素直になれない私のロマンス   作:huuuuuuum

15 / 15
メッチャ久々になりましたすみません。
おそらく後2〜3話ですね。
それ描き切ったらもう一本のやつ進めようと思います。

っていうか十三話の人気っぷりすごいですね笑


私、負けず嫌いで、根に持つ女なんです。

比企谷家。

 

何の変哲も無い日曜の午前中。

まあ、とは言ってももうすぐ11時になろうとしている訳であって、ほとんど昼と言ってもいいこの時間帯には、いつもなら俺がプリティでキュアッキュアなアニメを何回も見直して迸る感情を全開にさせている時間なはずだった。

 

だが、本来ならそんな平穏が約束されたはずのこの空間には、もはや毎週恒例の優しい時空は存在していない。

 

 

 

轟く雷鳴。(近くの工事現場で解体してる音。実際のお外は快晴です。)

 

どこからか聞こえてくる不気味な男のたちの呪詛(つけっぱにしてるテレビの情報番組)

 

突然聞こえてくる正体不明の轟音(うちのボロ洗濯機が仕事してる音)

 

獣の大きい叫び声(カマクラがこの場から走って逃げ出した)

 

 

 

 

普段の生活で慣れ親しんだ音がこんなにも違ったものに聞こえてしまう。

 

そんな、混沌とした恐ろしい雰囲気を創り出してしまった二人というのが……

 

 

 

「お邪魔していますお母様。改めて、私、八幡と”結婚前提の男女のお付き合い”をさせて頂いています。雪ノ下雪乃と申します。先日は、大変、お世話になりました。」

 

「……へぇ……私としてはあんまりお世話できた気はしなかったんだけど、まあ、改めて、そこにいるボンクラ八幡の母の比企谷真美です。お久しぶりね雪乃さん。」

 

 

 

 

目から戦闘意欲が迸る我が最愛のパートナーと、ソファに踏ん反り返って座っている我が家の頂点にして帝王、又の名を俺の母ちゃんだった……。

 

 

 

 

「ね、ねえ……ボンクラ八幡っ……お母さんと雪乃さんのこと止めてよ!……もう小町にはどうも出来ないよこの人たち。」

 

 

 

 

小町ちゃん、君に無理な事お兄ちゃんになんとかなんて出来る訳ないでしょ? あとボンクラ八幡ってなんだよ2人とも。

 

 

------------------

 

今日は12時には留美、川崎、一色、由比ヶ浜がここに来る事になっている。

ただその前に雪乃が少し母ちゃんと話しておきたいことがあると言うので、1時間ほど早めに雪乃をうちに連れてきた訳なのだが……

 

「まあそんな怖い顔しないでよ雪乃さん。リラックスリラックス。ほら、みかん食べる? 美味しいよこれ、はい。」

 

「……いただきます。それはそうと……まずはお義母様には、八幡との関係についてご報告させていただければと思います。私は、八幡と生涯を添い遂げるパートナーになりました。これからは末永く彼と支え合って生きていこうと思います。」

 

 

 

 

 

 

は?

 

 

 

 

 

 

 

俺と小町は同時に吹き出してしまった。

小町が狼狽え、なんだか驚いているんだか笑っているんだか分からない面白い顔をしている。

 

 

 

「い、あやあやあやえ、うえぇ!! ゆ、ゆきのさんっ!? あ、いや、お兄ちゃんこれ一体全体どういう事なの!? もう小町訳がわからないよナニコレどうなってるの説明して!!?? 」

 

 

 

 

……あ〜、まあ無理もない。

 

そういえば、まだ小町には付き合い始めたことすらちゃんと報告してなかったからな……まあそれ自体は多分もうバレてたんだろうが、流石に生涯がどうとかを、雪乃がいきなり相手の親に言うなんて想像できる訳がないだろう。つーか生涯を添い遂げるウンヌンとかは俺も聞いてないんですけどね。

 

……別に、否定する気もないが……。

 

まあとりあえず、俺の胸ぐらを両手で掴んで振り回している冷静さを無くした我が妹を、ここは兄として落ち着かせることに集中しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おおおおおおちちゅけ小町! あれだ、何でもいいから数字を数えるんだ。そうすれば少しは多分冷静さも戻ってくるからそうだから。2.4.8..16.32.64.128……」

 

「……いやお兄ちゃんの方が落ち着きなよ。なんかお兄ちゃん見たら逆に小町冷静になっちゃったよ……っていうか普通素数を数えるんじゃないの? 二乗の数小町に数えさせてどうするのさ」

 

 

 

 

 

 

