異世界来たので好きに生きる   作:鈴雛

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六話

鍛冶屋をあとにして微妙な気持ちのまま小道具屋に入る。

鍛冶屋から歩いて5分ほどの距離にある小道具は雑然としているが物はいい。

勿体ない店だとつくづく思う。

 

「小娘、来たのか」

 

そういって顔を出したドワーフの店主にまぁねとだけいう。

ここでは色々買うが主にポーション用の瓶を買っている。

叩きつけて割れるまでのラグがないものがいいというと鍛冶屋にこの店を紹介されたのだ。

品質もいいし店主の無愛想さも気に入ってここで物をかっている。

いつも通りに割れやすく扱いやすい瓶をまとめて買うと鞄にいれる。

そうするとカウンターに茶が一つだけ置かれる。

 

店主のじぃは既に飲んでるからこれは自分にだ。

ありがとうといって茶を飲む。

渋みと苦味が程よく甘みもあるいいお茶だ。

このお茶は、体調を整える為の薬である。

本人が知っているかは別としてこういう気遣いのある人だからこそこの店は潰れないし人がつくのだと思う。

 

お互い何も話さない静かな空気の中でのんびりと茶を飲む。

外の喧騒が遠くて落ち着く。

やはりこういう空間が1番すきだ。

 

「…」

 

じぃが黙ってカウンターに飴玉を置いてスタスタと奥に引っ込んでいった。

思わずぽかんとその後ろ姿を眺めてしまったがついでくすくすと笑ってしまう。

そんなに渋い顔をしていたのだろうか。

飴玉は酷く甘ったるくて虫歯になりそうだと思ったがやさしい味だった。

代わりに作ったマフィンを置いてまた来ると店奥にいうとコンコンとものを叩く音だけ帰ってきた。

素直じゃないじぃ様である。

 

気分が軽くなったし気持ちも落ち着いた。

そのまま肉屋でベーコンとバラ肉を買い市場で野菜も買って家に戻る。

鍵を開けて中に入ると点検をしてから荷物を下ろす。

すっかり暗くなった空にため息をついて風呂の準備とご飯の準備をする。

風呂場というより無理やりスペースを作った元洗濯場に置かれた猫足の木製風呂に水を貯めて火魔法で熱するとお風呂の完成だ。

まぁ冷まさないと入れないのでこのまましばらく放置。

その間に買ってきた野菜を1口大に切って鍋にぶち込み味付けたトマトペーストをぶち込んでスープの完成。

買ってきたばら肉を塩ネギと共に炒めて完成。

 

パンと一緒に食べて余ったスープは明日の朝と昼食にする。

手早く食べ終わると軽く本を読んで休憩し治癒ポーションをぶち込んだ風呂につかる。

この緩やかな時間も最高である。

しばらく風呂につかって出ると傷は綺麗に消えていた。

わりと高かった姿見に写った自分の姿はあまり変わった気はしない。

目と髪が藍色になり黄色人種特有の肌が真っ白になったくらいだ。

 

色々補整されているのかもしれないが向こうにいた時よりかなり痩せたからかガリガリに見える。

筋肉が付きにくいのは仕方ないがもう少し肉付きが良くならんかなぁと思う。

 

軽いストレッチをして本を読んでからベットに潜る。

外の喧騒が徐々に遠くなっていくこの静かな眠る時がとても好きだ。

うとうととそのまま寝れるくらいになってきた瞬間

 

ドンドンッと荒々しくドアを叩く音で目を開ける。

自分のところではなく隣だろうがガラの悪い声と叩く音がうるさい。

今日はもうトラブルはごめんだ。

何時だと思ってんだよ…そう思っていると

 

「うっせぇんじゃアホが!!!!

何時だと思ってんだよ、あ゛あ゛?!!」

 

という更にガラの悪い声が聞こえた。

自分の両隣やべぇなとしか思えん。

借金取りにおわれるヤツとガラの悪い男か…

ドアの近くまでいきそっと様子を伺うと金髪のヤンキーみたいなのとチンピラみたいのが二人いた。

金髪に怒鳴られ凄まれてビビり散らして逃げていくチンピラにお前らそれでその世界で生きてけんのか?と思った。

そのままベットに戻って微妙な気持ちのまま寝た。

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、なんとも言えない気分のまま起きると軽くストレッチして風呂に入る。

今日も二区ダンジョンに行って採取と討伐をやる予定なのだが…

 

『気分が乗らない…』

 

今週はそこそこ潜ったし今日位休んでも問題は無い。

魔道具を作るのは土日って決めてるし今日は木曜日…ダンジョン潜るか。

気分が乗らなかったら乗らなかったで街をぶらついて気分転換すればいい。

ほぼ10時間近く潜ってるし今日は早めに討伐終わらせて美味しいものでも食べよう。

 

ルーティンの武器整備を終わらせて外に出るとちょうど隣の金髪ヤンキーも外出する所だった。

気分がげんなりした。

 

「ん?おー、なんだお前だったのか」

 

ケラケラと笑う金髪ヤンキーはギルドでよく見るヤツだった。

確か星三の双剣士だったはずだ。

腰に下げられた二本の剣と背負い袋以外は何も持ってない姿にすぐ死にそうだと思って名前とか覚えなかったんだよな。

 

「昨日真夜中に変なチンピラ来てたぞ?

お前の知り合いかなんか?」

 

『そんな訳あるか』

 

吐き捨てるように言えばケラケラと明るく笑うこの男が苦手だ。

陰キャは陽キャが苦手なのってこういう無遠慮差だと私は思う(偏見)

さっさと通ってしまおう思うと目の前のドアがすごい勢いで開いた。

 

 


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