禁忌呪いの陰陽師   作:ベザリウス家

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前回の話でサークルKが既に無くなっていると記述していましたが、法人格としての旧「サークルKサンクス」が完全消滅したのは2019年の9月ですので、鬼太郎6期一年目となる2018年の時点では正確には辛うじてまだ存続している状態でした。


第3怪 怪異の専門家③

月宮隆聖が依頼人の愁たちと接触した翌日、時刻は中高生たちの下校時刻の頃合いで学校帰りに寄り道を楽しむ学生たちや家路に急ぐ学生たちが通学路に溢れかえっており、その様子は廃墟化した神社からも見て窺う事が出来る。

 

天邪鬼「アイツらおせぇな」

 

そして神社を根城にしている天邪鬼は、下校している学生たちの中から一向に愁、邦彦、菜祐実。子分として使っている中学一年生三人組の姿が一向に現れない事に苛立ちを募らせていた。

 

天邪鬼「学校が終わったら真っ先にベーコンポテトパイを買って来て、神社の掃除の続きをやれってあれほど言ってやったってのにどこほっつき歩いてやがるんだ全く!あんまし遅れるようだったら、(ケツ)に蹴りぶち込んでやる!」

 

ポキポキと両手を鳴らしながら更に苛立ちを募らせ続けていると、昨日よりも10分程度遅れて、子分の三人の中学生たちの姿が見えてきたのだった。すぐ後ろに、彼らよりも背の高い、黒のパーカーを羽織った青年の姿があったが、どうせ学校にも行かずに遊び惚けている無関係の奴だろうと気にせずに、神社の鳥居をくぐり階段を上がって来た三人に対して声を荒げる。

 

天邪鬼「遅れてんじゃねーぞクソガキ共が!テメーらどいつもこいつも俺の子分になったって自覚が全くなっちゃいねぇだろうが、ああん!!」

 

天邪鬼の野太い怒鳴り声に対して、愁も邦彦も菜祐実も無言。愁と邦彦があからさまに目を背け、菜祐実に至っては露骨に敵意の籠った視線で睨みつけてくる有様だった。

 

天邪鬼「おうおうおう!なんだその反抗的な態度は?お前ら俺に逆らえる立場のつもりか?怖い思いしたくなけりゃ、さっさとベーコンポテトパイ持ってきて掃除だコラァァァ!!」

 

隆聖「悪いね~、天邪鬼さん。こいつ等がスーパーで買ってきたポテトパイなら、さっき俺がカツアゲして頂いてる所だぜ」

 

天邪鬼「ああん!?」

 

天邪鬼の姿と怒声に全く動じることなく、しゃあしゃあと厚かましい言葉を並べて後から姿を現したのは、愁たちの背後を歩いていた青年だった。

そしてその手には、天邪鬼が愁たちに買う様に言い付けていたポテトパイが握られており、既にその半分以上を食べ終えている所だった。その光景に天邪鬼は眉間に皺を寄せて、更に激しい怒りの怒声を発する事になり。

 

天邪鬼「なんだテメェはよぉ!俺が子分共に買いに行かせたポテトパイ何勝手に食ってやがんだ!」

 

隆聖「アンタがカツアゲ同然に買いに行かせたポテトパイは別のカツアゲによって横取りされちまったって事。んで、ポテトパイの報酬代わりと言っちゃなんだがよ」

 

そこまで口にして、言葉を一旦途切れさせると、隆聖はポテトパイの最後の一口を口の中に放り込み、気怠そうな表情から不敵な笑みを作り、不敵な態度で言い放つのだった。

 

隆聖「散々パシリに使ってくれやがるオメェをボッコボコにしてほしいって頼まれちまったわけだよ」

 

天邪鬼「ああん、この俺様をボコボコだとぉ?」

 

天邪鬼は愁たちの方に視線を一瞥し、鋭く睨み付けた直後、今度は愉快だと言った様子で大きな口を開けて爆笑。

 

天邪鬼「ぶっはっはっはっはっは!!そうかそうか、オメーら自分達だけじゃ俺に逆らえねぇから、高校生か大学生くらいの兄ちゃんに泣きついたってか、ええ?」

 

天邪鬼のバカにしたような笑いと問いかけに、愁と邦彦は目を逸らし、菜祐実は更に敵意の籠った視線を送り続けるのだった。

 

隆聖「中学生相手に勘弁してやれって、これからお前の相手は俺がしてやるんだからよ」

 

天邪鬼「バーカ!なにが俺の相手をしてやるだぁ?俺からして見りゃな、中学生だろうと高校生だろうと大学生だろうと、一般人の人間なんぞどいつもこいつも敵じゃねぇんだよ!俺の怪力を見てそんな事も分からねぇかテメェら?」

 

天邪鬼はそう言うと、近くに転がっていた一本の木の丸太を両腕で担ぎ上げていた。極太で乾燥もしていないその丸太の重さはざっと50キロ以上あり、並大抵の筋力では持ち上げるのは勿論、投げ飛ばす事など到底不可能な重い丸太を天邪鬼は難なく持ち上げる怪力だった。

