彼の対に。   作:コメット/セラム

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予告通り投稿!
国家試験無事終わりました〜。これで心おきなく書けます!


14話NGシーン

優「・・・ちょっと、起こして」

豪「おう」両足掴んでズザーッ

優「あばばばば!!??」

豪「疲れてるだろ?部室まで運んでやるよ」

優「地獄!?」




第15話 忠告

待ちに待った試合当日。

雷門イレブンは、対戦校の御影専修農業高校附属中学校に来ていた。

 

「・・・本当に農業の学校かよ」

 

「俺、トイレ行ってくるっス!」

 

「こんなところで試合できるなんて、俺楽しみです!」

 

大型のアンテナがいたるところに設置されており、グランドの整備具合も野生中とは大違い。

その光景を見て驚きを隠せない者、恐怖でトイレをせがむ者、経験したことないフィールドに心躍らせる者と様々だ。

 

「みんな、着替えてすぐアップにかかるぞ!」

 

「あれ?キャプテン、高良先輩は?」

 

「高良なら・・・ん?あいつ今どこいるんだ?」

 

「優梨なら、少し遅れるらしい。なんでも知り合いが来ているとか言ってたな」

 

「知り合いって、前来てた三兄弟か?」

 

「いや、あいつらも今日試合だ。違う奴だと思うが・・・」

 

 

優梨に、サッカー関係以外の友人がいただろうか。

 

 

別に貶しているとか、そういうことではない。

だが小学校の頃も、今いる中学校でも、彼女がサッカー部以外の生徒と話をしているところを、豪炎寺は見た試しがなかった。

遠方からの知人なら納得いくが。

 

「試合には間に合うだろ。高良はそういうやつだ」

 

「だな」

 

 

 

******************

 

 

 

「本当に、俺の提案を飲まないのか?」

 

御影専農校門前、私は鬼道くんと対面している。

昨日の練習で彼に出された案を、私は即行で却下した。

なぜか?確かに設備整ってるしレベルも高いし、より上を狙うなら帝国に行ったほうがいいだろう。

 

「うん。私、雷門のサッカーが好きだからさ。今はこのチームで優勝を狙いたいんだ」

 

「優勝とは、大きく出たな」

 

けど、雷門には帝国にはないポテンシャルを秘めている。先ほど言った、優勝を狙えるぐらいにすごい可能性を。

 

「おまえが入れば我が校の勝利は確実になる。そう断言できる実力を高良、おまえは持っているんだぞ?」

 

「あはは、そんな褒めても何も出ないよ。昨日はただ調子が良かっただけだろうし、君が望むような技術や力なんてわたしにはないよ」

 

それじゃあ試合あるから、と彼の横を通り過ぎようとして、

 

「技術目的というのは、建前だ」

 

私は足を止めた。

 

「・・・どういうこと?」

 

「雷門は円堂を起点とした全員で繋ぐチームサッカーだ。これまでの試合を見るに、実力不足を信頼関係で補っている。だが高良、おまえは違う。チームのために追力しているのは分かるが、それは試合に勝つためか?そのための努力か?」

 

「そ、そりゃそうでしょ」

 

「いいやそうじゃない」

 

彼は私の首肯を否定し、目前まで迫る。

 

「勝つ、負けるはおまえの中では二の次だ。第一に考えてるのは『役に立つこと』。皆のためでも自分のためでもない。考えてはいるだろうがそれさえも二の次、たった一人に自分という役割を注いでいる」

 

「・・・?」

 

どういうこと?私、結構自分勝手なところあるけど。

 

「言われた今でもまだ自覚はないだろう。だから、ここが分岐点だ。自身が気づいて破綻する前に、帝国に来い。雷門に原因があるならば、そこから遠ざけさえすれば自然にその考えも薄れる」

 

「い、いきなりそんなこと言われても困るよ。私は雷門が好きだし、離れたくない」

 

本心からの言葉を告げた。

今更何を言わせるつもりだ。私は、このチームで優勝したいんだ。

 

「・・・そうか。だが、今は成り立っているがこの先、何かがキッカケでどこかで躓き、浅くない傷を必ず作るぞ。ーーーもしかしたら」

 

今日の試合かもな。

 

そう言い残し、彼は観客席のある場所へ去っていった。

取り残された私は、

 

「私は、雷門が好き」

 

自分に、

 

「雷門のみんなが好き」

 

そう、

 

「ーーー修也くんが、好き」

 

言い聞かせ、グランドに向かう。

 