はい。流石俺の妹と言ったところだろうか。腐った目をした小町に逆に心配されました。

とはいえ、結果的には荒ぶる妹をすぐに冷静にさせることに成功。ちょっとだけ妹の目線が冷静すぎるような気もしないでもないが、まあ敢えて触れないのが俺だ。メンタルヘルスって結構大事。

 

そんな小町と俺を尻目に、目の前の暴走機関車ゆきのんと我が家のエンペラーは会話を続ける。

 

「後々、正式に御義母様と呼ばせていただくことになる訳ですし、嫁姑問題としてこれからずっと引きずっていきたくはないので……ここで、言いたいことは全て詳らかに言わせていただきます。」

 

 

あ、多分俺、今白目剥いてる。間違いない。

 

 

「ちょ、、、ちょっと雪乃さん? あの……もうちょっとほら……落ち着いたりなんかしたりしちゃったり……」

 

「小町さん。心配してくれているのね、ありがとう。流石未来の私の義妹、優しいわね。ええ大丈夫よ。私は冷静に言っているの。心配しないで任せてくれればいいわ。」

 

「私は何を雪乃さんに任せればいいんですかっ!? っていうか何する気なんですか!? 」

 

「まあまあ小町。ほらみかんでも食べて落ち着きな? これ多分甘くて美味しいよ。」

 

「おかあさん! なんでそんなにどっぷり構えてるの!? とりあえず息子の彼女さんが来てるんだからもっとちゃんとしてよ! 」

 

「パジャマじゃないだけマシでしょ? 」

 

「それは最低限だよこのズボラ母っ! 」

 

 

小町の必死の叫びも何のその、麦茶を一気に飲み干したエンペラーは、氷の女王にまた相対し直した。

 

 

「まあまあ、雪乃さんもやっと素になって話してくれてるみたいだから、ちょっと嬉しくってさ。それでさ、雪乃さんは何を私に話しに来てくれたのかな? それともさっきので終わり? 」

 

空気が変わる。窓から照りつける日差しが雲に隠れたのか、さっきまでの暖かい雰囲気がなくなった。

 

「あの時に言えなかったこと。いえ、私が今言うべきだと思うことをお伝えしに伺いました。」

 

「うん。何かな? 」

 

「私は……あなたの事が絶望的に苦手です。訳がわからないし、なんだか八幡と小町さんとうちの姉を足して3で割って、またうちの姉を足したような人を相手にしている気分になります。」

 

もしもし? それだいぶ陽乃さんになってしまっていますよ雪乃さん。八幡的に恐ろしくてポイント低い。

 

「あら、私陽乃に似てたの? あんなに私優しい人じゃないわよ? 」

 

え? 母ちゃんからみたら陽乃さんって優しい人なの? っていうか陽乃さんと知り合いだったの?

 

「ハァ……そういうところです。少しは普通の感性を持って下さい。」

 

なんなんだよこの空間。安定しているのか、何か一つで爆発してしまうのか……何が起こるのかが予想できねえ。

……洗濯機の音がさっきからうるさい。ガタンガタンと暴れているのがよく分かる轟音。普段なら全く気にしないのだが、今だけは黙って欲しくて仕方がない。

いや、この状況でシーンと静かだったらそれはそれでキツイけどさ。

 

 

「……まあいいけど、雪乃さん私のこと苦手って言うけどそれ、女の子の言葉じゃ嫌いって意味なんだけどさ。普通彼氏の母親にいきなりそんなこと言っていいのかな? 」

 

あ、威圧が増した。やばい、こわい。

 

「いえ、苦手なだけです。私は一般の女子高生とは離れた価値基準を持っていると自負していますから、その嫌いという意味は当てはまりません。」

 

「ふうん。……じゃあ、それを私に言った意味は? 」

 

 

 

 

 

少しの間が開く。

母ちゃんの目から自らの目を離すことなく、雪乃は口を開いた。

 

 

 

「……私は、本当は特に海に対して特別に好きなどの感情はありませんし、確かに小町さんには沢山お世話になりましたが、八幡にはお世話になるどころか9:1の割合で逆にお世話をすることになると思います。八幡の事を尊敬しているのは本当の事ですが、私が彼のお荷物になるなど太陽が西から昇るくらいあり得ません。……まずはこれがあの時思った私の素直な気持ちです。」

 

 

 

そこまで雪乃は言ってから、またゆっくりと呼吸を整えて、しっかりエンペラーの目を見据える。

対するエンペラーは、さっきまでの威圧を消して、目を丸くして聞いていた。

 

 

「あなたに対しては、本当に、恐怖を感じています。真美さんという1人の人間としても、この世で一番大切な人の、お母さんという立場に対しても」

 

