撃しない限りはお前のカウンターは使えない!」

 

 どうだ! と言わんばかりのドヤ顔を晒す王子1号に俺は何も言えなかった。

 

 えぇ、そう考えちゃうのかあ……。

 

 確かにさっきの戦いは受けに回っていたけども……。しかしこの王子気づいてないんだろうか? 俺も攻撃に行かなかった場合、何の進展もしないということに。高いINTはどこに活用されたんですかね? 

 

 出来れば王子1号の攻撃を受けて華麗に吹っ飛びたかったんだが……。ま、それならそれでやりようはある。王子1号は言外にカウンターをすると言ってるようなもんだし、それに敢えて乗るとしよう。

 

 軽い攻撃を仕掛けてカウンターを受けることによって白線の外に吹っ飛ぶ。

 

 ふっ、我ながら完璧な作戦だ。

 

 さっきの戦いを分析してるんなら腹部の攻撃により警戒するだろうし、ここは腹部狙いでいきますかね。そこしか狙う部分がないからとも言うが。それに王子1号は魔道士よりのステにしては回避率は高い方だったから安心してやれるな! 

 

「そうですか、では此方から参ります」

 

 その言葉と共に王子1号でも反応出来るであろう速度で間合いを詰める。そして見え見えのテレフォンパンチを仕掛ける。さあ、何処からでもカウンターをしてこい! 俺の演技力を見せてやるぞぉ! 

 

 王子の腹部にパンチが届くまであと80cm。まだ何もしてこない。50cm。まだ何もしない。30cm。まだ何もしない。20cm。まだ何もしない。これ、大丈夫だよな……? 10cm。まだ何もしない。あ、ダメだこいつ! 反応出来てねえ! ちょっ、ま、もう止められな━━━━━

 

 そして威力だけは高いテレフォンパンチが王子1号の腹部に炸裂した。ぐふっ、と肺から空気が漏れる様な声とともに大きく吹っ飛びゴロゴロと地面を転がる王子1号。

 

 そしてそのまま白線の外に出てしまった。

 

 シーンとする場にやや気まずそうにクロード先生が決着の合図を告げた。

 

「あー、勝者オルド」

 

 わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! 

 

 ウッソだろお前ぇ! さっきの自信満々な表情は何だったんだよぉ!? そこそこ高いはずの回避率はどこにいった!? クリーンヒットしてんじゃねえよ! 

 

 頭を抱え込みたくなる衝動に駆られているオルドを他所に聖女はオルドが勝ったのを見て大いに喜んでいた。

 

 




いくら格闘術習ってるからと言っても現役傭兵のパンチをただの王子が避けられるわけないだろ! いい加減にしろ!

加害者:王子1号の腹をぶん殴ったやつ。打首不可避。

被害者:腹を殴られた人。そもそも普通に考えたら国の重要人物が敵の大将に殴り込み行くはずがない。え? 三国志? 戦国? 知らない子ですね(目そらし)。

性女:加害者が勝ったので大満足。これで文句言われることなく存分イチャつけると考えてる。

無言失踪

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