最後の囁きが、鬼道くんの言った破綻のピースだと知らずに。

 

 

 

******************

 

 

 

なぜ、ここまで彼女に固執するのだろうか。

会って間もない、他校の生徒に。

 

「で?どこからどこまでが建前なんだよ、鬼道クン」

 

鬼道を待っていたかのように、不動は壁に寄りかかりポケットに手を突っ込んでいた。

 

「聞いていたのか」

 

「そりゃもうバッチリと」

 

「・・・さぁな。思えば、途中からムキになっていた」

 

「アレ、捉え方によっては告白みたいだな!」

 

ケラケラと茶化す不動に、鬼道は何も言い返さない。

 

「・・・え、マジ?」

 

「そんなわけないだろう」

 

「いやでも、返答遅れてたし」

 

「考え事だ。なぜ俺はあそこまで執拗に忠告していたのか、とな」

 

帝国の仲間ならいざ知らず、敵になぜあのような事を言ったのだろうか。

 

「存外、惚れていたりするのか?俺は」

 

「聞いてる時点で無いと思う。ま、そんなことは置いといて、偵察いこうぜ〜」

 

話題をふったのは不動であろうに、彼は話を切り上げてゆっくりと観客席に向かう。追いながら、鬼道の頭にはとある光景が浮かんでいた。

高良優梨と、正面から話した時のこと。

雷門との練習試合、初めて言葉を交わした時。

 

『1点、決めるよ』

 

真っすぐに放った宣言と、蒼炎を纏って空を制する彼女の姿。

あの時は、体が動かなかった。

目に映る光景に、心を奪われた。

違う。光景ではない。高良優梨に、一瞬ではあるが感覚を支配されていた。

 

「もしかしたら俺は、あの芸術とも言える少女が壊れるのを、見たくないのかもしれないな」

 

「なぁんか言った〜?」

 

「いいや」

 

誰かが言った。芸術は爆発だと。

高良優梨を待ち受けているのは、華々しい栄光かバッドエンドか。

彼女の未来が絶望で染まらぬ事を、鬼道は純粋に願う。

 

試合が、始まるーーー。

 

 

 

******************

 

 

 

 

『間もなく、フットボールフロンティア二回戦、雷門中vs御影専農の試合が始まろうとしています!実況はお馴染み、角間圭太がお送りします!』

 

フォーメーション F-スリートップ

 

FW:高良、染岡、豪炎寺

 

MF:松風、半田、松野(マックス)

 

DF:風丸、栗松、壁山、土門

 

GK:円堂

 

ベンチ:宍戸、影野、少林、目金、菜花、剣城

 

こうして見るとウチも部員が増えたねぇ。

今までのフォーメーションはF-ベーシック、F-デスゾーン。どちらもツートップの陣形だ。

御影は私たちのこれまでの動きを全て掌握した上でこの試合臨んでくる。

なので、フォーメーションに多少ではあるが工夫を加えてみた。

4-4-2から4-3-3へ。

で、メインは勿論・・・、

 

「お、俺がスタメンですか!?」

 

御影にデータが無い、天馬くんをMFに起用することだ。

サイドバックの風丸くんが突破をはかるのが今まで。今日の試合はそれが読まれていた場合の戦法を考えておいた。

突破力、キープ力に優れた天馬くんを左サイドに配置すれば、データの無い選手ということもあって相手の戸惑いも増すはずだ。

 

「君のいる左サイドが攻略の鍵だね」

 

「俺にできるかな・・・」

 

「上手くしようとするなよ。楽しんでいけ」

 

「は、はい!」

 

うむうむ、元気があってよろしい。

勝負が劣勢になったらこれまたデータのない剣城くんと黄名子ちゃんを後半に投入すればいい。

 

「そういえば、向こうはどんなサッカーをするんだろうな」

 

「音無さん、データある?」

 

「シード校なので特には・・・。でも、三年の杉森威はGKになってから1点もゴールを決められたことがないらしいです」

 

「それならこっちにも、2試合連続無失点の男がいるだろうが」

 

染岡くんが円堂くんの背中を叩く。

チームの士気力向上を図ったんだね。

 

「ゴールは任せとけ!みんなは点、入れてくれよ?」

 

『おう!』

 

んじゃ、勝つとしますかね!

 

 

 

******************

 

 

 

「・・・」

 

「ぬぬぬ・・・」

 

私のポジションはFWだ。

始める前に敵と向かい合うのが一番近い場所にいる。

それすなわち、

 

「スキャンの結果が出た。おまえたちの勝つ確率が30%に上昇・・・エラーか?」

 

御影のエース、下鶴くんが目の前にいるということだよ!