側から見ていても、雪乃の手が少し震えているのが分かった。ただ、それでも彼女は止まらない。

 

「でも、もう逃げたくない。もうあんなに惨めな思いはしたくない。……だから私は、どんなに怖くても、私の大好きなもののためなら、真正面から闘う事を決めた。」

 

 

そして、不敵に笑うように……というには少し顔に力が入りすぎていて、とても強がっていることがよく分かる笑顔ではあったが

それでも、雪乃は力を振り絞るように言い切った。

 

 

「もし、あなたが私の目の前に立つのならば……あなたを倒してでも進んでいきます。潰していきます。例えあなたが、八幡のお母さんだとしても。…… 私は、負けず嫌いで、根に持つ女なんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ……フッフッフ……フフフフフフフフフ……ハハハハハハ……フハハハハハハハハハハハハハアッハッハッハッハっ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

我が家のエンペラーが一通り大声で笑った後、母ちゃんはその手に持っていたみかんをその右手で握り潰した。

 

 

 

表情をなくした俺と小町。

流石に母ちゃんと相対している雪乃も面食らっていると同時に、怯えているのが分かる。

だが、雪乃はその恐怖の感情に支配されないように決して目を母ちゃんから離さない、圧倒的劣勢の中にあっても、絶対に負けないと、食いついていってやると、雪乃の意思をぶつけるように。

笑い切った後、無表情で雪乃と目を合わせていた母ちゃんは、根負けしたように目をゆっくり閉じた。

 

「……ん、ギリギリ及第点かなあ。……分かったよん。せいぜい、これからがっかりさせんなよ♫」

 

空気が戻っていく、ちょうど洗濯も終わったようで、さっきまでうるさかった洗濯機が止まっていた。

雲はまた晴れて、そこから暖かな日差しがまたウチの中に差してくる。

 

母ちゃんはさっと立ち上がり、雪乃にまた話しかけ

 

「まあ、頑張んな。雪乃さんも八幡も、まだまだ色んなことを学ばないといけない、そのくらい、あなたたちはまだまだお子様よ。それは忘れないで。……でもまあ”雪乃”。あんたやればできるじゃない。好きよ。貴女みたいな女。でも、他の人にこんな事しちゃだめだぞっ? 」

 

雪乃に無邪気な笑顔を向けたあと、エンペラーは俺の方を向いて、今度はゾッとするような笑顔を向けながら言った。

 

「八幡。あんた女の子にこんなに覚悟決めさせてるんだから、八幡が中途半端になったら許さないからね? 」

 

めっちゃ怖え……ああ、少し前までの俺ならもうとっくに逃げ出してた。そのくらい、凄まじい笑顔だった。

だがな、今の俺だって、もう昔の俺ではないんだよ……

 

 

俺だって、好きな女の前ではカッコつけたいんだ。

 

 

俺は決意を固めるように、ゆっくりと、雪乃のもとまで歩く。

 

 

突然動きだした俺を、まるで不思議なもののように見ていた雪乃のもとにやっと辿り着き、そしてその華奢な肩を抱き寄せた。

同時に、小さく「アっ……」と言った雪乃の声が聞こえる。

それから、より強く、彼女の強くて小さい、そんな肩を抱きながら。

 

 

「ああ、当たり前だ。」

 

 

共に天帝に挑むように、俺は告げた。

 

 

 

天帝は、家族である俺ですら超久々に見る優しい笑顔を浮かべて、、、

そうして母ちゃんは新たに2つみかんを片手に持って、そのまま手を上に挙げ自分の部屋に戻ろうとする。

だが、何か言い残したことがあったのか。一言、いつのまにか開いていた廊下へと続くドアを見据えた後、俺たちに向けて告げた。

 

 

 

 

「あなたたち、これからが本番なんでしょう? そこで聞き耳立ててた彼女たちと、キチンとまずは話つけなさい? 」

 

 

 

 

 

 

ふと、俺と雪乃がドアの方に視線を向けると

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ……八幡、雪乃さん……」

 

「うっ……ごめん」

 

「……こんにちはです。せんぱい、雪乃先輩」

 

 

 

 

 

開いていたドアの隙間からは、ちょうど帰ってきていたのかクソ親父と、親父に連れられてそこまで来たのであろう3人。

まだあどけない顔と、泣きぼくろにポニーテール、明るい亜麻色の髪……

それぞれの特徴を持った彼女が、こちらを見ていた。

 

 

 

 

 

以下の中でどの回が一番好きですか?

  • 5話
  • 10話
  • 11話
  • 12話
  • 13話

 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。