 

天邪鬼「どうだよ、コイツをぶつけられたらさぞ痛てぇだろうよなぁ……ククク」

 

隆聖「そんな丸太一人で何時までも持ち上げてたら、アホ丸出しに見えちまうぞ。恥ずかしいからどっかに投げ捨てちまえよ」

 

天邪鬼の脅しに全く臆することなく、尚も不敵な態度を崩す事無くバカにした笑みを浮かべた隆聖に対して天邪鬼の堪忍袋の緒はぶち切れて、表情を怒りに歪ませる。

 

天邪鬼「ああそうかい!だったらお望み通りにしてやらぁ!運が良けりゃ病院送り、運が悪けりゃあの世送りにになぁぁぁぁ!!」

 

力任せに投げ飛ばされた丸太は、かなり正確なコントロールで隆聖に向かって一直線に投げ飛ばされる。

あんなものをまともに食らっては天邪鬼の言う通り、病院送りで済めば運がいい方で、当たり所次第ではそのまま命を落としかねない太く重い丸太の投擲・・・・・だが、隆聖はそこから一歩も動く事無く、ただ、両手をパンと音が鳴る強さで叩き合わせて一言発声する。

 

隆聖「守護結界(しゅごけっかい)!」

 

天邪鬼「しゅ、守護結界だと!?」

 

愁「え・・・えぇぇぇぇ!?」

 

一瞬にして隆聖の周囲一帯を、透き通るほどの緑色を帯びた透明のドーム状の結界が取り囲むように出現し、その結界によって天邪鬼の投げつけた丸太は跳ね返されてしまっていた。

 

隆聖「どうする、もう一回試してみるか?」

 

隆聖は結界を解除させて、天邪鬼にそう問いかける。

 

邦彦「い、いま・・・・・凄い勢いで投げ飛ばされた丸太が跳ね返された?」

 

愁「俺も見た、なんかオーラみたいなのに守られてたっぽいけど・・・・あれが結界?」

 

菜祐実「あ、あいつ、マジで本物の陰陽師だったわけ!?」

 

目の前でハッキリと見せつけられた科学的な説明や証明など出来そうにも無い隆聖の力に、三人の中学生は唖然とし肩を震わせていた。

そして隆聖と対峙する天邪鬼は菜祐実が発言した陰陽師と言う言葉を口にして、震えるように声を荒げる事になる。

 

天邪鬼「お、お・・・陰陽師だと!?て、テメェ・・・陰陽師だったのか!?」

 

隆聖「ああ、じゃなきゃ今時あんな技使う人間はそうそういやしねぇだろ?」

 

天邪鬼「バ、バカな・・・お、俺が封印された20年前ですら陰陽師とかの怪異の専門家の人間なんざ殆ど廃れてたってのに、い、今時テメェ見てーなチャラチャラした若造が陰陽師だってぇぇ!?」

 

隆聖「まあ、そんな驚くなって。確かに何百年も前に比べりゃ怪異の専門家の人間は少なくなっちまっただろうが、現にお前を封印したのだって鬼道衆だったんだろ?数は減ったが滅びちゃいねぇんだから、いつ何時俺らみたいなのがオメェらみたいなおイタの過ぎた妖怪を懲らしめに来るかは分からねぇって事さ」

 

陰陽師の出現に気の動転している天邪鬼に対して隆聖はバカにするような態度で諭す様な言葉を掛ける。

 

天邪鬼「う、うるせー!なにが陰陽師だ!少しくらい残ってようが廃れちまったことには変わりねぇんだろうが!この俺様を止められるわけがあるかぁぁぁ!!」

 

怒りに震える天邪鬼は怒鳴り声を上げながら、握力を誇る腕を振り回しながら隆聖に向かって一直線に走り出す。

それに対して隆聖が取った行動は・・・天邪鬼に向かって真っ向から迎え撃つだった。

 

天邪鬼「はっはっは!この俺様相手に殴り合いするってか!度胸は買うが、すぐ後悔する羽目にしてやらぁ!」

 

事実、岩を片手で握り砕く握力、太く重い丸太を投げ飛ばす腕力を発する天邪鬼と正面から殴り合いなどして無事で済むはずなどあるまい。

にも拘らず隆聖は迷うことなく天邪鬼に真っ向から正面から率先して直進、天邪鬼の剛腕のパンチが隆聖に迫ろうとした時だった。

 

隆聖「殴り合い上等・・・青龍拳(せいりゅうけん)!」

 

天邪鬼「なにぃぃぃ!?」

 

愁・邦彦・菜祐実「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!」」」

 

天邪鬼は驚嘆の絶叫を上げ、愁たちは悲鳴を一斉に上げていた。隆聖の右腕は青白く発行する半透明の龍の頭部と胴体のような姿に変形し、大きな口からは鋭い牙が生え揃った状態で、天邪鬼が付きだした左の拳と真正面から直撃した結果・・・・