 

「一応聞いとくけど、河川敷で会った時は?」

 

「0.796286%だ」

 

「喧嘩売ってるでしょキミッ!?」

 

「冗談だ」

 

この人冗談言えたんだ・・・。

 

「ついでに言うと、おまえの体重も5g程増加しているな」

 

「いらぬお節介だよ!?というか、一瞬で計測できるとかその機械なんなのさ!?」

 

「我ら御影の科学技術の結晶だ」

 

「答えになってなぁい・・・」

 

そもそも、試合で装着していいのかソレ。私が審判だったら全選手に警告だしてるぞ。

 

「・・・絶対負けない」

 

乙女のプライベートデータを公然で曝け出すセクハラ野郎に、天誅くれてやるっ。

え、誰が乙女だって?いるじゃんここにぃ!

 

 

 

******************

 

 

 

『ピィーーーーーーッ!!』

 

審判の笛で、雷門からキックオフ。

染岡くんが足でタッチし、修也くんが後ろにいる半田くんへボールを回した。

最初は中央を存分に使って攻めて・・・あれ?

 

「こ、こいつら動かないぞ!?」

 

驚きの声を上げる半田くん。

試合が始まったというのに、下鶴くんを含めた御影イレブンはその場から一歩も動こうとしない。

舐められてる?

 

「半田、動いてこないなら好都合だ!そのまま上がれェ!」

 

「お、おう!」

 

円堂くんの檄が飛び、応じて半田くんはドリブルを開始。

不気味なほど微動だにしない御影の選手の間をすり抜け、あっという間に相手陣地の半分を過ぎる。

 

『ディフェンスフォーメーション・γ3』

 

「ディフェンスフォーメーション・γ3、発動!」

 

「豪炎寺!」

 

やっと杉森さんがなんらかの指示を出した。

なんかの合言葉かな?

半田くんのパスを修也くんはトラップ。

そのまま前を向いて前進を試みるが・・・、

 

「なに!?」

 

すでに3人もの選手にマークされていた。

速っ!

 

「豪炎寺、中央だ!」

 

そちらの対応も早いけど、ウチの連携も甘く見てもらっては困る。

染岡くんがパスを要求し、危なげなく受け取った。

そしてシュート体制へ。

 

「ドラゴン・・・」

 

足を振り上げた直後、修也くんについていたマークが一斉にシュートコースへ殺到。

 

「クラッシュ!!」

 

蒼い光弾となって射出された竜の必殺技がゴールを襲う。

しかし、コースに入っている4人がシュートのサイドに攻撃を加えていく。

結果、通り抜けることはできたが威力は完全に削がれており、難なく杉森さんの腕の中にボールは収まった。

 

「なっ!?」

 

「君たちの行動パターンは、すでに予測済みだ。ーーーはッ!」

 

ゴールから前線へのロングパス。

受け取ったのはMFの山郷。

ディフェンスに栗松くんがついた。

 

「いかせないでヤンス!」

 

「邪魔だ」

 

「ぐあっ!?」

 

そんなのはお構いなしと言うように、栗松くんをタックルで躱す。

 

「栗松!・・・壁山、チェックだ!」

 

「はいっス!」

 

突き飛ばされた栗松くんに一瞬気を取られるが、状況が悪い。切り替えてすぐ、円堂くんは壁山くんに指示を飛ばした。

その壁山くんは山郷がパスを出すことで回避。

出した先には・・・、

 

「決める」

 

下鶴くんがいた。

ボールを真上へ上げ、飛翔。

 

「必殺技!?・・・え?」

 

何度も、幾度となくこの目で見てきた飛び方だった。

飛ぶタイミングも、回転の仕方も、・・・螺旋の炎も。

 

「ファイアトルネード!!」

 

「はっ!?」

 

打ち出されたシュート。

円堂くんが驚くのも無理はない。なぜなら、あれはウチのエースが、修也くんが最も得意とする必殺技なのだから。

 

「くっ・・・熱血パンチ!!」

 

ゴッドハンドは間に合わない。

ならば、自分の中で最速の技をぶつけた。

炎を纏った球と、熱を帯びた拳が激突。

 

(無駄だ。シュミレーションの結果、熱血パンチでファイアトルネードは止められな・・・)

 

「でりゃああああ!!」

 

バチィッ!!と快音が響き、円堂くんはゴールをセーブした。

 

「よっしゃあああああ!!!」

 

「・・・ッ、なんだと!?」

 

円堂くん咆哮。

流石の下鶴くんも、これには驚きを隠せない。

弾いたボールは土門くんへ。

 

「マックス!」

 

「ああ、半田!」

 

「よし・・・天馬!」

 

「はい!」

 

流れるようなダイレクトパス。お待ちかね、本日の目玉の天馬くんにボールが渡った。

御影は先程のシュートが止められて呆気にとられているのか、動きが鈍くなっている。

 

「いっくぞおおおお!!」

 

軽やかに、鮮やかに、向かってくる御影の選手を抜いていく。

 

『すごいすごい!松風、御影の選手を次々に躱す!とても一年生とは思えないプレイだ!』

 

「速い・・・ッ、データにない動きだ!」

 

「行かせるか!」

 

MF寺川が抜かれたところで、DFの花岡が止めに入る。

が、それも織り込み済みだったようで。

 

「そよかぜステップ!」

 

一迅の風が吹く。

風を纏い、名前の通りそよかぜのようなターンで天馬くんは相手を抜き去った。

 

「できた!」

 

「いけ、天馬!」

 

「持ち込むやんねー!」

 

ベンチにいる剣城くん、黄名子ちゃんからも声援が飛ぶ。

勢いづいたのか、走りにもキレが増した。

 

「高良先輩!」

 

「うん!」

 

私にパスが出された。

ここまで彼が運んでくれたボールを、無駄にはできない。

ペナルティエリア前、杉森さんと残った守備選手が構える。

 

「・・・」チラッ

 

視界の端にいる人物二人に目配せ。

すると、即行でOKが出た。

勿論、前線にいるのはあの彼らだ。

 

「染岡くん!」

 

「よし!」

 

ゴール真正面、絶好の位置にいる染岡くんへパスが通る。

 

『ドラゴンクラッシュの確率は・・・28.35%!』

 

「では、奴の狙いは・・・」

 

「豪炎寺いくぞッ!」

 

染岡くんの背後から、修也くんが躍り出た。

 

『ドラゴントルネードの確率、99.95%!』

 

「ドラゴン・・・!」

 

再び、蒼い竜が彼の足より放たれた。

ゴールへ向けてではなく・・・遥か上空へ。

同時に、修也くんが紅い炎と共に宙を舞う。

 

(豪炎寺と染岡の合体技か。ドラゴントルネードならば、シュートポケットで対応できる!)

 

杉森さんは多分、止められると思ってるんだろうな。ウチを研究してるのなら、ドラゴントルネードも読まれていることだろう。

ーーーでも、

 

「誰がいつ、修也くんが蹴ると言った?」

 

空振り。

あの豪炎寺修也が、ボールを空振った。

観客、御影イレブンに戦慄が走る。

 

 

 

なぜなら、私がバックトルネードの体制で飛翔しているのだから。

 

 

 

「・・・ッ!?」

 

こちとら少しイライラしてんの。

そちらに害虫呼ばわりされた挙句スリーサイズばらされたり、鬼道くんに意味わかんないこと言われたり、そちらに技を、あろうことか修也くんのファイアトルネードをパクられたりでもうプンプンなんだよ!

 

「トルネードッ!!」

 

「シュートポケッ・・・」

 

青い炎を帯び、更に濃い蒼へと変貌した竜が、ゴールを襲う。

対して杉森さんは必殺技を発動。自分を中心にエネルギーのシールドを張り、受け止めようとする。

私が狙ったのはゴール隅。しかも、私が担当するドラゴントルネードは威力より速さが増す。

 

「ト・・・!」

 

シールドを張り終える頃には、ボールはゴールラインを割っている。

 

1-0

 

「作戦」

 

「成功」

 

「だね」

 

シュートが決まったのを確認し、私たちFW陣はお互いを称え合うようにハイタッチをした。

 




優「え、何あの会話。私死ぬの?」

鬼「それらしい会話になってしまったな」

《技解説》

ドラゴントルネードb (シュート) 真系

威力:ドラゴントルネードの0.9倍

威力はオリジナルに及ばないものの、速度はこちらの方が上。
bは単純にブルーのbから。
誰もが予想していたであろう組み合わせ。そして書く前からやろうと思ってた合体技。

杏寿さん、ココアの魂さん、こんころ狐さん、ヨウヨウさん、壬生谷さん、ミウさん、こうにぃさん、wayさん、ダスクさん、お気に入り登録ありがとうございます!

アンケート、今日で集計終了とさせて頂きます。
ご協力ありがとうございました!

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