 

天邪鬼「ぬお・・・・!!」

 

激しい衝突音と同時に衝撃波が周囲に発生し、その凄まじい衝撃に愁たちは一斉に機先を察知して同時にしゃがみ込むのだった。

 

天邪鬼「うおわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

数秒ほどのせめぎ合いの後、最終的に押し負けて吹き飛ばされる羽目になったのは天邪鬼の方だった。

天邪鬼の赤い身体は10メートル近くも後方に盛大に吹き飛ばされ、ゴロゴロと地面を激しく転がり転げる事になった。

 

隆聖「さてと・・・あんまし長引かせてもしょうがねぇし、そろそろお開きにするとしますか」

 

隆聖は危険な妖怪と戦っている緊張感や危機感など微塵も感じさせない様子で軽くそう言い放つと、天邪鬼を殴り飛ばした青龍の右腕を元の姿に戻し、代わりに左手に握られていたのは一枚のお札だった。

あんなお札で一体何を?愁たちがそう思った直後、この僅か数分足らずで愁たちはまたしても隆聖に驚かされる事になる。

お札はその姿を煙に包まれて姿を消したかと思うと、代わりに姿を成したのは、銃身が短めのカービンライフル銃だった。

 

菜祐実「さっきから・・・なんなのアイツ?」

 

愁「この数分で、俺の今までの人生観や常識が引っくり返りそうだよ・・・・」

 

邦彦「これ、動画撮って投稿しても、何かの特撮だって思われるんだろうな・・・」

 

最早これが夢なんじゃないかと思わずにはいられない三人組であった。

 

天邪鬼「クソッたれぇ・・・許さねぇぞテメェ・・・なっ!?」

 

よろよろと立ち上がり、怨嗟(えんさ)の籠った言葉を放った天邪鬼だったが、目を開けると正面から自分に向けられていたのは、隆聖が構える鋭いカービンライフルの銃口であった。

 

隆聖「霊弾(れいだん)発射」

 

天邪鬼「ぐわぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

銃口から赤紫に発光する弾丸が撃ち放たれるのと、天邪鬼の額を貫き、断末魔の叫びが響き渡ったのはほぼ同時だった。

一同の目の前で天邪鬼の赤い肉体はスッと消滅し、後に残ったのは濃い紫色に燃え上がる火の玉だった。

 

愁「な、なにそれ・・・?あ、天邪鬼はやっつけたの?」

 

隆聖「さっきの悲鳴聞いてたんなら分かるだろ?この火の玉は妖怪の魂だ」

 

未だに天邪鬼がどこかから姿を現さないか不安を拭いきれない愁に対して隆盛は安心させるように説明をする。

そして目の前で燃え続ける魂に何も書かれてない真っ白なお札を近づけると、その魂はそのままお札の中に吸い込まれるように封印してしまった。

 

隆聖「封印完了。これで俺の仕事は完了だぜ。お前らも晴れて自由の身ってわけだ」

 

愁「スゲェ・・・陰陽師って無茶苦茶つえぇ・・・」

 

菜祐実「うん、アタシコイツの事、ちょっと見直したかも」

 

隆聖「俺が強いってのは否定しねぇけど、この天邪鬼は一般人の中で言えば喧嘩自慢のチンピラ程度のレベルだからな、俺じゃなくたって怪異の専門家なら大抵はどうにでも出来ると思うけどな」

 

愁たちを散々怯えさせた天邪鬼を難なく倒した隆聖はハッキリとその天邪鬼を雑魚扱いして見せるのだった。

 

邦彦「は、はは・・・俺等には想像もつかないレベルの世界だ・・・・」

 

菜祐実「ちょっと待って、アンタ最初は妖怪退治にリスクがあるとか言ってたけど、アンタに取っちゃ天邪鬼なんて危険でも何でもなかったんじゃない!」

 

隆聖「そんなクレームは受け付けてねぇよ。それよっか報酬の件を忘れんじゃねぇぞ」

 

隆聖にとって忘れてはならないのが報酬。仕事として請け負った事なので中学生たちが相手でも取る物はキッチリと取らねばならない。

 

邦彦「分かってますとも!僕らのお小遣いの全ての10300円とウチの店の特製ラーメンセットでしょ!」

 

隆聖「それとそれに生ビールジョッキ2杯分だ!今から早めの晩飯がてらお前の店に行くから頼んだぞ」

 

こうして、隆聖は天邪鬼を退治し報酬として1万円そこそこの金と邦彦の実家の中華料理屋の飲食を得る事に成功、そして愁たちは天邪鬼の子分と言う苦行からの解放となったのだった。




取りあえず最初のプロローグ的な怪異の専門家は以上です。これからも執筆を続行いたします。
前回もあとがきで書きましたが、感想、評価、お気に入り登録を心からお待ちしております!(^^)!

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